chapter 01
DREAM
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「到着だ」
ミラの言葉に、みんな足を止めた。
ひっそりとした、けれども穏やかな村。
二・アケリアに到着です!
05.巫子と使命
「は、走り回っていいっ?」
「落ち着け何興奮してんの」
だって二・アケリアですよ!マクスウェル様信仰の村ですよ!
空気は綺麗だし景色は良いし平和そうだし!
興奮しちゃいますよ!
今すぐにでも駆け出そうとする私をアルヴィンは襟を掴んで止めてくるが、なおもジタバタしているとジュードくんに「ほら、ミラについていくよ」と言われてしまった。
「すまない。イバルはどこにいる?」
「イバルならマクスウェル様を追って…マクスウェル様?!」
「うむ、今戻った」
ミラが村人に話しかけると、村人は驚愕した声を上げ拝みはじめる。
それに気付いた村人がぞろぞろと集まり、同じようにミラを拝んでいた。
ミラマジマクスウェル!
アルヴィンは私を離すと、腕を組みその様子をまじまじと見つめる。
「やっぱ本物なんだよな」
「ミラ、すごいんだね」
「ちょっと疑ってたんだがな」
後ろでアルヴィンとジュードくんがそんなやり取りをする。
まぁね…私だって最初マクスウェルはおじいさんだと思ってたし…まぁ間違いではなかったけども。
「緊張するな。普段通りにしていればいい」
ミラがそう言うけど、村人達は止める様子はない。ふう、といった表情を浮かべたミラは、とりあえずもう一度尋ねることにした。
「イバルはまだ戻ってないと言ったな」
「は、はい!マクスウェル様がいつもより戻りが遅いと心配して…」
「そうか…相変わらず短気だな。手を止めさせてすまなかった」
そう言って村の中を歩き出すミラに、ついていく私達。
おお…ミラが通る度みんなが拝む…ミラ様パねぇ…!
「私は、これからすぐに社で再召喚の儀式を行う。だが巫子が不在のようでな、悪いが少し手伝ってもらえないか?」
「え?僕達で何か手伝えるの?」
「祭事には縁がないんだがなぁ」
「そんなに難しいことはない。村には四つの祠があり、そこには世精石がある。それを私の社まで運んでほしい」
ああ、あの石か…あれ重そうなんだけど…どうやって持ってくの…。
「村の人に頼んだら…ってあれじゃ無理か」
「うむ。巫子以外は普段私と接しないのでな…あれでは話にならない」
やれやれとミラは肩を竦める。
まぁ私達からしたら総理大臣とかに手伝ってって言われるようなものだもんね。おどおどしちゃうのも無理はない。
よし!
「力仕事は男の仕事だからね!アルヴィン任せたよ!」
「おい優姫、ジュード君を女側に入れんなよ」
「ジュードくんはヒロイン、アルヴィンは雑用。ほら早く取りに行くよアル憫!」
「今言い方違ったろ!こら待ちやがれ!」
「もう、優姫はいつもああやって僕をからかうんだから」
「ふふ、では追いかけようか。ジュードが優姫の頭でも撫でたらきっと落ち着くだろう」
「えー…?ほんとかなぁ…」
アルヴィンを連れて(むしろ追いかけられて?)石を二つほど持たせていたら、ジュードくんが来ていきなり私の頭を撫でてきたのでときめきクライマックスの私は三つ目の石をアルヴィンの足に落としてしまったりしたとか。
「これでいいの?」
「ああ、助かった」
村の先の参道を抜け、ミラの社まで到着した私達は部屋の真ん中に座るミラを囲うように世精石を配置した。
世精石は結局アルヴィンが二つ、ジュードくんが一つ、私が一つ運んだのだった…。ちくしょーアルヴィン私があげたお金まだお釣りがくるぐらいなんだから働けよちくしょー。
「では始める」
私達はミラから離れ部屋の端へ移動する。
それを確認してから、ミラは陣を描き再召喚の儀式を始めた。
陣が光り、石がそれに共鳴するように光る。
(……っ、痛、い…頭が…っ)
石が割れた瞬間、激しい頭痛がした。
思わず頭を抱えてふらつく身体を後ろへ移動させる。壁に背中を預け、ギュッと目を閉じた。
(何で、私…儀式を見ているだけなのに、こんなに頭が…痛いなんて…)
チラリとミラを見ると、私と同じように頭を抱えていた。ジュードくんとアルヴィンはミラに気を取られているのか、私には気付いていない。
(正直、助かった…早く痛いの止まれ…!ジュードくんに気付かれる前に…!)
