chapter 02
DREAM
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「ミラ!どこに行ってたの!心配したんだよ!アルヴィンもこれからは行き先はちゃんと言ってよね!」
「ジュードくんマジお母さん…いやすみません何でもないです睨まないで可愛いから」
17.お姫様のお友達
ミラとアルヴィンを見つけ、ジュードくんがお母さんのごとく二人を叱り付けるがアルヴィンはなんのその。
相変わらずの軽い態度で「はいはい」と返事をする。
「それより、お姫様が何か言いたそうだぜ」
アルヴィンが視線だけをエリーに向けるとジュードくんは振り返りエリーを見つめる。
「エリーゼ、どうしたの?」
「あのね…イスラさんが私のこと、何か知ってるのかも…」
「そういえば、エリーゼを見た後、いきなり顔色変わったよね」
「でも逃げるみたいにして、どっか行っちゃたー」
少し残念そうにティポが言えば、ミラも同じように頷く。
「イスラさんに会ったら、もう少し詳しく聞こうね」
「…はい」
レイアとエリーの組み合わせ可愛いなぁ!
えへへもうみんな可愛いよたまらんよ!
そんなふうにニヤニヤしてたらアルヴィンが私を見ていることに気付き「ん?」と見つめ返してみた。
ヒラヒラ、と相変わらずの軽い手振り。
なんでもねーよってか。
(なんて胡散臭いんだアルヴィン…てかミラとこんな朝早くに何を話してたのか教えろぉぉアルミラか、アルミラなのかぁぁぁ)
ゴォン ゴォン
(わっビックリした!ウェディングベルかと思った!)
鐘が鳴った。
朝早くだというのに、闘技場の鐘が鳴ったのだ。
「あんたたち、闘技場へ急いだ方がいいんじゃないの?」
みんなして鐘が鳴ったことに驚いて闘技場を見ていたら、後ろからおばさんに声をかけられた。
首を傾げたら横にいた小さな子供に呆れたように返される。
「鐘が鳴ったら大会が始まるのよー」
「え、大会始まっちゃうの?もしかして早く行かないと失格になっちゃったり?」
「いいのか?大会の辞退を考えていたのだろう?」
大会に参加する気であるレイア達にミラが尋ねれば、みんながニコリと笑った。
「迷いながらでもやってみるのが人間。そう言ってくださったではないですか」
「うむ、そうだった。助かるよ、みんな」
ローエンに言われミラが頷く中、ジュードくんは少し考えてからおばさん達に尋ねた。
「あの、どうして僕達が参加者だってわかったんですか?」
「この時期によその街の人が集まっていたら、それは参加者か観客に間違いないよ」
「そんなのここじゃジョーシキよ」
バイバイ、と手を振る子供とおばさんに手を振り返す。
最初ゲームした時、あなたたちがアルクノアだと疑いましたほんとすみませんでした。
ジュードくんはまた首を傾げるとみんなに心配され「何か頭の中にひっかかっただけ」と言うのを見ながら私はまたにやけた。
(ハイスペック医学生…!普通記憶に残らないって!そいやジュードくん記憶力いいんだっけ)
「とにかく闘技場に急ごう」
にやにやしながらジュードくんに着いていこうとしたら、何故かミラが隣を歩きはじめたのでちょっと驚いた。
なんだろ、微妙にアルヴィンから隠されてるような…まあいっか!
「ああ、来てくれて助かった!執行部が急きょ決勝戦を行うと言い始めたんだ」
闘技場に着くと、ユルゲンスは焦ったように私達に説明をしてくれた。
ルールは前王時代のルールに戻すと言い出したらしい。
つまり、相手が死ぬまで戦う恐ろしい試合。
しかも一対一の勝負だ。
恐ろしい申し出にジュードくんは表情を少し歪めながらも考える。
「どうする、ミラ?」
「うむ…ワイバーンは必要だ。辞めるつもりはない。…が、解せんな」
「何故前王時代のルールで行うことに…」
「やめておけよ」
ローエンも思考を巡らそうとしたが、アルヴィンが珍しく口をはさんできた。
まともなことを言いながら!
「こいつは、おたくの命を狙ったアルクノアの作戦だぜ」
「アルクノアの?!」
「あっれー?なんでアルヴィン君が知ってるのー?」
「…いいのか?」
「さっきの礼だよ」
さっきの礼ってなんだぁぁぁミラ様と何があったんだアルヴィンんんんん!!
アルミラ?これアルミラ?!ひぃぃ萌える!!
