chapter 02
DREAM
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「ここがシャン・ドゥ?」
「ほ、ぁ…」
「ってユウキ口開いてるよ…」
15.ホームシック?
(だって世界遺産みたいな場所なんだもん!建物やべー!また走り回りたい!)
「ア・ジュールは古くから部族間の戦乱が絶えなかったため、このような場所に街を作ったそうです」
どうやったらこんな街作れるんだ?!
シャン・ドゥやばい!これカン・バルグとか行ったら私興奮で心臓止まらないか?!
「人が生き生きしているな。祭でもあるのか」
「祭!うぉー興奮してきた!」
「ユウキ落ち着いてってば…」
ミラの言葉に更なる興奮をしていたらジュードくんに宥められる。
落ち着けるかぁぁぁ!
「見て、こっちもおもしろい像がある」
「偉大な先祖への崇拝と、精霊信仰が同一になったといわれる像だ」
「へ~」
「その調子その調子」
レイアに説明しながらアルヴィンが得意のドヤ顔だ。
「こっち見ないで、ほら見上げとけよ。たまに崖から落石があるぞ」
「え?!お、脅かさないでよっ!」
「レイア、アルヴィンの言う通り上はちゃんと見といてね」
「ユウキまで~っ」
故意に落石が起こる場所だ。
アルクノアは既に潜伏していて、マクスウェルであるミラと、ブースターを所持しているエリーが狙われる。
(よし、しっかりみんなを守るぞ!)
「アルヴィン、やけに詳しそうな口ぶりだな」
完全に疑っているようでミラがそう聞くも、アルヴィンはひらりとかわす。
「前に仕事で、だよ」
「女といちゃつくのは仕事とは言わないと思いまあだだだだだ」
「自然と寄ってくるんだ、よ!」
「ぎゃあまさかの関節技あだだだだだ!」
ぐぐぐ、と兄貴以来の関節技を受け微妙に懐かしく思ったが、やはり痛いものは痛い。
ちくしょう最近アルヴィンがツッコミとともに暴力を振るうようになってきた!
「あれ、ぼく、ここ知ってるよー。ねぇエリー?」
「うん…え、と…ハ・ミルに連れてかれる時に来たんだと思います…」
その間に、エリーとティポは辺りをキョロキョロと見渡していた。
そういえば、ここの近くに施設があったんだっけ?
「以前、この辺りにいたのですか?」
「わ、わかりません」
うぅん…この辺はイロイロあったからなぁ…。
アルヴィンのこともエリーのことも…。
「ってあだ!」
「え、ちょっとアルヴィン君、どこいくの?」
「ちょっと用事があってな。んじゃ、そゆことで」
「もー!協調性ないなぁ」
ていうかあんにゃろ、私地面に捨てていきやがりましたよ。
アルヴィンのバホー!絶対背中蹴ってやる!
「どう…しよっか、ミラ」
「放っておいても、あいつは帰ってくる。とにかくワイバーンを見つけよう。ユウキ、大丈夫か」
「おぅ!でもアルヴィンまじゆるさ……レイアッ!!エリーッ!!」
え、と二人が私の声に振り返るが、ダメだあれでは気付かない。
だが私の叫んだ意味に気付いたローエンはレイアを、ミラはエリーを、ジュードくんと私は近くで遊んでいた子供を抱えてその場から飛びのいた。
ドゴォッ!!
落石だ。
あんなのがぶつかったら一たまりもない。
とりあえず助かった。
助けた女の子に怪我はないか確認をしなければ。
「大丈夫?怪我してない?」
「はい…お姉ちゃんありがとう!」
「どういたしまして」
助けられたことが嬉しくて、えへへと笑う。
ジュードくんも子供に怪我がないか確認できたようなので、一緒にレイア達のとこへ駆け寄った。
「レイアさん、しっかりしてください!」
「はは…ごめん…」
落石の破片が当たったようで、レイアとローエンは怪我をしていた。
ジュードくんは先にレイアの治療を始めるが、レイアもローエンの怪我に気付き、申し訳ない顔になる。
「ローエン、ケガしてる。ごめんね…」
「なに、これしきへっちゃらですとも。それよりご自分の心配をなさい」
ローエンが平気だと笑い飛ばせば、少しだけレイアも笑う。
うう…私がもっと早く言ってたらこんなことには。
「ユウキ」
「うん…?レイアどしたの?!ケガ痛い?!ごめんね…私治癒術とか使えないから癒せない…」
「違うってば。教えてくれてありがと。ユウキが気付いてくれなかったら、みんなもっと大怪我してたかもしれない」
「…そんなこと、ないよ」
私がいなくても、変わらなかった。
たとえばさっきアルヴィンに着いて行ったとしても、何一つ変わらなかったに違いない。
…ってネガティブか私!ネガティブ禁止!
