★番外編
DREAM
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※誰も死んでないハッピー時空
※兄探し中のどこか
「ゴンくん!お待たせ!」
とくにめかしこむわけでもなく、いつも通りのユウキが駆け足でゴンの元へやってきた。
おいおい、今日はデートなんだろうが。少しはゴンに意識してもらえるように服を大胆にしてみるとか、髪型を変えてみるとかあるだろう。いやデートとかしたことないから知らないけど。
しかしいつもと変わらないユウキに対して、ゴンはにこりと微笑んで。
「ユウキ、今日は良い香りがする。お花みたいだね」
「ひゅっ」
などとタラシ文句を口にするものだから、それを正面で受けたユウキと同じように照れた衝撃でひゅっと息を吸い込んでしまった。首を傾げるゴンに向かってユウキはどこかに祈りを捧げてから、ようやく二人並んで街中を歩きだした。
そんな二人を隠れてつけながら、なんでこうなったのか少し思い返してみよう。
『えー!キルアくんまだ好きな人とかいないの?ゴンくんじゃないの?』
『なっ、ご、ゴンはダチだっての!!大体オレらまだ12だぜ?そーいうの早いって』
『でもキルア、前にホテルのサービスチャンネルでムーディ?な番組見てたよね』
『コルアアアアア!!キルアくんのスケベ!!ゴンくんには見せてないよね?!』
『誘ったけど見ねえっていうから見せてねえよ!!』
『誘うな誘うな!!というかそういうの見ないの未成年!!』
などと、三人で飯を食べていた時に雑談をしていた。ゴンはオレらのやりとりににへらっと笑いながら相槌を打っていて、ふと何か気が付いたようにユウキに声をかけた。
『ユウキは好きな人いるの?』
『へっ?』
『恋人とかいたりした?それとも今いるの?』
『え、あ、えーっと』
その返しは予想していなかったらしい。見るからにわかりやすくあたふたした後、何かを決意したようにフッとかっこつけて笑った。
『私、大人ぞ?酸いも甘いも経験済よ。今は恋人より、兄探しが大事、ってとこかな』
(こいつ、見栄張りやがった!ゴンを失望させまいと大ぼら吹きやがった!)
あからさまな嘘に、ゴンだって気が付いているくせににこっと笑って、それならと言葉を続ける。
『オレ、デートしてみたいな。ユウキ、オレとデートしてよ』
という、ゴンらしい強引な誘いによって、今回二人のデートが行われているのだった。そしてどうにも気になりすぎたオレはその二人をこうやって尾行して観察しているのである。
ユウキは大人だし(嘘だが)経験豊富だと主張したせいか、ゴンを引っ張って街中デートをリードしているようだ。ゴンも嬉しそうについて回っている。なんだかんだ、お似合いに見えなくもない。
「うーん、困るなあ。ユウキはミルキのお嫁さんなんだけど」
「?!?!?!」
「こらキル。絶を怠らない。ユウキに気づかれるよ」
突然背後から聞こえた声に飛び上がるほど驚くが、肩を掴まれて動きを止められる。おそるおそる振り返ると、私服モードのイルミ、もとい兄貴がいつもの無表情でそこにいた。
「なっ、なんで兄貴がここにいんだよっ」
「近くで仕事があってね。そしたらキルが見えたから声をかけに来たんだよ。それにしても、どうしてあの二人がデートしてるんだい?まさか付き合ってたりしないよね?」
「あー、そういうんじゃないんだけど、ちょっとユウキが見栄張って引っ込みつかなくなったっつうか。……ちょっと待て。さっきなんつった?」
「?近くで仕事があって」
「その前!ミルキのお嫁さんって、あの豚くんの?!」
そうだよ、と兄貴は至極当然のように頷いた。いや、知らない知らない。友達だとはユウキの口から聞いたけど、嫁については初耳だぞ。
「ミルキも違うって否定するけど、顔が真っ赤だからあれは嘘だね。キルは家出してるから知らなかっただろうけど、彼女がお嫁さんなのは我が家では常識だよ」
「あいついつの間にそんなことになってたんだよ!いや、ミルキはともかくユウキの意思は反映されてんだろうなそれ?!」
「いつも否定はしてくるね。まあ照れ隠しだろうから気にしなくていいよ」
「そういうとこあるよなオレんちの家族って!!」
