snobbism(龍如)
DREAM
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私とお巡りさんと金庫番の話。
(2010年なずな24歳)
「ただいま!よし兄!お土産無事に届いてるー?」
「…………」
「え、何その顔。もしかしてお土産届いてない……?!」
「……お前、フラれたのか」
「フラれてないけど?!」
数日ぶりの大阪のマンションの一室。よし兄と暮らし始めて一年を過ぎた我が家へ帰宅すると、リビングのソファで相変わらずタブレットを片手に持っているよし兄が私を見て驚いた顔をしていた。しかも失礼なことも添えてきた。
「あ、髪のこと?これは所謂優姫のケジメってやつ。ちゃんと精算してきたから、これからもなずなをよろしくね、よし兄!」
「……フラれなかったとして、なんで帰ってきてんだ」
「そりゃ、ここが私の帰る場所だもん。ちゃんと谷村さんと話してから帰ってきてるし」
「お前がいない間に他に女作るかもしれねえだろ」
「んなあ?!」
「いや、そこまでクズじゃないんで」
私の後ろから顔を出した谷村さんに、よし兄はさらに目を見開いて驚いていた。よし兄の顔を見て、谷村さんもあっと驚きの声を上げる。
「驚いたな。白峯会の峯義孝さんじゃないですか。ほんと、死亡届の信用性なくなってきたな」
「神室町のダニまで俺の事を把握してるとは思いませんでしたよ、谷村刑事」
「へえ、俺のあだ名知ってたんですか」
「そこの拗らせ妹は知らなかったみたいですけどね」
「だ、ダニ?!谷村さんそんなあだ名つけられてんの?!私もっかい神室町行って谷村さんの良いとこ宣伝してくる!!」
「やめろやめろ。ダニ扱いの方が得られる情報もあるし、気軽にサボれるし、俺は気にしてないから」
「ムキーッ!!」
「ところで、なんで男連れて帰ってきてんだお前」
呆れた顔のよし兄に言われて、そうだった、と思い出した私は谷村さんにリビングのソファへ座るよう促して、飲み物を用意してからラグの上に腰を下ろした。ソファに二人が並んで座ってるのを見ると、こう、イケメンの圧がすごいことに気がついた。ここだけ雑誌のピンナップみたいになってる。後で写真撮っとこう。
さて、とよし兄に話す為に、少し記憶を遡る事にする。
神室町にて、帰る前にまずは数日お世話になった方々に挨拶周りをした。お仕事のある真島さんと冴島さんの所へ菓子折りを持って行き色々なことへのお礼を言うと、頭をぐしゃぐしゃと撫でられた。
「なずなちゃんも俺を見習って好きに生きや。お前の兄貴さんもそれが一番嬉しい事なんやから」
「へへ、了解です!私も狂犬目指して頑張ります!」
「いや狂犬は目指さんでええ。なずな、また遊びに来いや。今度は美味い焼肉食わしたる」
「やった!楽しみにしてます!西田さんと城戸さんにもよろしくです!」
次に、桐生さんと伊達さん。桐生さんも今日沖縄に帰るようで、ニューセレナで伊達さんとママさんと世間話をしていた。
「沖縄に来たら、アサガオに顔を出しに来い。大したもてなしはできねえが、遥達に会わせてやりてえ」
「私も会いたい!沖縄旅行の時は連絡するね!伊達さんもママさんもお元気で!」
「ええ、なずなちゃんも元気でね」
「まぁ、なんだ。谷村はすぐに仕事をサボるわ俺の話を聞かないわと問題児だが、正義感のある良い奴だ。あいつの事、よろしく頼む」
「伊達さん、谷村の親父みたいになってるぞ」
「なんだとお?!」
「息子さんを私にください!!」
「俺の息子じゃねえよ!いらねえからやる!返品すんなよ!」
それから、秋山さんと花さん。ちなみに花ちゃんさんと呼ぶとちゃんはいらないと言われた。ニューセレナを出てスカイファイナンスへ挨拶に向かい、これから新幹線に乗るのだと伝えると、送っていくと秋山さんに言われた。
「なずなちゃん、秋山さんこんなですけど何かあったら頼りにしてくれて良いですから!私も、また会えるの楽しみにしてるからね」
「はい!花さんもお元気で!」
「それじゃ、駅に向かおうか。留守番よろしくね、花ちゃん」
「なずなちゃん見送ったら寄り道しないで帰ってくるんですよ!」
はーい、と気の抜けた声で返事をした秋山さんと一緒にタクシーに乗り、私達は神室町を後にした。短くも、とても濃い数日間だったな。本当に色んなことがあったな。
