chapter 02
DREAM
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「この船ってラコルム海停行きだよな?イル・ファンに行くんじゃないの?」
「乗ってから聞く?ホント、アルヴィンってそういうのこだわらないね」
おいぃぃぃジュードくんが何かアルヴィンにデレてるぞ可愛すぎるぅぅぅ!!
14.三度目の巫子襲来
「俺が来たのはエリーゼ姫とユウキのためだからな。どこ行くにも問題ねーんだよ」
「いやーんうれしー!アルヴィン君は友達だねー♪」
「お前じゃねーよ」
ガクリとティポは肩を落とす。可愛い。
何やらアルヴィンはエリーの護衛をするという名目で私達についてきたらしい。
たしかに、船に乗ってからだがみんながエリーをどうするか話していた。結局アルヴィンに任すことにして正式に同行することになったのだけど。
(なんで私もなんだろ?アルクノアは私も狙い出した?エリーはティポのブースター狙いだけど、私はなんでだ?)
「ローエン、何故ア・ジュールに向かうのか、理由を聞かせてもらえるか?」
「はい。端的に言うと、今のガンダラ要塞を突破するのは不可能だと思われるからです」
ローエンは私をちらりと見た。
いかんいかん、つい考え込んでしまった。
気持ちを切り替えるため、ローエンの話をちゃんと聞くことにした。
「以前、ユウキさんが負傷され脱出を試みた時、ゴーレムの起動を確認しました」
「ゴーレム?」
「ち、ち、地の精霊をつかった人間の兵器……なんですよ」
エリー可愛い賢い!!
私が思わずエリーをぎゅうっと抱きしめると隣にいたアルヴィンに呆れた顔をされた。
ローエンは「そうです」と頷いた。
「アレと戦うには、師団規模の戦力と戦術が必要になります」
「けど海路も無理なのに、ア・ジュールへってことは…」
「ア・ジュール側の陸路を経由して、イル・ファンへ向かうということか?」
「ほう、そりゃまた。でもよ、ファイザバード沼野はどうすんのよ?」
あれ?私話しについていけてない?
…いいですよ。どうせ字も読めないし書けないし、地理もわかんないし。
勉強する暇もないし!
「イル・ファンの北にある広大な沼地でね。ガンダラ要塞と対をなす、ラ・シュガル最大の自然要害っていわれてるんだ」
エリーを抱きしめながら拗ねていたら、私達女性陣に向けてジュードくんが説明してくれた。
ジュード先生…!大好き…!
「あそこ、霊勢がめちゃくちゃで通り抜けられないって話じゃなかったっけ」
「いえ、変節風が吹きましたので、現在は地霊小節に入りました。つまり…霊勢が火場から地場になったこの時期であれば、ファイザバード沼野も落ち着いているはずです」
ぷらん、いふりた、らのーむ?
ちょ、待って、私ジュード編一回クリアしただけだから全くわからん。
何となく季節的な感じはするけど…。
「全然わかりません…」
「安心しろ。私もわからん」
「はいはーい!私もさっぱりっス!」
女性陣三人してクエスチョンマークを飛ばしまくれば、ジュードくんが苦笑しながらも説明をしようとしたがアルヴィンに邪魔をされた。
「とりあえず問題なさそうってことでいいんじゃねーの?」
「はい。いいってことです。時間もあまり残されていないようなので」
「何がー?なんでー?」
ティポが私達の気持ちを代弁してくれた。
「みなさんがカラハ・シャールを去った後もガンダラ要塞のゴーレムは起動したままとの情報を得ました。これは、ラ・シュガルが開戦準備を始めた証と捉えてよいでしょう」
「開戦って、ア・ジュールと?!」
「戦争…ですか?怖い…」
ファイザバード沼野か…。
クルスニクの槍を使われたら、たくさんの人がマナを吸われてしまう。
ジランドめ…!もう殺意が沸いて来るよ!
てかこの足の恨みを思い知らせてやる!
