snobbism(龍如)
DREAM
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二人旅。〜誕生日〜
(2009年なずな24歳)
なんと、私なずなに兄(仮)ができました。
ここまで何があったのか、少し振り返ってみる。
神室町での一悶着が終わり、第二の人生を歩み始めた私は、一人で日本を転々と渡り歩いていた。一箇所に留まるとまた以前のようなことが起きてしまうかもしれないと思い、日雇いのバイトでお金を稼いで暮らすこと、三年。そう、なんやかんやで三年もそんな生活を送っていたのだ。送ることが、できたのだ。
その生活を寂しいと思うことはある。誰とも親しくなれず、むしろ親しくなる事が怖くて、一線を引いて人と関わってきた。そんな中で、痛み止めをもらいに正規の病院ではなくとある町の闇医者先生を訪ねた時に、出会いがあった。
黒服の男達が、二人の人間を運んできた。闇医者先生は一人見て、首を横に振る。そしてもう一人の重病人を見て、すぐに手術室へ運んだ。それが義孝、私命名よっしーである。
目を覚ますまで、一ヶ月くらいかかっただろうか。その間、闇医者先生にわりと多めに薬をもらう代わりに、患者さんの監視を依頼された。飛び降りたらしく、目が覚めた時に混乱していて暴れるかもしれないから、誰かが側にいる必要があるとのことで。
それから、目を覚ましたよっしーは、案の定死にたそうな顔をしていた。自分から飛び降りたというのは本当だったようだ。もう一人の人は、後に聞くと手を組んでいた相手であり、最後は道連れにする事でケジメをつけたのだとか。
よっしーは、東城会の裏切り者だったのだ。内部抗争の戦犯であり、六代目さんを殺して東城会のトップに立とうとした、悪い人。
けれど、それは正確ではないのかもしれない。よっしーは六代目さんのことを、掛け値なしに好きになった人だと言っていた。その騒動の最中、六代目さんの生死は秘匿されていて、兄弟分だった自分にも知らされなかったらしい。そのせいで六代目さんへの感情が暴走してしまったのだろう。
拳を交えた桐生さん。それから、目を覚まして自分の名前を呼んでくれた六代目さん。二人の姿に、ようやく目が覚めたんだとよっしーは言っていた。
だから、極道のケジメとして、病院の屋上から飛び降りた。
そこで、峯義孝という人間は死んだのだ。
実際はなんとか生きていたよっしーは、会いたいけど会いに行く資格はないと言って、峯という苗字を捨ててしまったのだけども。
ちなみによっしーもとい、よし兄と二人旅を始めると決めて乗った新幹線の中で仮眠をとって目を覚ますと、鞄の中によし兄の新しい身分証が入っていて二人してギョッとしたのはついこの間の出来事である。おそらく兄貴だろうな、と言ったら「お前の兄貴は何者なんだ」と訝しむ目を向けられた。そういえば私も詳しく知らない。
何はともあれ、こうして斎藤兄妹が爆誕したのだ!
「だからねー!その時の谷村さんほんとーに、ほんとーにかっこよかったんだよー!バッと相手の腕を捻じ上げて、グイッとやってねー!」
「大吾さんはあの嶋野の狂犬を負かして組員の不満を一気に拭い去った大物だ。当時俺はそのお姿を見ることはできなかったが、とてもかっこよかったのは間違いない」
そんな訳あり兄妹は旅行先のホテルの一室で、ケーキとシャンパンと、よし兄厳選の高いお酒を煽りながらお互いの会いたい人のかっこいいところを言い合って良い具合に酔ってました。
「いいなーよし兄はさー!私なんて、一日しか一緒に過ごせなかったんだよー!あー、もっと一緒にいたかったなー!」
「俺もあの人がまとめる東城会の行く末を見ていたかった」
起きたらお互いどこまで覚えているかわからないが、酔うとやはり本音が駄々洩れてしまう。一人の時にお酒は飲まないようにしていたから、今日は本当に気持ち良くふわふわしてきている。二日酔いが怖いところだが、明日の自分に任せよう。
酔う前に取り分けたケーキを頬張って、うまーと幸せに浸る。
「お前は本当に美味そうに食うな」
「ふへへ」
「褒めてはいない」
「よし兄はポーカーフェイスだよねえ。でもイメージできる。六代目さんの前ではゆるゆるだったに違いない。ありがとう峯大」
「たまにお前は意味のわからない単語を言うな。それに緩くはなっていなかった。……はずだ」
絶対ゆるゆるだったー!と笑えば、めちゃくちゃ痛いデコピンが返ってくる。本当にめちゃくちゃ痛いのでそろそろ加減を覚えてほしい。けど今日はお酒のおかげで痛みも半分くらいは緩和している気がする。
ああほんと、久々に楽しい誕生日だ!
