★番外編
DREAM
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※誰も死んでないハッピー時空
※兄探し中
※ソシャゲのカジノ潜入verに心躍った結果
今日も今日とて、我が幻影旅団は盗みを働いている。本日の目当てはカジノの隠し金庫に保管されているというお宝だ。
カジノに潜入するとして団長による選抜が行われ、団長、オレ、フィンクス、パクノダ、シズク、マチの六人で向かうことになった。衣装もすでに団長が用意していて、全員カジノの客に見える風貌に様変わりしていた。
女性陣は髪型も合わせると言って化粧室へ向かったので、男性陣はそれをカジノ近くのオープンテラスで適当に飲みながら待つことになった。
「女ってのは面倒だなぁ」
「身だしなみを整えるのは良いことだぞ」
「そうだよ、フィンクス。団長だっていざってときはオールバックにして気合い入れてるじゃん。あれと一緒」
「あー、あれかぁ」
「あれっていうな……ん?」
ふと団長が道路を挟んだ向かいの通りを凝視した。つられてオレ達も見ると、そこには見慣れた女の子の姿があり、ああと納得する。
団長のお気に入りの妹(仮)、ユウキである。彼女はオレ達のことを神出鬼没というが、彼女も大概だと思っている。それにしても、なんだか嫌な予感がするなぁ。
彼女はオレ達に気が付かないまま、隣を歩く男ににこやかに話しかけているように見えた。いや待って、あれって。
「ヒソカじゃねえか!なんだってユウキと一緒にいやがんだ!」
「ていうか、二人とも服がいつもと違うよね?あれって、もしかしてさ」
「……目的はカジノか」
場所に似合うようにか、ヒソカは髪を下ろして高そうなスーツを着こなしており、ユウキは背中の空いた少し露出の高い赤いドレスを身に纏っている。腕も、見れば胸元も大きく開いている。これは、まずいぞ。何がまずいって、隣にいる過保護な自称兄だ。
案の定、すでに殺意がダダ漏れている。これだけのオーラ、ヒソカのところまで絶対に届いているはず。
緩やかに、ヒソカが視線だけをこちらへ向けた。オレ達の姿を視界に入れ、ニンマリと悪い笑みを浮かべたように見える。確信犯だ。
ヒソカの視線に気がついたのか、ユウキがその先を追おうとするが、ヒソカがユウキの肩を抱いて顔を覗き込む仕草でオレ達を視界に入れないようにした。その角度は、まるでキスをしているようで。
ふーっと、団長が息を吐き出して、そして立ち上がった。
「よし、殺してくる」
「待って待って!マジで待って!ほらマチ達も戻ってきたから目的地に向かおう!そこでサッと盗んでユウキと合流して、ヒソカから引き離せばいいんだからさ!」
「ユウキの前では良い兄さん(仮)でいてぇんだろ?!」
「………………」
とくに何も起きていないユウキ達はそのまま歩いていってしまい、それを見えなくなるまで無言で見届ける団長はいつになく怖かった。案の定、戻ってきた女性陣がこの短い間に何があったの団長、と首を傾げていた。
「ほんとユウキって物怖じしないわよね。ヒソカ相手に無防備なのは注意しないと」
カジノへ潜入後、ビリヤード台を担当しているパクノダが周囲を見渡しながらため息を吐いた。相手として対戦しているオレも同じように思うので、うんうんと頷く。視界の先には、ユウキがヒソカと並んでスロットを楽しんでいる姿がある。団長もどこかで殺意満々でこの光景を見ているのだろう。
「ところで、目当ての物の場所はわかった?」
「ええ、さっきドリンクを運んでるシズクとフィンクスに伝えたわ。マチと団長に上手く伝えられてるといいんだけど、どうかしら。とりあえず私はここでユウキのこと見ておくから、団長達の方は任せるわよ」
「オレもこっちの観察がいいなぁ。団長止めるの大変なんだよ」
「……そうね」
はぁ、とパクと二人でまたため息を吐いてしまった。ヒソカは分かっていてあえて団長をからかっているし、ほんとあいつどうしてやろうか。
仕方ないから団長達と合流するかー、と最後にユウキの方をチラリと見ると、彼女の目の前のスロット台が軽快な音を立てながらコインを滝のように流していて、立ち止まって二度見してしまった。オレの様子にパクは首を傾げてから、ユウキの方を見て同じように目を見開いて驚いている。慌ててビリヤード台から離れて、パクと二人でユウキの近くへ行って周囲の声を聞いてみることにした。