「ミラ様ーッ!!」
ちょうどナイスタイミングで、アホ巫子ことイバルが真ん中へ走ってきて、私の痛みが少し消えた気がした。
「イバル、か?」
「ミラ様。心配いたしました……これは、四元精来還の儀?何故今このような儀式を…しかし、これは」
イバルは周囲を見渡しながら、四大精霊の名前を呼ぶが、返事はない。
「ミラ様…一体何が…」
「……」
ミラも頭痛が治まったらしく顔を上げており、困惑するイバルにこれまでのことを話すことにした。
「そんなことが…」
話が全て終わると、イバルは考えるような仕種で頷いた。
ミラの近くに移動し屈んでいるアルヴィンは少し気だるそうに「んで」と結論を聞いてきた。
「精霊が召喚できないのって、そいつらが死んだってこと?」
「バカが!大精霊が死ぬものか!」
「あれ?常識?」
「大精霊も微精霊と同様、死ねば化石となる。だが力は次の大精霊へと受け継がれる!」
「……って言われてるね。見た人はいないけど」
イバルの手振り身振りをスルーしてジュードくんはアルヴィンにコソリと話す。
イバルどんまい…てか、ジュードくんのあぐらとか可愛い可愛い膝に座りたい!
「ふん!存在は決して死なない幽世の住人。それが精霊だ」
そしてジュードくんはまた集中モードに入る。
こめかみに指を添える仕種をするときは集中モードだ。
「だったら四大精霊は、あの装置に捕まったのかも」
「バカが!人間が四大様を捕らえられるはずがない!」
「けど、その四大精霊が主の召喚に応じないんでしょ?ありえないことでも、他に可能性がないなら真実になり得るんだよ」
あ、ははー…やばいジュードくんの言葉に萌えるどころか、今の自分思って泣きそうだよー…。
だって私がトリップしたなんてありえないけど他に可能性がないから真実としか言いようがないんだもの。
それに、夢でもなかった。だって怪我したら痛かったし、寝て覚めても私のいた世界に戻ることはなかったんだ。
「何もない空間で、卵がひとりでに潰れた場合、その原因は卵の中にある……『ハオの卵理論』ってやつだな。さっすが優等生」
「むしろアルヴィンが知ってることが不思議でなりませんジュード先生」
「優姫は社の外に立ってなさい」
「アルヴィン先生には聞いてません!」
キーッとなってるイバルをスルーし、アルヴィンとそんなやり取りをしていたらミラは何やら考え込む仕種。
「四大を捕らえるほどの黒匣だった、ということか。…あの時、私はマクスウェルとしての力を失ったのだな」
あの時、とは、研究所でクルスニクの槍にマナを吸われた時だ。
四大精霊は『カギ』の重要さを知ってたんだよな。だから『カギ』を掴んだ私を逃がそうと…。
「さぁ!貴様達は去れ!ここは神聖な場所だぞ!」
ミラが立ち上がり、考え込んでいたらイバルがまるで警備員のようにその前に立ちはだかる。
「ミラ様のお世話をするのは、巫子である俺だ!」
相変わらずの手振り身振りで胸を張って私達に言いきった。イバルめんどくせー。
「イバル、お前もだ。もう帰るがいい」
「はっ?」
「そうだな…有り体に言うぞ。うるさい」
ミラ様の攻撃にイバルは真っ白になった!
うんちょっとどんまい…。
落ち込みながら歩くイバルを見ながら、みんなでミラの社を出ていくことにした。
外に出たらまぁイバルがうるさいことうるさいこと。
「貴様!これからもミラ様のお世話は俺がする。余計なことはするなよ!」
「なにおう?!あんたなんか微塵も役に立ってなかろうが!ジュードくんなんて可愛いし優しいし料理上手だし可愛いしイバルとは天と地の差だわ!謝罪を要求する!」
「なんだとぉ?!俺の料理を食べてから言いやがれ!」
「食べずとも勝敗は決まってますー、だってジュードくんのご飯には愛情たくさん詰まってるから美味しいもーん」
「貴様ぁぁぁ!俺を侮辱しやがってぇぇ!」
「ジュード君、もう少しここにいるか?」
「あ、うん」
「なら俺は先に行ってるな。おいそこのアホ二人、あんまりうるさいとミラ様の雷が落ちっぞー」
「!!小娘!覚えておけッ!」
社の階段を降りていくアルヴィンを追い越し走り去るイバルにあっかんべーしてやった。
まったく、イバルはうるさいよ!大体みんなのアイドル侮辱するとかあんにゃろ!
