chapter 01
DREAM
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「出ていけよ!オラッ!」
ハ・ミルに着くやいな、罵声が聞こえ私とジュードくんはそこへ向かって一目散に走った。
村人に囲まれ、石を投げつけられていたのは、エリーゼだった。
06.旅立つ深窓の少女
「疫病神!あんたなんかいるから!」
「きゃっ…やっ」
「やめて!ヒドイことしないで!お願いだよーッ!」
ティポが叫ぶ。あれは、エリーゼの心の声だ。助けてと叫んでる。
「っ!お前!」
石を投げようとした村人の腕を掴んで止めると、ジュードくんはエリーゼの側に行き「大丈夫?」とエリーゼの手を取り立ち上がらせる。
エリーゼの服は砂まみれだった。顔も擦りむいている。ゲーム画面では見れなかった、本当の姿に私は村人達に怒りが湧いた。
「エリー!」
「!ユウキ…」
「ちょっと、こんな小さな子を寄ってたかって虐めて、何やってんですか!!あんた達本当に大人か?!」
エリーを抱きしめて、囲っている村人達を睨みつける。
けれど村人達にはそんなことよりも自分達の方が大切だったのだ。
村のための怒りだとわかっている。私達が来たせいでとばっちりを受けたのも悪いと思ってる。
けど、エリーは何もしてないじゃないか。
「お前達のせいでこっちは散々な目じゃ!」
「だからって八つ当たりだ!!文句なら私達に言えばいい!エリーにヒドイことしていい理由にはならない!!」
「ああ、大人げないな」
「…っ、よそ者に関わるとロクなことにならん!すぐに出ていけ!」
村長さんがそう言い捨てると、村人達はその場から去っていく。
離れた場所から私達をちらちらと見ては何かを話している。大方私達への不満だろう。
「村長さん、まるで人が変わっちゃったみたい…」
「あっエリー!」
ジュードくんの呟きに気を取られた隙にエリーが走り去っていく。多分あの小屋へ行ったんだ。
「私達は村の者からラ・シュガル軍の動向を聞くとしよう。長くとどまるつもりはない。それを忘れるな」
私達がエリーを追うかどうかと迷うそぶりに気付いたのか、ミラが私達を見てそう言った。
「わかってる。ありがとうミラ!」
「ミラありがと!行こうジュードくん!」
「うん!」
エリーの元へ行くためジュードくんと向かおうとした時にすれ違ったアルヴィンが、少し変な顔をしていた。
…もしかして、これだからガキは~とか思ってたのかな?
(ガキでもいいよ!エリーが傷つくのは見たくない!)
「ここに入って行ったよね」
エリーを追いかけ来た道を戻ると、一つだけポツンとある小屋の中に入っていく後ろ姿が見えた。
ジュードくんが入ろうかやめようかと迷うので、問答無用で乗り込んでやった。もちろん慌てるジュードくんは可愛かったです!
地下へ続く階段を降りて、鍵のかかっていない部屋へ入ると、その隅でエリーがうずくまっていた。
「ねぇ、君、ちょっとお話しない?」
なるべく優しく声をかけるジュードくんに、エリーがピクリと反応する。
ゆっくり近づいて、ジュードくんはエリーに目線を合わせるように屈んだ。
「大丈夫、僕はいじめたりしないよ。僕達、前にも一度会ったよね?」
「こんちはーッ!」
「っ?!」
エリーではなくティポが勢いよく挨拶すると、人形が話すところを初めて見たジュードくんは後ろへひっくり返ってしまった。
ああもう可愛いなぁジュードくん!
「あららー、お兄さん結構臆病だねー」
「ジュードくんはそこが可愛いのよティポ!」
「!ジュード、くん…その人…?」
エリーがティポで顔を隠しながら、腰を抜かして座り込んでるジュードくんを見つめる。
私が「そうだよ」と言うと、エリーはおそるおそる自己紹介をした。
「この子は、ティポって、名前で……」
「彼女はエリーゼっていうんだ。ぼくはエリーって呼ぶけどね。よろしくねー!」
「は、はは…二人ともよろしく」
「あ、あの…だいじょうぶ…えと、ですか?」
「う、うん…ちょっとびっくりしたけどね。僕はジュードっていうんだ」
可愛いぃぃぃぃ!!二人とも天使!可愛い可愛すぎる!!
この初々しい感じがたまらんな!兄妹?ブラザーシスターだよ可愛いよ!