本当にこの子、面白いなぁ。
と、数回のスロットでジャックポットを出してコインが滝のように流れるのを見ていた。ユウキは大当たりの度合いがわかっておらず、ボクを振り返りながら「やったー!当たったんだよねこれ!いっぱいコイン出てる!」なんて無邪気にはしゃいでいる。
やがてスロットが停止し、ユウキが首を傾げていたら、従業員であろう青年が拍手とともにこちらへやってきた。
「お客様、大当たりおめでとうございます。しばし準備がありますので、別室にてお待ちいただけますか」
「へ?あ、はーい!何の準備なんだろうね、ヒソカ」
「ふふ、なんだろうねぇ」
「いや絶対知ってる顔してんじゃん!」
店にもよるのだろうが、基本的にジャックポット然り大当たりが出た場合は、そのマシンに不正や異常がなかったか検査が行われる。そして何もなかった場合、正当な当選者として小切手への記名、記念写真を撮られたりするのが流れだ。
今回は彼女が豪運の持ち主だっただけで不正などは一切ないので正当な当選者の扱いになるはずだが、たしかこのカジノは裏で色々と悪どい事をやっていると噂を聞いている。ボクは用事があるからとボイコットしたけれど、団長達の今回の盗みの狙いはカジノが隠し持っている裏ルートで流れていたお宝だ。
これだけ真っ黒な連中のカジノで、ジャックポットなんて大当たりが出るような設定の台は一つもありはしないのだ。それを、彼女は当ててしまった。この後のことは予想はつく。彼女は不正を行ったとして、殺されるか金稼ぎに使われるかどちらかだ。
デッドオアアライブな状況だとは露知らず、ユウキは通された部屋のソファに座りながらキョロキョロと部屋の中を観察していた。
「広い部屋だなー。しかも置いてあるの全部高そう。カジノってすごい」
「子供の感想だね」
「んなっ!!む、無知のものにはみんなこうなるっての!くっそー、年齢少ししか変わんないのになんでヒソカって大人っぽいのかなー!くやしー!」
「ところでさ、どうしてボクを誘ったの?カジノに来たかったならクロロでもよかったじゃない」
「いや、クロロさんはダメ。だってね、クロロさん、私の事めちゃくちゃ子供扱いするんだよ!!」
ああ、と納得する。実際には子供扱いではなく妹扱いなのだけど、ユウキには不満らしい。
「そりゃあさ、クロロさんは年上で大人で、劇団の団長なんてすごい事やってる人だけどさ。私だってもう大人だし、一人旅だってやってきたし、大人っぽい遊びをしたり服を着たりできるわけだよ!なのに、この間セクシーなドレス見てたら『お前にはまだ早い』だって!胸か!胸が足りんのか!」
「ブフッ……ふ、ふふ……たしかにいつもの服だと小さく見えるしね……」
「なんだとお!!」
「けど、今日は違うでしょ?わざわざ店の人に胸が大きく見えるドレスをって注文したんだし。なんでそんな変な注文するのかなって思ってたけど、ふふ、団長に見せるためだったんだね」
「え?……えっ?!あ、そうなるのか?!わ、わあ……意識したら恥ずかしくなってきた……」
「記念写真撮って団長に見せてあげなきゃね」
「わあーっ!恥ずかしいからやめてええええ!!」
主に胸を隠すように両腕で自分の体を覆うので、面白くなってその腕を簡単に掴んで剥がすと、顕になった胸元から上を携帯のカメラ機能でパシャリと撮ってやる。一枚撮るごとに悲鳴を上げるのがまた面白い。
「はなせえええヒソカの変態いいいい!!すけべええええ!!」
「そういう色気のないところが子供っぽいって言われるんだよユウキ」
「んなあ!!…………ヒソカの、えっち」
悩んだ末に、絞り出したのがこれである。子供っぽい言い回しではあるが、先程よりは格段に男を煽る台詞だ。及第点だよ、と笑ってやろうと思ったが、タイムリミットが来てしまった。
ボクの頭目掛けてナイフが飛んでくるのを素早く避けて、ユウキに見えないようにそれをドッキリテクスチャーで隠す。面白いものを見たので、団長へのサービスだ。
案の定ユウキにはボクが突然飛び退いたようにしか見えず、へっと惚けた声をあげていた。
「どしたのヒソカ」
「ユウキ」
