snobbism(龍如)
DREAM
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命を詩う人の話。③
(2016年なずな30歳)
谷村さんから桐生さんの出所日を聞いた私は、迎えに行ってあげようと桐生さんの収容されていた刑務所へすぐに向かった。
久しぶりに桐生さんに会えるのも嬉しいし、これからよし兄が六代目さんに会うと思うともっと嬉しくて、刑務所の前に立つ警護の人にデレデレと話しかけていた。
「そっかあ、君あの桐生一馬の友達なのかあ。そういえば、養護施設やってるんだっけ?君もそこの出身なの?」
「違うんですけど、めちゃくちゃお世話になったんですよー!元四代目っていいますけど、私が会ったときにはもうカタギでしたし、良い人なんですよー」
「そうだねえ、怖いかなあって思ってたけど、問題なんて一度も起こさなかったしなあ」
「へへっ!」
「なんでお前が誇らしげなんだ……」
「わぁっ?!あっ、桐生さん!」
ごくろうさまです!と警護の人が人ひとりが出られるような扉から出てきた刑務官の人に挨拶をする。一緒に出てきた桐生さんは、私に突っ込みを入れた後、刑務官の人にお辞儀をした。刑務官の人も、映画やドラマでよく聞く「もう来るなよ」を言った後扉の向こうへ戻っていった。警護の人とも手を振ってお別れをした後、桐生さんと並んで歩きだす。
「迎えに来てくれてありがとな。さすがにアサガオの子供たちを呼ぶのも気が引けてたんだ」
「いいってことよ!それにしても、早い出所だったって谷村さんから聞いたよ!さっきの警護の人も言ってたけど、桐生さんめちゃくちゃ頑張ったんだね」
「身を綺麗にするって務所に入ったってのに、問題起こしてちゃ世話ねえだろ。……ようやく、胸張ってあいつらに会えるよ」
「ほんまよかったでえ桐生ちゃん!」
「フ……その兄さんの真似も久々に聞けてよかったぜ」
桐生さんはこのまま沖縄へ直行するとのことだ。落ち着いたらまたみんなで集まって酒でも飲みたいというので、その時によし兄も連れて行こう。それから、六代目さんと会えるようにセッティングしてもらえば完璧だ。
ふへへ、と今後の展望に口元のにやけが止まらない。そんな私を見て、桐生さんも少しおかしそうに笑っていた。
桐生さんを空港まで見送り別れた後、私も大阪に帰ろうとスマホで新幹線の時間を調べる。最初はタッチパネルの操作に不慣れだったものの、慣れた今では問題なく操作できるようになった。ちなみに、このスマホの裏面には谷村さんと新たに撮り直したプリクラを貼っていたりする!(なお、よし兄にはバカップル……とチベスナ目で言われていたりもする)
「お嬢さん、少し良いかな?」
下を向いていたから気づかなかったが、いつの間にか私の前に人が立っていた。声をかけられて顔を上げると、銀髪のホスト風の男が私をニコニコと見下ろしている。どこか日本人ではないように思えるけど、なんだろう。
「はい、なんでしょうか?」
「道を尋ねてもいいかな。この辺りは複雑で、迷ってしまってね」
「あ、了解です!っていっても私もめちゃくちゃ詳しいわけじゃないのでスマホで調べるかもですけど、行きたい場所はどこですか?」
「桐生一馬のところへ」
「へ?」
トン、と背後から首を叩かれる。何が起きたのかわからないまま、私の意識は暗闇へと落ちていく。目が閉じられる前に、銀髪の男が複雑そうな顔でこちらを見ていた、気がした。
いつまで経っても帰ってこない。
スマホに連絡を入れるも、返事はなく、メッセージも既読にならない。
まさかまた何かに巻き込まれてんのか?と思考を巡らせようとした時、カタンとポストが音を立てた。このタイミングはとてつもなく嫌な予感がするが、確認に向かうことにした。
ポストの中には、いつだったか谷村が受け取ったという白い封筒が入っていた。躊躇なくそれを開いて、中に入っているものを取り出す。
中には、写真と、それに貼られた付箋のみ。写真は東京まで桐生さんを迎えに行ったなずなと、見知らぬ銀髪の男のツーショットだった。付箋には、いつか見た綺麗な字で、しかし焦っていたのか走り書きのような文字が綴られている。
《詳細は省くが東城会と陽銘連合会とジングォン派が抗争中》
《ハン・ジュンギに桐生一馬を呼び出す人質にされた》
《場所は神室町》
《妹を助けてくれ》
俺に、神室町へ行けと言っているのか。なんでもできそうなこの男が、ここまで殊勝に頼むほど、今の事態は深刻なのか。
「……大吾さん」
大吾さんに会う勇気はまだないが、なんだかんだ可愛がっている妹が危険だというなら、行くに決まっている。今の俺にとって、たった一人の家族なのだから。
