snobbism(龍如)
DREAM
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夢を追う人たちの話。⑦
(2012年なずな26歳)
コンサート当日。花さんと合流して会場へ向かうと、二転三転したコンサート内容にも関わらず沢山の人が集まってきていた。チケット戦争に参加しないで入る事に若干の罪悪感を秘めつつ、会場の中へ入る。
「すごい人混みだね、なずなちゃん。怪我は大丈夫?」
「大丈夫です!って、私の怪我の話どこまで広まってるんです?!」
秋山さんがひどく落ち込んでいたらしく、その時に話を聞いたのだとか。秋山さん、ほんとご心配をおかけしました……。
会場の中でチケットの席を探すと、結構良い席をとってもらっていたらしくステージのほぼ目の前だった。秋山さん、本当にいろいろすみません!全力で楽しませてもらいます!
花さんは場所がわかったから飲み物買ってくる、と廊下に備え付けられていた自販機のところへ行ってしまったので、私はおとなしく座席に座って待つことにしよう。
「あ!なずなちゃんやないか!」
「え?」
荷物を足元に降ろして座ろうとしたとき、前の座席から名前を呼ばれた。反射的に顔を上げると、そこにいたのは堀江さんだった。たしか襲われたって聞いたけど、退院できたんだ。頭に包帯を巻いていて痛々しいが、元気に笑ってくれていることに安堵する。
「堀江さん!お久しぶりです!秋山さんからいろいろ聞いてます!怪我大丈夫ですか?!」
「ちょっと痛いけど、今日はうちの子の晴れ舞台やからな!しっかりこの目で見届けんと!それにしても、秋山さんと知り合いやったん?世間狭いなあ」
「ほんとですね!」
「なんや堀江くん、こんな若い女の子と知り合いなん?どこでおうたの?」
そう声をかけられて、気づけば堀江さんの隣にいた女性だけでなく、帽子を被った男性もこちらを窺うように見ていた。堀江さんがダイナチェアの人なので、もしやこの方たちも同業者なのだろうか。
堀江さんが二人の紹介をしてくれる。なるほど、山浦さんとクリスティーナさんというのか。よしよし、覚えたぞ。
「私はなずなっていいます。秋山さんの会社で働いてて、遥ちゃんとは友達でして」
「この子な、去年のクリスマスにお兄さんと一緒にチンピラに絡まれとって、僕がお節介したんよ」
「いやいや!あの時は兄共々ほんとにお世話になりました!みんなが目をそらしてる中で、堀江さんだけが助けに入ってくれたんです。すごくかっこよかったんですよー!」
「えっ?ええっ?ほんまに?!」
「何デレデレしてんねん堀江くん。でもまあ、遥とも友達なんやな。遥、今日のためにめちゃくちゃ頑張ったんや。応援したってな」
「もちのろんです!超楽しみにしてます!」
ふふ、と山浦さんが笑うと、つられて堀江さんもクリスティーナさんも笑っていた。遥ちゃん、いい人達に囲まれてたんだな。桐生さんと離れてどうしてるか不安だったけど、少しホッとした。
私もえへへと笑っていたら、戻ってきた花さんに首を傾げられてしまった。
そして少し待っていると、会場が真っ暗になり音楽が流れてくる。遥ちゃんのデビューコンサートが始まるのだ。舞台に立つ遥ちゃんがライトアップされ、歌声が響き渡り、会場が熱狂する。あの場所に立つのはきっと、すごく大変だっただろう。けど、ようやく夢が叶ったんだ。これからはまた、すれ違って離れてしまった桐生さんと一緒にいられたらいいのにな。
「私は、桐生一馬の家族です」
コンサートの終盤、遥ちゃんがアイドルを辞めて、大切な人の家族であることだけを選ぶなんて、この時まで誰も予想していなかった。
この出来事は、きっと日本中を驚かせたに違いないと後になって思うのだった。
(2012年なずな26歳)
コンサート当日。花さんと合流して会場へ向かうと、二転三転したコンサート内容にも関わらず沢山の人が集まってきていた。チケット戦争に参加しないで入る事に若干の罪悪感を秘めつつ、会場の中へ入る。
「すごい人混みだね、なずなちゃん。怪我は大丈夫?」
「大丈夫です!って、私の怪我の話どこまで広まってるんです?!」
秋山さんがひどく落ち込んでいたらしく、その時に話を聞いたのだとか。秋山さん、ほんとご心配をおかけしました……。
会場の中でチケットの席を探すと、結構良い席をとってもらっていたらしくステージのほぼ目の前だった。秋山さん、本当にいろいろすみません!全力で楽しませてもらいます!
花さんは場所がわかったから飲み物買ってくる、と廊下に備え付けられていた自販機のところへ行ってしまったので、私はおとなしく座席に座って待つことにしよう。
「あ!なずなちゃんやないか!」
「え?」
荷物を足元に降ろして座ろうとしたとき、前の座席から名前を呼ばれた。反射的に顔を上げると、そこにいたのは堀江さんだった。たしか襲われたって聞いたけど、退院できたんだ。頭に包帯を巻いていて痛々しいが、元気に笑ってくれていることに安堵する。
「堀江さん!お久しぶりです!秋山さんからいろいろ聞いてます!怪我大丈夫ですか?!」
「ちょっと痛いけど、今日はうちの子の晴れ舞台やからな!しっかりこの目で見届けんと!それにしても、秋山さんと知り合いやったん?世間狭いなあ」
「ほんとですね!」
「なんや堀江くん、こんな若い女の子と知り合いなん?どこでおうたの?」
そう声をかけられて、気づけば堀江さんの隣にいた女性だけでなく、帽子を被った男性もこちらを窺うように見ていた。堀江さんがダイナチェアの人なので、もしやこの方たちも同業者なのだろうか。
堀江さんが二人の紹介をしてくれる。なるほど、山浦さんとクリスティーナさんというのか。よしよし、覚えたぞ。
「私はなずなっていいます。秋山さんの会社で働いてて、遥ちゃんとは友達でして」
「この子な、去年のクリスマスにお兄さんと一緒にチンピラに絡まれとって、僕がお節介したんよ」
「いやいや!あの時は兄共々ほんとにお世話になりました!みんなが目をそらしてる中で、堀江さんだけが助けに入ってくれたんです。すごくかっこよかったんですよー!」
「えっ?ええっ?ほんまに?!」
「何デレデレしてんねん堀江くん。でもまあ、遥とも友達なんやな。遥、今日のためにめちゃくちゃ頑張ったんや。応援したってな」
「もちのろんです!超楽しみにしてます!」
ふふ、と山浦さんが笑うと、つられて堀江さんもクリスティーナさんも笑っていた。遥ちゃん、いい人達に囲まれてたんだな。桐生さんと離れてどうしてるか不安だったけど、少しホッとした。
私もえへへと笑っていたら、戻ってきた花さんに首を傾げられてしまった。
そして少し待っていると、会場が真っ暗になり音楽が流れてくる。遥ちゃんのデビューコンサートが始まるのだ。舞台に立つ遥ちゃんがライトアップされ、歌声が響き渡り、会場が熱狂する。あの場所に立つのはきっと、すごく大変だっただろう。けど、ようやく夢が叶ったんだ。これからはまた、すれ違って離れてしまった桐生さんと一緒にいられたらいいのにな。
「私は、桐生一馬の家族です」
コンサートの終盤、遥ちゃんがアイドルを辞めて、大切な人の家族であることだけを選ぶなんて、この時まで誰も予想していなかった。
この出来事は、きっと日本中を驚かせたに違いないと後になって思うのだった。