メフィスト夢
ごつっ。
視界よりも先に頭部に謎の衝撃が当たり目を冷ました。ずっしりとした重みは隣りに座るメフィストの頭だ。雪花が最後に覚えているのは、二人でゲームをしていたことだ。目の前のゲーム画面では雪花がプレイしていたキャラクターはコンピューターが操作をする状態で、ゲームそのものはメフィストが操作しているキャラクターで進められていた。雪花の手元にコントローラーはなく、お菓子と共にサイドテーブルに置かれている。
寝落ちした雪花を起こさないようにしつつ遊んでいたが、メフィストも寝落ちしたのは明らかだ。メフィストの髭を引っ張っても起きる気配はない。本当に寝ている。
ゲームのセーブを行い、雪花は雪兎の雪像とベリアルを呼んだ。片手を上げるとさっと登場した。メフィストを運ぶのはベリアルに任せ、メフィストのベッドを用意する。雪兎の雪像も跳ねながら布団を敷くのを手伝ってくれる。
メフィストが寝られるように布団を広げるとベリアルがメフィストを寝かせてくれた。礼を言いうとベリアルは一礼し部屋から去って行った。気が付けば雪兎の雪像もいなくなっている。
ベッドの側でしゃがみ込み、顎髭を弄る。夜だからかうっすら他の所にも生えて、ちくちくする。
“折角ならもっと色んな所を触ればいいのに”
思い立って、足下の布団を捲る。はだけた浴衣から色素の薄いすね毛が生えた足が見え、少し浴衣を捲る。悪魔は尻尾を隠すのがマナーだと聞いた。果たしてメフィストの尻尾は短い尻尾なのか長い尻尾なのか。下着には興味はないが、尻尾は見たい。
「きゃあぁぁぉ!何しているんですか、貴女!」
起きたメフィストが雄叫びに等しい悲鳴を上げながら布団で足を一瞬で隠した。
「尻尾だけ見たかったので」
「おやめなさい。全く淑女がなんてことしているんですか。はしたない」
「見せ合うのは?」
メフィストの視線が泳ぎ、ため息をついた。
「お止めなさい」
メフィストは自身の手を雪花の顔に押し当て、押さえつける。強くもないが、切実に駄目と念押しされる力強さがある。
「だいたい悪魔の尻尾というのは弱点であり、見せるものではありませんよ。言わば全裸です」
「下半身は露出しますね」
メフィストが演技臭いほどに転けた。
「貴女、私の下半身が見たいんですか」
枕をぶん投げた。枕は見事にメフィストの顔面に当たった。
「“尻尾”が、見たい」
メフィストは眉間に手を当てて大きくため息をついた。指を鳴らし、立ち上った桃色の煙の中からいつもの犬の姿で出て来た。座る雪花の太股に後ろ足を乗せ、尻を見せつける。
「これで我慢してください」
尻尾をふりふり見せつける。
「充分悪魔的な姿の尻尾でしょう」
可愛いか可愛くないかで考えれば可愛いはずだが、人の姿で変換して一瞬目眩がした。同一人物ならぬ同一悪魔の見目の違いに複雑な気持ちがある。ゆっくり瞼を閉じて視界と思考をリセットする。メフィストの胴体をそっと掴み、膝に乗せ直す。尻尾をそっと手で包むと手の中で上下に当たる。
「あまり強く握らないでくださいね」
「この尻尾は急所ではないのですか?」
「悪魔としての急所以前に単純に乱暴にされたら痛いでしょう」
なるほどと思いながら、尻尾を撫でる。撫でながらメフィストを抱きしめる。左肘にメフィストの顎が当たり、彼も顎を乗せる。メフィストの後頭部に顔を埋めると、シャンプーの匂いがする。尻尾を触ってい右手もメフィストの胴に回し、完全に抱きしめる形になった。
ふわふわとした体毛にぬくぬくとした体温で心地よくなってくる。
寝息が聞こえてしばらくして、メフィストはそっと雪花の腕から外れた。体勢が崩れた雪花の体を雪花の使い魔がたる雪像が何匹か集まり支えた。すぐさまベリアルが出たが、去るように指示する。ベリアルは一礼し、部屋から出る。ベリアルを追いかけ、雪花の使い魔も部屋から出た。
ベリアルと使い魔達が完全にいなくなったのを確認する。犬の姿から人の姿になり、雪花を改めてベッドに寝かせた。雪花のまとめた髪の毛を解くと、髪のインナーカラーと同じ色の角が二本、ピンッと立つ。知らない者が見れば兎の耳に見えるだろう。
雪花のパジャマの上着がめくれ、臀部よりも上に白い塊が付いている。
「まったく、尻尾は悪魔の弱点だというのに、貴女という人は」
苦笑いしながらも上着をそっと尻尾が隠れるように覆い、メフィストも布団に入った。
