chapter 01
DREAM
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「思ったより厳重じゃないが…」
「兵士は配備されてるね。注意しないと」
到着したイラート海停。
入口付近にラ・シュガル兵が立ってました。
…どうやってあそこ通るの?バレるんじゃね…?
07.おっきいおじさん
「妙だな…一時はア・ジュールにまで兵を出していたというのに」
「君らを追うよりも重要なことができたか、な」
はいはいアルヴィン完全にスパイですありがとうございました。
生暖かい目でアルヴィンを見ていたら、エリーが私の服の袖を謙虚に引っ張ってきた。
「ん?どうしたのエリー?」
「ユウキ達、追われてる…ですか?」
「うん、とてつもなく不本意だけどね。あ、見てエリー!私達の手配書ー!」
エリーの手を握って海停の掲示板に向かう。
手配書キターッ!私達似てねぇーッ!
手配書描いたやつ誰だよほんと!
「ほんと…です…!」
「わー!ユウキ達キョーアクー!」
「だから不本意だってば!それにこれ私はともかくジュードくんは可愛いしミラは美人だから似てないぃぃ!でも捕まる心配なさそうで喜ぶべき?」
「ユウキも……」
「ん?」
「ユウキも可愛いよー!バリボーじゃないけどー!」
「なん…だと…!」
「おーい二人…三人?とも、そろそろ行くよー?」
ジュードくんに呼ばれて、またエリーの手を握ってみんなのところへ戻る。
エリーを見てジュードくんはなるべく優しい声で、けれどエリーには驚愕の言葉を投げかけた。
「大きな街に着くまでもう少し待ってね、エリーゼ。そしたらきっと、引き取ってくれるいい人がいると思うんだ」
「え…?」
「ジュード君、それなんのことー?」
苦笑するジュードくんにエリーはティポを片手でギュッと握りしめた。
まぁまだ小さいからいきなりそんなこと言われてもわからないし驚くよね。
入口近くではミラとアルヴィンが何か話してる。
ジュードくんが子供だっていう話だっけ。んもうアルヴィンうさん臭い!
「ユウキ…」
不意にエリーが握る手に力を込めた。
不安なのかな。
「大丈夫だよ、行こ、エリー!」
「…はい」
「ユウキー!ぼくは抱っこー!」
「オッケーオッケー!そらきた!」
エリーと手を繋ぎ、ティポをもう片手で抱えて行く私、今幸せです。
ティポ柔らかい~♪
さて、手配書が酷かったせいか何故かバレずに海停を出てイル・ファンを目指す私達だが、サマンガン街道でもやはり兵士が検問をしていた。
「ま、当然だな。そんなにうまい話はないって」
「どうしよう…」
「あっちには何があるのー?」
兵士に見つからないように隠れて頭を悩ませていると、ティポが横道を見て大きな声を出すので慌てて止めた。
ふいー、バレてないバレてない。
「あっちは樹界なんだ」
ジュードくんはラ・シュガルに住んでたから知識があるらしい。
たしかに…なんか入ったら危ない雰囲気が漂ってるね…。
「上手く抜けるとカラハ・シャールの街に出られるが…」
「迷う必要はないな」
迷うことも振り返ることもなくミラは樹界へ向かっていく。それにジュードくんは慌てた。
「滅多に人が立ち入らないんだよ?エリーゼには…」
「こうなることは予期できたろう」
「……」
ミラの言葉にグッと堪えるジュードくん。
重い、空気が重すぎる。
場を和ませようと何か言おうかなと思ったそのタイミングでエリーが一生懸命言葉を紡いだ。
「…わたし…あの…だいじょうぶ…です。だから…」
「ケンカしないでー。友達でしょー」
「エリーゼ…」
「エリーゼも了解した。これで文句はあるまい」
ああ…ミラ様きっついです…この空気固めたまま行かないで…!
ほんの少し肩を落としたジュードくんをアルヴィンが慰めるように撫でていたのは萌えたけども。
エリーは私の手をギュッと握り締めている。
「大丈夫大丈夫。あの二人は喧嘩してるわけじゃないからさ」
「でも…」
「ユウキとアルヴィン君みたいな楽しそうな感じじゃないよー?」
「え、私とアルヴィン楽しそう?!マジでか?!私アルヴィンに虐められてるだけなんだけど…」
エリーから見たら、仲良さそうらしい私とアルヴィン。
まぁ嫌いじゃないし嫌われてるわけじゃ…ないよな…?