「う、うわぁぁぁ!」
神妙な空気の中、船員の悲鳴があがりジュードくんとアルヴィンが向かっていく。
あ、あー…そういやここでした。
「…優等生、何これ?」
「はは…僕の幼なじみ…」
樽の中にいた幼なじみはジュードくんの呆れ顔も知らず、気持ち良さそうに眠っていた。
「あはは…待ちくたびれてつい寝ちゃった」
樽の中に忍び込み、私達についてきたのはもちろんレイアだった。
えへへと頭をかく幼なじみにジュードくんはもう怒ってしまっている。
「すぐに帰りなよ!」
「やだよ!わたしだって一緒に行くんだから」
「遊びじゃないんだって!」
「知ってる!ね?………誰?」
隣にいた人に同意を促すも、いたのは初対面であるアルヴィン。
レイアが首を傾げるとティポが「アルヴィン君だよー」と教えた。
「よろしく、嬢ちゃん」
「わたしレイア。こちらこそよろしくね、アルヴィン君!」
「君って…」
「おおおアルヴィンが微妙にショックを受けてる!!私も今度からアルヴィン君って呼ぼうかなあだだだだだ」
またアルヴィンに頭をわしづかみにされ悶えるが、レイアはミラにも同意を求めに行く。
なぜみんな私をスルーなのだ。
「いいでしょミラ!わたしも一緒に」
「そうだな…理由を聞かせてくれ」
「ミラ?!」
「鉱山で思ったの。わたしもミラみたいに強くなりたいって」
「それだけか?」
「そう来ると思った。ちょっと待ってね…」
レイアはポケットから紙切れを出すとミラに渡す。
みんなは首を傾げている。ちなみに私は未だに頭を掴まれているので動けない。
ちくしょうアルヴィンまじ覚えてろ。
「細かいことはそれに書いてきたから、見て」
「僕達と一緒に行く理由を?」
「うん、100個くらいある」
「ふふ、わかった、私は人間らしくて気に入ったよ」
紙切れを読んだミラは笑いながら同行を許可した。
うわぁん何が書いてあったの?!私にも見せてぇぇ!!
「じゃあ…!」
「だが、肝心のユウキにも許可を得たらどうだ?」
「肝心?私?」
「うん…そうだよね。ユウキに許可貰うべきだよね!」
「何のこと?!私はレイア大歓迎ウェルカムどんとこいですよ?!」
アルヴィンの手から逃れ、意気込んで来たレイアにそう訴えたら呆気に取られた表情をされてしまった。
「いいの?理由も聞かないで」
「もちのろんよ!てかレイアも一緒だと心強いよ~!よろしくレイア!」
「ユウキってば…もう!」
「ほぎゃ?!どしたのレイア?!」
レイアに抱きしめられてしまいました。
え、どうしてこうなった?!
いや嬉しいけど!幸せですけど!
そんな私達をミラはまたクスクス笑いながら見ていた。
「なあ、ここってニ・アケリアの近くじゃねーの?寄ってかなくていいのか?」
出ました胡散臭い傭兵さん。
アルヴィンがそんな提案をするも、ミラは鋭い眼差しをアルヴィンに向ける。
「今、村に用はない。何か行きたい理由でもあるのか?」
「いーや。みんなおたくを心配して、帰りを待ちわびてるかと思ってさ」
「村を気にかけてくれるのはありがたいが、今は急ぎたい」
ふぅん、とアルヴィンはさして興味もなさそうな態度。
…もしかして、この間治療院でディラックさんからイバルの名前でも聞いたのかな?
意識が飛んだから後の会話は聞けれなかったけど。
地図を広げながらローエンは次の行き先を決める。
「では、ラコルム街道を北へ進むとシャン・ドゥという街があります。まずはそこを目指しましょう」
「待った。その街道ってラコルムの主ってやばい魔物が出没するんじゃなかったか?」
「おや、よくご存じで。ですがご安心を。ラコルムの主も霊勢の影響をうける魔物。地場に入ったこの時期は活動を弱めていて、街道まで出てくることはないでしょう」
ローエンが説明すると、ティポがアルヴィンをじと目で見る。
「だってさー!アルヴィン君ビビる必要ないよー!」
「別にビビってないって」
「大丈夫ビビったっていいのよ…夜泣きべそかいたらジュードくんが身体で癒して」
「くれんの?」
「しないよっ!!ユウキったら!!」
ほわぁぁぁほっぺ膨らまして怒るジュードくん可愛いぃぃぃ!!
「ま、みんながいるんだからそんな魔物くらい楽勝だってば!むしろ私はバトル大歓迎だよ!」
「ユウキ…足を怪我してるんだから、無理はダメですっ」
「もが!」
ウヒャホーと街道に飛び出そうとしたらエリーが私を掴み、足を止めたところにティポが頭にかぶりついた。
初めてティポられた!新感覚!
そのまま走り出したら今度は頭を掴まれた。
これは絶対アルヴィンだな!見えないけどわかるからな!あっちょっため息やめて!
