snobbism(龍如)
DREAM
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兄妹生活。〜クリスマス編〜
(2011年なずな25歳)
「谷村さん、クリスマス仕事なんだって!!」
「はは」
「乾いた笑い!!よし兄ー!クリスマスデートしようよー!!」
「めんどくせえ」
と言いつつも、いざ当日になれば身なりを整えてクリスマスデートをしてくれるよし兄なのである。ちなみにクリスマスはカップルが街を彷徨くので、いざとなれば彼女役買って出るよ!と言うといらんと冷たく言い放たれました。
案の定大阪の街はクリスマス一色で、カップル含めて沢山の人が幸せそうに歩いていた。
「クリスマスデートというが、どうせイルミネーション見るだけだろ。何が楽しいんだ?」
「じゃあ六代目さんがイルミネーション見たいって言ったらどうすんのさ」
「最上級のイルミネーションを案内するに決まってるだろうが」
「そういうとこ!!」
言う通りイルミネーションを見て、よし兄が予約を取ってくれたホテルのクリスマスディナーを堪能した後は、ル・マルシェでクリスマスプレゼントを買った。前よりはマシになったがまだまだだ、とよし兄からおしゃれな服と香水を買ってもらった。悔しいが、たしかによし兄のくれたプレゼントは疎い私でもオシャレに思う。ちなみに私は高いライターを贈ったのだけど、よし兄にしては珍しく褒めてくれたので大満足の結果だ!
そして今は巌橋の上でクリスマスのムードを満喫しているところである。
「ふへへー、楽しいねー」
「気楽だな、お前は」
「だってね、改めて実感するっていうか。ねえ、よし兄。そろそろ会いに行かないの?」
「……行く気はない」
「私は行ったのに?」
「それでも、お前は四年耐えただろ。俺はたかが二年だ。ましてやお前と違って、俺はあの人の周囲の人間を殺して桐生さんも巻き込んで滅茶苦茶にした……何度も言うが、合わせる顔なんかねえよ」
「会えたら喜んでくれると思うけどなあ。寂しいじゃん」
「能天気な妹が出来たから、そんな暇はないな」
へへへ、とよし兄の肩に体当たりすると、薄暗さで見えないがよし兄が少し照れていたような気がした。
最初は改めて兄ができるっていうのに慣れるかわからなかったけど、性格とか諸々実の兄と似ていたからかわりとすぐに慣れて、バスタオル巻いたまま部屋の中を歩き回ったりして怒られたっけ。まあその後慣れたよし兄も腰タオルのまま歩き回ったりするようになったのだけど。
一人は、やっぱり寂しかった。だから、よし兄がついて行ってもいいかって言ってくれた時、すごく嬉しかったんだ。
「おいおいそこのカップルよー!見せつけてくれるねえ?!」
「ただでさえあちらこちらでハート撒き散らしててうぜえのに、橋の上でもイチャイチャとよお!」
しんみりとした雰囲気が一転して、何やらチンピラに絡まれてしまった。神室町もそうだが、ここ蒼天堀も同じくらい治安が悪かったりする。今日はその標的にされてしまったようだ。よし兄と二人してため息を吐いた。
「よし兄、やる?」
「たまには身体を動かすのもいいかもな。だが、目立ちたくはねえ。どうせ人気のないところまで移動するだろうから、そこで時間をかけずにぶちのめして年越しの買い物して帰るか」
「あっ、賛成!年越しはねえ、谷村さんがうちに来てくれるって!楽しみだね!」
「そろそろ交通費とかこっちで払ってやらねえとな……」
「おい何ぶつぶつ喋ってんだ!こっち来いよ!」
腕を強引に引っぱられて、言われた通りについていこうとした時。
「お巡りさんこっちや!カップルが襲われとるんや!はよ来て!」
一際大きな声で、誰かが警察を呼んだのだ。これには、チンピラ達も焦ってバタバタと逃げ出したが、よし兄と私も偽名やら何やら黒い物を抱えてる身としてヒヤリとした。
同じように逃げるか?と目配せしたと同時に、おそらく警察を呼んだだろう眼鏡をかけた男の人がチンピラに突き飛ばされたのが見えてしまい、もう逃げる選択肢はなくなった。よし兄が小さくため息を吐いているが、私は駆け寄って大丈夫ですかと声をかける。
「いてて……僕は大丈夫やけど、君ら怪我してへんか?」
「私達も大丈夫です!あの、警察も呼んでくださったみたいで……」
