★番外編
DREAM
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※誰も死んでないハッピー時空
※兄探し中
「キミ、暇だよね?」
「出会い頭に何言ってくるんだこの変態は」
街中をぼんやり……もとい兄を探しながら歩いていたら、見慣れたピエロのような男、ヒソカが正面からやってきて声をかけてきた。失礼なセリフと共に。
たしかに暇に見えるかもだけど!いや暇といえば暇だけど!
私の抗議をあまり聞いていないのか、ニコニコと微笑まれる。
「よかったキミが暇人で。キミにお願いがあってさ」
「暇人っていうのやめてくれる?ていうか、お願いって何の話?」
「ボク、そこのカフェでティータイムしてたんだけど、変なファンに付き纏われちゃったからお店めちゃくちゃにして……されちゃってね」
「したのか!したんだな?!」
「されたの。そしたらカフェの店長に弁償する代わりに働いて欲しいって言われて、断ろうと思ってたら店の外で暇そうな顔してるキミが見えたから、あの子も働くなら良いよって答えちゃった」
「ほんと何してくれてんの?!」
もう無視するか、なんて思い始めていたら、ヒソカはペラっと何かのチケットを見せてくる。そこのカフェの名前が入っている。なになに、デザートどれでも無料券?!
「終わったらデザート食べさせてあげるよ」
「よしやるかカフェ店員!!」
「えっ、ちょろ……団長にご飯食べさせてもらってないの?」
「養ってもらってないからね?!憐れむ目やめて?!」
「と、いうわけです」
「お前ほんっとバカだよな」
「年下に蔑む目をされるのつらぁ……」
ヒソカが代理でなぜか店長を務めることになったカフェ、通称ヒソカフェの店内で、電話で呼び出したキルアくんが事情を聞いた上で罵倒してくる。つらい。
キルアくんと一緒に来てくれたゴンくんは苦笑しているが、庇ってくれないあたり同じ思いかもしれない。やはりつらい。
「でも、お客さん結構入ってるんだね」
「そうなんだよ。ていうのも、あのヒソカ見てよ!」
二人の視線を、接客中のヒソカへ向けさせる。いつもは頬にペイントして髪にウェーブをかけて後ろへ流しているが、今はお店の落ち着いたイメージに合わせて頬のペイントを落とし、さらき髪も真っ直ぐに下ろしていて、なんというか、普通のイケメン好青年となっていた。
「わかる?!あんなのただのイケメンじゃん?!いつものピエロ感なくなったらただのイケメン!しかも外面が良いからあの通りだよ!!」
「ヒソカが女の子に優しくしてるの見ると、なんかゾワっとするね……」
「普通に寒気するわ。でもマジでモテてんなーあいつ。それにしても、この料理美味えな」
「それはヒソカ作だよ」
ブフォッ!!とキルアくんが盛大に咽せてしまった。慌ててゴンくんが布巾を渡している。天使かな?