さて、ラコルム街道を突っ走る最中、前を歩く男性陣が何やら神妙な顔をして話し込んでいる。
「なあ、正直ユウキの具合はどうなんだ?」
「いくら医療ジンテクスというものが優れた医療機器だとしても、短期間であの大怪我を完全に治せるとは思えません」
「…最初は、医療ジンテクスをつけてるだけで気絶するほどの激痛が続いたんだ。今は少し慣れたから、無理をしなければそれほどの痛みはないはずだけど…」
何の話だろ。
ここからじゃ聞こえないぃぃぃ!
「戦いってのは無理じゃないのか?」
「…」
「悪い。おたくを責める気はないんだ。痛みなんかで、あのバカが止まるはずないもんな」
「状況はわかりました。私達もできる限りユウキさんをフォローします」
「ま、俺がいればなんとかなるだろ」
「うん、二人ともありがとう」
おおおジュードくんが可愛い顔してお礼言った?!
何の話?!よくわからんがジュードくん可愛いでもアルヴィンには何かバカにされた気がする?!
ジュードくんの隣を歩くアルヴィンにとりあえず飛び込もうとしたのだけど、手前の岩に躓き盛大に転んでしまった。
「ほぐぁっ!」
「!ユウキ?!大丈夫?!」
「おいおい…おたく何はしゃいでんの」
「ぐあ!盛大に転んだ挙げ句アルヴィンに生暖かい目で見られたとか優姫一生の恥!!うわぁんジュードくん慰めてぇぇ!!」
「わっわわっ」
駆け寄ってくれたジュードくんに抱き着いたら、あわあわと困惑するジュードくん。
どうしようこの子反応がマジ天使!!
バサバサッ
「あ、鳥だ」
「アルヴィンの鳥だね」
鳥の羽の音がして、ジュードくんと空を見上げると、やはりアルヴィンが手紙のやり取りをしている鳥だ。
「悪いな。すぐ終わるからちょっと休んでてくれよ」
そう言ってアルヴィンが手紙のやり取りをする間、一時休憩となった。
アルヴィン胡散臭い…胡散臭すぎて手紙破ってやりたくなるよ…。
「ねぇ、ミラ、ユウキ」
岩陰に行ったアルヴィンを怪しげに睨んでいたら、ジュードくんが私達のところへやって来た。
「なになに?」
「前にミラがイバルに預けたものって、もしかして研究所からユウキが取ったもの?」
「ああ。あれは…クルスニクの槍を動かすための黒匣だ」
「あれが?!そんなの、ミラが持ってなくてよかったの?」
「むしろあの黒匣を持ったままクルスニクの槍に近づく方が危険だ」
その通りである。
しかし、四大精霊を救うにはあの黒匣が必要になるのだ。
ミラもそれがわかっているらしく、腕を組み難しい顔をする。
「しかし、四大を捕らえた捕縛魔法陣、あれを展開したのはあの黒匣だろう。あいつらを救うには、同じ強度をもつ解放魔法陣を展開させなくてはならない」
「それって、四大精霊を助けるにはあの黒匣が必要ってこと?」
「ああ、クルスニクの槍を破壊するには四大の力も必要になるかもしれん。どのタイミングから『カギ』を受け取るかが、問題になるだろう」
ジュードくんはいつもの集中モードに入ると、疑問が出たようで顔をあげた。
「ねぇ、黒匣は術を使うものなの?クルスニクの槍を動かすものじゃないの?」
「ふむ、そうだな…例えばイル・ファンにある街路灯。人間はあれを精霊術で灯している。この程度であれば誰にでもできる」
すみませんできません。
「だが、もっと強力な精霊術が必要になったらどうする?」
「僕達が精霊術を使うには、もって生まれた霊力野の素質に左右されるから…どれだけ霊力野からマナを出せるかで決まっちゃうね。人を選ぶかな」
「そう。それがリーゼ・マクシアの理のひとつ。だが黒匣の術は人を選ばない。クルスニクの槍のような巨大な物を動かすのにも、黒匣があれば済んでしまう」
あ、そうか。
あんなでかいものどうやって運んでたかわかんなかったけど、黒匣を使ったのか。
てことは、やっぱりジランドを止めないといけないわけだ。
「街路灯もクルスニクの槍も、誰かの術に頼らずとも動かせてしまうんだ」
「…でも、それってすごく便利じゃない?」
ミラは首を横に振る。