「ああ、嘘や嘘!ああいうのはな、そう言ったら散ってくもんなんや。はあ、ほんま良かったー」
なんと、警察は呼んでいないようだ。なるほど、漫画的手段だけど、意外となんとかなるものなんだな、その作戦。隣でよし兄も顔には出してないがホッとしているようだった。
「あの、ありがとうございました!あ、ちなみにこちらは私の兄です」
「妹共々、助けていただきありがとうございます。ぜひお礼がしたいのですが」
「ええて!この時期変なの多いから気をつけてな……いてて」
「……家はどこですか?遠いようでしたらタクシーを呼びますし、近いのでしたら肩を貸します」
「え、あー……ほんなら、肩貸してもろてええですか?家やないんやけど、事務所戻らなあかんくて」
男の人はそう言って落としてしまっていた買い物袋を拾い上げるので、それは私が持つことにした。申し訳なさそうな顔をされたけど、そもそもこちらは助けてもらったのだからこのくらいお安い御用だ。チンピラもいれば、こんなに良い人もいるんだなあこの街は。
そして男の人を送り届けた先は、芸能事務所ダイナチェア。
男の人もとい堀江さんは、ここで働くマネージャーらしい。すごい、こんな所に芸能事務所があったなんて。なんやかんや大阪に住み始めて一年以上経つが、まだまだ知らない場所があるものだ。
「助けてくれて、本当にありがとうございました」
事務所の建物の玄関で、堀江さんに改めてお礼を言う。堀江さんは照れ臭そうに頭をかいて笑っていた。
「遠目からな、なずなちゃんとお兄さんが喋ってんの見えた時、すごく幸せそうに見えたんよ。それで勝手に僕もそのお裾分けもろてたんやけど、チンピラが絡んでいくもんやからつい口出してもうたんや。せっかくのクリスマスなんやから、楽しい思い出で終わるのが一番やもんな」
「堀江さん……めちゃくちゃ良い人ですね!!」
「ええー?そ、そうやろか?」
「そうですって!!えっと、こんなものしかないですけど、堀江さん、メリークリスマス!」
小腹がすいた時用としてコンビニで買ったクリスマス仕様のデザートを堀江さんにプレゼントする。受け取った堀江さんは、えっえっ?と驚いていたが、よし兄が「受け取ってください」と微笑んだ。
「なんや、色々気を使わせてしもたなあ……ありがとうな、なずなちゃん、お兄さん」
「いえいえ!お仕事頑張ってくださいね!」
「それでは」
「堀江、何してるの?」
帰ろうとしたその時、建物の玄関から出てきた凛とした声が堀江さんを呼んだ。出てきたのは綺麗な女性で、おそらく仕事仲間なのだろう。
ペコリと頭を下げて、よし兄と二人でその場を離れる。日本旅行をしていた時も思ったが、良い人というのはどこにでもいるのだ。どうか、そういう人達に優しい世界でありますようにと祈らずにはいられない。
「へへ、なんか良い気分だね」
「本当に気楽なやつだな、お前は」
そういうよし兄も、いつもより優しい顔をしていた。
(2011年なずな25歳)
「谷村さん、クリスマス仕事なんだって!!」
「はは」
「乾いた笑い!!よし兄ー!クリスマスデートしようよー!!」
「めんどくせえ」
と言いつつも、いざ当日になれば身なりを整えてクリスマスデートをしてくれるよし兄なのである。ちなみにクリスマスはカップルが街を彷徨くので、いざとなれば彼女役買って出るよ!と言うといらんと冷たく言い放たれました。
案の定大阪の街はクリスマス一色で、カップル含めて沢山の人が幸せそうに歩いていた。
「クリスマスデートというが、どうせイルミネーション見るだけだろ。何が楽しいんだ?」
「じゃあ六代目さんがイルミネーション見たいって言ったらどうすんのさ」
「最上級のイルミネーションを案内するに決まってるだろうが」
「そういうとこ!!」
言う通りイルミネーションを見て、よし兄が予約を取ってくれたホテルのクリスマスディナーを堪能した後は、ル・マルシェでクリスマスプレゼントを買った。前よりはマシになったがまだまだだ、とよし兄からおしゃれな服と香水を買ってもらった。悔しいが、たしかによし兄のくれたプレゼントは疎い私でもオシャレに思う。ちなみに私は高いライターを贈ったのだけど、よし兄にしては珍しく褒めてくれたので大満足の結果だ!
