★番外編
DREAM
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※誰も死んでないハッピー時空
※兄探し中
「あ」
なんて、間抜けな声が出てしまった。体は屋上のフェンスを越えている。飛び降りようとした人は、大丈夫だろうか。
今にも落ちてしまいそうな人を引き止めようと腕を引いたら、勢いがついて入れ替わるようになってしまった。屋上を見ると、飛び降りようとした人は、顔面蒼白ではあったが無事に床にへたり込んでいた。ああ、よかった。
「全く良くないよね。出来もしないことをするのは、義兄としては感心しないよ」
意識が遠のく前に、そんな声を聞いた気がした。
仕事のターゲットを適当に追い詰めて、さっさと殺して帰ろうと思っていたのだが、予想より生き汚く部下達を盾にして屋上まで逃げられた。さっさと殺そうと屋上まで行くと、あろうことかそこにはミルキの嫁であるユウキがいた。
屋上のフェンスを乗り越えた男に、生きていればいいことありますよ!と必死になって説得している。おそらくその男は、飛び降りるためではなく壁伝いに下に降りようとしていただけだ。しかし、ユウキには死のうとしているように見えてしまい、急いでここまで登ってきたのだろう。オレより早いなんて、どんな経路でここまで来たのだろうか。
抵抗する男の腕を思い切り引っ張って、内側へ連れ戻す事には成功したものの、代わりにユウキが屋上から落ちてしまった。全く、本当に面倒だ。
馬鹿な女だと引き笑いをしているターゲットを針で刺して殺してから、屋上から自分も飛び降りた。壁を蹴って勢いをつけて、落ちる彼女に追いつき身体を抱える。どうやら気絶しているらしい。
(さて、どうしようかな。この子、保護者がいないんだっけ。クロロ……は面倒だからやめとくか)
仕方ない、と適当な壁を走り、人目を避けて移動する事にした。
なんか、ふかふかしてる。
ぼんやりと覚醒しながら、最初に感じた感触はそれだった。ふかふか。羽毛布団かな。私いつの間にホテルに戻ってきたっけ。いや、待てよ。私が滞在してるホテル、ここまでふかふかの布団じゃなかったな。じゃあ、ここどこだ?
「目が覚めた?混乱してるっぽいから説明すると、キミの泊まってるホテル分からなかったから、オレが使ってるホテルに運んだんだよ」
「……イルミさん?」
「そ。キミはミルキの嫁なんだから、家に入る前に死ぬような真似はやめてよね」
「寝起きにツッコミするの難しいんでお手柔らかに頼みます……ふおおおおお?!風呂上がりでした?!すみません見てませんのでお着替えどうぞ!!」
寝転んだまま首だけを動かして声のした方を見ると、ミルキくんのお兄さんであるイルミさんがいた。それはまあいい。問題は格好である。風呂上がりらしく腰にタオルを巻いており、長いキューティクルな黒髪は水が滴っている。身につけているのは、今言った腰タオルだけだ。
現状把握もしたいところだが、お着替えを覗く趣味はない。いや少し見てみたい気もするけど、ミルキくんから『イル兄には変態な目向けんなよ。殺されるぞ』と脅されているので我慢してギュッと目を瞑った。
「シャワー浴びたばっかりだし、着込む気はないよ。まあバスローブは羽織らせてもらうけど」
「お手数おかけします!!」
「ユウキもシャワー浴びてきたら?」
「えっ、いやそこまでお世話になるわけには」
「キミの服、汚かったからルームサービスで洗濯に出してるんだ。気付いてない?キミ、今下着しか着てないよ」
「!!わきゃああああ?!」
起き上がったと同時にそう言われて、タイミング良く布団がパサリと落ちる。露わになる上半身は、たしかにブラしかしてなかった。思わずわーっと叫びつつ、布団を捲り下半身を見るとこちらもパンツしか履いてなかった。
「私の服そんなに汚れてました?!」