「医者よ!手伝うわ!」
砕けた岩をかい潜って、若い女性が私達の元へ駆け寄ってきた。
彼女も治癒術が使えるようで、ジュードくんと一緒に癒してくれる。
「ゆっくり立って…」
「あ、ありがとう…えっと」
「イスラよ。気にしないで」
(イスラ…この人が、エリーを施設に入れて、アルヴィンのお母さんを…)
思わず拳に力が入るが、今はそんなそぶりをするわけにはいかない。
冷静に…冷静に…。
「レイア、まだ座ってた方がいいよ」
「うん…だいじょぶ。ありがとね、ジュード」
「アルヴィン君めー!こんな時にかぎっていないんだよなー!アルヴィン君なら、レイアを助けられたのにー!」
イスラが喋り出したぬいぐるみに驚く。
もしかして、研究の結果とかは知らなかったんだろうか?
とは言え、ティポの言う通りだ!
「年寄りだと思って失礼な!この、この!」
「ひ、引っ張らないで~…っ」
ローエンがティポを引っ張りまくるとエリーはあわあわと止めようとする。
それを見て、レイアはようやくいつもみたいに笑ってくれた。
ジュードくんは呆れているけど、そんなとこも可愛いですハァハァ。
「返して…っ」
笑いながらもローエンがティポを放すと、エリーはギュウッと胸に抱きしめる。
ううん、エリー可愛い!
「でもティポの言う通りだよ!あの傭兵帰ってきたら制裁を加えなきゃな!ティポ、手を組むぞ!」
「もちのろんだよー!」
「あれ、ティポそれ私の真似?」
「似てた似てたー?これでユウキみたいに強くなれるかもってエリーがもがが」
「ティポっ言っちゃダメですっ」
顔真っ赤にしちゃってエリー可愛いぃぃぃぃ!!
とティポごとエリーをぎゅうぎゅう抱きしめたら、またジュードくんの呆れたようなため息が聞こえた。
「イスラさん、本当にありがとうございました」
「イスラさんっていい人ね」
改めてジュードくんがお礼を言い、レイアが笑うと、イスラは首を振る。
「いいのよ。気にしないで。ところであなたたち、ここの人間じゃなさそうだけど、街には何をしに?」
この台詞。
嘘なんだよね…私達に近付くための。
(でも、こんな最初の会話よく覚えてたなジュードくん…やっぱりジュードくんハイスペック医学生)
「ワイバーンを求めて来た。この街なら手に入るかと思ってな」
「ワイバーン…それなら、川の向こうに檻があって、おっきなのがいるわよ。行ってみてはどう?」
「本当ですか!ありがとうございます、イスラさん!」
「ふふ、お役に立てたようね。それじゃ、私はこれで失礼するわね」
そう言って彼女は街に戻っていく。
レイアは尊敬の眼差しを向けているが、彼女について知ってしまった私としては複雑だ。
とくにアルヴィンのサブイベントでのイスラは…。
「石像か…」
みんなが目的地が決まり歩き出した中、ミラが石像を見上げて立ち止まっていた。
「ミラ?」
「…人間は寿命が短い。それゆえ、己の姿を石像として残そうとするのだろうか…」
「うーん。そういう人もいるかもだけど、他の人がその人を残しておきたいと思って作ったりするのかもよ?」
「残しておきたい?」
石像には全く詳しくないのだけど、なんとなく思っただけだ。
いつか死ぬ人間なら、何かを残しておきたいと思うんじゃないかと。
「そうか…そうだな」
「あっもちろん私の勝手な妄想だから無視してね?!」
「いや、何となくわかる気がする。ユウキが死んだら私の社に石像を建てるとしよう」
「やめてぇぇぇぇ羞恥で死ぬぅぅぅぅいやその時は死んでるけど!!」
ミラがクスクス笑い、私がジタバタしていたらジュードくん達に呼ばれて慌てて追いかけた。
マジ石像は勘弁してよミラ様!!