そして今は巌橋の上でクリスマスのムードを満喫しているところである。
「ふへへー、楽しいねー」
「気楽だな、お前は」
「だってね、改めて実感するっていうか。ねえ、よし兄。そろそろ会いに行かないの?」
「……行く気はない」
「私は行ったのに?」
「それでも、お前は四年耐えただろ。俺はたかが二年だ。ましてやお前と違って、俺はあの人の周囲の人間を殺して桐生さんも巻き込んで滅茶苦茶にした……何度も言うが、合わせる顔なんかねえよ」
「会えたら喜んでくれると思うけどなあ。寂しいじゃん」
「能天気な妹が出来たから、そんな暇はないな」
へへへ、とよし兄の肩に体当たりすると、薄暗さで見えないがよし兄が少し照れていたような気がした。
最初は改めて兄ができるっていうのに慣れるかわからなかったけど、性格とか諸々実の兄と似ていたからかわりとすぐに慣れて、バスタオル巻いたまま部屋の中を歩き回ったりして怒られたっけ。まあその後慣れたよし兄も腰タオルのまま歩き回ったりするようになったのだけど。
一人は、やっぱり寂しかった。だから、よし兄がついて行ってもいいかって言ってくれた時、すごく嬉しかったんだ。
「おいおいそこのカップルよー!見せつけてくれるねえ?!」
「ただでさえあちらこちらでハート撒き散らしててうぜえのに、橋の上でもイチャイチャとよお!」
しんみりとした雰囲気が一転して、何やらチンピラに絡まれてしまった。神室町もそうだが、ここ蒼天堀も同じくらい治安が悪かったりする。今日はその標的にされてしまったようだ。よし兄と二人してため息を吐いた。
「よし兄、やる?」
「たまには身体を動かすのもいいかもな。だが、目立ちたくはねえ。どうせ人気のないところまで移動するだろうから、そこで時間をかけずにぶちのめして年越しの買い物して帰るか」
「あっ、賛成!年越しはねえ、谷村さんがうちに来てくれるって!楽しみだね!」
「そろそろ交通費とかこっちで払ってやらねえとな……」
「おい何ぶつぶつ喋ってんだ!こっち来いよ!」
腕を強引に引っぱられて、言われた通りについていこうとした時。
「お巡りさんこっちや!カップルが襲われとるんや!はよ来て!」
一際大きな声で、誰かが警察を呼んだのだ。これには、チンピラ達も焦ってバタバタと逃げ出したが、よし兄と私も偽名やら何やら黒い物を抱えてる身としてヒヤリとした。
同じように逃げるか?と目配せしたと同時に、おそらく警察を呼んだだろう眼鏡をかけた男の人がチンピラに突き飛ばされたのが見えてしまい、もう逃げる選択肢はなくなった。よし兄が小さくため息を吐いているが、私は駆け寄って大丈夫ですかと声をかける。
「いてて……僕は大丈夫やけど、君ら怪我してへんか?」
「私達も大丈夫です!あの、警察も呼んでくださったみたいで……」
「ああ、嘘や嘘!ああいうのはな、そう言ったら散ってくもんなんや。はあ、ほんま良かったー」
なんと、警察は呼んでいないようだ。なるほど、漫画的手段だけど、意外となんとかなるものなんだな、その作戦。隣でよし兄も顔には出してないがホッとしているようだった。
「あの、ありがとうございました!あ、ちなみにこちらは私の兄です」
「妹共々、助けていただきありがとうございます。ぜひお礼がしたいのですが」
「ええて!この時期変なの多いから気をつけてな……いてて」
「……家はどこですか?遠いようでしたらタクシーを呼びますし、近いのでしたら肩を貸します」
「え、あー……ほんなら、肩貸してもろてええですか?家やないんやけど、事務所戻らなあかんくて」
男の人はそう言って落としてしまっていた買い物袋を拾い上げるので、それは私が持つことにした。申し訳なさそうな顔をされたけど、そもそもこちらは助けてもらったのだからこのくらいお安い御用だ。チンピラもいれば、こんなに良い人もいるんだなあこの街は。
そして男の人を送り届けた先は、芸能事務所ダイナチェア。
男の人もとい堀江さんは、ここで働くマネージャーらしい。すごい、こんな所に芸能事務所があったなんて。なんやかんや大阪に住み始めて一年以上経つが、まだまだ知らない場所があるものだ。
「助けてくれて、本当にありがとうございました」
事務所の建物の玄関で、堀江さんに改めてお礼を言う。堀江さんは照れ臭そうに頭をかいて笑っていた。
「遠目からな、なずなちゃんとお兄さんが喋ってんの見えた時、すごく幸せそうに見えたんよ。それで勝手に僕もそのお裾分けもろてたんやけど、チンピラが絡んでいくもんやからつい口出してもうたんや。せっかくのクリスマスなんやから、楽しい思い出で終わるのが一番やもんな」
「堀江さん……めちゃくちゃ良い人ですね!!」
「ええー?そ、そうやろか?」
「そうですって!!えっと、こんなものしかないですけど、堀江さん、メリークリスマス!」
小腹がすいた時用としてコンビニで買ったクリスマス仕様のデザートを堀江さんにプレゼントする。受け取った堀江さんは、えっえっ?と驚いていたが、よし兄が「受け取ってください」と微笑んだ。
「なんや、色々気を使わせてしもたなあ……ありがとうな、なずなちゃん、お兄さん」
「いえいえ!お仕事頑張ってくださいね!」
「それでは」
「堀江、何してるの?」
帰ろうとしたその時、建物の玄関から出てきた凛とした声が堀江さんを呼んだ。出てきたのは綺麗な女性で、おそらく仕事仲間なのだろう。
ペコリと頭を下げて、よし兄と二人でその場を離れる。日本旅行をしていた時も思ったが、良い人というのはどこにでもいるのだ。どうか、そういう人達に優しい世界でありますようにと祈らずにはいられない。
「へへ、なんか良い気分だね」
「本当に気楽なやつだな、お前は」
そういうよし兄も、いつもより優しい顔をしていた。