chapter 02
DREAM
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「ジュード、聞いて!ユルゲンスさんってイスラさんの婚約者だったんだよ!」
「そうだったんですか、ユルゲンスさん!ご結婚はいつなんですか?」
「やだなぁジュードくん、私達もう結婚して」
「ねーだろ」
アルヴィンに頭を叩かれながらツッコミをもらいました。
16.ウソツキと卑怯者
「ぬぐおおお…」
「だ、大丈夫、ユウキ?」
ミラ様ルートで何があったのやら。
先に空中闘技場に着いていたミラ達と今合流したところなのだが、なぜかアルヴィンの一撃が重くて私は頭を抱えて悶えた。
ジュードくんが心配してくるが、なんなんだアルヴィンこんにゃろ…!
「はは、結婚はまだ先の話さ。ちなみに、君はどっちが本命なんだい?」
「ジュードくんです」
「も、もう!違うんです、ユウキはいつもこうやって僕をからかうんです!」
失礼な。私はいつだって全身全霊でジュードくんを愛しているというのに!
と言おうと思ったけど、レイアが少しムスッとしていたのでやめておいた。
えへへでもレイア可愛いなぁえへへ。
「あ、それとね、イスラさんってアルヴィン君のお母さんの先生なんだって。偶然がこんなに重なることもあるんだね」
「アルヴィンのお母さんが…?」
「心配は無用だよ、優等生」
「そうそう、ジュードくんがアルヴィンに嫁いでお母さんの看病してあげたらいいんだあだだだだだ」
「そちらはどうだった。エリーゼのことは何かわかったのか?」
「あ、うん。お父さんとお母さんのことを少し思い出したみたいなんだけど…手がかりになるようなものは何も…」
ミラはそうか、とジュードくんの報告に少しだけ残念そうな声色で返事をした。
おお、これはミラの変化だ。残念がるなんて、人間らしくなってきている。
私はアルヴィンにいつもより強めに頭をわしづかみにされながら、ミラの変化に胸をホクホクさせていた。
「さて、そろそろ始まるぞ。お遊びはここまでだ。準備ができたら受付をしてくれ」
「期待しているわよ!」
「頑張ってくれよ!」
さて、本格的に闘技大会の始まりだ。
《続いて登場するのは、キタル族代表だ!》
受付を済ませ、舞台に繋がる橋の手前で待機していたら、アナウンスが聞こえジュードくんが小さく震えていた。
「ジュード、過度の緊張は本来の能力を低下させるという。ユウキのように気楽に行くぞ」
「ユウキみたいに…?」
「よっしゃー!エリー!私と合わせ技しよう!エリーが術を唱えるタイミングでティポをONにして…」
「ユウキ!わたしも合体技したい!ユウキが相手を横に倒した時にわたしが棍でくるくる~って!」
「それ採用!友達パワー見せつけてやるぞ!」
「はい…!」
「ぼくもがんばるぞー!」
「…アレは緊張感なさすぎだよ、ミラ」
「あのくらいがちょうどいいんだ」
何やらみんなが私達を見て笑っていたが、よくわからんのでまあいっか!
アナウンスの合図で舞台へ歩いていくと、少しハイテンションのアナウンスが響く。
《登録選手の中で魔物を操らない選手は彼らだけです。その実力は未知数。いかほどのものなのか!》
「え、魔物?」
レイア含むみんなは魔物が出てくるのを知らなかったようだ。
いやアルヴィンは知ってるんだろうけどね!
魔物を数体引き連れて出てきた選手に、ミラは構えた。
「さぁ、行くぞ!」
試合開始の合図が鳴った。
私とレイアは魔物を担当することにして、挟み撃ちで応戦する。
「レイア!さっきのやつやろう!」
「オッケー!行くよユウキ!」
「そぉぉっりゃぁっ!!」
ドカドカッと魔物数体の足を蹴り飛ばしてひっくり返すと、レイアがそこに飛び掛かった。
「封舞活震劇ッ!!」
まさかのジュレイ共鳴術技ーッ?!
おわぁぁぁ私とレイアでやっちゃったよぉぉぉぉぉ!!