「便利だから恐ろしいのだ。誰でも四大を捕らえるほどの術を操り、その力を人殺しに利用できる。クルスニクの槍のように、な」
話が終わると、ちょうど良いタイミングでアルヴィンも用事が終わり、エリー達も私達のところへ集まってきた。
よし、と先に歩き出すミラを見ながら、ジュードくんは歩き何かを思っているようだ。
ここで、ジュードくんが黒匣は本当に悪いものなのか疑問をもつ。
これこそが、二つの世界が共存できるようになる未来への第一歩なのだ。
(ジュードくんが創っていく未来、見てみたいなぁ)
そのためにも、今できることをやらないと。
「よっし!私も頑張るぞ!ミラ待ってー!ぬぉっ!」
「ここにおられましたかーっ!!」
ドゴォッといきなり塊に押されてミラに飛び込む形になるがちゃんと受け止めてもらえた。
ミラにお礼を言って振り返ってみたら、また出たアホ巫子。
「危ないだろアホ巫子!てか使命どうしたアホ巫子!」
「なっ貴様!足が治ったからといって調子に乗るなよ!」
「うるさいわアホ巫子!」
「…ジュード、あれ誰なの?」
「イバルっていって、ミラの巫子なんだ」
私とイバルが言い合いをしていたら、ジュードくんがレイアにイバルの説明をしていた。
巫子といわれなぜかレイアにドヤ顔をするイバル。はたいてやりたい。
だがイバルはミラが見ているのに気付くとすぐに表情を強張らせる。
「ミラ様!村へお戻りください!みなが心配をして」
「私はイル・ファンに向かわねばならん。今は戻る気はない」
「では俺がお供を!」
「必要ない。みながいる」
「しかしこんなやつらなど…ましてやこいつのせいでミラ様は足をお止めになったのでしょう?!」
はい傷ついたー!私のガラスのハートは粉々だー!
イバルに指差されまたもや私に突き刺さる『足手まとい』の言葉に全身でショックを受ける。
暗いオーラだって背負いますよ、ええ!
泣いてないし!心の汗だし!
「イバル、今日こそユウキに謝って」
そんな私の様子を見たからか、サマンガン海停の時のようにジュードくんが怒っていた。
ジュードくん…!天使…!
と思っていたら、エリーもティポを握り締めてイバルをキッと睨みつけたではないか。
「酷いです…!ユウキに謝ってください…っ」
「な…!」
「そうだそうだー!謝れーっ!」
うわぁぁぁんエリーもティポも大好きだぁぁぁ!!
そして小さい子に責められたじたじになっているイバルに、ミラが追い打ちをかけた。
「イバル。いい加減私も堪忍袋の緒が切れそうだ」
「み、ミラ様…?!」
「ユウキは私の仲間であり大切な友だ。私の友を、これ以上侮辱するな」
ミラ…!私のことをそんな風に思ってくれてたなんて…!
一生ついていきます!!
「ぐ、ぬぬ…」
「そもそも、お前には大事な命を与えたはずだ。なぜここにいる!」
「む、村の守りは忘れておりませんっ」
ミラに凄まれ、イバルはジャンピング土下座でミラに弁解をし始めた。
これが本物の…ジャンピング土下座!
「お預かりしたものも誰も知らぬ場所に隠し、無事です!し、しかしこの度は、このようなものが届いたのですっ!」
イバルは顔を上げないまま懐から手紙らしきものを取り出し、ミラに差し出す。
それを受け取ると、ミラは声にだして読んだ。
「『マクスウェルが危機。助けが必要、急がれたし』」
「突然、俺のもとにこれだけが届けられ、ようやくミラ様を見つけ出したのです」
「誰だろう、こんなことしたの…」
「さてな…」
どうやらミラはアルヴィンの裏切りに気付いているようだ。
いやまぁ私からしたらバレバレだぜって感じだしね。
「どちらにせよ、間違いだ。危機など訪れて……!逃げろイバル!」
「は?」
イバルの背後から、魔物が走ってくるのが見えてミラが離れながら叫ぶ。
何がなんだかわからない顔でイバルは振り返り、自分に向かってくる魔物を見て固まった。
私は慌ててイバルの前に立ち剣を構えた。
「バカイバル!猫とかじゃないんだか…らっ!!」
ギィンッなんてどんな効果音だよって音が魔物を受け止めた私の剣から響いた。
足に響くぅぅぅぅぅ!!涙が出るぅぅぅぅぅ!!
