帰還パロ小説まとめ
収穫祭と言やあ、その名の通り。老若男女関係なく畑に出回り、その年の豊作物をあちこちで収穫しては運び、収穫しては運び。
蟻と同じで、細々と列を成して人が動く様を、ただ城下の端の方で腕を組み眺めていた。
勇者サマはご立派な心得で他の民に混ざり、楽しそうに土を掘り返したり重たい木箱を軽々と持ち上げて運んでいく。
楽しそうに笑って他の人間と手を取り作業をする。実に素晴らしいことだ。
俺はというと、収穫といえば魔物が作物が荒らしにくる可能性を考慮して、中には混じらず分身たちとともに畑やらの近くを警戒していた。
警戒が過ぎたのか。
それとも、目の前に広がる風景が長閑過ぎて、逆に言えば気が緩んでいたのか。
ドンッ、と肩を叩かれるまで、人がそばに寄っていたことに気が付きもしなかった。
「あいたっ」
「なんだい大魔道士サマ、こんなところでぼーっとしちまって!」
「宿屋のおかみさんか。びっくりさせねえでくれよ、端の警戒網、少し意識が途絶えたじゃねえか」
「あの親指程度の小さい子達かい?あの子達はわっせわっせと働いてまわってるのに、親分のあんたはこんなところで見てるだけかいね」
「いや、何度も説明してっけど、アレ俺が動かしててね?」
「あたしゃ魔法のことはからっきしだと伝えただろう!」
宿屋の女将は構わずバンバンと背中を叩く。
力強いその一発一発に、一匹一匹と、俺の意識から分身たちが飛んでいく。
「…今何匹残ってんだ…」
「ほーら、大魔道士サマ!これ持って!」
ぼこん、と力任せに鍬や鋤を持たせられる。
「いやだから俺」
「大魔道士サマの魔法がピカイチなのは知ってるよ、でもあんた、せっかくのその腕の筋肉が台無しじゃないか!飾りかい?違うだろう?ほら、早く勇者サマのところにお行き!」
終いにはベチン!と尻を叩かれ、「帰りに二人でうちに寄りな、酒くらいはおごってあげるよ!」と恰幅のいい身体を揺らしながら人混みの中に消えていった。
…この国は、本当にいいところだ。
人ではない勇者を快く迎え入れ、恐れずに共に生きてくれる。
人嫌いと化した大魔道士をそっと見守り、寄り添って共に過ごしてくれる。
「ポップ」
畑の奥から駆け寄ってきたダイは、服も顔も土まみれ。
指先も爪の中も汚して、それでも、とても嬉しそうに笑顔をこぼす。
「020たちが数少なくなってるけど、大丈夫?」
「ちいとばかし集中が途絶えることがあってな」
「よっぽどじゃない?」
「宿屋のおかみさん」
「あー…あの人は強いもんね、優しくてご飯も美味しくて」
「お前あそこの野菜のスープ好きだもんな」
「うん、ここのものは、みんな好きだよ」
だから、この収穫祭、毎年楽しみなんだ。手伝えることが。
そう言って笑う相棒をみて、迷惑はかけたが、とっさの判断でロモスに送り出してくれた姫さんにはいつまでも頭が上がりそうにない、と思った。
「道具持ってるってことは、手伝ってくれるの?」
手の中の農具を見て、ダイは言う。
「その筋肉は飾りか?とまで言われちゃ、黙ってらんないだろう」
「じゃあ行こう、次、丁度かぼちゃの畑に移動するところだったから」
「…ここから見えるあのバカでけえやつ…?」
「ドデカボチャ。特に大きいのは味が濃くて俺好き」
「お前が好きなら、いっぱい頑張って筋肉使いますか」
「ふふっ」
警戒は分身たちに任せて、俺は勇者と共に、次の戦場と言う名のかぼちゃ畑に向かって歩き出した。
この筋肉は飾りじゃないと証明できなかった帰還ポ。
蟻と同じで、細々と列を成して人が動く様を、ただ城下の端の方で腕を組み眺めていた。
勇者サマはご立派な心得で他の民に混ざり、楽しそうに土を掘り返したり重たい木箱を軽々と持ち上げて運んでいく。
楽しそうに笑って他の人間と手を取り作業をする。実に素晴らしいことだ。
俺はというと、収穫といえば魔物が作物が荒らしにくる可能性を考慮して、中には混じらず分身たちとともに畑やらの近くを警戒していた。
警戒が過ぎたのか。
それとも、目の前に広がる風景が長閑過ぎて、逆に言えば気が緩んでいたのか。
ドンッ、と肩を叩かれるまで、人がそばに寄っていたことに気が付きもしなかった。
「あいたっ」
「なんだい大魔道士サマ、こんなところでぼーっとしちまって!」
「宿屋のおかみさんか。びっくりさせねえでくれよ、端の警戒網、少し意識が途絶えたじゃねえか」
「あの親指程度の小さい子達かい?あの子達はわっせわっせと働いてまわってるのに、親分のあんたはこんなところで見てるだけかいね」
「いや、何度も説明してっけど、アレ俺が動かしててね?」
「あたしゃ魔法のことはからっきしだと伝えただろう!」
宿屋の女将は構わずバンバンと背中を叩く。
力強いその一発一発に、一匹一匹と、俺の意識から分身たちが飛んでいく。
「…今何匹残ってんだ…」
「ほーら、大魔道士サマ!これ持って!」
ぼこん、と力任せに鍬や鋤を持たせられる。
「いやだから俺」
「大魔道士サマの魔法がピカイチなのは知ってるよ、でもあんた、せっかくのその腕の筋肉が台無しじゃないか!飾りかい?違うだろう?ほら、早く勇者サマのところにお行き!」
終いにはベチン!と尻を叩かれ、「帰りに二人でうちに寄りな、酒くらいはおごってあげるよ!」と恰幅のいい身体を揺らしながら人混みの中に消えていった。
…この国は、本当にいいところだ。
人ではない勇者を快く迎え入れ、恐れずに共に生きてくれる。
人嫌いと化した大魔道士をそっと見守り、寄り添って共に過ごしてくれる。
「ポップ」
畑の奥から駆け寄ってきたダイは、服も顔も土まみれ。
指先も爪の中も汚して、それでも、とても嬉しそうに笑顔をこぼす。
「020たちが数少なくなってるけど、大丈夫?」
「ちいとばかし集中が途絶えることがあってな」
「よっぽどじゃない?」
「宿屋のおかみさん」
「あー…あの人は強いもんね、優しくてご飯も美味しくて」
「お前あそこの野菜のスープ好きだもんな」
「うん、ここのものは、みんな好きだよ」
だから、この収穫祭、毎年楽しみなんだ。手伝えることが。
そう言って笑う相棒をみて、迷惑はかけたが、とっさの判断でロモスに送り出してくれた姫さんにはいつまでも頭が上がりそうにない、と思った。
「道具持ってるってことは、手伝ってくれるの?」
手の中の農具を見て、ダイは言う。
「その筋肉は飾りか?とまで言われちゃ、黙ってらんないだろう」
「じゃあ行こう、次、丁度かぼちゃの畑に移動するところだったから」
「…ここから見えるあのバカでけえやつ…?」
「ドデカボチャ。特に大きいのは味が濃くて俺好き」
「お前が好きなら、いっぱい頑張って筋肉使いますか」
「ふふっ」
警戒は分身たちに任せて、俺は勇者と共に、次の戦場と言う名のかぼちゃ畑に向かって歩き出した。
この筋肉は飾りじゃないと証明できなかった帰還ポ。