「へへへい、へへへい♪」
シャン・ドゥ中央区、昇降機に乗りワイバーンの檻の前に来ると、興奮したティポが檻に近づいた。
挑発していたら、途端に吠えたワイバーン。
「ぎゃあ!ジュード君ーっ!」
「えっもがっ」
「ジュードくんがティポられたぁぁぁ!今なら触り放題」
「はわわわわっ!ユウキどこしゃわって…っ」
ティポを引きはがそうとするジュードくんの腰をサワサワしたら、ティポ越しに慌てる声が聞こえる。
ぐへへたまらん!アルヴィンという邪魔者もいないことだしやりたい放題だぜ!
「こらユウキっ」
「ぎにゃ!」
「ぷはっ!あ、ありがとうレイア…」
まさかのレイア!
レイアに首根っこを首掴まれるとは思わなかった!
「君達、何をしているんだ?そのワイバーンは我が部族のものだぞ」
そうこうしてたら、人が来てしまった。
まぁもちろん強奪する気は、な―――
「このワイバーンを手に入れたい。どうやって檻を破壊しようか考えている」
…いことはない人がいました。
ミラが当然というようにはっきり強奪発言すると相手に怪しむ眼差しを貰うが、ジュードくんは気を取り直して交渉することにした。
「あの…ワイバーンを貸してもらうことってできませんか?」
「いきなり何を言い出すんだ、こいつ」
「こんなことしてる場合じゃない。早く代表者を見つけないと」
男女が急かすようにリーダーらしき人物に訴えている中、ミラはワイバーンを見つめて微笑む。
すると、ワイバーンは服従するように身体をぺたりと床へ平伏せた。
か、可愛いなぁ!こう見るとワイバーンも愛らしいじゃないか!
ミラ様にしか無理だけど!
「見たかっ?獣隷術も使わずにワイバーンを服従させたぞ!」
「この人達なら、ひょっとして…」
「え、まさかこの人達を?本気なの?!」
リーダーらしき人物は頷き、ジュードくんの方を向き直る。
「私はキタル族のユルゲンス。街が賑わっているのには気付いたか?」
こちらが頷いたのを確認すると、ユルゲンスは話を続けた。
「実は十年に一度、部族間で行われる闘技大会が明日開催される。だが我がキタル族は唯一の武闘派である族長が王に仕えているため参加できないのだ」
族長って…ジャオだったっけ?
「伝統ある我が部族が、このままでは戦わずして負けてしまう。だが君には何か特別な力を感じる。どうだ、我々の一員として大会に参加してみないか?」
「はいはい!参加します!」
「はいはーい!同じく参加希望!」
「レイア…ユウキ…」
いち早く手を挙げた私達にジュードくんは呆れてしまった。
参加したいよね!とレイアと愚痴ってたら、ミラは「ふむ」と腕を組んだ。
「参加すれば、この者たちを貸してもらえるのか?」
「そのつもりだ。ただし、優勝が条件だ。それに事前に君達の力を見せてもらう」
「ミラ、いいよね!」
「うむ、ワイバーンを手に入れるためだ」
「やったー!レイア闘技大会だよ!勝負だよ!」
「燃えてくるねー!」
ワイワイとミラを囲んでレイアを喜ぶ。
闘技大会きましたよーっ!戦うの大好きウヒャホー!
「でも、部族の大会に僕達が出ても大丈夫なんですか?」
「問題ない。優秀な戦士を連れて来ることは、部族の地位を高める行為として過去にもあったことだ」
「ははっ、またずいぶんとテキトーだねえ」
出たよテキトーな人間アルヴィン。
ほんとこいつはウロウロしやがって!