視界よりも先に頭部に謎の衝撃が当たり目を冷ました。ずっしりとした重みは隣りに座るメフィストの頭だ。雪花が最後に覚えているのは、二人でゲームをしていたことだ。目の前のゲーム画面では雪花がプレイしていたキャラクターはコンピューターが操作をする状態で、ゲームそのものはメフィストが操作しているキャラクターで進められていた。雪花の手元にコントローラーはなく、お菓子と共にサイドテーブルに置かれている。
寝落ちした雪花を起こさないようにしつつ遊んでいたが、メフィストも寝落ちしたのは明らかだ。メフィストの髭を引っ張っても起きる気配はない。本当に寝ている。
ゲームのセーブを行い、雪花は雪兎の雪像とベリアルを呼んだ。片手を上げるとさっと登場した。メフィストを運ぶのはベリアルに任せ、メフィストのベッドを用意する。雪兎の雪像も跳ねながら布団を敷くのを手伝ってくれる。
メフィストが寝られるように布団を広げるとベリアルがメフィストを寝かせてくれた。礼を言いうとベリアルは一礼し部屋から去って行った。気が付けば雪兎の雪像もいなくなっている。
ベッドの側でしゃがみ込み、顎髭を弄る。夜だからかうっすら他の所にも生えて、ちくちくする。
“折角ならもっと色んな所を触ればいいのに”
思い立って、足下の布団を捲る。はだけた浴衣から色素の薄いすね毛が生えた足が見え、少し浴衣を捲る。悪魔は尻尾を隠すのがマナーだと聞いた。果たしてメフィストの尻尾は短い尻尾なのか長い尻尾なのか。下着には興味はないが、尻尾は見たい。
「きゃあぁぁぉ!何しているんですか、貴女!」
起きたメフィストが雄叫びに等しい悲鳴を上げながら布団で足を一瞬で隠した。
「尻尾だけ見たかったので」
「おやめなさい。全く淑女がなんてことしているんですか。はしたない」
「見せ合うのは?」
メフィストの視線が泳ぎ、ため息をついた。
「お止めなさい」
メフィストは自身の手を雪花の顔に押し当て、押さえつける。強くもないが、切実に駄目と念押しされる力強さがある。
「だいたい悪魔の尻尾というのは弱点であり、見せるものではありませんよ。言わば全裸です」
「下半身は露出しますね」
メフィストが演技臭いほどに転けた。
「貴女、私の下半身が見たいんですか」
枕をぶん投げた。枕は見事にメフィストの顔面に当たった。
「“尻尾”が、見たい」
メフィストは眉間に手を当てて大きくため息をついた。指を鳴らし、立ち上った桃色の煙の中からいつもの犬の姿で出て来た。座る雪花の太股に後ろ足を乗せ、尻を見せつける。
「これで我慢してください」
尻尾をふりふり見せつける。
「充分悪魔的な姿の尻尾でしょう」
可愛いか可愛くないかで考えれば可愛いはずだが、人の姿で変換して一瞬目眩がした。同一人物ならぬ同一悪魔の見目の違いに複雑な気持ちがある。ゆっくり瞼を閉じて視界と思考をリセットする。メフィストの胴体をそっと掴み、膝に乗せ直す。尻尾をそっと手で包むと手の中で上下に当たる。
「あまり強く握らないでくださいね」
「この尻尾は急所ではないのですか?」
「悪魔としての急所以前に単純に乱暴にされたら痛いでしょう」
なるほどと思いながら、尻尾を撫でる。撫でながらメフィストを抱きしめる。左肘にメフィストの顎が当たり、彼も顎を乗せる。メフィストの後頭部に顔を埋めると、シャンプーの匂いがする。尻尾を触ってい右手もメフィストの胴に回し、完全に抱きしめる形になった。
ふわふわとした体毛にぬくぬくとした体温で心地よくなってくる。
寝息が聞こえてしばらくして、メフィストはそっと雪花の腕から外れた。体勢が崩れた雪花の体を雪花の使い魔がたる雪像が何匹か集まり支えた。すぐさまベリアルが出たが、去るように指示する。ベリアルは一礼し、部屋から出る。ベリアルを追いかけ、雪花の使い魔も部屋から出た。
ベリアルと使い魔達が完全にいなくなったのを確認する。犬の姿から人の姿になり、雪花を改めてベッドに寝かせた。雪花のまとめた髪の毛を解くと、髪のインナーカラーと同じ色の角が二本、ピンッと立つ。知らない者が見れば兎の耳に見えるだろう。
雪花のパジャマの上着がめくれ、臀部よりも上に白い塊が付いている。
「まったく、尻尾は悪魔の弱点だというのに、貴女という人は」
苦笑いしながらも上着をそっと尻尾が隠れるように覆い、メフィストも布団に入った。
