転生パロのダイポプ。 -再会して恋をして-

:::



『俺自身』の話をしよう。

世界一の大魔道士様はあの激戦の後は、ひたすら勇者を探す日々に明け暮れた。

毎日魔法力を切らすまで飛び回り、人が立ち入らない領域にも足を運んだ。

世界で見て回れる範囲を一周したら、二周目、三周目と周回を重ねていく。

天界も魔界も地の果てまで探して回った。それも一周したら二周、三周。

何度訪れても情報は更新されなかった。

気が付けば二人の師が死に、兄弟子が死に、惚れた女が死に、一国の王妃が死に。

しぶとく歳を重ねて長生きした師匠の年齢を遥かに超えても、相棒は見つからなかった。

ただ一目見たかった。
会いたかった。
説教も、してやりたかったかもしれない。
俺達を置いていったことを。自分だけを犠牲にしたことを。

俺の覚悟を、一緒に持って行ってくれなかったことを。

お前とならどこにでも逝けたのに。
お前とならその先がなんだって構わないのに。
蹴飛ばされた痛みより、何よりも心の奥底で刺となって残り続けた小さくも大きな痛み。


最期の記憶は曖昧だ。
姫さんと同じで、光り輝く剣の元にいた事だけは覚えている。

そこにただ佇む剣に話しかける。

「元気にやってんなら、きっとそれでいいんだけどさ」

最後に涙したのは一体いつだっただろう?

「せめて守った世界くらいは見てくれてるよな」

空と海の青がいつまでも眩しい。

「相棒。先に逝くかもしれねぇ」

ゆっくりと目を閉じる。閉じても溢れ込む、陽の光。


「待っててやれなくて悪いが、いつでも帰り、待ってるぜ」


くるん、と視界が周り、暗転。

きっとそれが最期だった。



::::
3/7ページ
スキ