あ、でももしかしたらお母さんのとこ行ってたのかな?
アルヴィンはユルゲンス達の後ろからひょっこり現れひらひら手を振って出てきた。
「少し目離しただけで、面白そーなのに首突っ込んじゃって。俺はまぜてくれないのかぁ?」
「ティポ!目標確認!行け!」
「アルヴィン君のバホー!こっちは恐怖体験したんだぞー!」
「もがっ」
私の指示でティポが素早くアルヴィンの頭にかぶりつく。
ティポを取ろうと必死にもがくアルヴィンの足をげしげし蹴ってやれば、ティポ越しにアルヴィンが怒ってくるがやめてやらない。
「てめぇユウキ!毛根死滅させっぞ!」
「うるさいわアホヴィン!ティポ!アホヴィンのやる気吸っちゃえ!何味か教えてね!」
「りょーかーい!」
「うわっやめろ綿引っこ抜くぞ!ユウキも執拗に足を踏むんじゃねぇ!」
「ふはははは!今度から私に平伏すといいわアルヴィンくん!!」
「…仲間かね?」
「はい…もう、ユウキとアルヴィンはいっつもああなんだからっ」
私とティポがアルヴィンを虐めていた間にジュードくんがちょっとムスッとしてたのはミラ達しか知らなかったのだった。
――――――…
「ぬぅん…」
「たく…こいつらの相手は疲れるっての」
ユルゲンスに言われ、空中闘技場に向かう私達。
あのあとティポを引きはがしたアルヴィンに頭をわしづかみされた私は今脇に抱えられて移動している。
そんなアルヴィンは離れても見えるワイバーンの檻を見てやれやれと肩を竦めた。
「しっかし、好き好んで魔物を飼うなんて、やっぱア・ジュールは変わってるよな」
「飼うなら、やっぱりカワイイのがいいよね。イヌとか」
イヌを飼うジュードくん…。
え、やだ可愛すぎる。
「おや、ジュードさんはイヌ派ですか。私もですよ」
「私も断然イヌ派ー!追いかけっことかできるし」
「おいおい、イヌよりネコだろー。イヌ派とか軟弱すぎ」
ネコを飼うアルヴィン…つまりネコなジュードくんを飼うアルヴィン?!
やだなにそれアルジュ萌える。
「今はネコ派のほうが軟弱でしょう。自らもネコミミや尻尾を装着したり、語尾に『にゃん』をつけてしゃべったり…」
「それどこの文化?真のネコ派はネコの気まぐれさにしびれるんだよ。お姫様もネコがいいよなー?」
「わたしは…ピンクのブウサギが飼いたいです」
「ティポ派じゃないのー?!」
「甘い、甘すぎるよみんな!!イヌ?ネコ?ブウサギ?違うでしょーよ!」
脇に抱えられたまま私が声を張ると、全員がキョトンとする。
みんなわかってない。
飼うなら、飼うなら!
「ケモミミ&尻尾を付けたジュードくんだろぉぉぉぉぉ!!!」
「なんでそうなるのっ?!」
「ミラ!ミラも想像してみてよ!例えばイヌミミ&尻尾をつけたジュードくんがご主人に気付き駆け寄る姿を!」
「私に駆け寄るイヌミミ&尻尾なジュード…」
「想像しなくていいよミラ!!」
ミラだけでなく、全員足を止めて想像してみた結果。
「確実に飼いたいな」
「俺毎日撫でるわ」
「カワイイ…です」
「ジュードさんなら賢いでしょうしねぇ」
「ジュード、ペット似合いすぎ!」
満場一致でジュードくんは飼いたいペットになりました。
「~っ、ユウキのバカっ!」
「あたたた私今動けないあたたた」
照れてしまったジュードくんにポカポカ叩かれてしまったが、少し幸せだった…。
ジュードくんはやっぱり天使だ…。
「わー!立派な舞台だね~」
「あんまりはしゃがないでよ、レイア」
渡し舟で移動し空中闘技場に着き、入口で待ってくれてたユルゲンスに案内され中に入ると、なんとまぁ大きな舞台に到着した。
けど、ゲームの時も思ったけど…観客席と舞台の間の空間が怖い。怖すぎる。
落ちたら死ぬだろコレェー!!