受け取ったそれで口元と周辺を拭き取ってから、噛み付くようにキルアくんが詰め寄ってきた。
「あいつあそこで店員やってんじゃん!!料理まで作ってんのかよ?!」
「なんか、そもそも今日は従業員みんな休み取ってて、それで店長さんも休業日にしようと思ってたみたいだからほんとに人いないんだよね。でもいきなり休みにするのも来てくれたお客様に悪いしってギリギリまで悩んでたみたい。そこにヒソカの乱闘騒ぎがあったってわけ」
「じゃあ今、ヒソカ一人で料理作って店内回してるってこと?」
「いやまあ、私も少し料理作れるから作ってたりするよ。あ、ちなみにゴンくんが食べてるそのイチゴムースは私作です!」
「ほんと?!これすっごく美味しいよ!料理上手なんだね、ユウキ!」
「ぐわぁぁっ!天使の微笑みが眩しいよおおっ!!」
輝く笑顔の眩しさに目をやられてしまい、思わず蹲ってしまう。ちなみにキルアくんも「ゴンのあれを直に食らったらやべえよな」と頷いていた。
「おやおや。二人とも、うちの従業員を苛めないでくれないかな?」
「げ、こっち来やがった」
「あ、ヒソカ!」
店内の接客がひと段落したようだ。メニューを持ったヒソカがクスクスと笑いながらこちらのテーブルへやってきた。ゴンくんとキルアくんを見て、ぺろりと舌なめずりをする。思わず二人を庇うように立ち塞がった。
「やめんか変態!!イエスショタ!ノータッチ!!」
「いやお前もその発言十分変態だからな?」
「なんで?!」
「そ、それにしても!ヒソカ料理上手だね!」
「ありがと、ゴォン」
「語尾にハートつけるな!!ゴンくんにいやらしい目を向けるの禁止!!」
「あっちいけ!!」
しっしっとゴンくんを守りつつヒソカを手で払うと、がしりとその手を掴まれる。
「いい加減このテーブルに留まってないで他の仕事やってくれる?はい、お仕事お仕事」
「ほぎゃあああ!!人使いが荒いよこの店長代理いいいい!!」
キルアくんに我関せずの表情をされ、ゴンくんに頑張ってね!と激励をもらい、お仕事の続きをするためにヒソカに厨房へ連れ戻されるのだった。
「と、いうわけでようやくもぎ取った休憩中です」
「なんというか、君も災難だったな」
「ヒソカとユウキで回してるカフェって字面だけならめちゃくちゃおもしれえんだけどな」
「字面だけならね!!」
クラピカとレオリオはご苦労様という労いの目を向けてくるので、一応お礼を言って休憩用に作ったオリジナルドリンクを飲み干した。うん、美味い。
「キルアからめちゃくちゃ面白いことになってるっつって連絡あったから来てみたけどよ、結構繁盛してて驚いたぜ」
「今日のメニューは一日限定だって店の前に看板出してるだけなんだけど、なんか口コミで広まってるらしくて。知ってるハンターさんが結構見に来てくれたよ。サトツさんとかメンチさんとか」
「美食ハンターまで来たのか……それはさぞ宣伝効果抜群だったことだろう」
「あ、ちなみに今二人が食べてるランチメニューはヒソカ作です」
「嘘だろ……めちゃくちゃうめえんだけど……」
「ハンター試験の内容がスシを作るではなくフルコースで満足させろとかだったらヒソカは一発合格だったのだろうな……」
「どんなハンター試験やってきたの??」
二人が複雑な顔でランチメニューを食べているのを眺めていたら、とんとんと肩をたたかれる。いやだ、振り向きたくない。
「ユウキ」
「語尾にハートつけるのやめて!!もう少し休憩したい!!」
「だぁめ。はい、休憩終わり」
「うわあああん!!」
朝のゴンくんとキルアくん同様に、クラピカとレオリオの頑張れという遠い目に送られながら、ヒソカに引きずられてまた厨房へ戻る羽目になるのだった。
さすがに夜ともなると、人の入りが減り店の雰囲気通りの落ち着いたものとなった。お酒の提供も始まるから、子供がいなくなったのが静かになった要因の一つかもしれない。
「それじゃ、これ提供してくるねー。えっと、八番テーブルか」
「ユウキ、そこのテーブルの客酔いが回ってるから変な絡まれ方するかもしれないけど、スルーでいいよ。ウザかったら呼んで。ボクが処理するから」
「処理って何する気?!いやまあ、やばそうだったら呼ぶね」
と、珍しくヒソカに心配?されつつ送り出されたテーブル席の男三人組。見事に酔っぱらっていました。まあもう深夜に近い時間帯に突入しそうな頃合いだ、こういう人たちもいるだろう。お店を閉めるのもあと三十分くらいだし、何を言われても我慢するぞ。
「お姉ちゃん、お尻かわいいね!」
「胸はちっさいのかな?それとも脱いだらすごいやつ?!」
「ええ?じゃあたしかめないとじゃん?!」
テンプレートなの来ちゃったな……。
少し遠い目になってしまうが、あははと笑って流しながら、頼まれた料理をテーブルに並べる。ていうかこいつら、身体しか見てないな。顔は平凡だってか?!いや待って、身体もそこまで褒められてないな!くっそーなんなのこいつら!
