chapter 02
DREAM
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「レイアー、エリー!」
吊橋を渡った先に二人が佇んでいたのが見え、追いついたことにホッとするも、私の天使はずっと怒った顔をしてティポを抱きしめていた。
18.彼女の贖罪
「レイア、エリーゼは?」
「うん…」
ジュードくんに尋ねられるも、レイアは口ごもる。
エリーは顔を背けて不機嫌モードだ。
「まだ元気はないけど…それより、ここは物騒だし早く街に戻ろ」
ミラが先を歩くとみんながついていく。
エリーも頬を膨らませながらもついていくのを見て、ふぅと一息ついた。
(私には何もできないな…今のエリーに慰めの言葉は無意味だし)
「はぁ…人って難しいなぁ…」
「おや、優姫さん、人生まだまだ先は長いのです。今は理解できなくて当然ですよ」
「ローエン…ありがと」
私の隣を歩きながらローエンはそう諭してくれる。
なんてイケメンなんだ。一生ついていきます!
「ジュード、何か気がかりなのか?」
え、とジュードくんが足を止める。
シャン・ドゥに到着すると、ミラが今の今まで難しい顔ばかりするジュードくんが気になり声をかけたのだ。
「ジャオの話を聞いてから様子が変だぞ?」
「うん…」
言おうとしたとき、街からイスラが走ってくるのが見えた。
私達に駆け寄ると、心配した顔で話してくる。
「犯人を追って王の狩り場へ行ったと聞いて、心配していたのよ」
「色々あったけど、とりあえずは無事、かな」
「偶然とはいえ、あなたたちを巻き込んでしまってごめんなさい」
「イスラさん…それウソですよね?」
謝罪をしてきたイスラに、ジュードくんは言う。
確信を持っているジュードくんはまっすぐにイスラを見つめた。
「な、何?私が心配したら変かしら?」
「イスラさんが僕達と知り合ったのは、偶然じゃない」
「!」
「決勝を知らせる鐘が鳴った時、この街の人に言われました。この時期によその人間が集まっていたら、それは闘技大会の参加者か観客しかいないって」
「あ……!」
イスラは自分が失言をしたことを思い出したらしい。
「そういうことか。私達がイスラに助けられたあの時だな」
イスラは私達に言ったのだ。
『ここの人間じゃなさそうだけど、この街へは何をしに?』と。
「きっと言わないよね、あんなこと…。僕達に近付くよう言われたんでしょう、アルクノアに…」
「イスラさん…ウソだよね…?」
レイアも信じていたのに、イスラは悔しそうに唇を噛む。
「あの人たち…ばれないから…平気だって言ったのに…でも私だって、あの人たちに…」
「脅されてたんだよね…弱みがあったから」
「昔の仕事ですか…」
「…ユルゲンスにバラされたいのかって…この子にはすまないと思ってる。でも、あの時は私だって…!」
「すまないと思って許されるなら法律はいらないよね」
腹が立ったのだ。
イスラのこの態度に。
私が珍しく静かな口調で言葉を発したら、みんなが驚いた顔をしていたが、私は止まらない。
「それで罪を重ねてどうすんの。違うだろ、普通は償おうとするもんだろ!ユルゲンスさんは、イスラさんを許すよ。たとえどんな状態になろうと、イスラさんを愛し続けるよ。そういう人なんだから」
「ユルゲンスは…こんな醜い私を知ったら愛してくれないわ…っ」
「それはイスラさん次第だ」
膝を崩し、泣き出したイスラの前に屈むと、ゆっくり顔を上げた。
「イスラさんが今できることをやっていけば、ユルゲンスさんは必ずイスラさんを愛し続けるよ」
「私は…幸せになりたいだけなの…お願い…彼には言わないで…ください」
「…イスラさん」
「お願い…怖いの…」
ダメだ。私の言葉はイスラには届かない。
そんなことないのに。
イスラの過去を知っても、心を病んでしまっても、ユルゲンスは側にいた。
愛していたんだ。
「ふむ。人間の愛というのは難解だな。私には理解できそうにない」
腕を組みながらミラは淡々と感想を述べる。
それから後ろでムスっとしたままのエリーに声をかけた。
「どうするかはエリーゼ。お前が決めるといい」
「どうして私なんですか…?」
「私達よりその権利があるだろう」
「今さら、私が償えることなんてないけど…お願いします…」
イスラが懇願すると、エリーは興味なさそうに踵を返した。
「どうでも…いいです」
「どーせエリーゼが一人ぼっちなのは変わらないんだからー」
反抗期です。
エリーが反抗期に入りました。
(KYですみませんでも反抗期エリー可愛い)
フラフラと力無く立ち去るイスラの後ろ姿を見ながら、私達もユルゲンスに会いワイバーンの話をするため歩き出す。
「どうした?」
いまだに足を止めたままのジュードくんにアルヴィンが話しかけた。
ジュードくんはイスラが立ち去った方向を見つめながら呟くように言う。
「イスラさん、エリーゼに何も償えないって言ってたけど…本当に何かしようとしたのかな…できることなかったのかな?」
「優姫も先程言ったが、その答えはイスラにしか出せないだろうな」
「しっかし、珍しく優姫がキレてたな」
ポフポフと頭を叩かれ、私はムキーッとアルヴィンに飛び蹴りをしてやった。
お前のお母さんのためにも怒ったんじゃぁぁぁ!!