「んえええ?!く、クロロさん!!」
「…………」
素早くソファへ近付きユウキの体を起こすと、団長が無言でジッと上から下まで舐め回すように見つめる。また子供扱いされる、とユウキがムスッとした顔で団長を上目遣いで睨む姿を見て、また男を煽る態度をしてるなぁと笑った。
「どうせ私にはこんなセクシーな服似合わないよ。けど、私だって着てみたいし、カジノとか大人っぽい遊びもしてみたいし!」
「……いや、すごく似合っている。ユウキも大人なんだと実感させられていた」
「そうそう大人……えっ?!ほ、ほんと?!大人っぽい?!」
「ああ、綺麗だよ」
うわあ、甘い声だ。
砂を吐きそうなくらい甘い返しをした団長に、一介の女ならコロリと懸想するのだろうと思うが、相手はユウキである。大人と褒められたことに喜びが勝り、子供のように破顔していた。
「やったあ!!やっぱり胸なんだね?!」
「ゴフッ……ま、待てユウキ、なんて?」
「だから胸だよ胸!これまで子供っぽかったのはやっぱり胸が小さく見える服だったからなんだよね。でもほら!今回は胸が大きく見えるドレスを注文したんだよ!大きく見えるよね?!やっぱり大きな胸は大人の証なんだなぁ!」
「……あまり大きな声で胸の話をするのは、兄さん感心しないぞ」
「兄じゃないですけど?!でもほら、私の胸大きく見えるでしょ?!」
「ユウキ、こら、やめなさい。胸元をアピールしながら寄ってくるんじゃない。オレは兄だが男でもあるんだぞ」
「いやだから兄ではないし、男なのは知ってるけど?いいからちゃんと見てよ!私の胸大きく見えるよね?!」
「ヒソカ!」
「ボクに八つ当たりするのやめてよ」
他の団員が来るまでこのやり取りが続くのだが、写真ではなく動画を撮っておけばよかったと少し後悔した。絶対面白かった。
あの後、オレの能力で操作した従業員にユウキが大当たりした分の小切手を持って来させたら、ユウキが飛び上がって驚いていた。ここまでの大金を稼いだとは思ってなかったらしい。小切手は受け取らず、少しのお金だけ受け取り後は寄付すると言ってカジノを出た。
「まさかクロロさん達がここでバイトしてたなんて気付かなかったなぁ。でも今日がバイト最終日だったんだよね?お別れ会とかしなくてよかったの?」
「短期バイト(一日)だったからそういうのはないんだ。それに、これからユウキが奢ってくれるんでしょ?」
「おうよ!せっかく当たったんだし、みんなにはいつもお世話になってるからね!好きな物たーくさん食べてね!」
奢るという行為で少し大人な気分になっているのか、ユウキはいつになく元気はつらつとしている。女性陣にドレス似合ってると言われて喜びながら前を歩く姿を、ヒソカが加わったオレ達男性陣は見ていたのだけど、どうにも団長の様子がおかしい。ぶつぶつと何か呟いている。
「団長、怖いよ。何か考え事?」
「……いや、なんだ。ユウキは………オレの妹なんだが」
「違うけどな」
「ああも露出されると、少し、変な気分になるというか」
「わあ、団長ってば妹に欲情したんだあ。ふふ、変態だねえ」
「欲、情………………」
「ヒソカ!団長に変な事言うなよ!ショートしちゃっただろ!」
「つーか、ショートするってことはマジで欲情したのか?おいおい、ユウキのどこに欲情する要素があるって……」
「これ見たら考えも変わるんじゃないかい?フィンクス」
語尾にハートマークでもついてそうな嬉々とした口調でヒソカは携帯を操作して、何かをこちらに見せてくる。気になってフィンクスと、それからショート気味の団長と三人で画面を覗き込むと、そこにはヒソカに両腕を掴まれて、顔を真っ赤にして涙目のユウキのバストアップの写真が映っていた。フィンクスが、おお、と思わず声を漏らす。
「この時のユウキの台詞はね、『ヒソカのえっち』だよ」
「シャル、ユウキに少し遅れると伝えておいてくれ。後ヒソカの分の食事は金輪際不要になったとも」
「スキルハンター出しながら言うな!ヒソカもよっしゃみたいな顔で能力出すな!!」
「あーっ!!ちょっとヒソカ!それなに見せてんの!さっきの?!さっきの写真か?!わーっやめろバカあああ!!」
もう見せちゃった、とニコニコとしているヒソカにユウキが飛びかかって携帯を奪おうとするのをそっと止めた団長は、今度こそ兄モードに戻り男に気安く露出した格好を見せるなと説教を始めるのだった。