「(あの男と絡んでた時についた血が服にあったから、とりあえず全部脱がせて洗濯に回しただけだけど、説明面倒だな)……うん、汚かった」
「ひいいいん!!たしかに最近ランドリー使えてなかったもんなぁ!!重ねてお手数おかけしました!」
「ほら、風邪ひくから早くシャワー浴びてきて」
「はい!行ってきます!」
今度からもう少し身嗜みに気を使わないと、と決意して、布団から出た私はシャワールームへ直行するのだった。
シャワーを出て、置いてあったバスローブを羽織りそろりと部屋に戻ると、イルミさんが鞄の整理をしていた。なんだか針がたくさん入っている。もしかして仕事道具か、と思うとあまり見てはいけない気がして、目を逸らしつつ椅子に腰掛けた。
「別に見られて困るものはないから気にしなくていいよ」
「わあっ?!あ、そ、そうなんですね……」
いやでも、仕事道具イコール暗殺稼業の道具だから、やはりあまり見ない方がいいだろう。そう思ってイルミさんの方を見ると、まだ髪が濡れている。もしかして髪を拭いていないのだろうか。
「イルミさん、髪濡れてますよ」
「んー、そう?放っておけばそのうち乾くでしょ」
「あ、じゃあ私助けてもらったお礼に髪拭きますよ!」
「……まあいいけど」
「やった!イルミさんの髪すごく綺麗だから気になってたんだ!それでは、失礼しまーす!」
長髪だから小さめのタオルではダメだろうと、バスタオルを持ってくる。ベッドに乗り上げ、イルミさんの後ろに周り髪を触らせてもらう。バスタオルである程度水気を吸い取ったら、ドライヤーを当てながら櫛でといて乾かしていく。いや、サラッサラ。世の女性達が羨むサラサラ具合だ。
「イルミさんはミルキくんと同じ髪色なんですね」
「そうだね。カルトも同じ、母さんの遺伝かな」
「あーたしかに!じゃあキルアくんはシルバさんの髪色が遺伝したんですね。へへ、いいなあ家族って」
父も母も、兄すら覚えていない私には家族というものを知らないも当然だった。わかるのは、家族がいたという事実だけ。何を話して、何をして過ごしたのか、思い出が何一つない。
両親は死んだと行商人のおじさんが言っていた。だから、私の家族は名前しかわからない顔も知らない兄だけだ。早く、会いたい。家族というものを、私も感じたい。それはきっと、寂しいからだった。
そんな感じでセンチになっていたら、イルミさんが呆れたように息を吐いた。
「何他人事みたいに言ってるの。ユウキはミルキと結婚するんだから、オレ達と家族になるんだよ」
「いや結婚しないですからね?!」
家族になるという言葉に、少しだけ、ほんの少しだけ心惹かれそうになったけども!!
すやすやと、無防備に眠る少女を見下ろす。オレの髪を乾かし終えると、糸が切れたようにパタリとベッドに倒れ、そのまま眠ってしまった。
(男がいるベッドにバスローブ一枚で寝るなって注意するようにクロロに言っておくか)
あくまで自称兄だが、唯一保護者に近いのはあの男だろう。そのことを言えば甘ったるい笑顔で喜ぶだろうから言わないが。しかし、話に聞いていた少女がまさかクロロにまで気に入られているとは思わなかった。
あの偏屈なミルキが部屋にまで入れる少女。母さん達も気に入っていて、ミルキの嫁だと話していた少女は、いざ会ってみたらあまりにも善人で驚いた。
自己犠牲に躊躇のない善人な彼女は、今日みたいなことをずっと繰り返して生きてきたのだろうか。たまたま生き残っていただけで、目を離した隙に死んでしまいそうな脆さがある。なんとなく、それは面白くないと感じた。
「もしミルキと結婚しないのなら、その時はオレが貰ってあげてもいいよ、ユウキ」
なんて、オレらしくもない言葉を気持ち良さそうに眠る少女へ投げかけてから、オレもその隣で眠る事にした。朝、ユウキが先に起きたらいつものように騒ぐんだろうな、なんて少し期待しながら。
翌朝。
「わきゃああああ!!昨日寝落ちしてたと思ったら黒髪サラサラロングヘアーのイケメンが隣で寝てるううう!!」