ユウキは色々厄介ごとを抱えていたりするが、まさかオレの家にも目をつけられているとは思わなかった。そういえば親父達とも仲良くしていると聞いたが、嫁認識だからだったのか。オレの家族が本当に迷惑をかけている。止めることはできないが、後で謝罪くらいはしておこう。
「とりあえず、ミルキのためにもあのデートを止めてくるね」
ショーウィンドウに飾られた雑貨を楽しそうに見ている二人に、兄貴が針を構えつつ向かおうとするので慌てて止める。何、と少しムスッとしたように振り返られるが、首をこれでもかってくらい横に振って駄目だと主張した。
「デートっていってるけど、別に付き合ってないし午前中で終わる予定なんだよ!そのあとはオレも合流して飯食って解散だから、今は邪魔しないでやってくれ!」
「そもそもなんでデートしてるの?」
「ユウキが一丁前に大人ぶって、それにゴンが悪乗りしたっつうか……」
「やっぱりゴン殺す?」
「殺させねえよ!!ただの友達の戯れだからマジでそっとしておいてくれよ!」
「わかったよ。キルに免じて今回は見逃すけど、次はないからね」
珍しく理解してくれたことに少し感動しつつ、これで一つ問題ごとが解決したと安堵するものの、この場から一向に動かない兄貴と並んで無言の時間が過ぎる。いや、ちょっと待て。
「……帰んないの?」
「見届けてから帰るよ。何かあったら即針しないとだし」
「あーもう!マジで何もしないでくれよ?!」
「うん」
というわけで、なぜか兄貴と二人で友達の疑似デートを尾行することになってしまいました。合流した後でめちゃくちゃ文句言ってやるからな。とくにユウキ。
結局、デートはとても無難なものだった。二人でショッピングをして、スイーツを食べて、手をつないで街中を歩く。ゴンも楽しそうだったけど、なによりユウキがいつもよりすごく楽しそうだったことに驚いた。
ゴンのことが好きで変態行為も辞さない彼女だが、これはまさか本気で恋愛的な意味で好きだったのだろうかと今の笑顔を見ていると思い直してしまいそうだ。しかし、隣の兄貴がとくに針を構える様子もなく、ただじっとユウキとゴンを見ているだけだったのがやけに不気味だった。
「ユウキ、今日は楽しかった?」
不意に、ゴンがユウキにそう話しかける声がはっきりと聞こえた。時間も正午を迎えようとしている。デートの時間はもうすぐ終わりだ。
そう問われたユウキは、楽しそうに笑ったまま「うん!」と元気よく頷いた。条件反射でそう答えたのだろう。すぐにハッとわかりやすく表情を固まらせて、すぐにクールぶった顔を作る。
「そ、そもそも今日はゴンくんにデート経験をさせるための時間だからね。ゴンくんこそ、大人のデートはどうだった?!」
「オレも楽しかったよ。ユウキと一緒だったからかな」
「……ゴンくん!!大人として注意しておくけど、そういう思わせぶりな発言は今後相手を選んで言うんだよ?!勘違いされるからね?!キルアくんにも言っておかないとダメかな……」
「でもオレ、本当にそう思ってるんだよ」
「ひゅっ……待ってゴンくん。刺激が強い。こんなのゴンくんの女が増える一方だよ。キルアくんに何とかしてもらうしかない。もうキルアくんしか頼れない」
勝手にオレに頼るな。まあオレもゴンのこのたらしの性格は不安なので、何とかするようにはしていくつもりだが。
どこか遠くを眺めるユウキの手を、ゴンがぎゅっと握る。
「ね、またオレとデートしてくれる?」
「す……するに決まってるでしょうがあああ!!うわあああ天使だよおおお!!ゴンくんは私が守る!!」
「あははっ、くすぐったいよ!」
どうやらいつもの二人に戻ったようだ。時刻が正午。デートの時間は終わりである。
「それじゃ、オレももう行くね」
結局兄貴は本当に何もしないまま見届けると、オレの頭をわしゃわしゃ撫でて去ろうとするので、つい気になって呼び止めてしまった。
「なあ兄貴。結構二人の雰囲気危うかったと思ったんだけど、なんで何もしなかったんだ?」
いやされると困るのだけど。兄貴は振り返り、オレ越しに二人を、いやもしかしたらユウキの方を見ていた。
「大人っていうけど、彼女はまだゴンよりも子供だよ。あの子はね、寂しいだけなんだ。小さな子供が愛情を注いでくれる大人になついているのと同じで、そこに家族愛はあっても恋愛的感情は生まれない。今回のデートでそれを確信したよ。だから何もしなかった」
