snobbism(龍如)
DREAM
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夢を追う人たちの話。⑥
(2012年なずな26歳)
「はい、どうぞ!」
「あっ、あ、ありがとうございますっ!!あ、あの、写真も撮らせてもらっても良いですか?!」
「もちろん!あ、一緒に撮ろっか!」
「はわあああ?!!」
推しと写真を撮ってしまった。万が一携帯が壊れた時のために早めに現像に行こう。そしてサイン色紙と一緒に飾っちゃおう。
にへら、と口元をにやけさせながら、貰ったサインを見つめていると、秋山さんがこそこそと声をかけてきた。
「なずなちゃん、今日は来てくれてありがとね。怪我の具合はどう?」
「あっはい!大丈夫です!頑丈なのが取り柄なので!それに、谷村さんもお見舞いに来てくれたので……えへへ」
「そっか!良い恋人だね!!」
「なんでそんな大きな声で?!」
いや、なんでも、と口籠る秋山さんは先程からカウンターに座り腕を組んでこちらを見ている谷村さんをチラ見している。見れば桐生さんと冴島さん、さらにはシナタツもとい品田さんまでもそんな様子だ。谷村さんはむーんとしているし、私がコンビニに行ってる間に一体何があったのだ。
「ところで怪我って何の話だ?」
「ああ、桐生さん達に説明してなかったですね。今回の一連の騒動の中で、なずなちゃんも巻き込まれてしまいまして。社長を襲った荻田って男に襲われてしまったんです」
「なんやと!大丈夫なんかなずな!」
「この通りです!超元気です!」
むん!と両腕を上にあげてマッスルポーズで返事をすると、冴島さんは安堵したように笑っていた。しかし、桐生さんは反対に悲しそうな顔で頭を下げてくるではないか。
「……また、お前を巻き込んじまったのか……すまねえ、なずな」
「いやいや桐生さんのせいじゃないですよ?!私の兄貴が迂闊だったというか、私のせいというか」
「なずな?」
「それは違うって言ったよね?」
「ひん!谷村さんと秋山さんが怖い!」
二人の視線から逃げるように桐生さんの背中に隠れると、ひょこっと品田さんが私の頭を覗き込んできた。
「あ、ほんとだ。怪我してるね。大丈夫?」
「はぎゃあ?!だっだだだ大丈夫です!!」
シナタツをテレビで見たときからもう何年も経ったから覚えていなかったが、イケメンなのだ。しかも声も良い。なにここ、イケてるメンズしか集まらない町なの?どうなってるの?
はわわと縮こまっていると、頭上から朗らかな笑い声が聞こえてくる。顔を上げれば、へにゃりと笑っている品田さん。
「えへへ、なんかこういう初々しい反応新鮮だなぁ」
「ぐうっ!!!」
なんだこの可愛い生き物……!シナタツの認識が憧れから可愛いにスライドしたんだが?!
品田さんのほわほわオーラに悶えていると、なぜか狼狽えている秋山さんがバタバタと私のところ駆け寄ってくる。今日の秋山さんちょっと面白いな。
「そ、そういえば!花ちゃんからチケットはもらった?ごめんね、俺が誘ったのに」
「いいんですよー!というか、チケットありがとうございます!遥ちゃんのデビューコンサート、めちゃくちゃ楽しみです!あ、でも、今そのコンサートがピンチなんですよね?」
「うん。でも大丈夫だよ。心強い仲間がこんなにいるんだ。なずなちゃんは何も心配しないで、遥ちゃんの晴れ舞台楽しんできて」
終わったら、パーっと飲もうよ。
電話で言ってくれたことを、もう一度笑って言ってくれる秋山さん。桐生さんも冴島さんも品田さんも、賛成だと笑っている。谷村さんも「韓来のフルコースですよね?」と言って秋山さんに「自腹ね?!」なんてツッコミを入れられている。
そうだ。私に出来ることは、日常を過ごすことなんだ。みんなが安心して帰ってこれる場所にいるのが、きっと私がやるべき事だ。
それに、このメンバーならきっと大丈夫。何の問題もないし、何の心配もない。
「はい!楽しんできます!みなさんも、どうかお気をつけて!」
おう!と、頼もしい返事がみんなから返ってきて、些細な不安は全部吹き飛んだ気がした。
明日はきっと大変な一日になるのだろうけど、それを乗り越えたらみんなで笑って日常に戻るんだ。
「なずなのこと、まだまだ知らないんだなあ俺」
ニューセレナからの帰り道、谷村さんはため息を吐きながらそう言った。何のことだと首を傾げたら、それ、と紙袋を指差してくる。この紙袋の中にあるのは、シナタツのサイン色紙だ。
「ああ、シナタツのファンだったこと?いやまあ、私が勝手に神格化してるというか、野球の神様みたいに思ってるっていうか……あのホームランの映像、どこかで見れないかなぁ。谷村さんにも見てほしい!」
「まあ、これが恋愛感情じゃないから許してるんだけどね」
「へ?」
「何でもないよ。品田さん、そんなにすごかったんだ?俺その頃何やってたっけなあ」
「!!谷村さんの子供時代!めちゃくちゃ聞きたい!」
「そう?別に面白いことはなかったけど」
「好きな人のことは知りたいってこと!」
「……あ、そう」
あー!照れてる!谷村さん可愛い!!
