snobbism(龍如)
DREAM
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夢を追う人たちの話。④
(2012年なずな26歳)
「まっ?!真島さんが死?!?!」
何かあったらすぐに連絡しろ、とよし兄に念押しされてから新幹線に乗り、およそ3時間弱で東京に着いた私は、駅の構内で前を歩いていた人が落とした新聞紙を拾って悲鳴を上げた。「真島吾朗氏死亡」という見出しが目に入ったからだ。
大きな見出しと内容を見ると、東城会の最高幹部が北海道の札幌で殺されたと書かれている。この新聞もよく見れば北識新聞と、北海道の新聞だ。
いやそれより、真島さんが死亡ってどういうこと?!き、桐生さんは、冴島さんはこの事知ってるの?!
冴島さんはたしか、今刑務所に入っているはずだ。詳しい事は聞いてないけど、きちんと罪を償って東城会を守っていきたいからだと言っていた。面会、とかできるだろうか。まずは桐生さんに連絡してから、それから。
「あの」
「あっ!すっすみません!新聞勝手に読んじゃって……」
「いえ……真島さんをご存知なんですか?」
「へ?」
わたわたしながら拾った新聞を落とし主に返そうとすると、そう問われて落とし主の顔を見上げた。暖かそうな帽子を被っていて、端正な顔立ちをしている。良い声のイケメンだ。
「えっと、知ってるというか、友達だというか……」
「極道の組長と、友達……?」
「いやその!そうなんだけど、めちゃくちゃ良い人なんですよ!ってそうだ、桐生さんにこの事聞いてみないと……!すみません!失礼しますね!」
「!ちょ、ちょっと待って!」
「ひょわっ?!」
がしりと腕を掴まれて驚きの声をあげてしまった。東京駅が賑やかで助かった。
なんだろうと青年を再度見上げると、あちらもどう言おうか悩んでいる顔をしていた。少し待ってみることにする。
ポツリと、思いがけない名前が彼の口から出てきた。
「あなたは、その、冴島さんとも友達なんですか?」
「えっ?!お兄さん、冴島さんのこと知ってるんですか?!冴島さんの知り合い?!」
「……俺が、勝手に慕ってるだけ、なんですけどね」
「あ、もしかして冴島組の方ですか?冴島さんはこの事、真島さんの事知ってるんですか?!」
「えっと、はい。冴島さんも桐生さんも知ってますよ。とても心配されてました」
「そうですよね……!でも……真島さんが死んだなんて、信じられない……」
ジ、と携帯を見つめてしまう。今電話をかけて、出なかったら信じてしまいそうだ。そんなわけないと思っているのに。
真島さんは、見た目は怖いがすごく良い人だ。
六年前だって、私のことを助けてくれた。それから一人で生きてきた三年間、何度も電話をかけてくれて、笑わせてくれた。
桐生さんにも感謝しているが、同じくらい真島さんにも恩返しがしたいんだ。なのに、こんな急に、死んだなんて。
「……あの、真島さんは、多分死んでないんじゃないですか」
え?とお兄さんを見上げると、彼は困った顔で笑っていた。
「ごめんなさい、ただの勘、です」
「……ううん、それでも誰かにそう言ってもらえるのは、すごく嬉しいです。ありがとうございます」
「いえ、そんな、礼を言われるほどでは」
「あ、神室町行くんだったら一緒に行きませんか?冴島さん、今刑務所にいるんですよね?元気にしてるかとか色々聞きたいですし」
「……そう、ですね。俺もあなたから冴島さんの話、聞いてみたいです」
「もちのろんです!よろしくお願いしますね!あ、私斎藤なずなっていいます!」
「俺は馬場です。よろしくお願いします」
そして神室町までの短い電車旅の中で、冴島さんが北海道の網走刑務所にいた上に今脱獄していると聞いて悲鳴を上げなかった私は大人になったと思う。
ちなみに馬場さんは冴島さんの話をするととても嬉しそうに聞いていたので、本当に冴島さんの事が好きなんだなあとほっこりしました。冴島組に入ったばっかりの人なのかな。いやー、人望あるなあ冴島さん。
神室町に着いて馬場さんと別れた後、谷村さんに『神室町到着しました!』とメールを送った。すぐに『仕事終わったら連絡する』と返信があったので、とりあえず夕方までは一人だ。どうしようかな。
ひとまず秋山さんのところに行って、チケットを受け取って……真島さんの事、聞いてみようかな。
そう思ってスカイファイナンスに向かおうとすると、秋山さんから電話が入った。グッドタイミングだ。
『やあ、なずなちゃん。神室町着いたんだって?』
「はい!って、あれ?何で知ってるんです?」
『心配性の君の恋人が、どうせ俺は暇だろうから一緒にいてやってくれってさ。暇って失礼だよね!遥ちゃんの事とか色々頑張ってるのに!』
「ふへへ……そうですね!秋山さんめちゃくちゃ頑張ってますもんね!それじゃ、合流しましょう!これからスカイファイナンスに行きますね!」
『オッケー!って言いたいところなんだけど、俺もこれから出かけるんだよね。それで、城戸ちゃん覚えてる?彼が暇してるから今日は城戸ちゃんと一緒にいてくれるかな?』
城戸さん!覚えてるとも!冴島組にいるスカジャンが似合うカッコいい人だ。そういえば会うのは久しぶりだったか。
秋山さんから城戸さんがミレニアムタワー前で待ってると聞いて、私はそこへ急ぐ事にした。それにしても、谷村さんも秋山さんも心配性だなあ。と思ったものの、今も少し傷が癒えていない頭の怪我を思うと仕方ないかと苦笑する。今度こそ心配かけないようにしないと!