「そういえば、谷村さんには挨拶した?というか、見送り来ないの?」
まだ大阪行きの新幹線が来るまで時間があるので、駅のホームの椅子に座って、ジュースを飲んで待つ事にした。それから、秋山さんにもお礼を言ったりしてここ数日楽しかったと話していたら、ふと秋山さんがそう言った。
「今日は朝イチで署に出ないといけないって出勤していきました。へへ、カッコいいですよね!」
「ふふ、そうだね。でもちょっと寂しいね」
「大丈夫です!見てください、これ!谷村さんに貰っちゃいました!」
「わあ!指輪だ!へえ〜、谷村さん、こういうのするんだ〜!」
よかったねー!と秋山さんも嬉しそうに言ってくれて、へへへっと笑った。
思えば秋山さんには四年ぶりに神室町へ来てすぐに絡まれてたところを助けてもらったっけ。そして帰りも秋山さんに見送ってもらうなんて、なんだか秋山さんで始まって秋山さんで終わった神室町旅行みたいだ。
「秋山さんも、本当にありがとうございました。最初から最後までお世話になりっぱなしで申し訳ないです」
「気にしないでよ。面白い谷村さん見れて楽しいし、なによりなずなちゃんが幸せそうにしてるのが嬉しいんだ。俺もお金には色々と苦労させられたからね」
「そうなんですか?!今度その話聞かせてくださいよ!こっちは全力の号泣まで見せたんですから、ね!」
「うん、いいよ。酒の肴にでもして聞かせてあげる」
新幹線が駅のホームへ到着したアナウンスが鳴る。もう乗らないと。あまり多くない荷物を背負って、乗り込む前に一言だけ秋山さんに伝言をお願いした。
「谷村さんに、やっぱり見送りに来てもらえなかったの寂しかった!って怒っといてください!」
「わかった、必ず伝えるよ!元気でね、なずなちゃん!」
「秋山さんもお元気で!また遊びにきますねー!」
扉が閉まり、ホームで見送ってくれている秋山さんが見えなくなってから私は一人指定席へ向かった。寂しくなって泣きそうだけど、帰ったらよし兄に沢山お土産話をしてあげるんだ。お酒沢山用意して、酒盛りしながら神室町であった事を話してあげよう。六代目さんの話も聞かせてあげないとな。
「……え?」
少しめそめそしながら指定席へ着くと、私の座る席の隣りに朝忙しくなく家を出て行った人がいた。固まってしまう。なんで。
「ほら、突っ立てると邪魔だから座りな」
「あ、う、うん?」
座席に座り、荷物を足元に置く。
「えっと、谷村さん?」
「どうしたの?」
そう、谷村さんが座っていたのだ。たしかに、今日の新幹線の席予約は谷村さんがやってくれて、指定席だからゆっくり座れるよって言ってくれていた。見送りはいけない、朝から署に出ないといけないと言っていた谷村さんが、どうして大阪行きの新幹線に乗っているのかわからず、混乱したまま整った顔を見つめた。
「有給申請出してきたの。朝イチで出さないと見てくれない上司がいてね」
「あ、そ、そうなんだ?!えっと、どうしてって聞いてもいいやつ?」
「……俺との思い出がさ、神室町だけってのは味気ないでしょ。神室町はどうしたって、つらい記憶だって思い出すだろうし。まあ、あとは、あー……」
「??」
「……なずなが一緒に住んでるってお兄さん、見ておきたいなって。いくら兄妹だって言っても、元は赤の他人だし、恋人としては心配っていうか……あー、もう!嫉妬だよ、嫉妬!牽制かけに行くんだよ!わかったか?!」
「ふ、ふへへ…!」
顔を真っ赤にした谷村さんが可愛くて、思わず笑ってしまった。
「というわけで、はい紹介します!峯義孝改め、斎藤義孝です!私の兄です!よし兄もほら!」
「必要ないだろ。神室町が管轄の警察ならおおよそ俺の事も知ってるだろうし、実際俺の顔もわかるみたいだしな」
「まあ、一応ですけどね。ただ俺の知ってる人は峯義孝で、なずなのお兄さんは初対面なんで、俺も挨拶しときますね。警視庁捜査一課の谷村正義です。妹さんとお付き合いさせていただいてます。あ、敬語はいらないですよ。俺の方が年下ですし」
「……なずなの兄の、斎藤義孝だ。まあ、妹をよろしく頼む」
「よ、よし兄!!」
「はい、任せてください」
「谷村さん!!」
良い兄と素敵な恋人だなあ!