「触ってたしかめちゃおうかなーっていてええ!!」
不埒な手が私の体に触れようとしたので、かじった程度の護身術だがお披露目なるか!と構えようとしたら、先に誰かが男の手をひねり上げた。え、呼ぶ前にヒソカが来てくれた?と顔を上げたら、見知った顔があったので思わず咳き込んでしまった。
「ゲホォッ!!えっ、ちょ、クロロさん!」
「大丈夫だったか?安心しろ、兄さんがちゃんとこいつらを駆除してやるから」
「やーめーてー!!何もされてないから!ほらお客様!帰るならあちらからどうぞー!」
クロロさんが手を放すと同時に、ひいいっと酔っ払い三人組は足早に店を出ていく。料理の代金は忘れられた彼らの財布から抜いておこう。
「本当に変なことされてない?」
「あ、マチさん。うん、大丈夫だよ……待って、なんかお店の客、いなくなってない?」
「そうなんだよ。もうあと三十分で閉めるっていうのに、どこぞの劇団が貸し切りにしちゃってねえ」
「へ?貸し切り?!」
ヒソカが呆れたように肩をすくめながらやってきて、思わず店内を見まわすと席に座っているのは見事にクロロさんの劇団員のみでした。
「よお!なんかカフェ店員やってんだって?団長がうるせえからみんなで様子見に来たぜ!」
「そうそう団長がうるさかったんだよねー」
と、ウボォーギンさんとシャルナークさんがそう言うと、ゴホンとクロロさんが咳をする。一体どこから聞きつけたのだろうか。
「ねえユウキ、このデザートはヒソカが作るの?」
「あ、シズクさん。えーっと、それは私が作りますね。あ、注文します?それなら今から作りますけど」
「ほんと?じゃあ私、これと、こっちも頼もうかな」
「あたしも同じやつもらえる?」
「ぼくも」
シズクさんとマチさんとコルトピさんはデザート、と。持っていた伝票に書いていると、他のテーブルからもこっちもこっちも注文が入る。団員のみんなの注文を聞き終え、最後にとクロロさんが座るテーブルに行くと、にこりと微笑まれた。座るように促され、首を傾げつつ正面に座ると、こっちだと隣に引っ張られてしまった。
「ユウキ、働くというのは結構だが、衣装がよくない。スカートではなくズボンなのはいいが短すぎる。こんなに足を露出するから変な輩に目をつけられてしまうんだぞ。いいか、お前はすごく可愛いんだ。しかもヒソカと二人でまるで夫婦のように店をやっていると聞いてオレは心配で心配で」
「あの団長、兄というかめんどくさい彼氏じゃねえか?」
「ブラコンが過ぎるやばい兄貴かもしれねえぜ」
「目がすわてるね。どちらにせよやばい奴よ」
ノブナガさん、フィンクスさん、そしてフェイタンさん、分析してないで止めてください。ブラコン兄だろうと恋人だろうと、ヤンデレは第三者として見る分にはいいけど受け止める分にはきついです。
くどくどと説教を受けていると、パクノダさんとフランクリンさんが間に入ってくれてようやく解放された。まだ叱り足りないという顔をしているので、どうにか場を収めようとクロロさんの手を両手でぎゅっと握った。クロロさんの動きが止まる。よし、言うぞ!
「あの、さっき助けてくれてありがとう!すごくかっこよかった!料理めちゃくちゃ美味しいの(ヒソカが)作るから待ってて!デザートも楽しみにしててね!」
それじゃ!と自称兄からの説教から逃げるために、みんなの注文を受けた伝票を抱えて厨房へ駆け込んだ。
ちなみに翌日お店の店長さんに定期的にやってほしいと頼まれるとはこの時の私は思うわけもなかったのだった。
シャ「うわあ、妹が可愛すぎて団長テーブルに突っ伏して震えてるよ」
パク「そっとしておいてあげて……」
ヒソ「(ここでデザート無料券で釣ったって言ったら本気のタイマンできるかな)」
※兄探し中
「キミ、暇だよね?」
「出会い頭に何言ってくるんだこの変態は」
街中をぼんやり……もとい兄を探しながら歩いていたら、見慣れたピエロのような男、ヒソカが正面からやってきて声をかけてきた。失礼なセリフと共に。
たしかに暇に見えるかもだけど!いや暇といえば暇だけど!