「神様ありがとうそしてありがとう!!いよっしゃーっ次こいやーっ!!」
「ガンガン行くよー!」
感動しながらレイアやエリーと合わせ技しまくっていたら、連戦も何のその。
あっというまに決勝進出を果たしたのだった。
「やったー!わたしたち勝ったんだね!」
闘技場の長い階段を降りながら、レイアはガッツポーズで喜んだ。
「なんとかって感じだったけどね」
「なっさけないなぁ、優等生は。楽勝だっただろ」
「いえいえ、なかなか厳しいものでしたよ」
「アルヴィン君はウソツキー!ね、エリー」
「うん…ウソツキ…です」
「お前らまで…」
あははと笑ったらアルヴィンに睨まれたので素早くミラの後ろに隠れる。
アルヴィンは最近私に容赦ないからな…。
満足感に浸りながら降りていたら階段下にユルゲンスさんを見つけ、みんながそこへ駆け寄りユルゲンスさんに労いの言葉を貰っていた。
ただ、ミラだけは足を止めている。
後ろについてた私は、声をかけるもミラは気付かない。
「確実に力がついてきている…これなら…」
「!ダメだよミラ!一人じゃダメだからな!」
「ユウキ」
「ナハティガルを止めてクルスニクの槍はみんなで壊す!決定事項!ね?!」
思わず必死に訴えたら、ふふっと笑われてしまった。
むぅぅと頬を膨らませてみたら今度はその頬を両手で挟まれぐにぐにされる。
「み、みりゃぁぁ?!」
「安心しろ。一人で行きはしない」
「なりゃいいけろぉぉぉ」
「おたくら何遊んでんの」
遊んでないです!
アルヴィンに肩をすくまれ、ミラに解放してもらいぐにぐにされたほっぺを摩る。
ミラ、私を愛玩動物か何かと勘違いしてないか?!
ふむむと唸っていたら、ジュードくん達にユルゲンスさんの側にいた女性が話しているのが聞こえた。
「決勝は、食事休憩をはさんでから始まるわ」
(食事休憩……食事?!)
「他の参加者も一緒だから、落ち着かないかもしれないけど、食事にしましょう」
アルクノアが、ミラを狙って食事に毒を盛る場面だ。
(まずい、先に食事してる人がいたらどうしよう!)
どうやって食事を止めれば、ていうか私がここで「食べたらダメだ」と言ったら怪し過ぎる。
むしろ私がアルクノアに思われるんじゃないか?
「ってあーもう!考えるの苦手なんだよ私はぁぁぁ!!」
「わっユウキどうしたのっ?!」
「あー…何でもないっス!みんな先に食事……しないで私を待ってて!絶対食べちゃダメだよ一口も食べたらダメだからね!!」
「ユウキ?!」
うぉりゃぁぁぁと私は食事を作っている厨房へ走り出す。
止められるかはわからないけど、止めてやらぁぁぁぁ!!
「ここか!」
場所がわからず走り回り、ようやく見つけた厨房にバンッと飛び込んだら、中には食事もなく人もおらずもぬけの殻だった。
あれ?もしかして、食事はもうみんなのところに?!
(それじゃあ、間に合わない…!!)
「ユウキ!!」
「ぶぉっ!!」
振り返り駆け出そうとした瞬間、誰かにぶつかった。
倒れそうになったと同時に抱き上げられ、そのまま走り出されてしまったではないか。
「な…!アルヴィンッ?!何してんのみんなは?!」
「毒を盛られてたのをミラが気付いて無事だ。俺達だけな」
「!!ちくしょう…!」
またか、また私は助けられなかったのか。
悔しくてアルヴィンの背中をギュウッと握り締めるが、アルヴィンの足は止まらず闘技場を出るため渡し舟に乗せられた。
ポイっと放り投げられ、アルヴィンも乗り込むと渡し舟は動き出す。
「ちょ、ま、アルヴィン私をどこ連れてく気?!」
「いいから少し付き合え。おたくには色々聞きたいことがある」
「……」
さすがに街中で私を抱えたまま移動は出来ないアルヴィンは、私を普通に歩かせてくれた。
どうしようもない上、思考力の低下した今の私ではジュードくん達に言い訳すら出来ないので仕方なくアルヴィンの後ろを着いていく。
階段を上がり、到着したのは昇降機の前。
(あれ、この先ってたしかアルヴィンのお母さんのいる家じゃ?)