「城戸さーん!お待たせー!」
「お、なずなさん!久しぶり!」
ミレニアムタワー前の喫煙所でタバコを吸っていた城戸さんを見つけて駆け寄ると、すぐにタバコを消して迎えてくれたのだが、途端にハッとした顔をされた。
「今、なんか恋人同士の待ち合わせみたいじゃなかった?」
「ハッ!たしかに!」
「うわー、谷村さんに見られたらめっちゃ睨まれるー!ま、でも今日は谷村さんの代わりにボディガードするんだし、多少は許してくれるよね」
「わはは!よくわかんないけど谷村さんは心広いから大丈夫だって!」
「それなずなさんにだけだからね?いやーでもマジで久しぶりだなあ。冴島さんが務所行く時に電話して以来?」
「そうそう!ってそうだ!真島さんの事何か知ってる?!なんか、北海道で誰かに殺されたって」
「あー、それね。俺は信じてない、っていうのも、数日前に姿見たんだよね、真島さんの」
城戸さん曰く、数日前の深夜。電話をしながら歩く真島さんを見たらしい。すぐに事務所へ引っ込んでしまったので、もしかしたら真島組事務所に隠れているだろうか、と。
真島さんが死んだニュースを知っているが、生きている姿を見た事でおそらく何か企みがあるのだろうと察して、あえて冴島さんにも連絡はしなかったのだとか。
なるほど。真島さんは自身を死んだ事にして、何かを為そうとしているのかもしれない。それなら、やはり電話はしないでおこう。全てが終わった後で、きっと笑いながら話してくれるはずだ。
「よし!それじゃ、遊びに行こ!あ、私バッセン行きたい!ホームラン勝負しよーよ!」
「俺得意だけど大丈夫?」
「なんだとー?!私も得意だが?!」
バッセンでホームラン勝負をして同点で終わり、喫茶アルプスでお昼ご飯を食べて、次は神室町ヒルズでよし兄へのお土産を買って、カラオケに行った。城戸さん、歌手かってくらい歌がうまくて驚いたなあ。
その後もゲーセンで遊び回っていたら、すっかり外は夕暮れになっていて、携帯に谷村さんから連絡が入った。今仕事が終わったので、迎えにきてくれるらしい。
「谷村さんなんて?」
「これから迎えきてくれるって。城戸さん、今日はほんとにありがとう」
「いいって。実際暇だったし、それにすっげー楽しかったし!」
「うへへ!私も楽しかった!また遊びに行こうね!」
「おう!谷村さんの許可が出たらね!」
「許可制なの?!」
「許可制だよ」
「「わきゃーッ?!!」」
私と城戸さんの背後からぬっと出てきた谷村さんに、二人して悲鳴を上げてしまった。
どこかむうっとしている谷村さんは、視線を城戸さんにスライドさせる。
「今日は助かりましたよ。こいつ一人にするの心配だったんで」
「い、いやー、お役に立てて何よりですよー!なずなさん、嫉妬深い恋人持って大変だね!頑張ってね!それじゃ!」
「へ?!あ、城戸さーん!今日はほんとにありがとー!!またねー!!」
派手なスカジャンを翻し、去っていく城戸さんに手を振ると、照れ臭そうに振り返してくれた後そのまま神室町の人混みに紛れて行ってしまった。見送った後、谷村さんに向き直ると、まだむうっとしている顔があった。
「谷村さん?」
「なんか、お似合いって感じだったね」
「??ああ、城戸さん、めちゃくちゃスカジャン似合うよね……いひゃいいひゃい!なんれー?!」
「もういいよ。言われた通り俺が嫉妬深いってだけ」
「!ふへへ」
「喜ぶな」
頬をぐにぐにされながら笑ったら、谷村さんも溜息を吐いた後少し照れたように笑っていた。
(2012年なずな26歳)
「まっ?!真島さんが死?!?!」
何かあったらすぐに連絡しろ、とよし兄に念押しされてから新幹線に乗り、およそ3時間弱で東京に着いた私は、駅の構内で前を歩いていた人が落とした新聞紙を拾って悲鳴を上げた。「真島吾朗氏死亡」という見出しが目に入ったからだ。
大きな見出しと内容を見ると、東城会の最高幹部が北海道の札幌で殺されたと書かれている。この新聞もよく見れば北識新聞と、北海道の新聞だ。
いやそれより、真島さんが死亡ってどういうこと?!き、桐生さんは、冴島さんはこの事知ってるの?!
