snobbism(龍如)
DREAM
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続四代目と狂犬と。
(2006年優姫20歳)
「はーん、なるほどなぁ。錦山組がなぁ」
柄本医院のソファを占領して、桐生ちゃん達の話を一通り聞いた。錦山組は今や厄介者の集まりだ。今の組長の新藤も怪しい動きがあるし、打倒桐生の信念を固めつつあるのも不安定な要素だ。今は東城会でトップを目指す方を優先すべきなのだが、まあいい。今の東城会は面白みもない。桐生ちゃんにはまだ言っていないが、東城会から別れた真島組は真島建設として元気に神室町ヒルズを建設中で、こっちの方が今は楽しい。賽の河原も管理を任されて、今後がますます楽しみである。
と、話が逸れて自分の事情を思い返してしまった。そういえば錦山組といえば、西田が言っていたな。錦山組幹部の一人の、澤村という男が数人の部下を連れて神室町を彷徨いていると。もしかして、彼女を探していたのだろうか。金の成り続ける木として。
「兄さん?」
「ああ、いや。ひとまず、こいつが錦山の写真や。どや、見覚えあるか?」
「うーーーーん。……あ、もしかして髪下ろしてたのかな。見覚えある、と思う」
「あるのか?!」
桐生ちゃんが驚いている。新幹線で出会った嬢ちゃんは写真をマジマジと見つめて、記憶を掘り起こそうとしているようだ。
「たしか、私が中学生の時だったから、五年前?くらいかな?神室町でポケサーの大会をやってたんだ。あ、ポケサーって分かる?車のオモチャなんだけど」
「「分かるから続けていいぞ(ええで)」」
「あっはい。(昔遊んでたのかな……)それで、兄貴に連れてってもらって、その大会に出るつもりだったんだけど、私迷子になっちゃって……ピーピー泣いてたら、ホストみたいなお兄さんに声かけられて、たしか、一緒に兄貴を探してくれた、気がする……」
それが、錦山だったということか。それにしても、五年前というのが正しければ、もう錦山は豹変していた頃だ。だというのに、迷子の子供を保護してやっていたとは。何か理由があったのだろうか。それこそ、未来に金の成る木に変貌すると見込んで、手を出したとか。
そう考えていたのが桐生ちゃんにもわかったのか、小さく首を横に振る。
「多分、錦はこいつを死んだ妹と重ねちまったんだ。だから俺は、その時の錦は何の打算もなくこいつを助けたんだと思うぜ」
「そーか。でも桐生ちゃんの野生の勘は当たり外れがでかいからのう」
「むぅ……」
本人も自覚があるのか、むすりと唇を尖らせている。嬢ちゃんはというと、「そっかぁ、あの人ホストじゃなくて組長さんだったのかぁ」とのんびりしていた。
「親切な人だったのはふんわり覚えてるんだけど、別にこれといった特別な思い出があったわけじゃないし……。もしかして、一緒にいるのを見てた組の人がめちゃくちゃ仲良し!って勘違いした、とか?」
「まぁ、今の状況を見ると錦が熱心にしてた女だから保護、というよりは金目当てに思えるしな」
「せやな。けど、その金の成り続ける理由もわからへんのやろ?」
「そうなんですよー!!むしろ、そこが重要な気がしてきた!私の口座になんでこんなにお金が振り込まれるのさー!!」
桁違いの額が送金され続ける口座の通帳をパタパタと振っている。錦山との顔見知りだということはわかったが、やはり金の出どころだけははっきりしない。送付元は都道府県様々であり、時期も含めて同一人物ではなく複数の人間が送金しているようだ。だが、二十歳やそこらのカタギの女に、一体誰がそんなことをしているのか。そして、行方不明の兄はどうしているのか。
「死亡届が出てんだよな、お前の兄貴は」
桐生ちゃんがそう切り出すと、嬢ちゃんは先程までとは打って変わって表情を暗くした。
