snobbism(龍如)
DREAM
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兄妹生活~電撃引退騒動後日~
(2012年なずな26歳)
デビューと同時に衝撃的な事実の公表とともに引退表明をした澤村遥のライブ映像は、瞬く間に世間へ広まった。
あの後コンサート会場を出て行ってしまった遥ちゃん。残されたT-SETの二人は狼狽えていて、アンコールも聞けないままコンサートは強制的に終わってしまった。隣にいた花さんも同じように動揺していたが、おそらくスタッフルームへ駆け出したのだろう堀江さん達を盗み見たとき、その表情は怒りとか困惑ではなく、どこかこうなることを予感していたようで落ち着いているように見えた。私は予想とか予感はなかったけど、あれが遥ちゃんの本心なら仕方ないかとぼんやり思ったくらいだ。
大阪へ戻ってきた私は、よし兄とそのテレビの報道を見ながらそんなことを思い返していた。するとパッドを操作しながらよし兄が聞いたぞ、と声をかけてくる。
「六代目はまた入院されたらしいな」
「えっなんで知ってんの?!」
「谷村から聞いた。桐生さんもかなりひどい怪我を負って入院したんだってな」
「……谷村さんがね、見舞いはダメだって。今回の件、かなり大ごとだったらしくて、警察がピリピリしてるから関わらない方がいいって」
「俺も同意見だ。念には念を入れておくために、家の引っ越し手続きももう終わっている」
「……ん??引っ越しってなんですかね??」
よし兄に問い詰めようとしたとき、家の呼び鈴が鳴る。
やっと来たかと腰を上げて玄関へ向かっていく兄を見送り、通販とか頼んでたのかと首をかしげていると、どかどかと作業服を着た人たちが乗り込んできた。突然のことに逃げることもできず惚けていたら、作業服に印刷された引っ越し会社のマークが目に入る。よくよく見れば、荷物を運びこんできているではないか。なるほど、これがすでに手配が終えていたという引っ越しの件か。いやでもね?
「報連相は?!」
「お前は遊びに行っていただろうが」
「行ってたけど?!でも引っ越しなんて一大事は連絡くれてもよくない?!」
「うるせえな」
家族のいざこざやらそういうのに慣れているのか。引っ越し業者の人たちは私達の問答にはぴくりとも反応せず淡々と荷物を運び終えると、領収書をおいてさっさと帰ってしまった。すでにお金は支払済だったようだ。ではなくて。
「前の家気に入ってたのになあ……」
「ここも大して違いはないだろ。少し小さくなったか?」
「いや十分大きいけどね。4LDKは広すぎだからね」
「ロフトがねえだろ」
「よし兄昔はどんだけお金稼いでたの?タワマン住みだったの??」
それから数か月後。神室町でのいざこざは、元四代目が逮捕されることで収束に向かうことになった。当然私は怒り狂い、谷村さんや伊達さんに連絡を取るも、桐生さんがよしとしたんだと言われてしまった。それと、今回刑務所へ入ることで、身をきれいするのだとも。
桐生さんは、遥ちゃんの言葉に応えたいのだ。家族と一緒に暮らすために、極道からしっかりと足を洗い、アサガオに戻る。そのために、逮捕を受け入れ刑務所へ入っていった。
ちなみに冴島さんも刑務所へ収監されているらしい。まあ理由はなんであれ脱獄してるからな、とよし兄に言われて、そういえばそうだったと気づく。あまりにも普通にいたから忘れていた。
大事な友達の二人が刑務所へ入ってしまったのは、すごく苦しいけど。今度こそ、すべてが綺麗に戻るはずだ。時間はかかっても、きっと。だから私は、二人が出てきたときに笑顔で迎えに行ってあげようと思うのだ。
「そういえば遥ちゃん大丈夫かな。ネットの書き込み見ちゃったけど、あることないこと書かれてるんだよね。連絡したけど、大丈夫ですって言われちゃったし……」
「コンサート中に大暴れしてた男が家族ですなんて、大衆の格好のネタだろ。まあ、ほとぼりが冷めるまで待つしかない。こればっかりは風化するのを待つほかないからな」
「うむむ……!」
仕方ない。私にできることは気にかけてあげることくらいしかないが、定期的に連絡をとってみよう。桐生さんがいなくて不安だろうし。
「さて、明日は谷村さんと秋山さんが遊びに来るし、大掃除するぞー!!」
「あいつら先月も来てなかったか?」
「楽しいからいいじゃん!あっ買い出ししなきゃ!よし兄、買い物行こ!」
「……いつものうるせえ妹に戻っちまったな」
「うるさいは余計じゃない?!」
よし兄は嫌な顔しつつも出かける準備をしてくれるからなんだかんだ優しいんだよなあ。
さて、と私もお出かけ用の服に着替える。私たちは、私たちの日常に戻るのだ。
「ねえねえ、よし兄はまだ六代目さんに会いに行かないの?」
「……」
「あっ揺らいでる!!迷ったらやるのが一番だよ?!今から行く?!」
「……桐生さんが、アサガオに戻ったらな」