「……そうかよ」
「それに、あの子供を大人にするのはミルキの役目だからね」
「……」
「別にいやらしい意味じゃないよ。キル、あまりそういう色事にうつつを抜かすのはやめなさい。肉体的にも精神的にもきちんと適切な時期があって」
「わああああ兄弟にそっち方面の説教されるのマジで恥ずいからやめてくれえええええ!!」
オレの考えを即座に見抜いてスケベもほどほどに、と注意してくる兄貴に思わず悲鳴を上げたら、デートを終えた二人に気づかれてしまったらしい。ああ!とユウキがこちらを指さしているのが視界の端に見えた。兄貴はそれじゃあね、とオレとおそらくユウキの方に向けて手をひらりと振ると、そのまま雑踏の中へ消えて行ってしまった。
「今のイルミさんだった?」
「キルア、大丈夫?何もされてない?」
「お、おう。平気。で、お前らもう満足したか?」
「もちのろんよ!さーてゴンくんに大人のデートを堪能してもらったということで、今度は三人で美味しいごはんを食べに行こう!バイキングとかどうよ?」
「いいね!ユウキのおすすめに連れて行ってよ!」
「まっかせなさい!それじゃあ二人ともいっくぞー!」
「おいっ腕引っ張んなって!」
あははっとゴンとユウキが笑っている。子供だとか大人だとか、きっといつかは考えないといけない時期が来るのだろうけど。
二人の無邪気な笑顔を見ていたら、今はいいかとオレも笑ってしまった。
「そういえばオレの家族が悪いな、ユウキ」
「ん?何の話……はっ、さてはイルミさん、キルアくんにも嫁の話したんだな?!いやほんと、あれはゾルディック家の人達の勘違いであって、私とミルキくんはそういう関係じゃないからね?!というか、ミルキくんが困っちゃうからマジでやめてあげてね?!」
「困るのはそっちだけなの?ユウキは困らないの?」
「ええ?!わ、私は困るというか、まだそういうのわからないというか……そもそもミルキくんは友達だしなあ。もー私のことはいいんだよ!ほら食べに行くよ!あと今度イルミさんに会ったら誤解ですって言っておいてね!」
「言っても聞かねえのわかってんだろ……」
「はい……」
「大変だねユウキ……」
※兄探し中のどこか
「ゴンくん!お待たせ!」
とくにめかしこむわけでもなく、いつも通りのユウキが駆け足でゴンの元へやってきた。
おいおい、今日はデートなんだろうが。少しはゴンに意識してもらえるように服を大胆にしてみるとか、髪型を変えてみるとかあるだろう。いやデートとかしたことないから知らないけど。
しかしいつもと変わらないユウキに対して、ゴンはにこりと微笑んで。
「ユウキ、今日は良い香りがする。お花みたいだね」
「ひゅっ」
などとタラシ文句を口にするものだから、それを正面で受けたユウキと同じように照れた衝撃でひゅっと息を吸い込んでしまった。首を傾げるゴンに向かってユウキはどこかに祈りを捧げてから、ようやく二人並んで街中を歩きだした。
そんな二人を隠れてつけながら、なんでこうなったのか少し思い返してみよう。
『えー!キルアくんまだ好きな人とかいないの?ゴンくんじゃないの?』
『なっ、ご、ゴンはダチだっての!!大体オレらまだ12だぜ?そーいうの早いって』
『でもキルア、前にホテルのサービスチャンネルでムーディ?な番組見てたよね』
『コルアアアアア!!キルアくんのスケベ!!ゴンくんには見せてないよね?!』
『誘ったけど見ねえっていうから見せてねえよ!!』
『誘うな誘うな!!というかそういうの見ないの未成年!!』
などと、三人で飯を食べていた時に雑談をしていた。ゴンはオレらのやりとりににへらっと笑いながら相槌を打っていて、ふと何か気が付いたようにユウキに声をかけた。
『ユウキは好きな人いるの?』
『へっ?』
『恋人とかいたりした?それとも今いるの?』
『え、あ、えーっと』
その返しは予想していなかったらしい。見るからにわかりやすくあたふたした後、何かを決意したようにフッとかっこつけて笑った。
『私、大人ぞ?酸いも甘いも経験済よ。今は恋人より、兄探しが大事、ってとこかな』
(こいつ、見栄張りやがった!ゴンを失望させまいと大ぼら吹きやがった!)
