snobbism(龍如)
DREAM
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続私とお巡りさんの話。
(2010年なずな24歳)
「はっっっっずかしい」
呼ばれたから来たでー!とテンション高い真島さんが来た事でようやく落ち着いた私は、設置されているソファーに座り泣き腫らした酷い顔を隠すように両手で覆っていた。
メンバーが揃ったらしく、ニューセレナのママさんが各々座ってるみんなに飲み物を渡していくが、未だに顔をあげられないでいる。恥ずかしい。初対面の人もたくさんいるのに、全力の号泣を披露してしまって恥ずかしすぎる。穴が入ったら入りたいしなんだったら掘り進めていきたい。
なのに桐生さんと真島さんと来たら、何故だか機嫌の良さそうな声をしている。
「ちゃんと泣けたんだから、恥ずかしい事じゃねぇよ」
「せやでー。嬢ちゃんはアホみたいに我慢しよるからのう!」
「なんや、兄弟も知り合いやったんか」
「えーとつまり、なずなって偽名だった、ってこと?」
秋山さんが疑問に思うのも無理はない。今私は二つの名前で呼ばれてしまったからだ。とはいえ偽名ではないし、それについて説明したいところだけど、いいのだろうか。説明するということは、あの事件を話さないといけなくなる。また、巻き込む事になるのではないだろうか。
顔を覆ったまま悶々としていたら、隣に座っている谷村さんが私の頭をぐしゃぐしゃ撫でてきた。
「お前に黙秘権はないから。さーて、俺もお巡りさんらしく事情聴取しましょうかね」
「へっ?!事情聴取?!」
驚いて顔を上げると、谷村さんがニコリと笑う。あ、これは多分、怒ってるやつだ。
「伊達さん、この子の正面お願いしますね」
「俺もやるのかよ……まあ、何があったかとかは少し気になるから構わねえが」
「えっ、ちょっ、伊達さんって、桐生さんの話に出てくる刑事さんですよね?えっ、マジの事情聴取が始まるんです?!」
その後、二人の刑事の圧を受けながら根掘り葉掘り聞かれて、私はおそるおそる答えていく。途中桐生さんと真島さんが補足を入れてきたりして、ある程度の事情はこの場にいるみんなに伝わったようだった。
「おっまっえ!怪我してないの嘘じゃねえか!拷問された上に腹撃たれてんじゃねえか!」
「ぎゃあああああ!!ごめんなさああい!!!」
話終えた後、私は谷村さんに頭をぐりぐりされて怒られていた。
桐生さんが私を助けた時の状況を、真島さんが桐生さんを庇って撃たれたことを補足説明した為に、会った時の怪我してないが嘘だったことが分かってしまったのだ。さらに桐生さんが「季節の変わり目は撃たれた痕が痛むらしく痛み止めを定期的にもらってるらしい」と追撃したために、谷村さんの頭に鬼のツノが見えた気がした。
見かねた秋山さんが宥めてくれたおかげで、ようやく解放された。
「まあまあ落ち着いて谷村さん……じゃあ、やっぱり今の君はなずなちゃんなんだね?」
「ひゃい……優姫は、四年前に死んだので。だからその、斎藤なずなとして、皆さんよろしくお願いします……!」
「おう、よろしゅうな、なずな」
うぉん!冤罪だったという真島さんの兄弟分の冴島さん、声がとにかく良い上に顔も良い!
昨日桐生さんの天然タラシにギュンッとなった時と同じように胸にクリティカルヒットが入る。ぐうっと胸を抑えると、冴島さんと何故か桐生さんも大丈夫か?と心配してきて、このガタイの良さで天然というギャップに打ちのめされる。天然記念物かもしれない。大切にしよう。
「でもやっと桐生さんがソワソワしてた理由がわかりましたよ。谷村さんとなずなちゃんを会わせたかったから、今日の集まりを企画したんですね」
「む、上手くやっていたと思ったんだが……」
「いやいや、何かあるなってのは全員わかってましたから。アンタ顔に出過ぎですよ」
「ヒヒヒ、俺は事前に相談されてたから知ってたで!けど桐生ちゃん隠すの下手やから、どうせみんな気付いてるやろって思ってたらやっぱりやったなー!」
「さすがの俺でも気づいてたで、桐生」
「むぅ……」
秋山さん、谷村さん、さらには真島さんと冴島さんにまでそう突っ込まれて桐生さんが悔しそうに唸っている。だから、神室町に来ないかって言ってくれてたのか。え、つまり、私が谷村さんに会いたがってたの気がついてたって事?!いやそっちの方が恥ずかしいのでは?!