とりあえず真相を確かめるべくアルヴィンの隣へ移動してみる。
「アルヴィン、私とラブラブしようや」
「ジュード君、変態はここで捨てた方が良くないか?」
「変態?!私変態か?!まぁ自覚はあるけど」
「自覚あるの?!」
ジュードくんナイスツッコミ!
「深そうな森だな」
ミラが先頭を切りながら周りを見渡す。
たしかにはぐれたら出てこれなさそうだ…ちゃんとエリーの手を握っておこう。
「…!」
いち早く何かに気付いたジュードくんが立ち止まり構えた。
それに気付いてみんなも構えるが、そこには魔物が一匹私達…いやエリーをじっと見つめていただけだった。
しばらく見つめて、魔物は踵を返し深い森の中へと入っていく。
「何だったんだ…?」
「警告かな…これ以上立ち入るなって」
「ま、その警告もミラには効果なしみたいだな」
「ここからいけるみたいー!二人とも早くー!」
「ティポの目が黒い内はロリコン変態アルヴィンにはジュードくんあげないぞー!」
「なぁジュード君、そろそろ本気でユウキ殴ってもいいかな」
「ダメだからねっ?!」
そんなこんなで色んなところを通り抜けたり登ったり、なんとか進んでいたら行き止まりに来てしまった。
行き止まりっておま…さっきの道反対だったのかね…。
「仕方ない、戻ろう」
「!ミラ!ユウキ!アルヴィン!」
「?!ちぃっ!」
「エリーは下がって!」
振り返るやいな、ジュードくんが叫んだと同時に激しい蔓攻撃が来てみんながバランスを崩した。
木みたいな魔物だ。たくさん木があって同化してたんだ。
エリーはなんとか後ろへ行かせたけど、今のでみんながダメージを受けてしまった。
「こいつ、攻撃範囲が広い…全員がダメージを食らっちまうぞ!」
「みんな…っ」
「!エリーゼ来ちゃダメだ!」
「お前を庇いながらでは戦えない!邪魔だ!」
「ジュードくん!前ッ!」
遅かった。
みんなが後ろから出てこようとしたエリーに気を取られてしまい、魔物の攻撃に反応が遅れジュードくんがもろに食らってしまったのだ。
吹き飛ばされるジュードくんにミラが駆け寄り、アルヴィンが魔物の前に立ち塞がる。
「言わんことではない…っ」
「ジュードくんっ!」
「ジュード…っ」
エリーが泣きながらジュードくんの傍らにしゃがみ込み、手を宛てた。
すると私達の足元に大きな陣が広がり、暖かい光が溢れた。
「これは、みんな一斉に…?!」
エリーの治癒術だ!
かなり強力な治癒術で、ジュードくんの傷はたちまち塞がり驚きながら起き上がる。
うわぁんよかったよーッ!