冴島さんはたしか、今刑務所に入っているはずだ。詳しい事は聞いてないけど、きちんと罪を償って東城会を守っていきたいからだと言っていた。面会、とかできるだろうか。まずは桐生さんに連絡してから、それから。
「あの」
「あっ!すっすみません!新聞勝手に読んじゃって……」
「いえ……真島さんをご存知なんですか?」
「へ?」
わたわたしながら拾った新聞を落とし主に返そうとすると、そう問われて落とし主の顔を見上げた。暖かそうな帽子を被っていて、端正な顔立ちをしている。良い声のイケメンだ。
「えっと、知ってるというか、友達だというか……」
「極道の組長と、友達……?」
「いやその!そうなんだけど、めちゃくちゃ良い人なんですよ!ってそうだ、桐生さんにこの事聞いてみないと……!すみません!失礼しますね!」
「!ちょ、ちょっと待って!」
「ひょわっ?!」
がしりと腕を掴まれて驚きの声をあげてしまった。東京駅が賑やかで助かった。
なんだろうと青年を再度見上げると、あちらもどう言おうか悩んでいる顔をしていた。少し待ってみることにする。
ポツリと、思いがけない名前が彼の口から出てきた。
「あなたは、その、冴島さんとも友達なんですか?」
「えっ?!お兄さん、冴島さんのこと知ってるんですか?!冴島さんの知り合い?!」
「……俺が、勝手に慕ってるだけ、なんですけどね」
「あ、もしかして冴島組の方ですか?冴島さんはこの事、真島さんの事知ってるんですか?!」
「えっと、はい。冴島さんも桐生さんも知ってますよ。とても心配されてました」
「そうですよね……!でも……真島さんが死んだなんて、信じられない……」
ジ、と携帯を見つめてしまう。今電話をかけて、出なかったら信じてしまいそうだ。そんなわけないと思っているのに。
真島さんは、見た目は怖いがすごく良い人だ。
六年前だって、私のことを助けてくれた。それから一人で生きてきた三年間、何度も電話をかけてくれて、笑わせてくれた。
桐生さんにも感謝しているが、同じくらい真島さんにも恩返しがしたいんだ。なのに、こんな急に、死んだなんて。
「……あの、真島さんは、多分死んでないんじゃないですか」
え?とお兄さんを見上げると、彼は困った顔で笑っていた。
「ごめんなさい、ただの勘、です」
「……ううん、それでも誰かにそう言ってもらえるのは、すごく嬉しいです。ありがとうございます」
「いえ、そんな、礼を言われるほどでは」
「あ、神室町行くんだったら一緒に行きませんか?冴島さん、今刑務所にいるんですよね?元気にしてるかとか色々聞きたいですし」
「……そう、ですね。俺もあなたから冴島さんの話、聞いてみたいです」
「もちのろんです!よろしくお願いしますね!あ、私斎藤なずなっていいます!」
「俺は馬場です。よろしくお願いします」
そして神室町までの短い電車旅の中で、冴島さんが北海道の網走刑務所にいた上に今脱獄していると聞いて悲鳴を上げなかった私は大人になったと思う。
ちなみに馬場さんは冴島さんの話をするととても嬉しそうに聞いていたので、本当に冴島さんの事が好きなんだなあとほっこりしました。冴島組に入ったばっかりの人なのかな。いやー、人望あるなあ冴島さん。
神室町に着いて馬場さんと別れた後、谷村さんに『神室町到着しました!』とメールを送った。すぐに『仕事終わったら連絡する』と返信があったので、とりあえず夕方までは一人だ。どうしようかな。
ひとまず秋山さんのところに行って、チケットを受け取って……真島さんの事、聞いてみようかな。
そう思ってスカイファイナンスに向かおうとすると、秋山さんから電話が入った。グッドタイミングだ。
『やあ、なずなちゃん。神室町着いたんだって?』
「はい!って、あれ?何で知ってるんです?」
『心配性の君の恋人が、どうせ俺は暇だろうから一緒にいてやってくれってさ。暇って失礼だよね!遥ちゃんの事とか色々頑張ってるのに!』
「ふへへ……そうですね!秋山さんめちゃくちゃ頑張ってますもんね!それじゃ、合流しましょう!これからスカイファイナンスに行きますね!」
『オッケー!って言いたいところなんだけど、俺もこれから出かけるんだよね。それで、城戸ちゃん覚えてる?彼が暇してるから今日は城戸ちゃんと一緒にいてくれるかな?』
城戸さん!覚えてるとも!冴島組にいるスカジャンが似合うカッコいい人だ。そういえば会うのは久しぶりだったか。
秋山さんから城戸さんがミレニアムタワー前で待ってると聞いて、私はそこへ急ぐ事にした。それにしても、谷村さんも秋山さんも心配性だなあ。と思ったものの、今も少し傷が癒えていない頭の怪我を思うと仕方ないかと苦笑する。今度こそ心配かけないようにしないと!