「ひぃぃ…マジ死ぬ落ちたら死ぬぅー!ローエン絶対離さないでね!マジで!!」
「ほっほっほ。落としませんから安心してください」
「すげぇなじいさん。俺なら真っ先に落とすぜ」
「アルヴィンまじ覚えてろ!」
ローエンにしがみつき、ひぃぃと震えながらアルヴィンを睨みつけてやる。
高いの苦手じゃないけど慣れるまで無理だぁぁぁ!!
そんな私達を見て苦笑しながらもジュードくんはレイアを気遣う。
「それより、ケガは大丈夫?」
「え、うん…。もう平気だよ!こんな状況になったら治らざるをえないでしょ」
「レイア、無理はしちゃダメだからな~!」
「ユウキこそ、足痛かったら言ってよね!」
足は常に痛いですとは言わないでおこう。
私は頷いて、ゆっくりローエンから離れる。
よ、よし、なんとか慣れてきたぞ!
「そろそろ始めようと思うが、いいか?」
というわけで、力試し開始だ!
「いざとなったら出ていこうと思っていたが、必要なかったな」
出てきた魔物を倒し終わると、ユルゲンス達が客席から降りてきて驚いた様子で私達に声をかけてきた。
てか、ラコルムの主の方が強かったかもしれない。
「あったり前だよー!えっへん!」
「すまなかった。君を見くびっていたようだ」
「ぼくだけー?!」
「ははは。誰が見たってそうだよな」
ティポがユルゲンスに接近すると、アルヴィンは馬鹿にしたような笑みを浮かべてティポをからかう。
「むー…私の友達、バカにしないでください」
「ごめんごめん」
「ついでに私もバカにしないでください」
「さりげなく割り込んできてもおたくには謝らねーから安心しろ」
きぃぃぃ!!この流れなら謝ってもらえると思ったのに、このやろエリーにだけ謝りおった!
「だが、それだけ厳しい戦いなんだ。かつては部族間の優劣を決めるために、相手を殺すまで戦っていた大会だ」
「えーっ?!相手を殺すって…!」
「今は大丈夫。現ア・ジュール王がその制度を禁止にしたからね」
「ア・ジュール王いい人ー!」
そうそう、ガイアスはいい人なのだ。
ちょっと過剰な民想いなだけで。
「それじゃ、本戦は明日だ。宿を用意したから、ゆっくり休んでくれ」
やったぁ久々の宿だ!
ユルゲンスに感謝して、私達は宿屋へと向かうのだった。
――――――…
「よく休めたようだな」
翌朝、身支度を終えみんなで階段を降りてたらロビーにユルゲンスの姿を見つけた。
「さっそく今日の予定だが、参加数の関係で本戦は今日一日ですべて行うことになりそうだ」
「今日だけですか。ずいぶんハードなんですね」
「何戦あるかは、今日発表の組み合わせ次第だ。鐘が鳴ったら闘技場まで来てくれ。それが大会開始の合図だ」
てわけで、鐘が鳴るまで自由行動だ。
「さて、時間ができたみたいだけど、どーするよ?」
「観光!観光を所望する!」
「はいはい。ミラ様どうする?」
「私は広場を見てくる。少し気になるのでな」
「観光!観光!」
「あ、じゃあ私ミラについてく!じっとしてても緊張するだけだし」
「観光!」
「ん~、じゃ、俺も行くか」
「観光…」
ショボンとしながらも観光を所望し続けると、ジュードくんがクスクス笑いながら私の隣に立った。
エリーとティポも反対側に立って私の袖を引っ張る。
「ユウキ、観光しよっか」
「ぼく達もー!」
「です!」
「て、天使ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!ジュエリ天使ぃぃぃぃ!!!」
「わ、わわわっ」
ぶわわっと号泣しながらジュードくんに抱き着いたら、エリーも抱き着いてきて天使サンドが完成した。
うわぁぁん幸せぇぇぇ!!しかもジュードくん照れちゃって顔真っ赤で可愛いぃぃぃぃ!!