「優姫はいつも元気だね」
「ん?そりゃ元気なのが唯一の取り柄というか…」
「優姫は、なすべきことってある?」
ジュードくんはキジル海瀑からずっと悩んでいたのか、私にも聞いてきた。
しかぁし!私のなすべきこと(仮)は言うわけにはいかないのです!
「内緒!でも、絶対にしなきゃいけないって思ってる。なんとなく、私はそのためにここにいるって思うからさ」
「そっか…優姫もミラも、すごいね」
「私はジュードくんの方がすごいと思うけどなー?だって泣きたくなるような状況だよ?…まぁ私の責任なんだけどもね…」
ズゥンと落ち込むと、ジュードくんはあわあわして首を横に振る。
「優姫のせいじゃないよ!僕は、自分の意志でここまで来てるんだ。優姫とミラに着いて行きたいと思うのも、ちゃんと僕の意志」
え?と聞き返そうとした時、ちょうどミラが社から出てきた。
「あ、ミラ。どうしたの?休むんじゃないの?」
「こっちの台詞だ、ジュード。優姫もまだ村に戻ってなかったんだな」
「うん」
「ミラを待ってたー」
ミラは頷くと、ジュードくんを見つめる。
ジュードくんのこれからのことだ。
「では、聞かせてもらおうか。ジュード、君はこれからどうする?村にいると言うなら口添えをしよう」
「…ミラと優姫は、これからどうするの?クルスニクの槍を壊しに、イル・ファンに向かうの?」
「ああ。四大のことと、あの場にいたマナを吸い出された人間達を考えると、クルスニクの槍とはマナを集めて使用される兵器なのだろう」
今すぐに使われることはなくとも、マナ確保が続いてしまう。
たくさんの人がハウス教授のように死んでしまう。
ジュードくんは腕を後ろに組み、少しだけ言いづらそうに身体を揺らした。
「でね…それ、二人だけでやるの?」
「回りくどいぞ、ジュード。何が言いたい?」
「…ミラも優姫も、どうしてそんなに強いのかなって」
「いや私は強くないよジュードくん!てかその仕種可愛い!」
「そうか、君は私達に興味があるんだな」
「!!」
ミラの爆弾発言にジュードくんが顔を真っ赤に!ひぃぃ可愛いぃぃぃ!
「強い、か。考えたこともないな。私にはなすべきことがある。優姫も同じだ。私達はそれを完遂するために行動しているだけなのだから」
「で、でも今の力で…二人だけじゃ無理なんじゃない?死んじゃうかもしれない」
「だが、やらねばなるまい。もう決めたことだ」
ミラは、本当に強い。
使命を果たすために、命すら惜しまない。
私には、できるだろうか?
ジュードくんを守るために、命と引き換えにすることなんて、できるだろうか?
「…やっぱり強いよ、ミラは…」
私の代弁をするようにジュードくんはそう呟く。
ミラの背中を追いかけたい。そう思ったジュードくんの気持ちがわかる気がした。
ジュードくんは決心したように、顔を上げた。
「僕も行っていいかな。一緒に」
「ジュード」
「少しだけ、着いてきたことを後悔した。でもいくら後悔したって戻れないものは戻れない…だったら、今の僕の力でもできること…ミラの手伝いをしようかなって。それと」
「へ?私?」
ジュードくんに見つめられて、なになにっと身構えてみる。
ジュードくんはふわりと笑った。
「優姫も、危なっかしくて心配なんだ。だから近くで見ててあげたいんだよ」
危なっかしい…だと…!