私の抗議をあまり聞いていないのか、ニコニコと微笑まれる。
「よかったキミが暇人で。キミにお願いがあってさ」
「暇人っていうのやめてくれる?ていうか、お願いって何の話?」
「ボク、そこのカフェでティータイムしてたんだけど、変なファンに付き纏われちゃったからお店めちゃくちゃにして……されちゃってね」
「したのか!したんだな?!」
「されたの。そしたらカフェの店長に弁償する代わりに働いて欲しいって言われて、断ろうと思ってたら店の外で暇そうな顔してるキミが見えたから、あの子も働くなら良いよって答えちゃった」
「ほんと何してくれてんの?!」
もう無視するか、なんて思い始めていたら、ヒソカはペラっと何かのチケットを見せてくる。そこのカフェの名前が入っている。なになに、デザートどれでも無料券?!
「終わったらデザート食べさせてあげるよ」
「よしやるかカフェ店員!!」
「えっ、ちょろ……団長にご飯食べさせてもらってないの?」
「養ってもらってないからね?!憐れむ目やめて?!」
「と、いうわけです」
「お前ほんっとバカだよな」
「年下に蔑む目をされるのつらぁ……」
ヒソカが代理でなぜか店長を務めることになったカフェ、通称ヒソカフェの店内で、電話で呼び出したキルアくんが事情を聞いた上で罵倒してくる。つらい。
キルアくんと一緒に来てくれたゴンくんは苦笑しているが、庇ってくれないあたり同じ思いかもしれない。やはりつらい。
「でも、お客さん結構入ってるんだね」
「そうなんだよ。ていうのも、あのヒソカ見てよ!」
二人の視線を、接客中のヒソカへ向けさせる。いつもは頬にペイントして髪にウェーブをかけて後ろへ流しているが、今はお店の落ち着いたイメージに合わせて頬のペイントを落とし、さらき髪も真っ直ぐに下ろしていて、なんというか、普通のイケメン好青年となっていた。
「わかる?!あんなのただのイケメンじゃん?!いつものピエロ感なくなったらただのイケメン!しかも外面が良いからあの通りだよ!!」
「ヒソカが女の子に優しくしてるの見ると、なんかゾワっとするね……」
「普通に寒気するわ。でもマジでモテてんなーあいつ。それにしても、この料理美味えな」
「それはヒソカ作だよ」
ブフォッ!!とキルアくんが盛大に咽せてしまった。慌ててゴンくんが布巾を渡している。天使かな?