「……予想の十倍はうるさかった」
「何の話です?!」
※兄探し中
「あ」
なんて、間抜けな声が出てしまった。体は屋上のフェンスを越えている。飛び降りようとした人は、大丈夫だろうか。
今にも落ちてしまいそうな人を引き止めようと腕を引いたら、勢いがついて入れ替わるようになってしまった。屋上を見ると、飛び降りようとした人は、顔面蒼白ではあったが無事に床にへたり込んでいた。ああ、よかった。
「全く良くないよね。出来もしないことをするのは、義兄としては感心しないよ」
意識が遠のく前に、そんな声を聞いた気がした。
仕事のターゲットを適当に追い詰めて、さっさと殺して帰ろうと思っていたのだが、予想より生き汚く部下達を盾にして屋上まで逃げられた。さっさと殺そうと屋上まで行くと、あろうことかそこにはミルキの嫁であるユウキがいた。
屋上のフェンスを乗り越えた男に、生きていればいいことありますよ!と必死になって説得している。おそらくその男は、飛び降りるためではなく壁伝いに下に降りようとしていただけだ。しかし、ユウキには死のうとしているように見えてしまい、急いでここまで登ってきたのだろう。オレより早いなんて、どんな経路でここまで来たのだろうか。
抵抗する男の腕を思い切り引っ張って、内側へ連れ戻す事には成功したものの、代わりにユウキが屋上から落ちてしまった。全く、本当に面倒だ。
馬鹿な女だと引き笑いをしているターゲットを針で刺して殺してから、屋上から自分も飛び降りた。壁を蹴って勢いをつけて、落ちる彼女に追いつき身体を抱える。どうやら気絶しているらしい。
(さて、どうしようかな。この子、保護者がいないんだっけ。クロロ……は面倒だからやめとくか)
仕方ない、と適当な壁を走り、人目を避けて移動する事にした。
なんか、ふかふかしてる。
ぼんやりと覚醒しながら、最初に感じた感触はそれだった。ふかふか。羽毛布団かな。私いつの間にホテルに戻ってきたっけ。いや、待てよ。私が滞在してるホテル、ここまでふかふかの布団じゃなかったな。じゃあ、ここどこだ?
「目が覚めた?混乱してるっぽいから説明すると、キミの泊まってるホテル分からなかったから、オレが使ってるホテルに運んだんだよ」
「……イルミさん?」
「そ。キミはミルキの嫁なんだから、家に入る前に死ぬような真似はやめてよね」
「寝起きにツッコミするの難しいんでお手柔らかに頼みます……ふおおおおお?!風呂上がりでした?!すみません見てませんのでお着替えどうぞ!!」
寝転んだまま首だけを動かして声のした方を見ると、ミルキくんのお兄さんであるイルミさんがいた。それはまあいい。問題は格好である。風呂上がりらしく腰にタオルを巻いており、長いキューティクルな黒髪は水が滴っている。身につけているのは、今言った腰タオルだけだ。
現状把握もしたいところだが、お着替えを覗く趣味はない。いや少し見てみたい気もするけど、ミルキくんから『イル兄には変態な目向けんなよ。殺されるぞ』と脅されているので我慢してギュッと目を瞑った。
「シャワー浴びたばっかりだし、着込む気はないよ。まあバスローブは羽織らせてもらうけど」
「お手数おかけします!!」
「ユウキもシャワー浴びてきたら?」
「えっ、いやそこまでお世話になるわけには」
「キミの服、汚かったからルームサービスで洗濯に出してるんだ。気付いてない?キミ、今下着しか着てないよ」
「!!わきゃああああ?!」
起き上がったと同時にそう言われて、タイミング良く布団がパサリと落ちる。露わになる上半身は、たしかにブラしかしてなかった。思わずわーっと叫びつつ、布団を捲り下半身を見るとこちらもパンツしか履いてなかった。
「私の服そんなに汚れてました?!」
「(あの男と絡んでた時についた血が服にあったから、とりあえず全部脱がせて洗濯に回しただけだけど、説明面倒だな)……うん、汚かった」