「うん。でも、でもね!谷村さん……手伝ってくれたお巡りさんが、おかしいって!生きてると思うって言ってくれたんだ。私、嬉しくて……正直、もう死んじゃってるんじゃないかって不安だったから……でも、そう言ってもらえたから、私は兄貴が生きてるって信じてる」
「サツがそう言うっちゅうことは、明らかにおかしな死亡届やったんやろな。となると、錦山組より兄貴探しした方がええかもな」
「ああ、金のこともわかるかもしれねえし、そうしたら錦山組の暴走も止められるかもしれねえ。というか、真島の兄さん」
「ん?なんや?」
「こいつの兄探しに協力してくれるのか?」
ああ、なるほど。たしかに、この流れでは俺も協力しているように見える。いや、協力してやってもいいと思っているが、それは彼女次第だ。
「嬢ちゃん、手数は多い方がええと思うけど、どうや?」
「もちのろんです!眼帯の真島の兄さん!私、絶対に兄貴に会いたいんです。……大事な人を巻き込んで傷つけて、本当は一人でやらなきゃいけないってわかってるけど、それでも、兄貴に会いたいんだ。だから、だから!お願いです、手伝ってください!」
助けて、と重ねて聞こえた気がした。過去に大切だったもの達が、頭をよぎる。
「ヒヒっ、ええで。俺が手伝えば百人力や。大船に乗った気でおり!優姫ちゃん!」
「ありがとうございます!真島の兄さん!」
「いや、お前はその呼び方じゃなくていいんだぞ」
「じゃあ真島!」
「さんはつけようか?!」
桐生ちゃんのツッコミを聞いて、昔自分もこんなやり取りしたっけなぁと懐かしくなってお腹を抱えて笑った。
優姫ちゃんは「冗談だって!ね、真島さん!」と悪戯っ子の笑みを浮かべていたのだった。
「賑やかなところ悪いが、お客さんが集まってきてるぞ」
窓の外を見ながら呆れたようにそういう闇医者の先生に、優姫ちゃんと桐生ちゃんがお礼を告げ、教えてもらった裏口から三人で静かに出て行く。
ひとまず、目指すはミレニアムタワーの地下だ。あそこは意外と穴場で、工事中なこともあって人は来ないし来たとしても思う存分暴れられる。
楽しい喧嘩ができるとええなぁ、とニマニマしていたら、桐生ちゃんに「怖いぜ兄さん」と引かれてしまった。
(2006年優姫20歳)
「はーん、なるほどなぁ。錦山組がなぁ」
柄本医院のソファを占領して、桐生ちゃん達の話を一通り聞いた。錦山組は今や厄介者の集まりだ。今の組長の新藤も怪しい動きがあるし、打倒桐生の信念を固めつつあるのも不安定な要素だ。今は東城会でトップを目指す方を優先すべきなのだが、まあいい。今の東城会は面白みもない。桐生ちゃんにはまだ言っていないが、東城会から別れた真島組は真島建設として元気に神室町ヒルズを建設中で、こっちの方が今は楽しい。賽の河原も管理を任されて、今後がますます楽しみである。
と、話が逸れて自分の事情を思い返してしまった。そういえば錦山組といえば、西田が言っていたな。錦山組幹部の一人の、澤村という男が数人の部下を連れて神室町を彷徨いていると。もしかして、彼女を探していたのだろうか。金の成り続ける木として。
「兄さん?」
「ああ、いや。ひとまず、こいつが錦山の写真や。どや、見覚えあるか?」
「うーーーーん。……あ、もしかして髪下ろしてたのかな。見覚えある、と思う」
「あるのか?!」
桐生ちゃんが驚いている。新幹線で出会った嬢ちゃんは写真をマジマジと見つめて、記憶を掘り起こそうとしているようだ。
「たしか、私が中学生の時だったから、五年前?くらいかな?神室町でポケサーの大会をやってたんだ。あ、ポケサーって分かる?車のオモチャなんだけど」
「「分かるから続けていいぞ(ええで)」」
「あっはい。(昔遊んでたのかな……)それで、兄貴に連れてってもらって、その大会に出るつもりだったんだけど、私迷子になっちゃって……ピーピー泣いてたら、ホストみたいなお兄さんに声かけられて、たしか、一緒に兄貴を探してくれた、気がする……」