ここまでの経緯を話して、お互い自己紹介が終わると二人とも気の抜けたようにソファにもたれかかった。
「でもそうか、峯義孝かー。俺、牽制のつもりで来たんですけど、さすがに杞憂だったみたいですね」
「当たり前だ。こいつとは兄妹以外の関係になる気はねえ」
「そうそう!それによし兄は六代目さん命だからね!よし兄のために桐生さんに六代目情報を何度も聞いたりね……桐生さんに何度不信がられたか」
「……あ、やけに東城会の六代目について知ろうとしてたのは、そういう……はあー……無駄に嫉妬した……」
「え?谷村さん?もしかして私が六代目さんに興味あるとか思われてた?!だよね?!そう思うよね?!よし兄が惚れてる人だから興味はあるけどそれだけだからね?!」
「いいから早くそこの土産の段ボール開封しろ」
「なんで開けてないの?!驚かせようと思って沢山買ったのに!!んもー!今日は絶対パーティするからね!!」
リビングの隅に積み重なった3箱の段ボールに向かい、せっせと開封作業をする。重い物はあまり買わなかったが、細かい物は沢山買ったのでテーブルに並べて行こうかな。分別をすることに夢中だった私は、背後でイケメン二人が顔を見合わせて笑っていたことに気がつくことはなかった。
「正直、もう帰ってこないと思っていた。悪いな、谷村」
「いえ、良いんですよ。いつかは一緒に暮らすつもりですが、これから先まだ長いんで、焦る必要ないんですから」
「……フ、そうか。じゃあそれまでは、俺も小姑くせえことしなくていいか」
「アンタに小姑されるとなんか怖えんですよね。アタッシュケースの件、桐生さんから聞いてますからね」
「……そこまでは、多分しねえよ」
「間が怖いんでマジでやめてください」
(2010年なずな24歳)
「ただいま!よし兄!お土産無事に届いてるー?」
「…………」
「え、何その顔。もしかしてお土産届いてない……?!」
「……お前、フラれたのか」
「フラれてないけど?!」
数日ぶりの大阪のマンションの一室。よし兄と暮らし始めて一年を過ぎた我が家へ帰宅すると、リビングのソファで相変わらずタブレットを片手に持っているよし兄が私を見て驚いた顔をしていた。しかも失礼なことも添えてきた。
「あ、髪のこと?これは所謂優姫のケジメってやつ。ちゃんと精算してきたから、これからもなずなをよろしくね、よし兄!」
「……フラれなかったとして、なんで帰ってきてんだ」
「そりゃ、ここが私の帰る場所だもん。ちゃんと谷村さんと話してから帰ってきてるし」
「お前がいない間に他に女作るかもしれねえだろ」
「んなあ?!」
「いや、そこまでクズじゃないんで」
私の後ろから顔を出した谷村さんに、よし兄はさらに目を見開いて驚いていた。よし兄の顔を見て、谷村さんもあっと驚きの声を上げる。
「驚いたな。白峯会の峯義孝さんじゃないですか。ほんと、死亡届の信用性なくなってきたな」
「神室町のダニまで俺の事を把握してるとは思いませんでしたよ、谷村刑事」
「へえ、俺のあだ名知ってたんですか」
「そこの拗らせ妹は知らなかったみたいですけどね」
「だ、ダニ?!谷村さんそんなあだ名つけられてんの?!私もっかい神室町行って谷村さんの良いとこ宣伝してくる!!」
「やめろやめろ。ダニ扱いの方が得られる情報もあるし、気軽にサボれるし、俺は気にしてないから」
「ムキーッ!!」
「ところで、なんで男連れて帰ってきてんだお前」
呆れた顔のよし兄に言われて、そうだった、と思い出した私は谷村さんにリビングのソファへ座るよう促して、飲み物を用意してからラグの上に腰を下ろした。ソファに二人が並んで座ってるのを見ると、こう、イケメンの圧がすごいことに気がついた。ここだけ雑誌のピンナップみたいになってる。後で写真撮っとこう。
さて、とよし兄に話す為に、少し記憶を遡る事にする。