そんな訳あり臭い二人のやり取りに首を傾げるジュードくん。
「なんの話?」
「アルヴィンは、アルクノアと関係している」
「え?!ウソ…でしょ?」
「んー、すまん。仕事頼まれたりしてたんだわ」
色々事情を知ってると、この辺りのやり取りに参加できないなー。
大丈夫?私空気になってない?
ちゃんとジュードくんの隣キープしてるからね?!
「まさか…今回の事件も」
「あれは俺じゃない。俺も食ってたら死んでたとこだぜ?犯人も知らない。仕事つっても、小間使いにされただけだしな」
「なら、アルクノアの仕事はもうしないって約束してくれる?」
「わかった、誓うよ」
「よかった…」
すぐに信用してしまうジュードくん。
そんなジュードくんに、アルヴィンは少し苛立ったように思えた。
でもジュードくんのことを少し知った今だと、なんでジュードくんがアルヴィンを許しつづけたのかわかった気がする。
とりあえずアルヴィンを断罪しろー!
俺の嫁不安にさせるとか許さぬぇ!
「アルヴィンさん、アルクノアの作戦はわかるのですか?」
「ああ…俺が聞いた限りじゃ…やつら、決勝のルール変えてミラを殺す気だ。勝ったとしても、疲労困ぱいになったおたくを客席から狙い撃つ二段構えだとよ」
「なんて奴らだッ!大会をなんだと思っている!」
ユルゲンスの怒りはごもっとも。
勝負事が好きな私にとって、卑怯なやり方は大嫌いだ。
だがミラはフ、と笑った。
「何とも穴だらけな作戦だな。私が代表で出なければ簡単にくじける。だが…このくだらん罠にはまってやる。やつらを引きずりだしてやろう」
ミラが不敵に笑うと、ジュードくんはわかっていたようでふふ、と笑った。
ミラとジュードくんの考えた作戦はこうだ。
ミラが出場し、そのミラを狙って現れたアルクノアを私達に捕らえさせるのだ。
普通ならいつ出てくるかわからない連中だが、今なら目的がわかっているからおびき出せるからだ。
ユルゲンスから託された部族の誇り、そしてこれ以上被害が拡大しないようにとミラは言った。
(やっぱり、ミラは強いよなぁ…あのジュードくんが荒業を許しちゃうくらいだし)
「優姫、ミラが出てきました…」
「お、ほんとだ!よし、アルクノアを探そう」
「らじゃー!」
アナウンスの声とともにミラが舞台に姿を現す。
試合開始の合図もなく、出てきた対戦相手が攻撃をしかけてくる。
ミラがなんなく避ける姿を見ながらホッとする。
(今のミラは医療ジンテクスがないから楽に相手できるはず…なにより、ジュードくん達が合流する予定だから大丈夫だ)
今は、ティポをアルクノアに盗られないようにしないとね!
そのために客席で待機する配置をエリーと同じにしてもらったのだからね。
黒匣を使う相手の姿には少しミラが心配になるが、大丈夫だと信じてる。
早くアルクノアを探さないと!
ミラを心配するエリーだったが、固まるから何かと視線を追ったら上段の客席にイスラを見つけた。
イスラは私達、というかエリーを見て後退り、走り去っていく。
「優姫っ、イスラさんが…っ」
「話、聞きたいんだよね。行こう、エリー!」
「!…はい!」
エリーがティポを抱えて私の後ろをついてくる。
イスラがどこに逃げるかはわからないが、空中闘技場を出るには渡し舟に乗るしかない。
イスラを捕まえればアルクノアのことも聞けるだろう。
よし、まずはイスラだ。
そもそもここにいたら、ティポをアルクノアに盗られてしまう。
「お姉ちゃん」
いきなりくい、と腕を引かれて私は足を止めた。
引っ張ってきた方を見たら、この街に来たとき落石から私が助けた女の子だった。
「どうしたの?お母さんは?」
「あのね、お姉ちゃん」
「うん?」
女の子の視線の高さまで腰を屈めて、顔を覗き込むと、女の子はニッコリ笑った。
「お姉ちゃんが邪魔だって、お母さんが言ってたの」
ゴンッ
「優姫っ!!あっティポっ!!」
エリーの悲痛な声が聞こえるが、意識が朦朧として返事ができない。