「ミラぁぁぁ!ジュードくんが可愛いけどあれ遠回しに私は役立たずとかって言ってない?!私は役に立たない?!私危なっかしい?!」
「や、役立たずなんて思ってないから!」
「ふふ、君は本当にお節介なのだな。せっかく巻き込まぬよう社を遅れて出たというのに」
「そうだったの?」
「うむ。君達との短い旅路で学んだ気を遣う、というヤツだ。だがなかなか難しいな」
ふむ、と首を傾げるミラを見て、ジュードくんと二人して思わず笑ってしまった。
「よう。遅かったな。ミラも一緒か」
村の入口付近に腰掛けてたアルヴィンは、私達を見つけると立ち上がり、ジュードくんを見た。
「身の振り方、決まったんだな」
「うん。ミラと優姫と行くことにしたよ」
「どういう心境の変化だよ…後悔するんじゃないのか?」
「うーん…でも、もう決めたんだ。ミラの手伝いをして、優姫の心配もするって」
「心配って…ジュードくん…」
ミラに肩をポンとされた。ミラ様その気遣いは心にグサリときます。
ジュードくんの清々しい態度にアルヴィンは顔を背けた。
ふ、とゲームのアルヴィンを思い出す。
大人になっていくジュードくんを羨んでいたアルヴィン。置いていかれたと思ったアルヴィンは、この時点でもうジュードくんを羨んでいたのだろうか。
「アルヴィン、今まで世話になったな。そうだ謝礼を出さねばな」
「いいよ、優姫から貰ったからな。出すならこいつに頼むわ」
「みぎゃっ!髪の毛グシャグシャになる~ッ!」
「それじゃあな」
私の頭をグシャグシャ撫でてからアルヴィンはあっさりと村の外へと向かってしまった。
あまりにもあっさりで、ジュードくんが少し寂しそうだ。
「…なんだか、あっけないね」
「傭兵というものは、ああいうものなのかもしれんな」
「そうなのかもね…」
「ジュードくん…アルヴィンとの甘い夜は忘れなきゃ次の恋へは進めないよ」
「甘い夜なんてないよ?!」
「ミラ様ぁーッ!!」
げ、イバルだ。
めんどくさいのが来たよ。
「またいずこかへ赴かれるのですか?では俺も…!」
「イバル!お前の使命を言ってみろ」
ミラが怒った声を出すと、イバルが萎縮する。
「え、あ…ミラ様のお世話をすることです」
「それだけか?」
「…戦えない、二・アケリアの者を守ることです…」
「理解したか?私の旅の共は優姫とジュードが果たしてくれる。お前はもうひとつの使命を果たすんだ」
「しかし、こいつらのせいでミラ様は精霊達を!」
なにおう!私はともかくジュードくんを指差すとは何事だ!!
反論しようとしたら、私を止めるように制したミラ。いつになく怒っている。
「それは私の落ち度だ。それどころか優姫とジュードがいなければ、私は二・アケリアに戻れなかったかもしれない」
「しかし…!」
「なすべきことをもちながら、それを放棄しようというのか?イバル」
「……いえ」
「優姫、ジュード。出発するぞ。海停が封鎖されていなければよいのだが」
俯いてしまったイバルを放置し、ミラは歩き出す。
ちょっと可哀相だけど、なすべきことは果たすべきだ。だから、イバルは村のみんなを守るべきなんだ。
「海停に向かうってことは、途中ハ・ミルを通るんだよね」
「ふむ、あそこはア・ジュール内でラ・シュガル軍の動向を探れる貴重な場所だ。もしかしたらイル・ファンに潜り込む妙案が眠っているかもしれんな。ではハ・ミルに向かうとしよう」
次の目的地は、ハ・ミルになりました。
待ってろエリーゼ!
「しかし、海で渡れなかった場合、どうしたらいいだろうか」
「んーと」
「山脈越えは難しいから、ア・ジュールからの陸路の線はないだろうなぁ」
「「アルヴィン?!」」
二・アケリアを出て、ここはまたもやキジル海瀑。
アルヴィンが待ってたのは知ってるので私だけ驚かなかった。
まったく、アルヴィンの嘘つきめ…裏切り者め…!
「サマンガン海停から、カラハ・シャール方面になるんじゃないか?」
「アルヴィン!どうしたの一体?!」
「あの巫子から頼まれたんだよ。三人じゃ心配だって。その上、仕事に見合った以上の報酬を貰っちまうのは矜持に反するしな」
「ふふ、そうか。心強いよ、アルヴィン」
「うん、ありがとう」
うわぁんもう騙されてるよ騙されちゃってるよ二人ともー!
とはいえ、またアルヴィンと行動できるのは嬉しい。だってイケメンだし!私面食いだもの!それにアルジュ萌えだし!
「んで?どんなご予定で?」
「まずハ・ミルに向かい、ラ・シュガル軍の動向を探ってみる」
「まだいたらだけどね」
「んじゃ、行きますか」
「はいはーい!アルヴィンが仕切るのに納得がいきませーん!ジュードくんが仕切るべきだと思いまーす!」
「優姫は先行って魔物退治してろ」
「あれ?!行きも同じこと言われた気がするあれ?!」
とりあえず、ジュードくんが笑ってたのでよしとします!
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