神室町にて、帰る前にまずは数日お世話になった方々に挨拶周りをした。お仕事のある真島さんと冴島さんの所へ菓子折りを持って行き色々なことへのお礼を言うと、頭をぐしゃぐしゃと撫でられた。
「なずなちゃんも俺を見習って好きに生きや。お前の兄貴さんもそれが一番嬉しい事なんやから」
「へへ、了解です!私も狂犬目指して頑張ります!」
「いや狂犬は目指さんでええ。なずな、また遊びに来いや。今度は美味い焼肉食わしたる」
「やった!楽しみにしてます!西田さんと城戸さんにもよろしくです!」
次に、桐生さんと伊達さん。桐生さんも今日沖縄に帰るようで、ニューセレナで伊達さんとママさんと世間話をしていた。
「沖縄に来たら、アサガオに顔を出しに来い。大したもてなしはできねえが、遥達に会わせてやりてえ」
「私も会いたい!沖縄旅行の時は連絡するね!伊達さんもママさんもお元気で!」
「ええ、なずなちゃんも元気でね」
「まぁ、なんだ。谷村はすぐに仕事をサボるわ俺の話を聞かないわと問題児だが、正義感のある良い奴だ。あいつの事、よろしく頼む」
「伊達さん、谷村の親父みたいになってるぞ」
「なんだとお?!」
「息子さんを私にください!!」
「俺の息子じゃねえよ!いらねえからやる!返品すんなよ!」
それから、秋山さんと花さん。ちなみに花ちゃんさんと呼ぶとちゃんはいらないと言われた。ニューセレナを出てスカイファイナンスへ挨拶に向かい、これから新幹線に乗るのだと伝えると、送っていくと秋山さんに言われた。
「なずなちゃん、秋山さんこんなですけど何かあったら頼りにしてくれて良いですから!私も、また会えるの楽しみにしてるからね」
「はい!花さんもお元気で!」
「それじゃ、駅に向かおうか。留守番よろしくね、花ちゃん」
「なずなちゃん見送ったら寄り道しないで帰ってくるんですよ!」
はーい、と気の抜けた声で返事をした秋山さんと一緒にタクシーに乗り、私達は神室町を後にした。短くも、とても濃い数日間だったな。本当に色んなことがあったな。
「そういえば、谷村さんには挨拶した?というか、見送り来ないの?」
まだ大阪行きの新幹線が来るまで時間があるので、駅のホームの椅子に座って、ジュースを飲んで待つ事にした。それから、秋山さんにもお礼を言ったりしてここ数日楽しかったと話していたら、ふと秋山さんがそう言った。
「今日は朝イチで署に出ないといけないって出勤していきました。へへ、カッコいいですよね!」
「ふふ、そうだね。でもちょっと寂しいね」
「大丈夫です!見てください、これ!谷村さんに貰っちゃいました!」
「わあ!指輪だ!へえ〜、谷村さん、こういうのするんだ〜!」
よかったねー!と秋山さんも嬉しそうに言ってくれて、へへへっと笑った。
思えば秋山さんには四年ぶりに神室町へ来てすぐに絡まれてたところを助けてもらったっけ。そして帰りも秋山さんに見送ってもらうなんて、なんだか秋山さんで始まって秋山さんで終わった神室町旅行みたいだ。
「秋山さんも、本当にありがとうございました。最初から最後までお世話になりっぱなしで申し訳ないです」
「気にしないでよ。面白い谷村さん見れて楽しいし、なによりなずなちゃんが幸せそうにしてるのが嬉しいんだ。俺もお金には色々と苦労させられたからね」
「そうなんですか?!今度その話聞かせてくださいよ!こっちは全力の号泣まで見せたんですから、ね!」
「うん、いいよ。酒の肴にでもして聞かせてあげる」
新幹線が駅のホームへ到着したアナウンスが鳴る。もう乗らないと。あまり多くない荷物を背負って、乗り込む前に一言だけ秋山さんに伝言をお願いした。
「谷村さんに、やっぱり見送りに来てもらえなかったの寂しかった!って怒っといてください!」
「わかった、必ず伝えるよ!元気でね、なずなちゃん!」
「秋山さんもお元気で!また遊びにきますねー!」
扉が閉まり、ホームで見送ってくれている秋山さんが見えなくなってから私は一人指定席へ向かった。寂しくなって泣きそうだけど、帰ったらよし兄に沢山お土産話をしてあげるんだ。お酒沢山用意して、酒盛りしながら神室町であった事を話してあげよう。六代目さんの話も聞かせてあげないとな。