「ハッピーバースデー私ー!」
「……ハッピーバースデー、なずな」
「へへへ」
よし兄の素っ気ないお祝いをBGMに、大切なプリクルが貼られた携帯を握り締めて、私はそのまま寝落ちするのだった。
ちなみによし兄も寝落ちしたらしく、朝二人して体の痛みと二日酔いの頭痛で文字通り頭を抱えていたのも楽しい思い出のひとつだ。
(2009年なずな24歳)
なんと、私なずなに兄(仮)ができました。
ここまで何があったのか、少し振り返ってみる。
神室町での一悶着が終わり、第二の人生を歩み始めた私は、一人で日本を転々と渡り歩いていた。一箇所に留まるとまた以前のようなことが起きてしまうかもしれないと思い、日雇いのバイトでお金を稼いで暮らすこと、三年。そう、なんやかんやで三年もそんな生活を送っていたのだ。送ることが、できたのだ。
その生活を寂しいと思うことはある。誰とも親しくなれず、むしろ親しくなる事が怖くて、一線を引いて人と関わってきた。そんな中で、痛み止めをもらいに正規の病院ではなくとある町の闇医者先生を訪ねた時に、出会いがあった。
黒服の男達が、二人の人間を運んできた。闇医者先生は一人見て、首を横に振る。そしてもう一人の重病人を見て、すぐに手術室へ運んだ。それが義孝、私命名よっしーである。
目を覚ますまで、一ヶ月くらいかかっただろうか。その間、闇医者先生にわりと多めに薬をもらう代わりに、患者さんの監視を依頼された。飛び降りたらしく、目が覚めた時に混乱していて暴れるかもしれないから、誰かが側にいる必要があるとのことで。
それから、目を覚ましたよっしーは、案の定死にたそうな顔をしていた。自分から飛び降りたというのは本当だったようだ。もう一人の人は、後に聞くと手を組んでいた相手であり、最後は道連れにする事でケジメをつけたのだとか。
よっしーは、東城会の裏切り者だったのだ。内部抗争の戦犯であり、六代目さんを殺して東城会のトップに立とうとした、悪い人。
けれど、それは正確ではないのかもしれない。よっしーは六代目さんのことを、掛け値なしに好きになった人だと言っていた。その騒動の最中、六代目さんの生死は秘匿されていて、兄弟分だった自分にも知らされなかったらしい。そのせいで六代目さんへの感情が暴走してしまったのだろう。
拳を交えた桐生さん。それから、目を覚まして自分の名前を呼んでくれた六代目さん。二人の姿に、ようやく目が覚めたんだとよっしーは言っていた。
だから、極道のケジメとして、病院の屋上から飛び降りた。
そこで、峯義孝という人間は死んだのだ。
実際はなんとか生きていたよっしーは、会いたいけど会いに行く資格はないと言って、峯という苗字を捨ててしまったのだけども。
ちなみによっしーもとい、よし兄と二人旅を始めると決めて乗った新幹線の中で仮眠をとって目を覚ますと、鞄の中によし兄の新しい身分証が入っていて二人してギョッとしたのはついこの間の出来事である。おそらく兄貴だろうな、と言ったら「お前の兄貴は何者なんだ」と訝しむ目を向けられた。そういえば私も詳しく知らない。
何はともあれ、こうして斎藤兄妹が爆誕したのだ!
「だからねー!その時の谷村さんほんとーに、ほんとーにかっこよかったんだよー!バッと相手の腕を捻じ上げて、グイッとやってねー!」
「大吾さんはあの嶋野の狂犬を負かして組員の不満を一気に拭い去った大物だ。当時俺はそのお姿を見ることはできなかったが、とてもかっこよかったのは間違いない」
そんな訳あり兄妹は旅行先のホテルの一室で、ケーキとシャンパンと、よし兄厳選の高いお酒を煽りながらお互いの会いたい人のかっこいいところを言い合って良い具合に酔ってました。
「いいなーよし兄はさー!私なんて、一日しか一緒に過ごせなかったんだよー!あー、もっと一緒にいたかったなー!」
「俺もあの人がまとめる東城会の行く末を見ていたかった」
起きたらお互いどこまで覚えているかわからないが、酔うとやはり本音が駄々洩れてしまう。一人の時にお酒は飲まないようにしていたから、今日は本当に気持ち良くふわふわしてきている。二日酔いが怖いところだが、明日の自分に任せよう。
酔う前に取り分けたケーキを頬張って、うまーと幸せに浸る。
「お前は本当に美味そうに食うな」
「ふへへ」
「褒めてはいない」
「よし兄はポーカーフェイスだよねえ。でもイメージできる。六代目さんの前ではゆるゆるだったに違いない。ありがとう峯大」
「たまにお前は意味のわからない単語を言うな。それに緩くはなっていなかった。……はずだ」
絶対ゆるゆるだったー!と笑えば、めちゃくちゃ痛いデコピンが返ってくる。本当にめちゃくちゃ痛いのでそろそろ加減を覚えてほしい。けど今日はお酒のおかげで痛みも半分くらいは緩和している気がする。
ああほんと、久々に楽しい誕生日だ!
「ハッピーバースデー私ー!」
「……ハッピーバースデー、なずな」
「へへへ」
よし兄の素っ気ないお祝いをBGMに、大切なプリクルが貼られた携帯を握り締めて、私はそのまま寝落ちするのだった。
ちなみによし兄も寝落ちしたらしく、朝二人して体の痛みと二日酔いの頭痛で文字通り頭を抱えていたのも楽しい思い出のひとつだ。