あからさまな嘘に、ゴンだって気が付いているくせににこっと笑って、それならと言葉を続ける。
『オレ、デートしてみたいな。ユウキ、オレとデートしてよ』
という、ゴンらしい強引な誘いによって、今回二人のデートが行われているのだった。そしてどうにも気になりすぎたオレはその二人をこうやって尾行して観察しているのである。
ユウキは大人だし(嘘だが)経験豊富だと主張したせいか、ゴンを引っ張って街中デートをリードしているようだ。ゴンも嬉しそうについて回っている。なんだかんだ、お似合いに見えなくもない。
「うーん、困るなあ。ユウキはミルキのお嫁さんなんだけど」
「?!?!?!」
「こらキル。絶を怠らない。ユウキに気づかれるよ」
突然背後から聞こえた声に飛び上がるほど驚くが、肩を掴まれて動きを止められる。おそるおそる振り返ると、私服モードのイルミ、もとい兄貴がいつもの無表情でそこにいた。
「なっ、なんで兄貴がここにいんだよっ」
「近くで仕事があってね。そしたらキルが見えたから声をかけに来たんだよ。それにしても、どうしてあの二人がデートしてるんだい?まさか付き合ってたりしないよね?」
「あー、そういうんじゃないんだけど、ちょっとユウキが見栄張って引っ込みつかなくなったっつうか。……ちょっと待て。さっきなんつった?」
「?近くで仕事があって」
「その前!ミルキのお嫁さんって、あの豚くんの?!」
そうだよ、と兄貴は至極当然のように頷いた。いや、知らない知らない。友達だとはユウキの口から聞いたけど、嫁については初耳だぞ。
「ミルキも違うって否定するけど、顔が真っ赤だからあれは嘘だね。キルは家出してるから知らなかっただろうけど、彼女がお嫁さんなのは我が家では常識だよ」
「あいついつの間にそんなことになってたんだよ!いや、ミルキはともかくユウキの意思は反映されてんだろうなそれ?!」
「いつも否定はしてくるね。まあ照れ隠しだろうから気にしなくていいよ」
「そういうとこあるよなオレんちの家族って!!」
ユウキは色々厄介ごとを抱えていたりするが、まさかオレの家にも目をつけられているとは思わなかった。そういえば親父達とも仲良くしていると聞いたが、嫁認識だからだったのか。オレの家族が本当に迷惑をかけている。止めることはできないが、後で謝罪くらいはしておこう。
「とりあえず、ミルキのためにもあのデートを止めてくるね」
ショーウィンドウに飾られた雑貨を楽しそうに見ている二人に、兄貴が針を構えつつ向かおうとするので慌てて止める。何、と少しムスッとしたように振り返られるが、首をこれでもかってくらい横に振って駄目だと主張した。
「デートっていってるけど、別に付き合ってないし午前中で終わる予定なんだよ!そのあとはオレも合流して飯食って解散だから、今は邪魔しないでやってくれ!」
「そもそもなんでデートしてるの?」
「ユウキが一丁前に大人ぶって、それにゴンが悪乗りしたっつうか……」
「やっぱりゴン殺す?」
「殺させねえよ!!ただの友達の戯れだからマジでそっとしておいてくれよ!」
「わかったよ。キルに免じて今回は見逃すけど、次はないからね」
珍しく理解してくれたことに少し感動しつつ、これで一つ問題ごとが解決したと安堵するものの、この場から一向に動かない兄貴と並んで無言の時間が過ぎる。いや、ちょっと待て。
「……帰んないの?」
「見届けてから帰るよ。何かあったら即針しないとだし」
「あーもう!マジで何もしないでくれよ?!」
「うん」
というわけで、なぜか兄貴と二人で友達の疑似デートを尾行することになってしまいました。合流した後でめちゃくちゃ文句言ってやるからな。とくにユウキ。
結局、デートはとても無難なものだった。二人でショッピングをして、スイーツを食べて、手をつないで街中を歩く。ゴンも楽しそうだったけど、なによりユウキがいつもよりすごく楽しそうだったことに驚いた。
ゴンのことが好きで変態行為も辞さない彼女だが、これはまさか本気で恋愛的な意味で好きだったのだろうかと今の笑顔を見ていると思い直してしまいそうだ。しかし、隣の兄貴がとくに針を構える様子もなく、ただじっとユウキとゴンを見ているだけだったのがやけに不気味だった。
「ユウキ、今日は楽しかった?」