「元気出して!ぼくたちがいるよー!」
「私だって…役に立てます…!」
エリーが怯えながらも構える姿を見て、私も剣を構え直した。
「私のジュードくんを傷物にしたな…?!こんのやろぉぉぉぉ木材にしてやるわぁぁぁ!!!」
「ごめんユウキその言い方恥ずかしいからやめて!!」
「行くぞアルヴィン!」
「しゃーねぇなっと!」
アルヴィンが下向きに剣を構え、それに飛び乗る。
そして私を乗せたまま勢いよく持ち上げ、振り切った。
「飛んでけッ!」
「うぉりゃぁぁぁっ!!!ジュードくんの仇ぃぃぃ!!」
「僕死んでないから!!」
ミラの火の術と同時に魔物を切り裂くと、本当に木材のようにバラバラに分解された魔物。
それに満足し、アルヴィンとミラとハイタッチしていたらジュードくんがぷくーっと頬を膨らませていた。
「僕の話聞かないし…今のは僕がアルヴィンとしようと思ってた技だし…」
「ひぃぃぃジュードくんが可愛すぎてどうしよう!!はぁはぁジュードくんマジ天使はぁはぁ」
「あ、エリーゼ!怪我はない?」
「震えが、止まりません…」
「あれ今度はジュードくんが私を無視?!ともあれエリー大丈夫?!」
エリーの側に行くと、肩で息をしつつもしっかりと立つ小さな姿に胸が熱くなった。
エリーが頑張ってる。本当は怖いのに、強くなろうと頑張って立ってる。
みんなに仲良くしてほしくて、小さな身体で頑張ってる。
「しかしこの歳でこんな術が使えるとはね」
「エリーゼに救われたな」
「エリーゼ、もう恐くないよ」
「ちがうの…」
え、とエリーの前に腰を屈めたジュードくんが首を傾げると、ティポがまた私の頭の上から悲しそうに訴えた。
「仲よくしてよー!友達は仲よしがいいんだよー!」
「わたし…邪魔にならないようにするから…だから…」
「…だってさ。エリーゼに免じて許してやれば?」
「免じるも何も、別に私は怒ってなどいないのだが…」
「ウソーん、ミラ君とジュード君はもっと仲よしだったもんねー!」
「わたし…がんばるから…!」
エリーの真っ直ぐな瞳に、ミラは困った顔をしたがすぐにクスと小さく笑った。
「いつの間にか私が悪者か…ふふ、わかったよ」
「ほらジュード君、エリーゼに言うことあるだろ?」
「ミラも!」
アルヴィンがジュードくんの肩を抱いて、私がミラの腕に抱き着くと、二人は申し訳なさそうにエリーに笑いかける。
「心配かけちゃってたんだね。エリーゼ、ありがとう」
「すまなかったな、エリーゼ。ありがとう。これからはアテにするぞ」
「!…はい…っ」
「それじゃレッツゴー!」
はにかめエリーの腕の中に戻ったティポがそう言うと、みんなで歩き出した。
やっぱり友達は仲良くするのが一番だもんね!んーエリーほんと良い子!
「あんな術者と一緒ね…運いいわ、俺」
「アルヴィンー!早く来ないとその前髪ひきちぎるぞー!」
「へいへい。代わりにおたくの毛根死滅してやるよ」
「ぎゃぁぁぁぁすみませんでしたぁぁぁぁ」
「ユウキ、大丈夫…?」
「おぅよ!ありがとエリー!」
エリーが後方支援になってからというもの、私達の怪我を治療する役が二人になったためジュードくんの負担が減ったようだ。
エリーは役に立てるのが嬉しいようで積極的に癒してくれる。
優姫、ただいま天使に治療され幸せです。
「……むう」
「あれ、ジュード君。ユウキをお姫様に取られて寂しい?」
「なっ何言ってるのさ!」
「ふふ、ジュードはエリーゼが先に行くからユウキの心配ができなくて寂しいのだよ」
「ミラまでっ!もうっ!」
プイッとジュードくんが段差を飛び降りていく。
あれ?なんかジュードくん拗ねてなかった?可愛かったんだけど…。
「わぁ!みんな気をつけ…ごほごほっ!」
「ジュードくん?!」
下からジュードくんの咳込む声がして、みんなで飛び降りると。
ボフッ
「ごほごほっ!この煙は…なんだ?」
「げほっげほっ!くー、目がしみる!催涙性の胞子だな、これ」
「けほっ…これ、ケムリダケじゃないかな…目や鼻に入ると…ごほごほっ!しばらくは…涙が止まらないんだ…」
こほこほと咳込みながらもジュードくんが解説をしてくれる。
ああもうみんな涙目で可愛いのに私も涙が出て前がよく見えない!ちくしょー!
「こうなるとぼくがサイキョーだねー!」
「ティポ羨ましいぃぃぃ!!私生まれ変わったらティポになる!」
「それはどうなんだユウキ…」
よく見えないけどアルヴィンが呆れた顔してるのはわかったよ!