「お前…」
「ほらイバル!端に避けてて!」
呆けているイバルに避けているよう促し、私はミラ達に合流しラコルムの主に向き合った。
「ふぅ…おいじいさん。地霊小節に入って地場になったらおとなしくなるはずじゃなかったのか?」
ラコルムの主を倒し、一息つくと銃を懐に入れながらアルヴィンがローエンに毒づく。
ローエンは「まさか」と一つの答えにたどり着いた。
それに答えたのはイバル。
「四大様がお姿を消したせいで、霊勢がほとんど変化しなくなってるんだっ!」
つまり、ファイザバード沼野を越えてイル・ファンへ行くのは無理である。
ジュードくんがそう呟けば、イバルはおかしいと言わんばかりに笑った。
「ファイザバード沼野を越えるだと?はっはっは!こうなってはワイバーンでもない限り、イル・ファンへは行けないな!だが巫女であるこの俺はミラ様のお役に立てるぞぉ!」
「はいはーい!イバルの案だと二人しか行けれないので却下です!」
「なっ?!貴様何を知ってるというんだ!」
「シャン・ドゥの魔物を操る部族が、ワイバーンを何匹か管理してるんだよね、イバル?」
「な、何故それを?!」
「イバル、それは本当か?」
ミラがイバルを見つめる。
数秒見つめ合い、イバルは肩を落とし、渋々頷いた。
「行き先は決まりだな」
「ええ、このままシャン・ドゥを目指しましょう」
みんなが固まったまま動かないイバルを放置し、先へ進んでいく。
これぐらい仕返ししてもいいよね?
だって私もガラスのハートを何回粉々にされたことか!
「それにしても、よく知っていたなユウキ」
「やるときゃやる女優姫よろしく!あ、ミラ、ちょっとイバルに一言言いそびれたから先に行ってて」
ぐぬぬ、と肩を震わせるイバルのところへ駆け寄ると、イバルが私に気付いて顔をあげた。
「なんだ偽物二号!」
一号はジュードくんなのかイバルよ。
ではなくて。
「また手紙が来るだろうけど、無視してね。イバルに渡した『カギ』は、ほんっとに危険なものなんだから」
「黙れ!一度貸しを作ったからといってそんな手には乗らんぞ!」
「だーもうこの分からず屋イバル!とにかく絶対使っちゃダメだからな?!」
「ぐぅ…貴様ぁ…」
「ユウキー?行くよー?」
「ジュードくん♪今行くー♪」
ジュードくんに呼ばれたのでイバルはやはり放置しときました。
後ろでなんか叫んでた気がするがまあいいや。
「ワイバーンとは、ア・ジュール辺境に生息する飛行魔物です。頭のよい魔物ですが、とて希少な上、しつけるには特殊な技術が必要です」
もうすぐシャン・ドゥに着くといった辺りで、エリーがワイバーンについて訪ねてきたのでローエンがそれに答えた。
話を聞いて、エリーはふるふると震える。
「乗っても大丈夫でしょうか…?」
「人によるな。悪い子が乗るとパクッと食べられちまうらしいよ」
「ほ、本当ですか…?!」
「いやーっ怖いーっ!」
ティポが私に助けを求めるように擦り寄ってくる。
全くこのダメな大人は!こんないたいけな幼女とぬいぐるみをからかうんだから!
「大丈夫だよエリー、ティポ!この中で食べられるのはアルヴィンくらいだから!」
「毎日ジュード君のいやらしい妄想してる悪い子も食べられちまうな。ていうか食べられてくれ」
「ジュードくんのいやらしい妄想をするのは罪なの?!あんなことやこんなこと、はたまたそんなことも妄想禁止なの?!そんな幻想俺がぶち壊す!」
「ね、ねえジュード…ユウキってカゲキなんだね…」
「あ、はは…」
そういえば、合流してからアルヴィン、私の正体を問い詰めてこないな。
いやまぁ問い詰められても困るけど、ちょっと身構えてただけに拍子抜けだ。
肩を竦めながら先を進むアルヴィンの背中を見ながら物思いに耽っていたら、ジュードくんが心配そうに覗き込んできた。
「ユウキ…アルヴィンをジッと見てどうかしたの?」
「へ?ああ、いや…あれが蹴りたい背中なのかと」
「蹴りたいの?!」
「ちなみにジュードくんの背中は抱きしめたくなりますテヘペロ」
「だ、抱き…?!」
「お、おおお顔真っ赤にしたジュードくんはますます抱きしめたくなる!!抱かせろジュードくん!!」
顔を真っ赤にして逃げ出すジュードくんを追いかけたら、アルヴィンに足をひっかけられてまた派手に転ぶのだった。
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