※兄探し中
※ソシャゲのカジノ潜入verに心躍った結果
今日も今日とて、我が幻影旅団は盗みを働いている。本日の目当てはカジノの隠し金庫に保管されているというお宝だ。
カジノに潜入するとして団長による選抜が行われ、団長、オレ、フィンクス、パクノダ、シズク、マチの六人で向かうことになった。衣装もすでに団長が用意していて、全員カジノの客に見える風貌に様変わりしていた。
女性陣は髪型も合わせると言って化粧室へ向かったので、男性陣はそれをカジノ近くのオープンテラスで適当に飲みながら待つことになった。
「女ってのは面倒だなぁ」
「身だしなみを整えるのは良いことだぞ」
「そうだよ、フィンクス。団長だっていざってときはオールバックにして気合い入れてるじゃん。あれと一緒」
「あー、あれかぁ」
「あれっていうな……ん?」
ふと団長が道路を挟んだ向かいの通りを凝視した。つられてオレ達も見ると、そこには見慣れた女の子の姿があり、ああと納得する。
団長のお気に入りの妹(仮)、ユウキである。彼女はオレ達のことを神出鬼没というが、彼女も大概だと思っている。それにしても、なんだか嫌な予感がするなぁ。
彼女はオレ達に気が付かないまま、隣を歩く男ににこやかに話しかけているように見えた。いや待って、あれって。
「ヒソカじゃねえか!なんだってユウキと一緒にいやがんだ!」
「ていうか、二人とも服がいつもと違うよね?あれって、もしかしてさ」
「……目的はカジノか」
場所に似合うようにか、ヒソカは髪を下ろして高そうなスーツを着こなしており、ユウキは背中の空いた少し露出の高い赤いドレスを身に纏っている。腕も、見れば胸元も大きく開いている。これは、まずいぞ。何がまずいって、隣にいる過保護な自称兄だ。
案の定、すでに殺意がダダ漏れている。これだけのオーラ、ヒソカのところまで絶対に届いているはず。
緩やかに、ヒソカが視線だけをこちらへ向けた。オレ達の姿を視界に入れ、ニンマリと悪い笑みを浮かべたように見える。確信犯だ。
ヒソカの視線に気がついたのか、ユウキがその先を追おうとするが、ヒソカがユウキの肩を抱いて顔を覗き込む仕草でオレ達を視界に入れないようにした。その角度は、まるでキスをしているようで。
ふーっと、団長が息を吐き出して、そして立ち上がった。
「よし、殺してくる」
「待って待って!マジで待って!ほらマチ達も戻ってきたから目的地に向かおう!そこでサッと盗んでユウキと合流して、ヒソカから引き離せばいいんだからさ!」
「ユウキの前では良い兄さん(仮)でいてぇんだろ?!」
「………………」
とくに何も起きていないユウキ達はそのまま歩いていってしまい、それを見えなくなるまで無言で見届ける団長はいつになく怖かった。案の定、戻ってきた女性陣がこの短い間に何があったの団長、と首を傾げていた。
「ほんとユウキって物怖じしないわよね。ヒソカ相手に無防備なのは注意しないと」
カジノへ潜入後、ビリヤード台を担当しているパクノダが周囲を見渡しながらため息を吐いた。相手として対戦しているオレも同じように思うので、うんうんと頷く。視界の先には、ユウキがヒソカと並んでスロットを楽しんでいる姿がある。団長もどこかで殺意満々でこの光景を見ているのだろう。
「ところで、目当ての物の場所はわかった?」
「ええ、さっきドリンクを運んでるシズクとフィンクスに伝えたわ。マチと団長に上手く伝えられてるといいんだけど、どうかしら。とりあえず私はここでユウキのこと見ておくから、団長達の方は任せるわよ」
「オレもこっちの観察がいいなぁ。団長止めるの大変なんだよ」
「……そうね」
はぁ、とパクと二人でまたため息を吐いてしまった。ヒソカは分かっていてあえて団長をからかっているし、ほんとあいつどうしてやろうか。
仕方ないから団長達と合流するかー、と最後にユウキの方をチラリと見ると、彼女の目の前のスロット台が軽快な音を立てながらコインを滝のように流していて、立ち止まって二度見してしまった。オレの様子にパクは首を傾げてから、ユウキの方を見て同じように目を見開いて驚いている。慌ててビリヤード台から離れて、パクと二人でユウキの近くへ行って周囲の声を聞いてみることにした。