ぐおおおと再び顔を覆っていたら、桐生さんがふっと笑った。
「だが、なずなの言っていた世話になったお巡りさんが谷村で合っていて良かった。ずっと気にしてたもんな」
「ぐあああ!!本人前にして言わないで!!ていうか、なんで谷村さんって分かったの?!」
「なずなになってからは言わなくなってたが、四年前はたまに谷村さんって名前出してたぜ?まあはっきり覚えてたのは真島の兄さんだったんだが」
「うっそお?!」
真島さんの方を見ると、ニマァと悪い笑顔が浮かんでいた。この人、楽しんでやがるうう!
「ヒヒ、熱烈やったもんなぁ?谷村さんが兄貴さんが生きてるって言ってくれて嬉しかった〜とか、もう大事な人が傷つくの見たくない〜とか!」
「ほぎゃああああ!!」
「兄貴さんも本当は顔出す予定はなかったのに、なずなちゃんがずーっと気にしてるもんやから、しゃーなしに出てきてなー?」
「びええええええ!!やめてえええ恥ずかしいいいい!!」
「いや、俺にも流れ弾きてるんだけど……」
ボソリと呟かれて今度は谷村さんの方を見ると、仄かに顔が赤くなっていた。うそ、イケメンの頬染め見ちゃった。破壊力段違いなんだが。良いものを見たなぁ、と見惚れてしまっていたら、むけていた顔をぐいっと正面に戻される。
「あんま見ないで」
「わぁ!谷村さんが照れてる!レアだね花ちゃん!」
「ダメですよ秋山さん!そういうの笑うのは失礼ですよ!」
「秋山さんは後で俺と実弾入り拳銃でロシアンルーレットしましょうね」
「絶対嫌だけど?!」
「ていうか実弾は入れないで?!そういう危険な遊びダメ絶対!!」
「……………………わかってるよ」
「「長い間!!!」」
思わず秋山さんとツッコミを入れる。谷村さんは明後日の方向を見ているのがさらに不安をかき立てる。まさか、やってないよね?!実弾入り拳銃でロシアンルーレットの経験ないよね?!
ちなみに花ちゃんさんは、先程話に聞いた秋山さんの事務所の秘書らしい。
「って、あ、そうだ!谷村さん!」
「ん?」
「さっき話したけど、兄貴がほんと迷惑かけてごめんなさい。それで、兄貴から何かお詫びとかしてもらった?するって言ってたけど何するのかは聞いてなくて……」
「いや、とくになにかしてもらった記憶はないな……」
「ええええ?!あ、兄貴めぇ……!」
「それなんだけどよ、多分、この状況を見逃してるのが詫びのつもりなんじゃねえか?」
と、伊達さんが言う。この状況を見逃してることが、詫び?