「ジュード君!さっきはありがとー!」
「ありがとう…です」
「ユウキもありがとー!ナップルわかった?エリーがね、一生懸命名前書いたんだよ!」
「!!ティ、ティポ…っ」
かぁぁっと顔を赤くするエリー。
かぁぁわぁぁぁいぃぃぃぃぃ!!エリーまじ天使!!!ああもう抱きしめたい!!
「ユウキ、落ち着いて…ねぇエリーゼ、さっきのは何があったの?よかったら聞かせてもらえないかな?」
ジュードくんが尋ねると、エリーの代わりにティポが話し始めた。
てか今私ジュードくんに軽くあしらわれなかった?あれ?
「んっとねー、外国の怖いおじさんたちがいっぱい来たんだけど、おっきいおじさんがやっつけたんだよー」
「ああ、あの人…」
「…でも、おじさん、どこかにいっちゃった…」
「そうそう、そしたら外国のおじさんたちが村のみんなをいじめたんだー」
ジャオってあの時ゲームではたしかガイアスに呼ばれてニ・アケリアにいたもんな…。
あれ?てことは私もガイアス達に見られてたってこと?!
うわぁぁぁ…なんか恥ずかしいことしてないよな私?!
「おっきいおじさんは、エリーゼのお友達なの?」
「うぅん…」
「エリーを閉じ込めた悪い人だよー」
「…水霊盛節に…いっしょに来たの」
…リヴィエ…?ああ、なんか季節的な…?
今度ジュードくんに聞こうかな…この世界よくわからん!
「でねでね、外に出たらみんな石ぶつけてくるんだ。もー、ヒドイよねー!」
ふ、とジュードくんの表情が曇る。
何か、自分のことを思い出してる気がしたんだけど、気のせいかな。ジュードくんには、私の知らない何かつらい過去があるのかな。
(悔しいな、知ってたら私にも何か、かける言葉があったのかもしれないのに)
「ジュード…さん?」
「あ、ごめんね。エリーゼとティポは、ここで他のお友達を待ってるの?」
エリーに話し掛けられ、ジュードくんは小さく首を振るとすぐに優しく微笑んだ。
ああもう!ジュードくん撫でてやりたい!
エリーはジュードくんの言葉に少し寂しそうに目を伏せる。
エリーも撫でてやりたい!
「…お友達…いないから…」
「じゃあ僕達が初めての友達だね」
「え……」
ジュードくんの笑顔と言葉にエリーは驚いた顔で私を見る。
私は親指を立てエリーにグッと見せた。
「私とジュードくんはエリーの友達だよ!あ、もちろんティポもね!」
「わーい!友達ー!ジュード君とユウキは友達ー♪」
「友達イェーイ!」
エリーの腕の中から飛び出したティポとワイワイと友達になったことをはしゃいでる間に、ジュードくんは友達が出来て嬉しそうにはにかむエリーにミラ達に会わせる約束をしていた。
エリーゼを何とかしたいから、と説明すると、ティポは私の頭の上から明るい声でエリーの代弁をする。
「うん!ジュード君は友達だから、ジュード君のことは信じちゃうよー!ね、エリー!」
エリーが嬉しそうに頷く。
ジュードくんも嬉しそうに笑うと、友達を呼んでくると部屋を出ていこうとしたが。
「…一緒に行く?」
手を握り、ジュードくんを引き止めたエリーにそう言うと、エリーはまた嬉しそうに頷いた。
君達ほんと可愛いぃぃぃぃ天使ぃぃぃぃ!!
「あの…ユウキは…」
「うーん…僕もよくわかんないけど、ユウキはたまにああして悶えてるんだ」
「そう、なんですか…」
首を傾げる君達が天使だから悶えてるんだよこんにゃろ!でも可愛いから許す!
「あ、ミラ、アルヴィン!」
小屋を出て、村長の家がある方へ歩いていくとちょうど家から出てきたミラ達と合流できた。
「あれ、その子…」
「エリー、あの胡散臭いのがアルヴィン。ロリコンだから近付いちゃダメだよ」
「ユウキちょっと来い」
「あだだだだだ私の髪の毛ちぎれますあだだだだだ!!」
「ジュード、ユウキ、特に有益な情報はなかった。ここにもう用はない。すぐにでも発つぞ」
「待って、この子のことで話があるんだ」
アルヴィンに髪を引っ張られながらもジュードくんとミラの会話に耳を傾ける。
会話が夫婦だよ!ミラジュミラジュ!