「城戸さーん!お待たせー!」
「お、なずなさん!久しぶり!」
ミレニアムタワー前の喫煙所でタバコを吸っていた城戸さんを見つけて駆け寄ると、すぐにタバコを消して迎えてくれたのだが、途端にハッとした顔をされた。
「今、なんか恋人同士の待ち合わせみたいじゃなかった?」
「ハッ!たしかに!」
「うわー、谷村さんに見られたらめっちゃ睨まれるー!ま、でも今日は谷村さんの代わりにボディガードするんだし、多少は許してくれるよね」
「わはは!よくわかんないけど谷村さんは心広いから大丈夫だって!」
「それなずなさんにだけだからね?いやーでもマジで久しぶりだなあ。冴島さんが務所行く時に電話して以来?」
「そうそう!ってそうだ!真島さんの事何か知ってる?!なんか、北海道で誰かに殺されたって」
「あー、それね。俺は信じてない、っていうのも、数日前に姿見たんだよね、真島さんの」
城戸さん曰く、数日前の深夜。電話をしながら歩く真島さんを見たらしい。すぐに事務所へ引っ込んでしまったので、もしかしたら真島組事務所に隠れているだろうか、と。
真島さんが死んだニュースを知っているが、生きている姿を見た事でおそらく何か企みがあるのだろうと察して、あえて冴島さんにも連絡はしなかったのだとか。
なるほど。真島さんは自身を死んだ事にして、何かを為そうとしているのかもしれない。それなら、やはり電話はしないでおこう。全てが終わった後で、きっと笑いながら話してくれるはずだ。
「よし!それじゃ、遊びに行こ!あ、私バッセン行きたい!ホームラン勝負しよーよ!」
「俺得意だけど大丈夫?」
「なんだとー?!私も得意だが?!」
バッセンでホームラン勝負をして同点で終わり、喫茶アルプスでお昼ご飯を食べて、次は神室町ヒルズでよし兄へのお土産を買って、カラオケに行った。城戸さん、歌手かってくらい歌がうまくて驚いたなあ。
その後もゲーセンで遊び回っていたら、すっかり外は夕暮れになっていて、携帯に谷村さんから連絡が入った。今仕事が終わったので、迎えにきてくれるらしい。
「谷村さんなんて?」
「これから迎えきてくれるって。城戸さん、今日はほんとにありがとう」
「いいって。実際暇だったし、それにすっげー楽しかったし!」
「うへへ!私も楽しかった!また遊びに行こうね!」
「おう!谷村さんの許可が出たらね!」
「許可制なの?!」
「許可制だよ」
「「わきゃーッ?!!」」
私と城戸さんの背後からぬっと出てきた谷村さんに、二人して悲鳴を上げてしまった。
どこかむうっとしている谷村さんは、視線を城戸さんにスライドさせる。
「今日は助かりましたよ。こいつ一人にするの心配だったんで」
「い、いやー、お役に立てて何よりですよー!なずなさん、嫉妬深い恋人持って大変だね!頑張ってね!それじゃ!」
「へ?!あ、城戸さーん!今日はほんとにありがとー!!またねー!!」
派手なスカジャンを翻し、去っていく城戸さんに手を振ると、照れ臭そうに振り返してくれた後そのまま神室町の人混みに紛れて行ってしまった。見送った後、谷村さんに向き直ると、まだむうっとしている顔があった。
「谷村さん?」
「なんか、お似合いって感じだったね」
「??ああ、城戸さん、めちゃくちゃスカジャン似合うよね……いひゃいいひゃい!なんれー?!」
「もういいよ。言われた通り俺が嫉妬深いってだけ」
「!ふへへ」
「喜ぶな」
頬をぐにぐにされながら笑ったら、谷村さんも溜息を吐いた後少し照れたように笑っていた。