「!みんな…」
涙も止まり、またもや進んだ先でジュードくんが足を止め構える。
最初にエリーを見つめて逃げたあの魔物が私達を囲っていた。
「今度はやる気になったようだな」
「どこからでもかかってこーい!」
ミラとティポの挑戦的な声にピクりとも反応しない魔物達。
するとガサガサと大きな音を立てて今度は人間が出てきた。
ジャオだ。相変わらずでかっ!
「おっきいおじさん…!」
エリーを見て小さく笑うと、ジャオは側にいた魔物の頭を撫でて「よく知らせてくれた」と褒める。
「イバルの他に魔物と対話できるものがいるとはな」
それをミラは感心したように見ていた。
「あの、ジャオさんですよね?」
「ん?お前たちには名乗っておらんはずだがのう」
「ハ・ミルの人達にな。んで?どんなご用で?」
「知れたこと。さあ、娘っ子。村に戻ろう」
アルヴィンの質問には答えず、エリーに話しかけるがエリーは後退りをし、ジャオを見つめる。
「少し目を離しているあいだにまさか村を出ておるとはのう。心配したぞ」
「いやー!ジュード君かばってー!」
ジャオが差し出した手に怯え、エリーはジュードくんの背中に隠れた。
その姿にジャオは頭を抱える。
「あなたがエリーゼを放っておいて、どうなったと思ってるんですか!」
「…すまんとは思っておる」
「お前は、エリーゼとどういう関係なんだ?」
ミラの問いにジャオは穏和な表情を一瞬だけ曇らせた。
ゲームをして知ってる私にはつらいな…ジャオ…。
「その子が以前いた場所を知っておる。彼女が育った場所だ」
「なら、彼女を故郷に連れて行ってくれるんですか?……また、ハ・ミルに閉じ込めるつめり?」
ジャオは険しい表情で私達を見た。
「お前たちには関係ないわい!さぁ、その子を渡してもらおう!」
「……」
ジュードくんがジャオを睨み、エリーを庇うように腕を広げるとジャオは武器を構えた。
「仕方あるまい!」
「来るぞ!」
アルヴィンが言うより早くジャオの一撃がジュードくんへ向かった。
それをバックステップで避けると、ジャオはハンマーみたいな武器を振り回しながらもエリーに話しかける。
「娘っ子!村へ戻るぞ!」
「いやだー!」
「いや、ですっ」
「聞き分けのない子だ!」
あのハンマー殺傷能力高くない?!
と思うほど土をえぐる攻撃に、怯むわけにもいかない。エリーのために戦わなければいけないのだ。
「エリーがどんだけ苦しい思いをしたと…っ!」
「一時の同情心で連れ出してどうする?面倒を見れるのか?」
「じゃああなたは同情心じゃないの?!それとも自分が赦されたいため?!」
「!小娘!」
「そんなのふざけてるよッ!!」
ジャオのハンマーと私の剣が火花を散らす。
しかしやはりジャオには敵わず力で吹き飛ばされてしまった。
「ユウキっ」
「…なぜだ、娘っ子。その者たちといても、安息はないぞ?」
「…ともだちって言ってくれたもん!」
「もう寂しいのはイヤだよ!」
ジュードくんに庇われながら、エリーが叫ぶ。ティポがエリーの本音を叫ぶ。
誰だって寂しいのは嫌だ。
しかも、寂しい思いをするのをわかって見過ごすことだって出来やしない!
「ミラ、アルヴィン。ユウキも」
ジュードくんが私達に小声で指示すると、二人は目で合図を受ける。私も小さく頷いた。
それに気付いていないジャオはなおもエリーを連れ戻そうと話しかけてくる。
「正直に言うとわしも、連れていくのは本意ではない。…許してくれ」
アルヴィンが銃を構える。
「もうやめておけ」
ジャオの言葉にアルヴィンはすぐそばの木を撃ち抜く。
何発も撃ち込まれると脆かった木は崩れ、ジャオの側に落ちる。
それが狙いだったのだ。
「!これは…っ」
「今だ!」
木が崩れ落ちた先には私達も被害にあったケムリダケがあったのだ。
煙が周囲を包み、対策をしていた私達は道を教えるように走るミラについて走った。
ジャオは追っては来なかった。
「寂しいのはイヤ、か…。お前にとっては、奴らといる方が幸せなのかもしれんのう…」
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