「話を聞くに、お前の兄貴はかなり力のある組織に属してると思う。なんたって、死亡届の偽装に別の人間の身分証の用意が簡単に出来ちまうんだからな。その代わり人に知られるリスクは排除してきた筈だ。けど、全部話してもなお全員生きてるっていうのは、そういうことだろ」
私の事情を知るのは、この四年間で桐生さんと真島さん、それからよし兄だけだった。それを寂しいと思ったことは、あったかもしれない。けど、誰かを巻き込むことの方が怖かったから、気にしないようにして生きてきた。
もしかして、これが一番の詫びになると思ったの?四年もかかって。だって、こんなの、私が嬉しいだけだ。谷村さんへの詫びに、ならないじゃないか。
「なら、一番良いお詫びをもらったってことですね」
すぐにうじうじモードに入ってしまう私とは対照的に、谷村さんは晴れやかな顔をしていた。
「こっちは四年間、この事件ずっと調べてたんだよ。やっとモヤモヤが晴れた。……生きてるお前にも会えたしな」
「谷村さん」
「四年前、お前に見せた最後の姿、マジで最低だった。不意打ちくらってリンチされて、お前に助けられてさ。あーくそ、今思い出しても悔しい」
顔を半分覆って悔しそうにしているが、そんなことはないと首を横に振る。けど谷村さんは、チラリとこちらを見てからまた頬を赤く染めた。
「……楽しかったんだよ、あの日。お前と街中遊び回ったの。言おうと思ったら不意打ちでやられたんだよ。はー、ダセェ」
「……待って、おかしい。私に都合が良すぎる。あれ、もしかしてお酒か。私酔ってる?!谷村さんが嬉しいことしか言わない!!桐生さん!!」
「俺に振るなよ。素直に喜んでおけばいいだろ」
「真島さん!!」
「喜んどき。今日は存分に谷村補充しーや」
「そーそー。号泣するくらい俺に会いたかったんだから、しっかり補充しときなよ」
「ううん!イケメンにしか許されない台詞!!やっぱり谷村さんだぁ!!」
うおおっと体当たりをして頭をぐりぐり押し付けたら、上の方で楽しそうに笑う声が聞こえたので、私も調子に乗ってへらへら笑った。
今回兄貴がしてくれた詫びは、きっとすごく大変なことだったと思う。それこそ四年もかかるほどに。やっぱり過保護かもなぁ、とよし兄の言葉を思い出してまた笑う。
「じゃ、二人の再会とこの間の事件の収集の祝い、はじめましようか!」
秋山さんがそう言ってグラスを掲げる。すでに飲んではいたが、改めて飲み会を始めようと言ってくれているのだ。なんと秋山さんも気遣いの鬼だったか。さすができるサラリーマンだ。
みんなもグラスにお酒を注いで、同じように掲げる。私もぐりぐりしていた頭を離して、桐生さんからグラスを受け取った。
「「カンパーイ!!」」
よし兄としか飲まなくなったお酒を、こんなに沢山の人と飲めるのも兄貴のおかげなんだよなぁと思ったら涙腺が緩みそうになって俯いたら、「今日は好きに泣けばいいだろ」と谷村さんに気付かれていて私は笑ってから少し泣いた。
(2010年なずな24歳)
「はっっっっずかしい」
呼ばれたから来たでー!とテンション高い真島さんが来た事でようやく落ち着いた私は、設置されているソファーに座り泣き腫らした酷い顔を隠すように両手で覆っていた。
メンバーが揃ったらしく、ニューセレナのママさんが各々座ってるみんなに飲み物を渡していくが、未だに顔をあげられないでいる。恥ずかしい。初対面の人もたくさんいるのに、全力の号泣を披露してしまって恥ずかしすぎる。穴が入ったら入りたいしなんだったら掘り進めていきたい。
なのに桐生さんと真島さんと来たら、何故だか機嫌の良さそうな声をしている。
「ちゃんと泣けたんだから、恥ずかしい事じゃねぇよ」
「せやでー。嬢ちゃんはアホみたいに我慢しよるからのう!」
「なんや、兄弟も知り合いやったんか」
「えーとつまり、なずなって偽名だった、ってこと?」
秋山さんが疑問に思うのも無理はない。今私は二つの名前で呼ばれてしまったからだ。とはいえ偽名ではないし、それについて説明したいところだけど、いいのだろうか。説明するということは、あの事件を話さないといけなくなる。また、巻き込む事になるのではないだろうか。
顔を覆ったまま悶々としていたら、隣に座っている谷村さんが私の頭をぐしゃぐしゃ撫でてきた。
「お前に黙秘権はないから。さーて、俺もお巡りさんらしく事情聴取しましょうかね」
「へっ?!事情聴取?!」
驚いて顔を上げると、谷村さんがニコリと笑う。あ、これは多分、怒ってるやつだ。
「伊達さん、この子の正面お願いしますね」
「俺もやるのかよ……まあ、何があったかとかは少し気になるから構わねえが」
「えっ、ちょっ、伊達さんって、桐生さんの話に出てくる刑事さんですよね?えっ、マジの事情聴取が始まるんです?!」
その後、二人の刑事の圧を受けながら根掘り葉掘り聞かれて、私はおそるおそる答えていく。途中桐生さんと真島さんが補足を入れてきたりして、ある程度の事情はこの場にいるみんなに伝わったようだった。
「おっまっえ!怪我してないの嘘じゃねえか!拷問された上に腹撃たれてんじゃねえか!」
「ぎゃあああああ!!ごめんなさああい!!!」
話終えた後、私は谷村さんに頭をぐりぐりされて怒られていた。
桐生さんが私を助けた時の状況を、真島さんが桐生さんを庇って撃たれたことを補足説明した為に、会った時の怪我してないが嘘だったことが分かってしまったのだ。さらに桐生さんが「季節の変わり目は撃たれた痕が痛むらしく痛み止めを定期的にもらってるらしい」と追撃したために、谷村さんの頭に鬼のツノが見えた気がした。
見かねた秋山さんが宥めてくれたおかげで、ようやく解放された。
「まあまあ落ち着いて谷村さん……じゃあ、やっぱり今の君はなずなちゃんなんだね?」
「ひゃい……優姫は、四年前に死んだので。だからその、斎藤なずなとして、皆さんよろしくお願いします……!」
「おう、よろしゅうな、なずな」
うぉん!冤罪だったという真島さんの兄弟分の冴島さん、声がとにかく良い上に顔も良い!