「では私もユウキさん達と行きましょう」
「ローエンもありがとぉぉぉぉぉ!!さぁ行こうシャン・ドゥ観光へ!!」
「レッツゴー!」
ティポを肩に、エリーと手を繋いで宿を飛び出せば、後ろからジュードくんとローエンも苦笑しながらついてきてくれた。
「エリーゼ、何か思い出した?」
イロイロ回った後、シャン・ドゥの両側を繋ぐ大きな橋の上でジュードくんはエリーに尋ねるも、エリーもティポも覚えてないという。
「そういえば、ティポはいつからエリーゼと一緒にいるの?」
「忘れちゃったー。でも、エリーとは研究所から一緒だよー」
「え、研究所…?」
ジュードくんもローエンも驚いている。
そりゃそうだ。幼い頃に研究所にいたなんて、良い意味には捉えられない。
「ティポは…研究所の人が連れてきてくれたんです」
「ローエン、研究所って…」
「うーむ…」
何か心当たりがないか、いつになく険しい表情でローエンが髭を触りながら考える。
その姿にティポが反応した。
「ローエン君は、そうやってよくヒゲをさわってるよねー?」
「こうしていると落ち着いて、考えがまとまるもので。どうですかティポさん?三人も」
「えっと…僕は…」
「ほら、遠慮せずに。ジジイのヒゲは嫌いですか?」
ジュードくんが慌てている。
そして顔をこちらへ出してきてウェルカムモードのジジイことローエン。
なにこれロージュと表記したらいいのか?
さりげなく萌えるぞ…!
とか考えながら、三人でローエンのヒゲを触ってみた。
さわさわ…
意外と…サラサラ…
「……」
「エリーゼ、どうしたの?ヒゲが気持ち悪かった?」
「!!おかしいですね。手入れは怠ってはいませんが…」
「…うぅ…うぅっ…」
「あわわわエリー泣かないでエリーっ!!」
「え、え?どうしたのエリーゼっ??」
泣き出してしまったエリーの頭を撫でたら、ギュウッとしがみついてきた。
「…お父さん…」
「お父さん?エリーゼのお父さんにもヒゲがあったの?」
「うっ…ひっく…お父さんお母さんに、会いたい…ひっく、ひっく…」
(お父さん、お母さんかぁ…)
私も会いたいな。お父さんとお母さん。
それに、今頃何してんのやらな兄貴。
突然私がいなくなってどうしてるかな。
必死に探してるんだろうか。
「エリーゼさん、ご家族がどこにいるか思い出したのですか?」
「…」
エリーはふるふると力無く首を横に振る。
「この街ならエリーゼさんを知っている人がいるかもしれません。ミラさん達とお別れして、しばらく探してみますか?」
「っ、み、みんなと一緒がいい。と、友達だもんっ」
「ぼくもエリーの友達だから一緒だよー」
「ティポ、ありがと」
(私の友達は、また優姫ってばとか笑ってたりするかな…)
なんだろ、エリーにあてられて感傷的になってる。
私らしくないってば。ネガティブ禁止禁止!
「じゃあ鐘も鳴ったし、闘技場行こっか。歩ける、エリーゼ?」
「はい…がんばります」
ジュードくんに顔を覗き込まれ、エリーは涙を拭いて頷いた。
私より年下のエリーも頑張ってるんだ。
私も頑張らなきゃ。
「私もずっと友達だからね、エリー!」
「!はい…!」
「大会で友達パワー見せつけちゃおうぜ!もちろんジュードくんは愛らしさと色気で優勝間違いなしだけどね!」
「それ僕だけ違う大会に参加してない?!ていうかそんなのないから優勝もしないしっ」
「ではジジイが愛らしさと色気で出場しましょうか」
「ローエン?!」
「ふふっ」
エリーが笑ったのを見て、ローエンとジュードくんと顔を合わせて「行こう」と頷き、闘技場へと向かうことにした。
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