「ユウキを…離してください…っ」
「はなせーっ変態ーっ!!」
「うわ、人形が喋った」
と、その間にアルヴィンにエリーがティポを投げて私を助けてくれた。
エリーがぎゅうぎゅうと私の腰に抱き着いてくる。遅れてティポもくっついてきた。
(ああもう!!)
「エリー可愛いッ!!」
「ロリコンはおたくの方じゃねーかよ…」
アルヴィンの言葉はスルーした。
――――――…
「村民がエリーゼを疎んでることは間違いなさそうだ」
エリーに少し離れていてもらい、ミラ達が聞いた情報を教えてもらうとなんとまぁ出てくる出てくるエリーの悪口。
けどエリーを疫病神だと言いながらも、ほんの少し可哀相だと思ってくれていた村人達。
世界中ジュードくんみたいな人で溢れてたら良い世界になりそうな気がしてくるよ…。
「ジャオという男が戻らねば状況は変わるまい」
「でも、エリーゼはその大きい人、ジャオも友達じゃないって」
「ジャオがいたら閉じ込められて、いなければ疎まれ迫害される…救われないな」
切なくアルヴィンが言葉を零すと、ジュードくんは顎に手を当ててエリーを見た。
「一緒に行けないかな…」
「連れ出してどうする?その先のことを考えているのか?私の目的はわかっているのだろう?」
「…うん」
厳しく言うミラ。
ミラの目的はクルスニクの槍を破壊すること。そのためには危険な場所へ行かなければいけない。
小さなエリーを巻き込むのは、たしかに気が進まない。
けど、最終的には共に旅をする仲間となるのを私は知っている。
そして、エリーのことはジュードくんが成長するきっかけだ。
だから私は、口を閉じて二人のやり取りを聞くことにした。
「…いいだろう」
「ミラ、ほんとっ?」
「ジュード、キジル海瀑で私が言ったことを覚えているか?」
ジュードくんが頷くと、なら、とミラは真摯にジュードくんを見つめた。
「これは、私の言った言葉の答えを出すためと捉えるぞ。だから、君のなすべきことをそのままの君でやってみるといい」
「…う、うん」
「…エリーゼに話してやれ」
「うん!」
ジュードくんがエリーに説明する姿を見ながら、アルヴィンはミラに声をかけた。
「優しいんだな」
「途中、足手まといになっても、仮に命を落としたとしても捨て置くだけ。私の使命に影響はなかろう。元々一人で完遂するつもりだったのだ」
そう言って先に入口まで歩いていくミラに、アルヴィンは肩を竦める。
「相変わらず、って感じなミラ節だな」
「今はまだ、ね。いずれ仲間想いのミラ様になるよ」
「ふぅん…おたく、なんか知ってる感じだな」
ぎっくー!
「ジュードくん!エリー!ミラが先に行っちゃったからもう行くよー!ほらアルヴィンもジュードくんとエリーによこしまな視線向けてないで行こう行こう!」
「向けてねぇよ!俺をなんだと思ってんだ!」
あはは~と無理矢理誤魔化して、私はジュードくんとエリーと一緒にミラを追いかけた。
後ろで私を不審そうに見るアルヴィンなど知らないまま。
「そういえば、まだちゃんとエリーゼを紹介してなかったね」
村を出てイラート海停へ向かいイラート間道を歩いていると、思い出したようにジュードくんが足を止めた。
それにつられてみんなが足を止め、エリーに視線を集めたためエリーがおそるおそる自己紹介をした。
「エリーゼ・ルタス……です」
「ふーん。こりゃ五年後にはすっごい美人になるな。俺はアルヴィン。そん時までよろしく、な」
「あーっこれってナンパだー!アルヴィン君はナンパマンー!」
「アルヴィン君まじロリコンー!ってあだだだだだなんで髪の毛引っ張るのあだだだだだ!」
「…で、このぬいぐるみはなぜしゃべっている?」
首を傾げるミラにさらに首を傾げるエリー。
「え…?ティポは昔からしゃべってた…です」
「だよねー♪」
「私がおかしいのか?」
「ったりまえでしょー!」
「うむ…ぬいぐるみに反論されるとは、不可思議なこともあるものだ…」
ススス、とアルヴィンがジュードくんに近付きミラ達に聞こえないよう耳打ち。
「不可思議って」
「ミラが言うかな?」
「あだだだだだ精霊の主だもんねミラあだだだだだ」
「えっわぁ!ダメだよアルヴィンっユウキの毛根が痛んじゃう!」
「あ、わりぃわりぃ」
絶対悪いって思ってないよこの男ぉぉぉぉ!!だって顔が笑ってやがるぅぅぅ!!