受け取ったそれで口元と周辺を拭き取ってから、噛み付くようにキルアくんが詰め寄ってきた。
「あいつあそこで店員やってんじゃん!!料理まで作ってんのかよ?!」
「なんか、そもそも今日は従業員みんな休み取ってて、それで店長さんも休業日にしようと思ってたみたいだからほんとに人いないんだよね。でもいきなり休みにするのも来てくれたお客様に悪いしってギリギリまで悩んでたみたい。そこにヒソカの乱闘騒ぎがあったってわけ」
「じゃあ今、ヒソカ一人で料理作って店内回してるってこと?」
「いやまあ、私も少し料理作れるから作ってたりするよ。あ、ちなみにゴンくんが食べてるそのイチゴムースは私作です!」
「ほんと?!これすっごく美味しいよ!料理上手なんだね、ユウキ!」
「ぐわぁぁっ!天使の微笑みが眩しいよおおっ!!」
輝く笑顔の眩しさに目をやられてしまい、思わず蹲ってしまう。ちなみにキルアくんも「ゴンのあれを直に食らったらやべえよな」と頷いていた。
「おやおや。二人とも、うちの従業員を苛めないでくれないかな?」
「げ、こっち来やがった」
「あ、ヒソカ!」
店内の接客がひと段落したようだ。メニューを持ったヒソカがクスクスと笑いながらこちらのテーブルへやってきた。ゴンくんとキルアくんを見て、ぺろりと舌なめずりをする。思わず二人を庇うように立ち塞がった。
「やめんか変態!!イエスショタ!ノータッチ!!」
「いやお前もその発言十分変態だからな?」
「なんで?!」
「そ、それにしても!ヒソカ料理上手だね!」
「ありがと、ゴォン」
「語尾にハートつけるな!!ゴンくんにいやらしい目を向けるの禁止!!」
「あっちいけ!!」
しっしっとゴンくんを守りつつヒソカを手で払うと、がしりとその手を掴まれる。
「いい加減このテーブルに留まってないで他の仕事やってくれる?はい、お仕事お仕事」
「ほぎゃあああ!!人使いが荒いよこの店長代理いいいい!!」
キルアくんに我関せずの表情をされ、ゴンくんに頑張ってね!と激励をもらい、お仕事の続きをするためにヒソカに厨房へ連れ戻されるのだった。
「と、いうわけでようやくもぎ取った休憩中です」
「なんというか、君も災難だったな」
「ヒソカとユウキで回してるカフェって字面だけならめちゃくちゃおもしれえんだけどな」
「字面だけならね!!」
クラピカとレオリオはご苦労様という労いの目を向けてくるので、一応お礼を言って休憩用に作ったオリジナルドリンクを飲み干した。うん、美味い。
「キルアからめちゃくちゃ面白いことになってるっつって連絡あったから来てみたけどよ、結構繁盛してて驚いたぜ」
「今日のメニューは一日限定だって店の前に看板出してるだけなんだけど、なんか口コミで広まってるらしくて。知ってるハンターさんが結構見に来てくれたよ。サトツさんとかメンチさんとか」
「美食ハンターまで来たのか……それはさぞ宣伝効果抜群だったことだろう」
「あ、ちなみに今二人が食べてるランチメニューはヒソカ作です」
「嘘だろ……めちゃくちゃうめえんだけど……」
「ハンター試験の内容がスシを作るではなくフルコースで満足させろとかだったらヒソカは一発合格だったのだろうな……」
「どんなハンター試験やってきたの??」
二人が複雑な顔でランチメニューを食べているのを眺めていたら、とんとんと肩をたたかれる。いやだ、振り向きたくない。
「ユウキ」
「語尾にハートつけるのやめて!!もう少し休憩したい!!」
「だぁめ。はい、休憩終わり」
「うわあああん!!」
朝のゴンくんとキルアくん同様に、クラピカとレオリオの頑張れという遠い目に送られながら、ヒソカに引きずられてまた厨房へ戻る羽目になるのだった。
さすがに夜ともなると、人の入りが減り店の雰囲気通りの落ち着いたものとなった。お酒の提供も始まるから、子供がいなくなったのが静かになった要因の一つかもしれない。
「それじゃ、これ提供してくるねー。えっと、八番テーブルか」
「ユウキ、そこのテーブルの客酔いが回ってるから変な絡まれ方するかもしれないけど、スルーでいいよ。ウザかったら呼んで。ボクが処理するから」
「処理って何する気?!いやまあ、やばそうだったら呼ぶね」
と、珍しくヒソカに心配?されつつ送り出されたテーブル席の男三人組。見事に酔っぱらっていました。まあもう深夜に近い時間帯に突入しそうな頃合いだ、こういう人たちもいるだろう。お店を閉めるのもあと三十分くらいだし、何を言われても我慢するぞ。
「お姉ちゃん、お尻かわいいね!」
「胸はちっさいのかな?それとも脱いだらすごいやつ?!」
「ええ?じゃあたしかめないとじゃん?!」
テンプレートなの来ちゃったな……。
少し遠い目になってしまうが、あははと笑って流しながら、頼まれた料理をテーブルに並べる。ていうかこいつら、身体しか見てないな。顔は平凡だってか?!いや待って、身体もそこまで褒められてないな!くっそーなんなのこいつら!