にやけながら少し赤くなった顔の谷村さんを覗いたら、ペシッと軽いデコピンをされる。照れ隠しだ。
「えっへっへ」
「そもそも、さん付けはもうやめてもいいんじゃないの?」
「えっ?さん付け……た、たしかに……なんか呼び慣れちゃってたから気にしなかったけど、そう言われると……つまり、マーちゃん……!」
「何でだよ。普通に正義でいいでしょ」
「ま、ま、まさ…………」
「うん」
「…………正義、さん」
「……うぐっ」
「わー?!どうしたの谷村さん?!あっ戻っちゃった!!わー!それよりどうして蹲るのー?!」
携帯を開いて目にも止まらぬ速さで何かを打ち込んだ後、谷村さんが蹲る。それから片手でこちらを制しながら、破壊力が凄いから、たまに呼んでくれたらいいと言われた。呼びたくなったらいつでもその呼び方に変えてくれてもいい、とも。何の破壊力かはわからないが、私もまだ照れてしまうので、二人きりの時とかは積極的に呼んでみようかなと思うのだった。
一方その頃、ニューセレナの秋山さん達。
「わ、谷村さんからメール来た……なんか、名前呼びの破壊力について綴られてる……怖……」
「谷村のやつ、機嫌直ったみてえだな」
「ほんま安心したわ。品田のこと親の仇のように見とったからなあ」
「ほんとですよ!なずなちゃん、嫉妬深い恋人もって大変だなぁ……」
(2012年なずな26歳)
「はい、どうぞ!」
「あっ、あ、ありがとうございますっ!!あ、あの、写真も撮らせてもらっても良いですか?!」
「もちろん!あ、一緒に撮ろっか!」
「はわあああ?!!」
推しと写真を撮ってしまった。万が一携帯が壊れた時のために早めに現像に行こう。そしてサイン色紙と一緒に飾っちゃおう。
にへら、と口元をにやけさせながら、貰ったサインを見つめていると、秋山さんがこそこそと声をかけてきた。
「なずなちゃん、今日は来てくれてありがとね。怪我の具合はどう?」
「あっはい!大丈夫です!頑丈なのが取り柄なので!それに、谷村さんもお見舞いに来てくれたので……えへへ」
「そっか!良い恋人だね!!」
「なんでそんな大きな声で?!」
いや、なんでも、と口籠る秋山さんは先程からカウンターに座り腕を組んでこちらを見ている谷村さんをチラ見している。見れば桐生さんと冴島さん、さらにはシナタツもとい品田さんまでもそんな様子だ。谷村さんはむーんとしているし、私がコンビニに行ってる間に一体何があったのだ。
「ところで怪我って何の話だ?」
「ああ、桐生さん達に説明してなかったですね。今回の一連の騒動の中で、なずなちゃんも巻き込まれてしまいまして。社長を襲った荻田って男に襲われてしまったんです」
「なんやと!大丈夫なんかなずな!」
「この通りです!超元気です!」
むん!と両腕を上にあげてマッスルポーズで返事をすると、冴島さんは安堵したように笑っていた。しかし、桐生さんは反対に悲しそうな顔で頭を下げてくるではないか。
「……また、お前を巻き込んじまったのか……すまねえ、なずな」
「いやいや桐生さんのせいじゃないですよ?!私の兄貴が迂闊だったというか、私のせいというか」
「なずな?」
「それは違うって言ったよね?」
「ひん!谷村さんと秋山さんが怖い!」
二人の視線から逃げるように桐生さんの背中に隠れると、ひょこっと品田さんが私の頭を覗き込んできた。
「あ、ほんとだ。怪我してるね。大丈夫?」
「はぎゃあ?!だっだだだ大丈夫です!!」
シナタツをテレビで見たときからもう何年も経ったから覚えていなかったが、イケメンなのだ。しかも声も良い。なにここ、イケてるメンズしか集まらない町なの?どうなってるの?