「……え?」
少しめそめそしながら指定席へ着くと、私の座る席の隣りに朝忙しくなく家を出て行った人がいた。固まってしまう。なんで。
「ほら、突っ立てると邪魔だから座りな」
「あ、う、うん?」
座席に座り、荷物を足元に置く。
「えっと、谷村さん?」
「どうしたの?」
そう、谷村さんが座っていたのだ。たしかに、今日の新幹線の席予約は谷村さんがやってくれて、指定席だからゆっくり座れるよって言ってくれていた。見送りはいけない、朝から署に出ないといけないと言っていた谷村さんが、どうして大阪行きの新幹線に乗っているのかわからず、混乱したまま整った顔を見つめた。
「有給申請出してきたの。朝イチで出さないと見てくれない上司がいてね」
「あ、そ、そうなんだ?!えっと、どうしてって聞いてもいいやつ?」
「……俺との思い出がさ、神室町だけってのは味気ないでしょ。神室町はどうしたって、つらい記憶だって思い出すだろうし。まあ、あとは、あー……」
「??」
「……なずなが一緒に住んでるってお兄さん、見ておきたいなって。いくら兄妹だって言っても、元は赤の他人だし、恋人としては心配っていうか……あー、もう!嫉妬だよ、嫉妬!牽制かけに行くんだよ!わかったか?!」
「ふ、ふへへ…!」
顔を真っ赤にした谷村さんが可愛くて、思わず笑ってしまった。
「というわけで、はい紹介します!峯義孝改め、斎藤義孝です!私の兄です!よし兄もほら!」
「必要ないだろ。神室町が管轄の警察ならおおよそ俺の事も知ってるだろうし、実際俺の顔もわかるみたいだしな」
「まあ、一応ですけどね。ただ俺の知ってる人は峯義孝で、なずなのお兄さんは初対面なんで、俺も挨拶しときますね。警視庁捜査一課の谷村正義です。妹さんとお付き合いさせていただいてます。あ、敬語はいらないですよ。俺の方が年下ですし」
「……なずなの兄の、斎藤義孝だ。まあ、妹をよろしく頼む」
「よ、よし兄!!」
「はい、任せてください」
「谷村さん!!」
良い兄と素敵な恋人だなあ!
ここまでの経緯を話して、お互い自己紹介が終わると二人とも気の抜けたようにソファにもたれかかった。
「でもそうか、峯義孝かー。俺、牽制のつもりで来たんですけど、さすがに杞憂だったみたいですね」
「当たり前だ。こいつとは兄妹以外の関係になる気はねえ」
「そうそう!それによし兄は六代目さん命だからね!よし兄のために桐生さんに六代目情報を何度も聞いたりね……桐生さんに何度不信がられたか」
「……あ、やけに東城会の六代目について知ろうとしてたのは、そういう……はあー……無駄に嫉妬した……」
「え?谷村さん?もしかして私が六代目さんに興味あるとか思われてた?!だよね?!そう思うよね?!よし兄が惚れてる人だから興味はあるけどそれだけだからね?!」
「いいから早くそこの土産の段ボール開封しろ」
「なんで開けてないの?!驚かせようと思って沢山買ったのに!!んもー!今日は絶対パーティするからね!!」
リビングの隅に積み重なった3箱の段ボールに向かい、せっせと開封作業をする。重い物はあまり買わなかったが、細かい物は沢山買ったのでテーブルに並べて行こうかな。分別をすることに夢中だった私は、背後でイケメン二人が顔を見合わせて笑っていたことに気がつくことはなかった。
「正直、もう帰ってこないと思っていた。悪いな、谷村」
「いえ、良いんですよ。いつかは一緒に暮らすつもりですが、これから先まだ長いんで、焦る必要ないんですから」
「……フ、そうか。じゃあそれまでは、俺も小姑くせえことしなくていいか」
「アンタに小姑されるとなんか怖えんですよね。アタッシュケースの件、桐生さんから聞いてますからね」
「……そこまでは、多分しねえよ」
「間が怖いんでマジでやめてください」