それが、錦山だったということか。それにしても、五年前というのが正しければ、もう錦山は豹変していた頃だ。だというのに、迷子の子供を保護してやっていたとは。何か理由があったのだろうか。それこそ、未来に金の成る木に変貌すると見込んで、手を出したとか。
そう考えていたのが桐生ちゃんにもわかったのか、小さく首を横に振る。
「多分、錦はこいつを死んだ妹と重ねちまったんだ。だから俺は、その時の錦は何の打算もなくこいつを助けたんだと思うぜ」
「そーか。でも桐生ちゃんの野生の勘は当たり外れがでかいからのう」
「むぅ……」
本人も自覚があるのか、むすりと唇を尖らせている。嬢ちゃんはというと、「そっかぁ、あの人ホストじゃなくて組長さんだったのかぁ」とのんびりしていた。
「親切な人だったのはふんわり覚えてるんだけど、別にこれといった特別な思い出があったわけじゃないし……。もしかして、一緒にいるのを見てた組の人がめちゃくちゃ仲良し!って勘違いした、とか?」
「まぁ、今の状況を見ると錦が熱心にしてた女だから保護、というよりは金目当てに思えるしな」
「せやな。けど、その金の成り続ける理由もわからへんのやろ?」
「そうなんですよー!!むしろ、そこが重要な気がしてきた!私の口座になんでこんなにお金が振り込まれるのさー!!」
桁違いの額が送金され続ける口座の通帳をパタパタと振っている。錦山との顔見知りだということはわかったが、やはり金の出どころだけははっきりしない。送付元は都道府県様々であり、時期も含めて同一人物ではなく複数の人間が送金しているようだ。だが、二十歳やそこらのカタギの女に、一体誰がそんなことをしているのか。そして、行方不明の兄はどうしているのか。
「死亡届が出てんだよな、お前の兄貴は」
桐生ちゃんがそう切り出すと、嬢ちゃんは先程までとは打って変わって表情を暗くした。
「うん。でも、でもね!谷村さん……手伝ってくれたお巡りさんが、おかしいって!生きてると思うって言ってくれたんだ。私、嬉しくて……正直、もう死んじゃってるんじゃないかって不安だったから……でも、そう言ってもらえたから、私は兄貴が生きてるって信じてる」
「サツがそう言うっちゅうことは、明らかにおかしな死亡届やったんやろな。となると、錦山組より兄貴探しした方がええかもな」
「ああ、金のこともわかるかもしれねえし、そうしたら錦山組の暴走も止められるかもしれねえ。というか、真島の兄さん」
「ん?なんや?」
「こいつの兄探しに協力してくれるのか?」
ああ、なるほど。たしかに、この流れでは俺も協力しているように見える。いや、協力してやってもいいと思っているが、それは彼女次第だ。
「嬢ちゃん、手数は多い方がええと思うけど、どうや?」
「もちのろんです!眼帯の真島の兄さん!私、絶対に兄貴に会いたいんです。……大事な人を巻き込んで傷つけて、本当は一人でやらなきゃいけないってわかってるけど、それでも、兄貴に会いたいんだ。だから、だから!お願いです、手伝ってください!」
助けて、と重ねて聞こえた気がした。過去に大切だったもの達が、頭をよぎる。
「ヒヒっ、ええで。俺が手伝えば百人力や。大船に乗った気でおり!優姫ちゃん!」
「ありがとうございます!真島の兄さん!」
「いや、お前はその呼び方じゃなくていいんだぞ」
「じゃあ真島!」
「さんはつけようか?!」
桐生ちゃんのツッコミを聞いて、昔自分もこんなやり取りしたっけなぁと懐かしくなってお腹を抱えて笑った。
優姫ちゃんは「冗談だって!ね、真島さん!」と悪戯っ子の笑みを浮かべていたのだった。
「賑やかなところ悪いが、お客さんが集まってきてるぞ」
窓の外を見ながら呆れたようにそういう闇医者の先生に、優姫ちゃんと桐生ちゃんがお礼を告げ、教えてもらった裏口から三人で静かに出て行く。
ひとまず、目指すはミレニアムタワーの地下だ。あそこは意外と穴場で、工事中なこともあって人は来ないし来たとしても思う存分暴れられる。
楽しい喧嘩ができるとええなぁ、とニマニマしていたら、桐生ちゃんに「怖いぜ兄さん」と引かれてしまった。