「ひいいいん!!たしかに最近ランドリー使えてなかったもんなぁ!!重ねてお手数おかけしました!」
「ほら、風邪ひくから早くシャワー浴びてきて」
「はい!行ってきます!」
今度からもう少し身嗜みに気を使わないと、と決意して、布団から出た私はシャワールームへ直行するのだった。
シャワーを出て、置いてあったバスローブを羽織りそろりと部屋に戻ると、イルミさんが鞄の整理をしていた。なんだか針がたくさん入っている。もしかして仕事道具か、と思うとあまり見てはいけない気がして、目を逸らしつつ椅子に腰掛けた。
「別に見られて困るものはないから気にしなくていいよ」
「わあっ?!あ、そ、そうなんですね……」
いやでも、仕事道具イコール暗殺稼業の道具だから、やはりあまり見ない方がいいだろう。そう思ってイルミさんの方を見ると、まだ髪が濡れている。もしかして髪を拭いていないのだろうか。
「イルミさん、髪濡れてますよ」
「んー、そう?放っておけばそのうち乾くでしょ」
「あ、じゃあ私助けてもらったお礼に髪拭きますよ!」
「……まあいいけど」
「やった!イルミさんの髪すごく綺麗だから気になってたんだ!それでは、失礼しまーす!」
長髪だから小さめのタオルではダメだろうと、バスタオルを持ってくる。ベッドに乗り上げ、イルミさんの後ろに周り髪を触らせてもらう。バスタオルである程度水気を吸い取ったら、ドライヤーを当てながら櫛でといて乾かしていく。いや、サラッサラ。世の女性達が羨むサラサラ具合だ。
「イルミさんはミルキくんと同じ髪色なんですね」
「そうだね。カルトも同じ、母さんの遺伝かな」
「あーたしかに!じゃあキルアくんはシルバさんの髪色が遺伝したんですね。へへ、いいなあ家族って」
父も母も、兄すら覚えていない私には家族というものを知らないも当然だった。わかるのは、家族がいたという事実だけ。何を話して、何をして過ごしたのか、思い出が何一つない。
両親は死んだと行商人のおじさんが言っていた。だから、私の家族は名前しかわからない顔も知らない兄だけだ。早く、会いたい。家族というものを、私も感じたい。それはきっと、寂しいからだった。
そんな感じでセンチになっていたら、イルミさんが呆れたように息を吐いた。
「何他人事みたいに言ってるの。ユウキはミルキと結婚するんだから、オレ達と家族になるんだよ」
「いや結婚しないですからね?!」
家族になるという言葉に、少しだけ、ほんの少しだけ心惹かれそうになったけども!!
すやすやと、無防備に眠る少女を見下ろす。オレの髪を乾かし終えると、糸が切れたようにパタリとベッドに倒れ、そのまま眠ってしまった。
(男がいるベッドにバスローブ一枚で寝るなって注意するようにクロロに言っておくか)
あくまで自称兄だが、唯一保護者に近いのはあの男だろう。そのことを言えば甘ったるい笑顔で喜ぶだろうから言わないが。しかし、話に聞いていた少女がまさかクロロにまで気に入られているとは思わなかった。
あの偏屈なミルキが部屋にまで入れる少女。母さん達も気に入っていて、ミルキの嫁だと話していた少女は、いざ会ってみたらあまりにも善人で驚いた。
自己犠牲に躊躇のない善人な彼女は、今日みたいなことをずっと繰り返して生きてきたのだろうか。たまたま生き残っていただけで、目を離した隙に死んでしまいそうな脆さがある。なんとなく、それは面白くないと感じた。
「もしミルキと結婚しないのなら、その時はオレが貰ってあげてもいいよ、ユウキ」
なんて、オレらしくもない言葉を気持ち良さそうに眠る少女へ投げかけてから、オレもその隣で眠る事にした。朝、ユウキが先に起きたらいつものように騒ぐんだろうな、なんて少し期待しながら。
翌朝。
「わきゃああああ!!昨日寝落ちしてたと思ったら黒髪サラサラロングヘアーのイケメンが隣で寝てるううう!!」
「……予想の十倍はうるさかった」
「何の話です?!」