昨日桐生さんの天然タラシにギュンッとなった時と同じように胸にクリティカルヒットが入る。ぐうっと胸を抑えると、冴島さんと何故か桐生さんも大丈夫か?と心配してきて、このガタイの良さで天然というギャップに打ちのめされる。天然記念物かもしれない。大切にしよう。
「でもやっと桐生さんがソワソワしてた理由がわかりましたよ。谷村さんとなずなちゃんを会わせたかったから、今日の集まりを企画したんですね」
「む、上手くやっていたと思ったんだが……」
「いやいや、何かあるなってのは全員わかってましたから。アンタ顔に出過ぎですよ」
「ヒヒヒ、俺は事前に相談されてたから知ってたで!けど桐生ちゃん隠すの下手やから、どうせみんな気付いてるやろって思ってたらやっぱりやったなー!」
「さすがの俺でも気づいてたで、桐生」
「むぅ……」
秋山さん、谷村さん、さらには真島さんと冴島さんにまでそう突っ込まれて桐生さんが悔しそうに唸っている。だから、神室町に来ないかって言ってくれてたのか。え、つまり、私が谷村さんに会いたがってたの気がついてたって事?!いやそっちの方が恥ずかしいのでは?!
ぐおおおと再び顔を覆っていたら、桐生さんがふっと笑った。
「だが、なずなの言っていた世話になったお巡りさんが谷村で合っていて良かった。ずっと気にしてたもんな」
「ぐあああ!!本人前にして言わないで!!ていうか、なんで谷村さんって分かったの?!」
「なずなになってからは言わなくなってたが、四年前はたまに谷村さんって名前出してたぜ?まあはっきり覚えてたのは真島の兄さんだったんだが」
「うっそお?!」
真島さんの方を見ると、ニマァと悪い笑顔が浮かんでいた。この人、楽しんでやがるうう!
「ヒヒ、熱烈やったもんなぁ?谷村さんが兄貴さんが生きてるって言ってくれて嬉しかった〜とか、もう大事な人が傷つくの見たくない〜とか!」
「ほぎゃああああ!!」
「兄貴さんも本当は顔出す予定はなかったのに、なずなちゃんがずーっと気にしてるもんやから、しゃーなしに出てきてなー?」
「びええええええ!!やめてえええ恥ずかしいいいい!!」
「いや、俺にも流れ弾きてるんだけど……」
ボソリと呟かれて今度は谷村さんの方を見ると、仄かに顔が赤くなっていた。うそ、イケメンの頬染め見ちゃった。破壊力段違いなんだが。良いものを見たなぁ、と見惚れてしまっていたら、むけていた顔をぐいっと正面に戻される。
「あんま見ないで」
「わぁ!谷村さんが照れてる!レアだね花ちゃん!」
「ダメですよ秋山さん!そういうの笑うのは失礼ですよ!」
「秋山さんは後で俺と実弾入り拳銃でロシアンルーレットしましょうね」
「絶対嫌だけど?!」
「ていうか実弾は入れないで?!そういう危険な遊びダメ絶対!!」
「……………………わかってるよ」
「「長い間!!!」」
思わず秋山さんとツッコミを入れる。谷村さんは明後日の方向を見ているのがさらに不安をかき立てる。まさか、やってないよね?!実弾入り拳銃でロシアンルーレットの経験ないよね?!