本当にこの子、面白いなぁ。
と、数回のスロットでジャックポットを出してコインが滝のように流れるのを見ていた。ユウキは大当たりの度合いがわかっておらず、ボクを振り返りながら「やったー!当たったんだよねこれ!いっぱいコイン出てる!」なんて無邪気にはしゃいでいる。
やがてスロットが停止し、ユウキが首を傾げていたら、従業員であろう青年が拍手とともにこちらへやってきた。
「お客様、大当たりおめでとうございます。しばし準備がありますので、別室にてお待ちいただけますか」
「へ?あ、はーい!何の準備なんだろうね、ヒソカ」
「ふふ、なんだろうねぇ」
「いや絶対知ってる顔してんじゃん!」
店にもよるのだろうが、基本的にジャックポット然り大当たりが出た場合は、そのマシンに不正や異常がなかったか検査が行われる。そして何もなかった場合、正当な当選者として小切手への記名、記念写真を撮られたりするのが流れだ。
今回は彼女が豪運の持ち主だっただけで不正などは一切ないので正当な当選者の扱いになるはずだが、たしかこのカジノは裏で色々と悪どい事をやっていると噂を聞いている。ボクは用事があるからとボイコットしたけれど、団長達の今回の盗みの狙いはカジノが隠し持っている裏ルートで流れていたお宝だ。
これだけ真っ黒な連中のカジノで、ジャックポットなんて大当たりが出るような設定の台は一つもありはしないのだ。それを、彼女は当ててしまった。この後のことは予想はつく。彼女は不正を行ったとして、殺されるか金稼ぎに使われるかどちらかだ。
デッドオアアライブな状況だとは露知らず、ユウキは通された部屋のソファに座りながらキョロキョロと部屋の中を観察していた。
「広い部屋だなー。しかも置いてあるの全部高そう。カジノってすごい」
「子供の感想だね」
「んなっ!!む、無知のものにはみんなこうなるっての!くっそー、年齢少ししか変わんないのになんでヒソカって大人っぽいのかなー!くやしー!」
「ところでさ、どうしてボクを誘ったの?カジノに来たかったならクロロでもよかったじゃない」
「いや、クロロさんはダメ。だってね、クロロさん、私の事めちゃくちゃ子供扱いするんだよ!!」
ああ、と納得する。実際には子供扱いではなく妹扱いなのだけど、ユウキには不満らしい。
「そりゃあさ、クロロさんは年上で大人で、劇団の団長なんてすごい事やってる人だけどさ。私だってもう大人だし、一人旅だってやってきたし、大人っぽい遊びをしたり服を着たりできるわけだよ!なのに、この間セクシーなドレス見てたら『お前にはまだ早い』だって!胸か!胸が足りんのか!」
「ブフッ……ふ、ふふ……たしかにいつもの服だと小さく見えるしね……」
「なんだとお!!」
「けど、今日は違うでしょ?わざわざ店の人に胸が大きく見えるドレスをって注文したんだし。なんでそんな変な注文するのかなって思ってたけど、ふふ、団長に見せるためだったんだね」
「え?……えっ?!あ、そうなるのか?!わ、わあ……意識したら恥ずかしくなってきた……」
「記念写真撮って団長に見せてあげなきゃね」
「わあーっ!恥ずかしいからやめてええええ!!」
主に胸を隠すように両腕で自分の体を覆うので、面白くなってその腕を簡単に掴んで剥がすと、顕になった胸元から上を携帯のカメラ機能でパシャリと撮ってやる。一枚撮るごとに悲鳴を上げるのがまた面白い。
「はなせえええヒソカの変態いいいい!!すけべええええ!!」
「そういう色気のないところが子供っぽいって言われるんだよユウキ」
「んなあ!!…………ヒソカの、えっち」
悩んだ末に、絞り出したのがこれである。子供っぽい言い回しではあるが、先程よりは格段に男を煽る台詞だ。及第点だよ、と笑ってやろうと思ったが、タイムリミットが来てしまった。
ボクの頭目掛けてナイフが飛んでくるのを素早く避けて、ユウキに見えないようにそれをドッキリテクスチャーで隠す。面白いものを見たので、団長へのサービスだ。
案の定ユウキにはボクが突然飛び退いたようにしか見えず、へっと惚けた声をあげていた。
「どしたのヒソカ」
「ユウキ」
「んえええ?!く、クロロさん!!」
「…………」