「入れよ」
「え、あ、お邪魔しまーす…」
ガシャンと昇降機は私達を乗せ動き出す。
たった数秒で昇降機は止まり、アルヴィンはスタスタ歩き出すが、怖い。
(な、何か喋ってくれよぉぉぉぉぉ!)
部屋の前でアルヴィンが止まった。
おそるおそる傍まで寄ると、外から私が見えないようにアルヴィンが私を部屋の扉に押さえ付けてきてびっくりしてしまう。
「毒が入ってるの、知ってたな」
「ですよねー…はい、知ってたよ。だから厨房に乗り込んだんだ…無駄足だったけど」
「他に何を知ってる?」
「…アルクノアのことを少しだけ」
「!」
アルヴィンが私の胸元を押さえる手に力を込める。
ぐえぇ…だんだん苦しくなってきたんですけど!
「なら、俺のことも知ってるってわけだ」
「アルヴィンがアルクノアだってことなら、初対面から知ってました」
「へぇ」
「でもアルヴィン、忠告しとくけどアルクノアは信じちゃダメだ。アルクノアはアルヴィンを騙してる」
「…んなの、さっきのでわかってんだよ」
(そうだ、あの時アルヴィンは食事に毒が盛られていることを知らなかった)
ミラが気付かなかったら、アルヴィンも殺されてたんだ。
「ふ、ふふ…もうマジ許さんアルクノアほんと許さん」
「?」
「ミラを狙うわエリーを狙うわ、関係ない人巻き込むわいい加減にしろよな!ぜっっったい潰す!!」
「ほんと色々知ってんだな」
「知ってるからこそ自分にも腹が立ってるよ!あーもう!!」
ムキーッと怒ったら、アルヴィンが肩の力を抜いて呆れたように笑った。
ようやく手を離され、私もふぅとため息を吐く。
「アルヴィン、私のことはきっと説明しても信じてもらえないからあえて聞かないでほしい。みんなにも黙っててほしい」
「つーか、おたくを疑うようなこと言ったら俺も優等生達に疑われるっての」
「…あ、そうか!アルヴィンも抜け出してきちゃったもんな!なんだなんだ!んじゃアルヴィンに気を遣うことないじゃんか!」
「そーゆーのは心の中で言ってくれ」
なんだ、つまり今、私とアルヴィンは秘密を抱える同志というわけだ。
あ、そう考えるとちょっと気が楽かも。
「よっしアルヴィン!みんなのとこ帰って犯人探したけど見つからなかったって言おう!」
「いや、俺今日はここに泊まるからユウキだけ戻ってくれ。俺のことは言うなよ」
「ぶぅ、了解ー!お母さんによろしくね!」
ブンブン手を振り、昇降機に乗り込む。
うーん、ジュードくん達に顔合わせるのドキドキするなぁ。
私誤魔化すの苦手だしなぁ。
「…ここに母さんがいるなんて、言ってねーのにユウキのやつ、また知ってやがった」
そんなアルヴィンの呟きは聞こえる筈もなく、私はジュードくん達の元へ向かうため宿屋を目指した。
――――――…
「ユウキ、どこ行ってたの?!心配したんだよ!」
「ご、ごめんなさいお母さん…」
「ユウキ!」
しまった。
ジュードくんがめちゃくちゃ怒っててお母さん発言にツッコミもしてくれない。
空中闘技場から帰ってきたジュードくん達を見つけ宿屋に飛び込んだら、ロビーだというのにジュードくんに怒鳴られてしまった。
「えとあのその…犯人を捕まえようと思って…」
嘘ではない。
卑怯ではあるが、嘘はついていないから間違ってないはず。
なるべくジュードくんには嘘をつきたくないので言葉を選びながら話すも、ジュードくんはマジ切れである。
「みんなも心配してたんだよ!ユウキがどこかに行ってからあんなことがあって、もしかしたらユウキも危ないって!」
「ごごごごめんなさい…」
「犯人を捕まえるにしても僕達にも言ってくれたらいいじゃないか!ユウキ一人でどうにかしようとしないでよ!」
「う、うぇぇ…ごめんなさいジュードくんんん…っ」
年上なのに、私一つとはいえ年上なのに怒られて涙目だ。
むしろすでに泣いているなんて恥ずかしくてお嫁にいけない。予定はないが。
「もういいだろう、ジュード」