とは言えないので、バホー!と叫んでおいた。
「ユルゲンスさんいないねー」
色んなところを歩き回りユルゲンスを探したが、なぜかいない。
どういうことだ…隠れてんのかユルゲンス…!
「エリーゼ、大丈夫かな」
そんな私達から離れて日陰で座っているエリーを見てジュードくんが心配する。
エリー…撫でたいけど絶対拒否られるからできない…。
しかしローエンはティポを気にしていた。
「増霊極について少し気にかかることがあるのですが…ナハティガルがガンダラ要塞で行っていた実験…あれは増霊極を使用するためのものだったのではないでしょうか」
「では、増霊極がすでにラ・シュガルにも渡っているというのか?」
「そう考えるべきでしょうね」
「増霊極はエリーゼみたいな子でも魔物と戦えるようになるものだよ。大丈夫かな」
「両国の兵が増霊極をもって争えば、かつてないほどの惨事が待っている」
そうだ、戦争が始まる。
そして、ジランドがクルスニクの槍を手にする。
(まず何より、私の足の分は殴り返してやりたい!)
「ホントにそんな戦いが始まるの?」
「少なくとも、ナハティガルにはその戦いに踏み切れる理由がある」
「クルスニクの槍だね…」
ナハティガルは止める。
ジランドはぶん殴る!
「おお、戻ったのか!」
話し込んでいたら、探していたユルゲンスがやってきた。
あんたホントどこ居たの!
「イスラから戻ったことを聞いたんだ。無事でよかった!」
「は、はい…」
ジュードくんはイスラのことがあったせいかユルゲンスをまともに見れないようだ。
まぁここはフォローの男、アルヴィンの登場ですよ。
「んなことより、約束のワイバーンの準備できてるの?」
「ああ。ただ、今は戦の雰囲気が高まっているとかで王の許可なしには空を飛べないんだ」
そうか王の許可か……って王様?!
そうだ王様だよ!
このあと会うのは…!
「私はこれから首都カン・バルクへ行って王の許可をもらってくるつもりだ」
「はいはーい!私も行きたいです王様に会いたいです!ぎゃ!」
ぐわし、とアルヴィンに頭を押さえられる私を見てジュードくんは呆れたように肩を竦めた。
「もう優姫ったら…。でもミラ、ア・ジュール王に戦いが起きたら危ないってことを伝えた方がいいんじゃないかな?」
「王様、評判いいみたいだし。わたし達と一緒に戦ってくれたりしないかな」
「おいおい、その戦いって戦争だぞ」
「ふむ。私も直接会って研究所の真意を確かめたいと思っていた」
アルヴィンが私を掴んだままハァとため息を吐いた。
ということは…!
「ユルゲンス、私達もア・ジュール王に会いたい。すぐカン・バルクとやらに出発するぞ」
「あ、ああ。それじゃ、荷物をまとめてくるよ。あ、そうだ、優姫」
「?ほいほい何スか?」
ユルゲンスに手招きされて、アルヴィンから抜け出して側に寄ったら、コソコソと話してくれた。
「君の本命、君がさらわれた時すごく心配していたよ。すぐにでも飛び出そうとするのを止めるのが大変だったんだ」
「!まままマジすか!」
「脈ありかもしれないな。頑張れよ」
ユルゲンスぅぅぅぅ!!
あんたホント良い人だよぉぉぉ!!