7年ぶりに神室町に向かうと決めた時、止まっていた峯義孝の時間が動き出すのを感じた。
(2016年なずな30歳)
谷村さんから桐生さんの出所日を聞いた私は、迎えに行ってあげようと桐生さんの収容されていた刑務所へすぐに向かった。
久しぶりに桐生さんに会えるのも嬉しいし、これからよし兄が六代目さんに会うと思うともっと嬉しくて、刑務所の前に立つ警護の人にデレデレと話しかけていた。
「そっかあ、君あの桐生一馬の友達なのかあ。そういえば、養護施設やってるんだっけ?君もそこの出身なの?」
「違うんですけど、めちゃくちゃお世話になったんですよー!元四代目っていいますけど、私が会ったときにはもうカタギでしたし、良い人なんですよー」
「そうだねえ、怖いかなあって思ってたけど、問題なんて一度も起こさなかったしなあ」
「へへっ!」
「なんでお前が誇らしげなんだ……」
「わぁっ?!あっ、桐生さん!」
ごくろうさまです!と警護の人が人ひとりが出られるような扉から出てきた刑務官の人に挨拶をする。一緒に出てきた桐生さんは、私に突っ込みを入れた後、刑務官の人にお辞儀をした。刑務官の人も、映画やドラマでよく聞く「もう来るなよ」を言った後扉の向こうへ戻っていった。警護の人とも手を振ってお別れをした後、桐生さんと並んで歩きだす。
「迎えに来てくれてありがとな。さすがにアサガオの子供たちを呼ぶのも気が引けてたんだ」
「いいってことよ!それにしても、早い出所だったって谷村さんから聞いたよ!さっきの警護の人も言ってたけど、桐生さんめちゃくちゃ頑張ったんだね」
「身を綺麗にするって務所に入ったってのに、問題起こしてちゃ世話ねえだろ。……ようやく、胸張ってあいつらに会えるよ」
「ほんまよかったでえ桐生ちゃん!」
「フ……その兄さんの真似も久々に聞けてよかったぜ」
桐生さんはこのまま沖縄へ直行するとのことだ。落ち着いたらまたみんなで集まって酒でも飲みたいというので、その時によし兄も連れて行こう。それから、六代目さんと会えるようにセッティングしてもらえば完璧だ。
ふへへ、と今後の展望に口元のにやけが止まらない。そんな私を見て、桐生さんも少しおかしそうに笑っていた。
桐生さんを空港まで見送り別れた後、私も大阪に帰ろうとスマホで新幹線の時間を調べる。最初はタッチパネルの操作に不慣れだったものの、慣れた今では問題なく操作できるようになった。ちなみに、このスマホの裏面には谷村さんと新たに撮り直したプリクラを貼っていたりする!(なお、よし兄にはバカップル……とチベスナ目で言われていたりもする)
「お嬢さん、少し良いかな?」
下を向いていたから気づかなかったが、いつの間にか私の前に人が立っていた。声をかけられて顔を上げると、銀髪のホスト風の男が私をニコニコと見下ろしている。どこか日本人ではないように思えるけど、なんだろう。
「はい、なんでしょうか?」
「道を尋ねてもいいかな。この辺りは複雑で、迷ってしまってね」
「あ、了解です!っていっても私もめちゃくちゃ詳しいわけじゃないのでスマホで調べるかもですけど、行きたい場所はどこですか?」
「桐生一馬のところへ」
「へ?」
トン、と背後から首を叩かれる。何が起きたのかわからないまま、私の意識は暗闇へと落ちていく。目が閉じられる前に、銀髪の男が複雑そうな顔でこちらを見ていた、気がした。
いつまで経っても帰ってこない。
スマホに連絡を入れるも、返事はなく、メッセージも既読にならない。
まさかまた何かに巻き込まれてんのか?と思考を巡らせようとした時、カタンとポストが音を立てた。このタイミングはとてつもなく嫌な予感がするが、確認に向かうことにした。
ポストの中には、いつだったか谷村が受け取ったという白い封筒が入っていた。躊躇なくそれを開いて、中に入っているものを取り出す。
中には、写真と、それに貼られた付箋のみ。写真は東京まで桐生さんを迎えに行ったなずなと、見知らぬ銀髪の男のツーショットだった。付箋には、いつか見た綺麗な字で、しかし焦っていたのか走り書きのような文字が綴られている。
《詳細は省くが東城会と陽銘連合会とジングォン派が抗争中》
《ハン・ジュンギに桐生一馬を呼び出す人質にされた》
《場所は神室町》
《妹を助けてくれ》
俺に、神室町へ行けと言っているのか。なんでもできそうなこの男が、ここまで殊勝に頼むほど、今の事態は深刻なのか。
「……大吾さん」
大吾さんに会う勇気はまだないが、なんだかんだ可愛がっている妹が危険だというなら、行くに決まっている。今の俺にとって、たった一人の家族なのだから。
7年ぶりに神室町に向かうと決めた時、止まっていた峯義孝の時間が動き出すのを感じた。