ちなみに花ちゃんさんは、先程話に聞いた秋山さんの事務所の秘書らしい。
「って、あ、そうだ!谷村さん!」
「ん?」
「さっき話したけど、兄貴がほんと迷惑かけてごめんなさい。それで、兄貴から何かお詫びとかしてもらった?するって言ってたけど何するのかは聞いてなくて……」
「いや、とくになにかしてもらった記憶はないな……」
「ええええ?!あ、兄貴めぇ……!」
「それなんだけどよ、多分、この状況を見逃してるのが詫びのつもりなんじゃねえか?」
と、伊達さんが言う。この状況を見逃してることが、詫び?
「話を聞くに、お前の兄貴はかなり力のある組織に属してると思う。なんたって、死亡届の偽装に別の人間の身分証の用意が簡単に出来ちまうんだからな。その代わり人に知られるリスクは排除してきた筈だ。けど、全部話してもなお全員生きてるっていうのは、そういうことだろ」
私の事情を知るのは、この四年間で桐生さんと真島さん、それからよし兄だけだった。それを寂しいと思ったことは、あったかもしれない。けど、誰かを巻き込むことの方が怖かったから、気にしないようにして生きてきた。
もしかして、これが一番の詫びになると思ったの?四年もかかって。だって、こんなの、私が嬉しいだけだ。谷村さんへの詫びに、ならないじゃないか。
「なら、一番良いお詫びをもらったってことですね」
すぐにうじうじモードに入ってしまう私とは対照的に、谷村さんは晴れやかな顔をしていた。
「こっちは四年間、この事件ずっと調べてたんだよ。やっとモヤモヤが晴れた。……生きてるお前にも会えたしな」
「谷村さん」
「四年前、お前に見せた最後の姿、マジで最低だった。不意打ちくらってリンチされて、お前に助けられてさ。あーくそ、今思い出しても悔しい」
顔を半分覆って悔しそうにしているが、そんなことはないと首を横に振る。けど谷村さんは、チラリとこちらを見てからまた頬を赤く染めた。
「……楽しかったんだよ、あの日。お前と街中遊び回ったの。言おうと思ったら不意打ちでやられたんだよ。はー、ダセェ」
「……待って、おかしい。私に都合が良すぎる。あれ、もしかしてお酒か。私酔ってる?!谷村さんが嬉しいことしか言わない!!桐生さん!!」
「俺に振るなよ。素直に喜んでおけばいいだろ」
「真島さん!!」
「喜んどき。今日は存分に谷村補充しーや」
「そーそー。号泣するくらい俺に会いたかったんだから、しっかり補充しときなよ」
「ううん!イケメンにしか許されない台詞!!やっぱり谷村さんだぁ!!」
うおおっと体当たりをして頭をぐりぐり押し付けたら、上の方で楽しそうに笑う声が聞こえたので、私も調子に乗ってへらへら笑った。
今回兄貴がしてくれた詫びは、きっとすごく大変なことだったと思う。それこそ四年もかかるほどに。やっぱり過保護かもなぁ、とよし兄の言葉を思い出してまた笑う。
「じゃ、二人の再会とこの間の事件の収集の祝い、はじめましようか!」
秋山さんがそう言ってグラスを掲げる。すでに飲んではいたが、改めて飲み会を始めようと言ってくれているのだ。なんと秋山さんも気遣いの鬼だったか。さすができるサラリーマンだ。
みんなもグラスにお酒を注いで、同じように掲げる。私もぐりぐりしていた頭を離して、桐生さんからグラスを受け取った。
「「カンパーイ!!」」
よし兄としか飲まなくなったお酒を、こんなに沢山の人と飲めるのも兄貴のおかげなんだよなぁと思ったら涙腺が緩みそうになって俯いたら、「今日は好きに泣けばいいだろ」と谷村さんに気付かれていて私は笑ってから少し泣いた。