男が私を肩に担いで、女はティポをエリーから奪ったようだ。
どうやら、私は男に頭を殴られたらしい。
「やめて、やめてっ!優姫っ!ティポっ!!」
「え、り…」
ああちくしょう。
あの女の子のお母さんアルクノアだったのか。
邪魔って、アルヴィン情報?いやアルヴィンはこの件は無関係か。
なら…ジランド情報だな。ちくしょうジランドまじ許すまじ。
あ、そろそろダメだ。
個人的にここのアルミラのやり取り好きだけど、もう意識が…薄れ…。
――――――…
「ちょっと、こんな荷物まで持ってきてどうするのよ」
「仕方ないだろ。昨日も毒に気付いてたみたいだし、さっきだってそれの側にいたし」
「伝達じゃ殺していいんでしょ」
「あんな人目のつくとこじゃやれねぇよ」
男女の口論が聞こえて、重い瞼を開ければ、いつの間にか知らない場所に来ていた。
ここどこだ…穴蔵的な…。
「!ティポ!ティポを返せ!!」
「ちっ、こいつ目を覚ましやがった」
「やめろ!ティポはエリーの友達なんだ!返せ!」
飛び掛かろうと身体を動かしたら、腕を縛られているようで前のめりに倒れてしまう。
奴らはティポからデータを抜き出そうとしている。
ダメだ、あれがなくなったら、今までのティポがいなくなってしまう。
一緒にアルヴィンを弄って、一緒に街をうろついて、遊んだティポがいなくなってしまう。
「ティポを、返せっ!!」
「いてっ!おい、こいつ黙らせろ!」
「ここなら人目もつかないし、もう殺しちゃいましょ」
カチャ、と銃口が私に向けられる。
こんなところで、やられてたまるか。
どうしたらいい、どうしたら抜け出せる?
ない頭を必死にフル回転させていたら、女が構えていた銃が唐突に弾かれた。
誰かが女の銃を狙って撃ってきたのだ。
「おたくら、うちのペットに何してくれてんの」
おいこら誰がペットだ。
来たのはもちろんアルヴィンだ。
エリーはまだ追いついてきていないようだ。
アルヴィンの登場に男女は困惑し、襲い掛かった。
だがやはりアルヴィンは強い。
簡単に二人を倒してしまうと、ティポを拾い私のところへ来た。
「無事…じゃねぇな。頭を殴られたか」
「アルヴィン…ティポは…」
「ほら、こいつは無事だ。喋らねぇけど」
喋らないのはエリーの側から離れたからだ。
とりあえずデータは無事らしい。
ふぅ、と一息つく。
思えば頭がめちゃくちゃ痛い。
アルヴィンは私の手を縛る布を解きながら、いつにもまして深刻な顔をしていた。
「優姫、おたく何を言った?アルクノアの連中、ミラだけじゃなくおたくの命も狙い出したぜ」
「…ちょっと、親玉に喧嘩売ったかなー」
「親玉って、おたくな…」
ダンッと音と同時に、アルヴィンの目が見開いた。
ズルズル、と身体を倒していく姿に血の気が引く。
「アルヴィン…っ?!」
「たく、手間取らせやがって…」
男の方はまだ生きていたようだ。
アルヴィンは肩を撃たれたらしく、肩を押さえて苦しそうにしている。
解かれる前だったため、私も動けない。
男は苛立ちを向けて私達を蹴り飛ばしてきた。
「うぐ…っ」
「こいつはもういらねぇな」
「ティポ…!」
データが、抜かれた。
ポイっと放り投げられたティポ。
男がどこかへ姿をくらますと、隠れていたらしいエリーが駆け寄ってきた。
「ティポ、ティポっ!」
「…はじめましてー、まずはぼくに名前をつけてねー」
「え…?」
側にあった箱にもたれながら、アルヴィンはティポの様子が変なことに気付く。
「おい、優姫…どういう、ことだ…」
「データが、なくなったから…リセットされたんだ…」
「リセット…?優姫、ティポはティポじゃなくなったの…?」
「…ごめん、エリー…」
泣き出してしまったエリーを、抱きしめてあげることも出来ず、私は悔しくて唇を噛んだ。
――――――…
「優姫!アルヴィン!」
30分か、それ以上か。
追いついてきたジュードくん達が私達を見つけて駆け寄ってきた。