「触ってたしかめちゃおうかなーっていてええ!!」
不埒な手が私の体に触れようとしたので、かじった程度の護身術だがお披露目なるか!と構えようとしたら、先に誰かが男の手をひねり上げた。え、呼ぶ前にヒソカが来てくれた?と顔を上げたら、見知った顔があったので思わず咳き込んでしまった。
「ゲホォッ!!えっ、ちょ、クロロさん!」
「大丈夫だったか?安心しろ、兄さんがちゃんとこいつらを駆除してやるから」
「やーめーてー!!何もされてないから!ほらお客様!帰るならあちらからどうぞー!」
クロロさんが手を放すと同時に、ひいいっと酔っ払い三人組は足早に店を出ていく。料理の代金は忘れられた彼らの財布から抜いておこう。
「本当に変なことされてない?」
「あ、マチさん。うん、大丈夫だよ……待って、なんかお店の客、いなくなってない?」
「そうなんだよ。もうあと三十分で閉めるっていうのに、どこぞの劇団が貸し切りにしちゃってねえ」
「へ?貸し切り?!」
ヒソカが呆れたように肩をすくめながらやってきて、思わず店内を見まわすと席に座っているのは見事にクロロさんの劇団員のみでした。
「よお!なんかカフェ店員やってんだって?団長がうるせえからみんなで様子見に来たぜ!」
「そうそう団長がうるさかったんだよねー」
と、ウボォーギンさんとシャルナークさんがそう言うと、ゴホンとクロロさんが咳をする。一体どこから聞きつけたのだろうか。
「ねえユウキ、このデザートはヒソカが作るの?」
「あ、シズクさん。えーっと、それは私が作りますね。あ、注文します?それなら今から作りますけど」
「ほんと?じゃあ私、これと、こっちも頼もうかな」
「あたしも同じやつもらえる?」
「ぼくも」
シズクさんとマチさんとコルトピさんはデザート、と。持っていた伝票に書いていると、他のテーブルからもこっちもこっちも注文が入る。団員のみんなの注文を聞き終え、最後にとクロロさんが座るテーブルに行くと、にこりと微笑まれた。座るように促され、首を傾げつつ正面に座ると、こっちだと隣に引っ張られてしまった。
「ユウキ、働くというのは結構だが、衣装がよくない。スカートではなくズボンなのはいいが短すぎる。こんなに足を露出するから変な輩に目をつけられてしまうんだぞ。いいか、お前はすごく可愛いんだ。しかもヒソカと二人でまるで夫婦のように店をやっていると聞いてオレは心配で心配で」
「あの団長、兄というかめんどくさい彼氏じゃねえか?」
「ブラコンが過ぎるやばい兄貴かもしれねえぜ」
「目がすわてるね。どちらにせよやばい奴よ」
ノブナガさん、フィンクスさん、そしてフェイタンさん、分析してないで止めてください。ブラコン兄だろうと恋人だろうと、ヤンデレは第三者として見る分にはいいけど受け止める分にはきついです。
くどくどと説教を受けていると、パクノダさんとフランクリンさんが間に入ってくれてようやく解放された。まだ叱り足りないという顔をしているので、どうにか場を収めようとクロロさんの手を両手でぎゅっと握った。クロロさんの動きが止まる。よし、言うぞ!
「あの、さっき助けてくれてありがとう!すごくかっこよかった!料理めちゃくちゃ美味しいの(ヒソカが)作るから待ってて!デザートも楽しみにしててね!」
それじゃ!と自称兄からの説教から逃げるために、みんなの注文を受けた伝票を抱えて厨房へ駆け込んだ。
ちなみに翌日お店の店長さんに定期的にやってほしいと頼まれるとはこの時の私は思うわけもなかったのだった。
シャ「うわあ、妹が可愛すぎて団長テーブルに突っ伏して震えてるよ」
パク「そっとしておいてあげて……」
ヒソ「(ここでデザート無料券で釣ったって言ったら本気のタイマンできるかな)」