ぴぇぇと泣き出しそうな私を見兼ねたのか、ミラがジュードくんを宥めに入ってきた。
でも、と未だに怒るジュードくんにローエンも宥めてくれる。
「怒りはごもっともですが、ユウキさんももう懲りたはずです。なによりここは皆さんの目につきますし、部屋に戻りましょう?」
「……わかった」
「あの、ジュードく」
ダダダダッとジュードくんは振り返らず階段を駆け上がると部屋に入ってしまった。
じゅ、ジュードくんに、嫌われた…。
もう無理まじ無理ジュードくんに嫌われたら生きていけない。
「では今日はもう休みましょう。先程の詳細はミラさん達から聞いてください、ユウキさん」
「うん…うん…ローエン私に精霊術をぶっ放して…」
「おやおや、これはかなり懲りたようですね」
「というか、もはや瀕死になっていないか?」
ミラとレイアに支えられて、部屋に戻るとベッドに俯せに倒れ込む。
「ジュードくんに嫌われたジュードくんに嫌われたジュードくんに嫌われた」
「呪詛みたいになってるよー!怖いよエリー!」
「ユウキ…あの、私も心配しました」
ぺたりと頭を撫でられて、顔をずらして横を見たらエリーとティポが心配そうに私を覗き込んでいた。
「そうだよユウキ!アルヴィン君もいきなり走って出て行っちゃうし」
「ユウキ、お前はアルクノアを知っているな?」
レイアが私のベッドに腰掛けると、ミラは直球で私に聞いてきた。
レイアとエリーが首を傾げるが、嘘はつけないので私は起き上がり、レイアの隣に座る。
「知ってる。今日のことも、アルクノアらしき人達が話してるのを聞いたから止めようと思って…なのに」
「…アルクノアが私の命を狙い続けているというのは?」
「えっと、ミラが黒匣を壊しまくってるからだよね?」
そう返したら、ミラはほんの少しホッとしたようだった。
シェルの話は秘密なんだよね。
言わないように気をつけなければ。
「ではユウキはアルクノアではないんだな」
「むしろアルクノアは許すまじ!だよ!ミラを狙うだけじゃなく関係ない人も巻き込んで!!」
「でも一人で行くなんて危ないよ!もしユウキに何かあったらどうするの!」
「ですです!」
「ジュード君とミラ君が大変だったんだからねー!」
ほへ?とティポを見たら、珍しくミラがティポを捕まえて縦に引っ張っていた。
エリーがはわわっとティポを取り返そうとするのをわけがわからず見ていたら、レイアがコソッと私に耳打ちしてくる。
「食事に毒が入ってて、ミラを狙って無差別に殺されたんだって話をしてからジュードとミラが一目散に飛び出そうとしてね」
「え、マジで」
「ユウキが危ない!って行こうとする二人を止めるの大変だったんだから」
ジュードくんとミラが、私の心配をして必死になってくれたのか。
(う、嬉しい…不謹慎かもだけど、それはすごく嬉しい…!)
なら尚更謝らなければ。
だいたいミラに一人ではダメだとか言いながら、私が一人でやろうとしてたら意味ないじゃないか。
「ミラ、エリー、レイア、ほんっとごめん!!ティポもごめん!」
誠心誠意を込めてみんなに謝ったら、ほっぺぐにぐにの刑でなんとか許してもらえた。
ほっぺぐにぐにの刑を終え医療ジンテクスを外す。
レイアに手伝ってもらいながらベッドに寝かせてもらい、みんなが寝ようと電気を消したと同時にティポが呟いた。
「でもジュード君があんなに怒るの初めて見たー!許してくれないかもー」
「……」
「……」
「……」
「……ジュードくんに嫌われたジュードくんに嫌われたジュードくんに嫌われたジュードくんに」
「あーもう!ティポ余計なこと言わないで!ユウキが呪詛モードに入っちゃったでしょ!」
「ユウキ、起きて」
「んー…レイアおはよ……ってほぎゃぁ?!なんで全員集合?!」
翌朝、レイアに起こされ上半身を起こし目を開けるとジュードくんとミラとアルヴィンを除く三人と一匹がいて驚いた。
てか私起きるの最後かい!