素早くソファへ近付きユウキの体を起こすと、団長が無言でジッと上から下まで舐め回すように見つめる。また子供扱いされる、とユウキがムスッとした顔で団長を上目遣いで睨む姿を見て、また男を煽る態度をしてるなぁと笑った。
「どうせ私にはこんなセクシーな服似合わないよ。けど、私だって着てみたいし、カジノとか大人っぽい遊びもしてみたいし!」
「……いや、すごく似合っている。ユウキも大人なんだと実感させられていた」
「そうそう大人……えっ?!ほ、ほんと?!大人っぽい?!」
「ああ、綺麗だよ」
うわあ、甘い声だ。
砂を吐きそうなくらい甘い返しをした団長に、一介の女ならコロリと懸想するのだろうと思うが、相手はユウキである。大人と褒められたことに喜びが勝り、子供のように破顔していた。
「やったあ!!やっぱり胸なんだね?!」
「ゴフッ……ま、待てユウキ、なんて?」
「だから胸だよ胸!これまで子供っぽかったのはやっぱり胸が小さく見える服だったからなんだよね。でもほら!今回は胸が大きく見えるドレスを注文したんだよ!大きく見えるよね?!やっぱり大きな胸は大人の証なんだなぁ!」
「……あまり大きな声で胸の話をするのは、兄さん感心しないぞ」
「兄じゃないですけど?!でもほら、私の胸大きく見えるでしょ?!」
「ユウキ、こら、やめなさい。胸元をアピールしながら寄ってくるんじゃない。オレは兄だが男でもあるんだぞ」
「いやだから兄ではないし、男なのは知ってるけど?いいからちゃんと見てよ!私の胸大きく見えるよね?!」
「ヒソカ!」
「ボクに八つ当たりするのやめてよ」
他の団員が来るまでこのやり取りが続くのだが、写真ではなく動画を撮っておけばよかったと少し後悔した。絶対面白かった。
あの後、オレの能力で操作した従業員にユウキが大当たりした分の小切手を持って来させたら、ユウキが飛び上がって驚いていた。ここまでの大金を稼いだとは思ってなかったらしい。小切手は受け取らず、少しのお金だけ受け取り後は寄付すると言ってカジノを出た。
「まさかクロロさん達がここでバイトしてたなんて気付かなかったなぁ。でも今日がバイト最終日だったんだよね?お別れ会とかしなくてよかったの?」
「短期バイト(一日)だったからそういうのはないんだ。それに、これからユウキが奢ってくれるんでしょ?」
「おうよ!せっかく当たったんだし、みんなにはいつもお世話になってるからね!好きな物たーくさん食べてね!」
奢るという行為で少し大人な気分になっているのか、ユウキはいつになく元気はつらつとしている。女性陣にドレス似合ってると言われて喜びながら前を歩く姿を、ヒソカが加わったオレ達男性陣は見ていたのだけど、どうにも団長の様子がおかしい。ぶつぶつと何か呟いている。
「団長、怖いよ。何か考え事?」
「……いや、なんだ。ユウキは………オレの妹なんだが」
「違うけどな」
「ああも露出されると、少し、変な気分になるというか」
「わあ、団長ってば妹に欲情したんだあ。ふふ、変態だねえ」
「欲、情………………」
「ヒソカ!団長に変な事言うなよ!ショートしちゃっただろ!」
「つーか、ショートするってことはマジで欲情したのか?おいおい、ユウキのどこに欲情する要素があるって……」
「これ見たら考えも変わるんじゃないかい?フィンクス」
語尾にハートマークでもついてそうな嬉々とした口調でヒソカは携帯を操作して、何かをこちらに見せてくる。気になってフィンクスと、それからショート気味の団長と三人で画面を覗き込むと、そこにはヒソカに両腕を掴まれて、顔を真っ赤にして涙目のユウキのバストアップの写真が映っていた。フィンクスが、おお、と思わず声を漏らす。
「この時のユウキの台詞はね、『ヒソカのえっち』だよ」
「シャル、ユウキに少し遅れると伝えておいてくれ。後ヒソカの分の食事は金輪際不要になったとも」
「スキルハンター出しながら言うな!ヒソカもよっしゃみたいな顔で能力出すな!!」
「あーっ!!ちょっとヒソカ!それなに見せてんの!さっきの?!さっきの写真か?!わーっやめろバカあああ!!」
もう見せちゃった、とニコニコとしているヒソカにユウキが飛びかかって携帯を奪おうとするのをそっと止めた団長は、今度こそ兄モードに戻り男に気安く露出した格好を見せるなと説教を始めるのだった。