不意に、ゴンがユウキにそう話しかける声がはっきりと聞こえた。時間も正午を迎えようとしている。デートの時間はもうすぐ終わりだ。
そう問われたユウキは、楽しそうに笑ったまま「うん!」と元気よく頷いた。条件反射でそう答えたのだろう。すぐにハッとわかりやすく表情を固まらせて、すぐにクールぶった顔を作る。
「そ、そもそも今日はゴンくんにデート経験をさせるための時間だからね。ゴンくんこそ、大人のデートはどうだった?!」
「オレも楽しかったよ。ユウキと一緒だったからかな」
「……ゴンくん!!大人として注意しておくけど、そういう思わせぶりな発言は今後相手を選んで言うんだよ?!勘違いされるからね?!キルアくんにも言っておかないとダメかな……」
「でもオレ、本当にそう思ってるんだよ」
「ひゅっ……待ってゴンくん。刺激が強い。こんなのゴンくんの女が増える一方だよ。キルアくんに何とかしてもらうしかない。もうキルアくんしか頼れない」
勝手にオレに頼るな。まあオレもゴンのこのたらしの性格は不安なので、何とかするようにはしていくつもりだが。
どこか遠くを眺めるユウキの手を、ゴンがぎゅっと握る。
「ね、またオレとデートしてくれる?」
「す……するに決まってるでしょうがあああ!!うわあああ天使だよおおお!!ゴンくんは私が守る!!」
「あははっ、くすぐったいよ!」
どうやらいつもの二人に戻ったようだ。時刻が正午。デートの時間は終わりである。
「それじゃ、オレももう行くね」
結局兄貴は本当に何もしないまま見届けると、オレの頭をわしゃわしゃ撫でて去ろうとするので、つい気になって呼び止めてしまった。
「なあ兄貴。結構二人の雰囲気危うかったと思ったんだけど、なんで何もしなかったんだ?」
いやされると困るのだけど。兄貴は振り返り、オレ越しに二人を、いやもしかしたらユウキの方を見ていた。
「大人っていうけど、彼女はまだゴンよりも子供だよ。あの子はね、寂しいだけなんだ。小さな子供が愛情を注いでくれる大人になついているのと同じで、そこに家族愛はあっても恋愛的感情は生まれない。今回のデートでそれを確信したよ。だから何もしなかった」
「……そうかよ」
「それに、あの子供を大人にするのはミルキの役目だからね」
「……」
「別にいやらしい意味じゃないよ。キル、あまりそういう色事にうつつを抜かすのはやめなさい。肉体的にも精神的にもきちんと適切な時期があって」
「わああああ兄弟にそっち方面の説教されるのマジで恥ずいからやめてくれえええええ!!」
オレの考えを即座に見抜いてスケベもほどほどに、と注意してくる兄貴に思わず悲鳴を上げたら、デートを終えた二人に気づかれてしまったらしい。ああ!とユウキがこちらを指さしているのが視界の端に見えた。兄貴はそれじゃあね、とオレとおそらくユウキの方に向けて手をひらりと振ると、そのまま雑踏の中へ消えて行ってしまった。
「今のイルミさんだった?」
「キルア、大丈夫?何もされてない?」
「お、おう。平気。で、お前らもう満足したか?」
「もちのろんよ!さーてゴンくんに大人のデートを堪能してもらったということで、今度は三人で美味しいごはんを食べに行こう!バイキングとかどうよ?」
「いいね!ユウキのおすすめに連れて行ってよ!」
「まっかせなさい!それじゃあ二人ともいっくぞー!」
「おいっ腕引っ張んなって!」
あははっとゴンとユウキが笑っている。子供だとか大人だとか、きっといつかは考えないといけない時期が来るのだろうけど。
二人の無邪気な笑顔を見ていたら、今はいいかとオレも笑ってしまった。
「そういえばオレの家族が悪いな、ユウキ」
「ん?何の話……はっ、さてはイルミさん、キルアくんにも嫁の話したんだな?!いやほんと、あれはゾルディック家の人達の勘違いであって、私とミルキくんはそういう関係じゃないからね?!というか、ミルキくんが困っちゃうからマジでやめてあげてね?!」
「困るのはそっちだけなの?ユウキは困らないの?」
「ええ?!わ、私は困るというか、まだそういうのわからないというか……そもそもミルキくんは友達だしなあ。もー私のことはいいんだよ!ほら食べに行くよ!あと今度イルミさんに会ったら誤解ですって言っておいてね!」
「言っても聞かねえのわかってんだろ……」
「はい……」
「大変だねユウキ……」