「ユウキ、ミラが朝早くに宿を出て行ったらしいの。何か知らない?」
「え?ミラが?うん、知らない…」
「ミラさん、どこへ行ってしまったんでしょう」
そういえば、ミラがどこかに行ってしまうイベントがあったっけ。
アルヴィンと一緒だったからアルヴィンのところだとは思うけど、ミラ編してないからわかんないなぁ。
「あ…」
ガチャ、とジュードくんが入ってきた。
私を見て少しバツの悪そうな顔をするから私は慌ててジュードくんを引き止めようとベッドを飛び出そうとして、転んだ。
「ぐほぅ!!」
「ユウキ?!」
医療ジンテクスのことをすっかり忘れてました。
そうだよ寝る前に外して今起きたんだから、付けてないよね!私はいつからドジッ子にジョブチェンジ?!
「大丈夫?!」
「すみませんほんとすみません」
支えに来てくれたジュードくんに捕まりながら、ベッドにリターン。
医療ジンテクスを付けて立ち上がり、私はこれまでにないくらいの速さでジュードくんに頭を下げた。
「ジュードくんごめんなさいぃぃぃぃぃ!!もう一人で行かないので嫌わないでぇぇぇぇぇ!!」
「…本当に、一人で行かない?」
「行かない行かない!!ジュードくんに誓って絶対に一人で行きません!!」
ふぅ、とジュードくんのため息が頭上から聞こえた。
ドキドキ…ドキドキ…
「わかった。信じるからね」
「じゅ、ジュードくんんんんんッ!!大好き愛してる結婚しようぅぅぅぅ!!」
ガバァッと抱き着いたら、「もう」と可愛らしいため息が返ってきたので嬉しくてスリスリしてたらレイアに引きはがされてしまった。
「仲直り終わり!ミラを探しにいこ!」
「うん、そうだね」
「ローエンんんんん!ローエンもごめんねぇぇぇぇぇ!!」
「ほっほ、構いませんよ。ですが次は精霊術唱えてしまうかもしれませんよ?」
「マジでか」
「マジです」
なんて言いながらローエンにも許してもらい、私達はミラを探すために宿屋を出ることにした。
うわぁぁんジュードくんに嫌われなくてよかったぁぁぁ!!
「あ、イスラさん!」
「あら、おはよう」
宿屋を出てすぐに見知った顔を見つけ、レイアが駆け寄っていく。
着いていけば、いたのはイスラだ。
「昨日は大変だったわね。でも、あなたたちは運がいいわ」
「は、はあ…でも、たくさんの人が亡くなったから…」
「そ、そうよね。失言だったわ…ごめんなさい」
イスラが申し訳なさそうに謝るが、エリーはティポを抱えながらミラのことを尋ねた。
「あ、あの…ミラ、見ていませんか?」
「あら、あなたときちんとお話するのは初めてね。ミラさん、一緒じゃないの?」
エリーの視線に合わせるように身体を屈め、優しく微笑むイスラだったが、ふと表情を曇らせる。
「…あなた、前にどこかで…」
「…?」
「イスラさん、ひょっとしてエリーゼさんをご存じなのですか?」
「エリーゼ…?!」
ハッとイスラが後退り、驚愕する。
名前を聞いて思い出したのだ。
自分が研究所に連れてきた幼い子供のことを。
「い、いえ、違うのよ。その…私、ちょっと用事があるから、これで失礼するわね」
逃げ出すように人混みの中に走っていくイスラに、みんなが首を傾げた。
「イスラさん、どうしたんだろう?」
「とにかく今はゆっくりしてる場合じゃないよ!ミラ探さなきゃ。アルクノアに不意でもつかれてたら大変だからね」
「そこはレイアじゃないんだから大丈夫だよー!ミラ君は足ひっぱらないもんねー」
「な、何言うのよティポー!」
ぐさぁ
ティポの攻撃『足手まとい』!
優姫に9999のダメージ!
もうやめて!優姫のライフポイントはゼロよ!
「もう、レイアもティポも。遊んでないでミラを早く捜そう…ってユウキが灰になりかけてる?!」
「わぁエリーゼ、リカバーリカバー!!」
「ユウキっしっかりしてください…っ」
「ほっほっほ、皆さん仲良しで何よりです」
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