準備にと向かうユルゲンスにブンブン手を振り見送り、私は話し込んでいるみんなの輪に駆け込む。
「ア・ジュール王が民を守る存在なら、私の望む答えをもちあわせているはずだ。だが、別の答えをもつのであれば、金輪際やめると誓わせる。どんな手を使っても」
「うん、そうだね。ガツンと問いただしちゃおう!」
「おう!萌えが私を待っている!」
「一人目的が違う奴がいるぜ。優等生、もういい加減あいつ捨てていこう」
「もう…優姫、まだ体調が万全じゃないんだから大人しくしてて」
お母さんに怒られた。
グスグスと心の汗を拭っていたら、レイアが宿屋に置きっぱなしにしていた荷物を思い出した。
ローエンの提案で、レイアと二人エリーを連れて宿屋へ行ってしまった。
するとまた出たよ、胡散臭い男アルヴィン。
「そんじゃ、俺もちょっくら…」
「アルヴィン」
ミラが呼び止めると、振り返ることなくアルヴィンも足を止めた。
「よくやってくれた。優姫もエリーゼも、守ってくれると信じていたよ」
そう言えば、アルヴィンは何を思ったか少し離れ、そして振り返った。
「ぼく、約束したから覚悟きめたんだよー、ママ~」
「ぶふぉッ!!」
「あっれーあんなとこに害虫がー」
「ぎゃあ!銃口向けないでください!」
でも投げキッスしてきたアルヴィンが悪いよね!
あんなの誰でも噴き出すよね!
舌打ちしながら銃を懐にしまうと、アルヴィンは立ち去った。
お母さんのとこだろうか。
「あはは、アルヴィンってば」
「そろそろ私も…覚悟を決めなければいけないか」
「…?」
ミラの様子が変なことにジュードくんは気付き首を傾げる。
「四大の力がなくても、今の私ならクルスニクの槍を破壊できるだろう」
「え?四大精霊を解放する前に壊しちゃっても大丈夫なの?」
「…無事では済むまい。像をなせず霧散するだろう」
「でも大精霊は死なずの存在なんだし…」
「たしかに時が経てば、再び大精霊は現出できるだろう。だが、それは新たな意志をもった新たな四大だ」
「それって…ミラとずっといた四大精霊は消えちゃうってことだよね…」
「精霊は人格や記憶が重要なのではない。精霊は存在そのものこそが重要なんだ」
「そ、そんなことないよ!」
黙って聞いていようと思ったが、つい割り込んでしまい二人から視線を貰う。
しどろもどろになりながら、しかしネタバレのないように訴えることにした。
「ミラがミラだから、四大はミラについてるんだよ。精霊にだって思い出もあるし、心もあるって私は思うよ」
「優姫…」
「ミラが四大精霊や他の微精霊を大事に思うように、あっちもミラがミラだから大事なんだ…よ…」
ひぃぃぃ何私主人公みたいなこと言ってんのぉぉぉ!!
私のキャラ崩壊!誰か修正して!
「そうだな…だが少し違うぞ優姫」
「ほい?」
「私には精霊も人間も関係ない。すべてが等しく愛おしい命だ」
ミラはそう言って笑った。
そんなミラの姿に、ジュードくんは目を伏せる。
なすべきことを、定めはじめたのだ。
ジュードくんは自分の意志を持ち始める。
ミラは自分の責任を取るために自らを犠牲にする。
(なら、私は何か変わったんだろうか)
今の私にはよくわからなかった。
まあいっか。
「そろそろレイア達もユルゲンスも来るだろう。入口で待つとしようか」
「うん!あ、ジュードくん!むふふさっき聞いたよ~」
「え?何を?」
「私が拉致られたとき、めちゃくちゃ心配してくれたんだってね!ありがとさんきゅー!とはいえ、ならなんで私達を見つけたとき、アルヴィンに駆け寄ったかそこを詳しく」
「な、なななななっ!!アルヴィンの方が酷そうだったからだよっ!!」
「頭から血を流す私より?!ってあっどこいくのジュードくん!」
顔を真っ赤にしてジュードくんは宿屋に向かって行ってしまった…。
どういうことなの…アルジュなの…。
呆然としていたら、隣にいたミラが私を見下ろしながら咳ばらいをした。
「コホン…優姫、私も心配していたのだが?」
「!ありがとうミラ!むぎゅーっ!」
「ふふ。そうだ、ジュードがなぜアルヴィンに駆け寄ったか教えてやろう」
「うん?」
ミラにぎゅうっと抱き着いていたら、コソコソと耳打ちしてくれた。
ふむふむ…。
「…私がエロテロリストだったから、目に毒でアルヴィンに?う~ん、ミラの格好の方がエロいけどなぁ」
「あの時の優姫の格好は縛りプレイ、というらしいぞ」
「ミラ様にエロい本読ませたの誰だぁぁぁぁイバルかぁぁぁぁぁ!!!」
首を傾げるミラに、私は脱力して肩を落としてしまいました。
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