「しっかりして二人ともっ!レイア手伝って!僕はアルヴィンを診るから、優姫をお願いっ!」
「わ、わかった!」
ジュードくんはアルヴィンを、レイアは私に治癒術をかけはじめる。
あ~、頭痛いのが少し軽くなってきたよ~。治癒術まじすげぇ。
ほわわ~と癒されてたら、アルヴィンが舌打ちした。
「んだよ…俺に任せるんじゃ、なかったのかよ…」
「あはは…信用なしアルヴィン、よろしくぅ…」
「おたく、素直に死にかけてろ…」
「死にかけ言うな…てか誰がペットだ…」
「二人とも黙っててッ!」
「「すみません」」
ぐったりしながらアルヴィンと言葉の応酬をしていたらお母さんことジュードくんに怒られました。
エリーはというと。
「ミラ、ミラぁっ!うわーんっ」
「どうした?ケガをしたわけでもないようだが…」
「ティポさんも無事のようですね」
ミラに抱き着いて泣いているエリー。
周囲を見渡していたローエンはティポに気付き持ち上げる。
「はじめましてー、まずはぼくに名前をつけてねー」
「これは…」
「どういうことだ?」
「アルクノアの一人がティポから何かを抜き出した途端、そうなっちまった」
驚くローエンとミラに、アルヴィンが見たままを説明する。
ティポはブースターで、中にはきっとデータが記録されるような媒体が入っていたのだ。たしかデータメモリ、だっけ。
つまりは思い出を抜き取られたようなものだ。
「ティポ…やっぱり仕掛けで動いてたんだね」
「仕掛け…?ジュード、仕掛けって…?」
「うん。自分で動いて喋るようにつくられてたぬいぐるみだったんだよ」
「でも、それでも……お友達だったんです」
ジュードくんの言葉に、エリーはまた泣き出してしまった。
だがミラは無慈悲にもアルヴィンにアルクノアの行方を尋ねる。
「アルヴィン、アルクノアは?」
「一人はやったが、もう一人には逃げられた」
「アルヴィン、感謝する」
ミラはエリーを放すと、転がっていた黒匣を踏み潰し破壊した。
その姿に、エリーが戸惑う。
「ミラ、ティポは…?」
「抜き取られたものを取り返せば、元にもどるんじゃないかな?」
「アルヴィン、アルクノアが逃げたのは?」
「とっくの前だよ」
「では、盗まれたものを取り戻すのは難しいだろう。もうここに用はないな」
「え…でも…ミラなら…」
「お前がヤツらを捜したいというなら、止めはしない。だが、それならお前とはここでお別れだ」
ミラの言葉を聞いて、エリーがみんなを見渡すも全員黙っていた。
いや、何も言えなかった。
エリーは表情を曇らせ、ティポをローエンから奪い取る。
怒っているんだ…そんな姿も可愛いとか思ってすみませんKYですみません。
「優姫、立てる?」
「うん、だいじょーぶ。ありがとレイア」
街に戻ろうということで、とりあえず立ち上がろうとしたらレイアに支えてもらった。
えへへと笑ったらレイアはホッとしたように笑ってくれる。
「心配したんだよー!優姫が頭から血を流したまま連れてかれるの見たとき、ほんと心臓止まるかと思ったよ」
「私もまさか殴られて連れ去られるとは…まさかのヒロインポジ獲得だよ」
「おたくがヒロインなんてそのストーリーの主役が可哀相だな」
「ジュードくんその男もう癒さなくていいよ!もう私ミラジュでいくからアルジュやめてやるから!!」
「優姫、アルヴィン、しばらく安静にしてて」
「「すみません」」
ジュードくんが鬼嫁化してきたよ!
ひぃそれはそれで萌える!
外に向かいながら、現在地の詳細を聞くとここは王の狩り場らしい。
あの迷子になったとこか…なんか方向変えたらわかんなくなるんだよね…。
廃坑を出たところで、ジュードくん達が構える。
「魔物だ…!」
「エリーゼ、エリーゼ!構えて!」
「…え」
ジュードくんに言われてエリーはハッと顔をあげ状況に気付いた。
ずっとミラを睨んでいたせいで魔物に気付かなかったんだ。
「お前たち、やめんか!」
ドシンと、地面が揺れた。
ジャオが着地した音だったのだ。
ジャオさんでかすぎです!
