帰還パロ小説まとめ
寒い。
とにかく寒い。
この時期は特に朝が冷え、自分の体温で温めた寝床から顔を出すことすら嫌になる。
ただこの領域にひたり、この冬が終わるまで一歩も出ずに終わらせる方法はないのか。
勇者が帰還したあとは、こんな些細な事を望みながら過ごす穏やかな日々が増えた、とベッドの主は考えた。
初めて身体を重ねた日から幾年もたった気がするが、こう特に寒い日はアイツともっと深く身を重ねて快楽に身を委ね、絶頂後の気怠い身体で惰眠を貪って。
それで冬を越して、次の春から頑張れば。
それでいいのではないか。
また少しずつ降りてくる瞼と格闘することもせず、大魔道士を名乗る男は枕に顔を埋めて二度寝の体制に入った。
「ダメだよ、ポップ」
頭上から降ってきた声の主を確認する前に、暖かな領域を守っていたシーツを剥ぎ取られる。冷たい冷気が全身を包み始め、嫌でも頭まで冴え始めた。
「バカ、やめろ」
最後まで剥がされる直前のシーツをなんとか掴み返し、枕と共に抱え込んで身体を丸めようと手足を引っ込める。
「もうそろそろ起きようよ。今日の朝ごはん、トーストにチーズ乗っけてさ」
勇者と呼ばれる男は丸まったシーツの塊をなんとか剥がそうと至る所を弄るが、当のシーツの塊は身じろぎもせず声も出さず、ただじっとその場に丸まったままだった。
「もう」
諦めた勇者はそのシーツの塊のままの大魔道士を持ち上げた。
軽く腕の中で転がすと、ぷはっ、とシーツの隙間から顔を出して睨みあげてくる。
「やだ。寒い。絶対でねぇ。俺はベッドと結婚するんだ」
ぐちぐちと抗議する大魔道士を物ともせず、勇者は彼を優しく抱えてベッドの上に腰を下ろした。
「珍しいと思ったんだよ、俺よりも早く起きるようになったお前がなかなか起きてこなかったから」
相変わらず睨んでくる大魔道士の額に優しく口付けを落としながら勇者が微笑む。
ちゅっ、ちゅ、とわざと音を立ててやると、まんざらでもない、と言わんばかりの顔で少しだけ大魔道士の目元が綻んだ。
「それで?俺の大魔道士サマは何が気に入らないの?」
「ベッドから降りたくない」
「さっき聞いたよ。他には?」
「人肌恋しい」
「うん」
「セックスしたい」
「うん」
勇者は最後の一言に一旦相槌をしたが、はた、と目を丸くして大魔道士の目を覗き込んだ。
「今?」
「今。今シたい。ダイとセックスして、そのまままた寝る」
珍しくもとんでもないわがままを言うものだ、と勇者は思った。
でもこのままだと本当にシーツから一切出てくるつもりがないのはひしひしと伝わってきている。
うーん、と自身の予定を思い出しながらしばらく大魔道士を眺めていた勇者だったが、少ししてにこりと笑い、そのままシーツの塊を続ける大魔道士を抱きしめた。
「わかった。今日は特に立て込んでないし、お前の予定にも問題ないってことで、今日は一日中えっちしてようか」
鼻先を大魔道士の髪に埋めて、わしゃわしゃと己の顔を擦り付ける。
念願叶った大魔道士はシーツを飛び出し、寒いと言っていたにもかかわらず生まれたままの姿で勇者に飛びついた。
そういえば今日の寒さはきっと今年一番の寒さなんだろう。
勇者は大魔道士のわがままっぷりでそう確信した。
とにかく寒い。
この時期は特に朝が冷え、自分の体温で温めた寝床から顔を出すことすら嫌になる。
ただこの領域にひたり、この冬が終わるまで一歩も出ずに終わらせる方法はないのか。
勇者が帰還したあとは、こんな些細な事を望みながら過ごす穏やかな日々が増えた、とベッドの主は考えた。
初めて身体を重ねた日から幾年もたった気がするが、こう特に寒い日はアイツともっと深く身を重ねて快楽に身を委ね、絶頂後の気怠い身体で惰眠を貪って。
それで冬を越して、次の春から頑張れば。
それでいいのではないか。
また少しずつ降りてくる瞼と格闘することもせず、大魔道士を名乗る男は枕に顔を埋めて二度寝の体制に入った。
「ダメだよ、ポップ」
頭上から降ってきた声の主を確認する前に、暖かな領域を守っていたシーツを剥ぎ取られる。冷たい冷気が全身を包み始め、嫌でも頭まで冴え始めた。
「バカ、やめろ」
最後まで剥がされる直前のシーツをなんとか掴み返し、枕と共に抱え込んで身体を丸めようと手足を引っ込める。
「もうそろそろ起きようよ。今日の朝ごはん、トーストにチーズ乗っけてさ」
勇者と呼ばれる男は丸まったシーツの塊をなんとか剥がそうと至る所を弄るが、当のシーツの塊は身じろぎもせず声も出さず、ただじっとその場に丸まったままだった。
「もう」
諦めた勇者はそのシーツの塊のままの大魔道士を持ち上げた。
軽く腕の中で転がすと、ぷはっ、とシーツの隙間から顔を出して睨みあげてくる。
「やだ。寒い。絶対でねぇ。俺はベッドと結婚するんだ」
ぐちぐちと抗議する大魔道士を物ともせず、勇者は彼を優しく抱えてベッドの上に腰を下ろした。
「珍しいと思ったんだよ、俺よりも早く起きるようになったお前がなかなか起きてこなかったから」
相変わらず睨んでくる大魔道士の額に優しく口付けを落としながら勇者が微笑む。
ちゅっ、ちゅ、とわざと音を立ててやると、まんざらでもない、と言わんばかりの顔で少しだけ大魔道士の目元が綻んだ。
「それで?俺の大魔道士サマは何が気に入らないの?」
「ベッドから降りたくない」
「さっき聞いたよ。他には?」
「人肌恋しい」
「うん」
「セックスしたい」
「うん」
勇者は最後の一言に一旦相槌をしたが、はた、と目を丸くして大魔道士の目を覗き込んだ。
「今?」
「今。今シたい。ダイとセックスして、そのまままた寝る」
珍しくもとんでもないわがままを言うものだ、と勇者は思った。
でもこのままだと本当にシーツから一切出てくるつもりがないのはひしひしと伝わってきている。
うーん、と自身の予定を思い出しながらしばらく大魔道士を眺めていた勇者だったが、少ししてにこりと笑い、そのままシーツの塊を続ける大魔道士を抱きしめた。
「わかった。今日は特に立て込んでないし、お前の予定にも問題ないってことで、今日は一日中えっちしてようか」
鼻先を大魔道士の髪に埋めて、わしゃわしゃと己の顔を擦り付ける。
念願叶った大魔道士はシーツを飛び出し、寒いと言っていたにもかかわらず生まれたままの姿で勇者に飛びついた。
そういえば今日の寒さはきっと今年一番の寒さなんだろう。
勇者は大魔道士のわがままっぷりでそう確信した。
1/4ページ