「ぐぬぬーっ!絶対だからね?!」
ようやくよし兄の時間も進みそうだ。
(2012年なずな26歳)
デビューと同時に衝撃的な事実の公表とともに引退表明をした澤村遥のライブ映像は、瞬く間に世間へ広まった。
あの後コンサート会場を出て行ってしまった遥ちゃん。残されたT-SETの二人は狼狽えていて、アンコールも聞けないままコンサートは強制的に終わってしまった。隣にいた花さんも同じように動揺していたが、おそらくスタッフルームへ駆け出したのだろう堀江さん達を盗み見たとき、その表情は怒りとか困惑ではなく、どこかこうなることを予感していたようで落ち着いているように見えた。私は予想とか予感はなかったけど、あれが遥ちゃんの本心なら仕方ないかとぼんやり思ったくらいだ。
大阪へ戻ってきた私は、よし兄とそのテレビの報道を見ながらそんなことを思い返していた。するとパッドを操作しながらよし兄が聞いたぞ、と声をかけてくる。
「六代目はまた入院されたらしいな」
「えっなんで知ってんの?!」
「谷村から聞いた。桐生さんもかなりひどい怪我を負って入院したんだってな」
「……谷村さんがね、見舞いはダメだって。今回の件、かなり大ごとだったらしくて、警察がピリピリしてるから関わらない方がいいって」
「俺も同意見だ。念には念を入れておくために、家の引っ越し手続きももう終わっている」
「……ん??引っ越しってなんですかね??」
よし兄に問い詰めようとしたとき、家の呼び鈴が鳴る。
やっと来たかと腰を上げて玄関へ向かっていく兄を見送り、通販とか頼んでたのかと首をかしげていると、どかどかと作業服を着た人たちが乗り込んできた。突然のことに逃げることもできず惚けていたら、作業服に印刷された引っ越し会社のマークが目に入る。よくよく見れば、荷物を運びこんできているではないか。なるほど、これがすでに手配が終えていたという引っ越しの件か。いやでもね?
「報連相は?!」
「お前は遊びに行っていただろうが」
「行ってたけど?!でも引っ越しなんて一大事は連絡くれてもよくない?!」
「うるせえな」
家族のいざこざやらそういうのに慣れているのか。引っ越し業者の人たちは私達の問答にはぴくりとも反応せず淡々と荷物を運び終えると、領収書をおいてさっさと帰ってしまった。すでにお金は支払済だったようだ。ではなくて。
「前の家気に入ってたのになあ……」
「ここも大して違いはないだろ。少し小さくなったか?」
「いや十分大きいけどね。4LDKは広すぎだからね」
「ロフトがねえだろ」
「よし兄昔はどんだけお金稼いでたの?タワマン住みだったの??」
それから数か月後。神室町でのいざこざは、元四代目が逮捕されることで収束に向かうことになった。当然私は怒り狂い、谷村さんや伊達さんに連絡を取るも、桐生さんがよしとしたんだと言われてしまった。それと、今回刑務所へ入ることで、身をきれいするのだとも。
桐生さんは、遥ちゃんの言葉に応えたいのだ。家族と一緒に暮らすために、極道からしっかりと足を洗い、アサガオに戻る。そのために、逮捕を受け入れ刑務所へ入っていった。
ちなみに冴島さんも刑務所へ収監されているらしい。まあ理由はなんであれ脱獄してるからな、とよし兄に言われて、そういえばそうだったと気づく。あまりにも普通にいたから忘れていた。
大事な友達の二人が刑務所へ入ってしまったのは、すごく苦しいけど。今度こそ、すべてが綺麗に戻るはずだ。時間はかかっても、きっと。だから私は、二人が出てきたときに笑顔で迎えに行ってあげようと思うのだ。
「そういえば遥ちゃん大丈夫かな。ネットの書き込み見ちゃったけど、あることないこと書かれてるんだよね。連絡したけど、大丈夫ですって言われちゃったし……」
「コンサート中に大暴れしてた男が家族ですなんて、大衆の格好のネタだろ。まあ、ほとぼりが冷めるまで待つしかない。こればっかりは風化するのを待つほかないからな」
「うむむ……!」
仕方ない。私にできることは気にかけてあげることくらいしかないが、定期的に連絡をとってみよう。桐生さんがいなくて不安だろうし。
「さて、明日は谷村さんと秋山さんが遊びに来るし、大掃除するぞー!!」
「あいつら先月も来てなかったか?」
「楽しいからいいじゃん!あっ買い出ししなきゃ!よし兄、買い物行こ!」
「……いつものうるせえ妹に戻っちまったな」
「うるさいは余計じゃない?!」
よし兄は嫌な顔しつつも出かける準備をしてくれるからなんだかんだ優しいんだよなあ。
さて、と私もお出かけ用の服に着替える。私たちは、私たちの日常に戻るのだ。
「ねえねえ、よし兄はまだ六代目さんに会いに行かないの?」
「……」
「あっ揺らいでる!!迷ったらやるのが一番だよ?!今から行く?!」
「……桐生さんが、アサガオに戻ったらな」
「ぐぬぬーっ!絶対だからね?!」
ようやくよし兄の時間も進みそうだ。