私達を囲んでいた魔物はジャオが何かを言うと警戒を解き大人しくなった。
「すまなかったな、密猟者を追っていたのだ」
「ジャオ…!」
「ん、お前さんたちがどうしてここにおる?娘っ子…とうとうこの場所に来てしまったのじゃな」
「…」
「覚えておるのだろう?」
ジャオに言われ、エリーはティポをきつく抱きしめる。
ジュードくんがどういうことかとエリーに尋ねたら、答えたのはアルヴィンだった。
「ここはお姫様の育った研究所だったんだよ」
「以前、侵入者を許してしまっての。その時、この場所は放棄されたのだ」
ここでエリーは育ち、そしてハ・ミルへとたどり着いた。
なんだか、胸が痛くなる話だ。
「侵入者はお前だったのだろう?」
ミラは真っ先にアルヴィンに向くと、奴は腕を組み感心したように言う。
「いい勘してんな…ああ、そうだよ。増霊極についての調査だったんだ」
「なんと…お前さんじゃったのか」
ジャオは驚いてアルヴィンを見ている。
そりゃびっくりだよね…犯人近くにいたんだもんね…。
「増霊極って何なの?」
「ア・ジュールが開発した、霊力野から分泌されるマナを増大させる装置だよ。そいつ、ティポがそうだ。第三世代型らしいがな」
「ティポ…そうだったんですか?」
「ぼくの名前はティポだねー。よろしくー」
「ティポはエリーゼの心に反応し、持ち主の考えを言葉にするのじゃ」
ジャオがそう告げれば、全員が驚いた表情になる。
「それじゃ、今までティポはエリーゼの考えを喋ってたの?」
「ウソです!ティポはティポが喋っていたんです!ティポは、仕掛けがあっても…私のお友達ですよね…?」
「ちがうよー。ぼくはエリーゼの友達じゃないよー」
「ち、違います!」
「違わないよー。ぼくはエリーゼが考えてることだけ言ってるんだからー。ぜんぶエリーゼのかんちがいだったんだよー」
ティポにまくし立てられ、エリーは困惑して黙ってしまった。
けどエリーは気になることがあったらしい。ティポがそれを代弁し始めた。
「ねぇおっきいおじさんー。一人ぼっちのエリーゼのお父さんとお母さんはどこにいるのー?」
「…もうこの世にはおらぬ」
え、とエリーが顔をあげる。
けどジャオは残酷な真実を突き付けた。
「お前が四つの時、野盗に遭い…殺されたのじゃ」
「…もう、会えないんですね。お父さんにもお母さんにもティポにも…」
「エリーゼ…」
「気を落とさないで…」
「ジュードやレイアにはちゃんといるじゃないですか!みんな…!」
「そんな人達にエリーゼの気持ちがわかるもんかー!」
「!エリーゼ待って!」
エリーがティポと共にどこかへ駆け出し、それをレイアが追いかける。
エリーの言葉、きついな。
私がエリーの立場ならどうだっただろう。
…わからないね、やっぱり。
人の心は簡単には理解できないのだ。
「ジャオ、エリーゼはなぜ研究所にいた?」
密猟する音が聞こえ向かおうとしたジャオをミラが止めた。
「…連れて来られた。売られたようなものだ。娘っ子のような孤児を見つけては研究所に連れて来ていた女に……名は…」
「…まさか、イスラ…?」
「おお、たしかそんな名であった」
「密猟者みたいなもんだな」
アルヴィンの言う通りだ。
イスラは小さな子供を売り、なのにその過去をなかったことにしようとして幸せになろうとしている。
そしていずれ、アルヴィンの母親をも殺すのだ。
せめて、アルヴィンのお母さんだけでも助けたい。
どうしたらいいだろう…。
「…わしが言えた義理ではないが、頼む」
ジャオが、私達に頭を下げた。
「あの娘っ子を、これ以上一人にせんでやってくれ」
「…もちのろんよ!エリーもティポも友達だからね!」
勝手にみんなを代表して答えたら、ジャオはフっと笑って密猟者狩りに向かっていった。
「よし、エリーとレイアを追いかけよう!んでイスラさん問い詰めよう!」
「元気だねぇ。さっきまで頭から血を流してたとは思えないな」
「いや…さっきアルジュやめるって言ったけどよくよく考えたらさっき私をレイアに任せてアルヴィンの治療してたじゃん?なんか…興奮した…」
「優等生、変態は置いていこう。こいつの頭は殴っても治らなかった上悪化したみたいだ」
「優姫、アルヴィン。シャン・ドゥに着くまで安静にしないと…怒るよ」
「「すみません」」
あっちょ、ミラとローエンが笑ってる!
ちくしょうアルヴィンめぇぇっ!!
みんながエリーとレイアを追うため歩き出したとき、大事なことに気付いた。
「アルヴィン、言うの忘れてた!」
「ん?何だよ?」
「さっきは助けてくれてありがと!いやぁ死ぬかと思ったからほんと助かったよ!」
お礼を言ってから、ジュードくんの隣に走っていく。
後ろではアルヴィンが珍しく照れていたらしいことを後でローエンから聞いてからかうネタをストックしておくのだった。
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