はわわと縮こまっていると、頭上から朗らかな笑い声が聞こえてくる。顔を上げれば、へにゃりと笑っている品田さん。
「えへへ、なんかこういう初々しい反応新鮮だなぁ」
「ぐうっ!!!」
なんだこの可愛い生き物……!シナタツの認識が憧れから可愛いにスライドしたんだが?!
品田さんのほわほわオーラに悶えていると、なぜか狼狽えている秋山さんがバタバタと私のところ駆け寄ってくる。今日の秋山さんちょっと面白いな。
「そ、そういえば!花ちゃんからチケットはもらった?ごめんね、俺が誘ったのに」
「いいんですよー!というか、チケットありがとうございます!遥ちゃんのデビューコンサート、めちゃくちゃ楽しみです!あ、でも、今そのコンサートがピンチなんですよね?」
「うん。でも大丈夫だよ。心強い仲間がこんなにいるんだ。なずなちゃんは何も心配しないで、遥ちゃんの晴れ舞台楽しんできて」
終わったら、パーっと飲もうよ。
電話で言ってくれたことを、もう一度笑って言ってくれる秋山さん。桐生さんも冴島さんも品田さんも、賛成だと笑っている。谷村さんも「韓来のフルコースですよね?」と言って秋山さんに「自腹ね?!」なんてツッコミを入れられている。
そうだ。私に出来ることは、日常を過ごすことなんだ。みんなが安心して帰ってこれる場所にいるのが、きっと私がやるべき事だ。
それに、このメンバーならきっと大丈夫。何の問題もないし、何の心配もない。
「はい!楽しんできます!みなさんも、どうかお気をつけて!」
おう!と、頼もしい返事がみんなから返ってきて、些細な不安は全部吹き飛んだ気がした。
明日はきっと大変な一日になるのだろうけど、それを乗り越えたらみんなで笑って日常に戻るんだ。
「なずなのこと、まだまだ知らないんだなあ俺」
ニューセレナからの帰り道、谷村さんはため息を吐きながらそう言った。何のことだと首を傾げたら、それ、と紙袋を指差してくる。この紙袋の中にあるのは、シナタツのサイン色紙だ。
「ああ、シナタツのファンだったこと?いやまあ、私が勝手に神格化してるというか、野球の神様みたいに思ってるっていうか……あのホームランの映像、どこかで見れないかなぁ。谷村さんにも見てほしい!」
「まあ、これが恋愛感情じゃないから許してるんだけどね」
「へ?」
「何でもないよ。品田さん、そんなにすごかったんだ?俺その頃何やってたっけなあ」
「!!谷村さんの子供時代!めちゃくちゃ聞きたい!」
「そう?別に面白いことはなかったけど」
「好きな人のことは知りたいってこと!」
「……あ、そう」
あー!照れてる!谷村さん可愛い!!
にやけながら少し赤くなった顔の谷村さんを覗いたら、ペシッと軽いデコピンをされる。照れ隠しだ。
「えっへっへ」
「そもそも、さん付けはもうやめてもいいんじゃないの?」
「えっ?さん付け……た、たしかに……なんか呼び慣れちゃってたから気にしなかったけど、そう言われると……つまり、マーちゃん……!」
「何でだよ。普通に正義でいいでしょ」
「ま、ま、まさ…………」
「うん」
「…………正義、さん」
「……うぐっ」
「わー?!どうしたの谷村さん?!あっ戻っちゃった!!わー!それよりどうして蹲るのー?!」
携帯を開いて目にも止まらぬ速さで何かを打ち込んだ後、谷村さんが蹲る。それから片手でこちらを制しながら、破壊力が凄いから、たまに呼んでくれたらいいと言われた。呼びたくなったらいつでもその呼び方に変えてくれてもいい、とも。何の破壊力かはわからないが、私もまだ照れてしまうので、二人きりの時とかは積極的に呼んでみようかなと思うのだった。
一方その頃、ニューセレナの秋山さん達。
「わ、谷村さんからメール来た……なんか、名前呼びの破壊力について綴られてる……怖……」
「谷村のやつ、機嫌直ったみてえだな」
「ほんま安心したわ。品田のこと親の仇のように見とったからなあ」
「ほんとですよ!なずなちゃん、嫉妬深い恋人もって大変だなぁ……」