なんやかんやでイラート海停到着!
しかし首都圏全域に封鎖令が出たとのことでイル・ファン行きは全便欠航だった。
今はサマンガン海停にしか出ないとのことで、私達はそれに乗ることにしたのだ。
ミラが先に船に乗り、それに続こうとする時、ジュードくんが鳥で手紙のやりとりをするアルヴィンを見つけ声をかけに行った。それについていくエリー。可愛い。
「アルヴィン、手紙?鳥でやりとりしてるんだね」
「ん、まぁな。遠い異国の愛する人にさ。素敵な女性が目の前に現れたってな」
「へぇ、奥さんいたんだ」
「はは。優等生の発想だな。結婚してるように見える?」
「見えるわけがない。いたとしたら自作自演に違いない」
「ユウキは毛根を死滅されたいのか?」
ダッシュで船に乗り込む私をジュードくんとエリーがクスクス笑って見ていた。
「わぁ…!」
船が出航すると、エリーが海を見たがったのでみんなで甲盤へ出て海風に当たる。
エリーとティポが広くて透き通った綺麗な海を見て感嘆の声を上げた。
「海…初めてなの…」
「そっか」
ジュードくんが優しく頷くと、エリーは顔を赤くした。
もう可愛いよ私何回可愛いって言ったか忘れちゃったよ可愛いよ。
ジュードくんがミラ達のとこへ行くのと入れ替えに私はエリーの隣に立つ。
「私も船乗るのはまだ二回目なんだ!綺麗な海を見たのもね~」
「そう…なんですか…?」
「おぅよ!海すごいよね!ほんと透き通ってて綺麗だ~…おわっ!」
「きゃーっ」
身を乗り出して下を見たらちょうど船が揺れてバランスが崩れる。
慌てて身体を引っ込め事なきを得たが、エリーは初めての出来事に楽しそうに笑った。
「危うく落ちるとこだったねー!ユウキよかったー!」
「ユウキ、海ってすごい…です…!」
「そうだよ!海は綺麗なだけじゃないんだよ!あははっ」
「ふふっ…あ、ミラ…!」
こちら側へ来たミラにエリーが近寄っていく。可愛いなぁ可愛いなぁ。
と、そろそろジュードくんに触って萌え補充するか。
「ジュードく~ん♪」
「あ、ユウキ。ミラ怒ってた?」
「ううん?いつも通りだったよー?」
「意外だな。ミラ様ならエリーゼのことバッサリ拒否すると思ったのに。ほら、目的の邪魔になることにはもっと一方的だと思ってたからさ」
「ミラはそんなに冷たくないよ?」
「そうかな…」
それより、とアルヴィンがジュードくんの肩を抱いて身体を密着させた。
はいはいアルジュアルジュ!けしからんもっとやれ!
「イル・ファンの研究所じゃ大変だったらしいな」
「ミラから聞いたの?」
「あいつ、あそこから何か奪ったんだって?国の研究所じゃ、そりゃ軍も出動するって」
「なんだろ…僕も知らない」
「本当かあ?隠してもすぐわかるぞ?ほら、ミラには黙っててやるって」
「ごめん、ホントに知らないんだ。ユウキが何か取ったのは見たんだけど…」
「!ユウキが?」
会話内容を知ってたのでアルジュを色んな角度から見ることに専念していたら、不意にアルヴィンが私を見てきたのでびっくりした。
え、なになに私の話してたのか?
えーと、たしか二人の会話ってミラが取った『カギ』はどこだよジュードくん?みたいな内容じゃなかったっけ?
……あ、今の流れじゃ取ったの私じゃん。
「ユウキはありえねぇと思ったが、マジだったのか…」
「アルヴィン?」
「なぁジュード、あいつが何を取ったか知ってる?」
「ううん、そこまでは…」
「ジュードくん!私は取りましたよ!とんでもないものを盗みました!」
「?!な、何を盗んだの?!」
「あなたの心です」
ドヤァ…と無理矢理会話に割り込みドヤ顔で名台詞を口にしたら、ジュードくんとアルヴィンが二人して「ダメだこいつ早くなんとかしないと」といった表情で私を見てきて悲しくなりました。
船の海停到着の知らせの汽笛が妙に悲しく聞こえた、優姫16歳…。
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