075.身染めの褐葉
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この小説の夢小説設定簡易的な夢主設定
夢主は
・女子高生(深陽学園の女子生徒)
・デザイナーの卵
・特殊能力の持ち主(MPLS)
・蟬ヶ沢(スクイーズ)とは昔からの知り合い
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風呂は各部屋についておらず、大浴場になっていた。時間も時間なので他にも利用者がいた。
蝶は温泉に浸かりながら、先刻見た蟬ヶ沢の体を思い出す。
今は傷を負うようなことはないとは言っていたが、それはつまり昔と変わらないほどに危険な任務をことなっていることには変わらない。傷を負うようなヘマをしなくなったに過ぎない。彼一人ならば傷を負うようなことはないだろう。
自分の体を見る。任務についてから、大怪我は負わないまでも怪我とは無縁になってしまった。それも、大抵の怪我は蟬ヶ沢――スクイーズあっての軽症だ。
あの体をまじまじと見るのはあまりない。以前、蟬ヶ沢の前に住んでいた家に泊まる羽目になった時にインナーとしてかなり鍛えられた体は見たが、その下にあれほど傷が隠されていたのは衝撃的だった。
彼の裸を見て、興奮はしなかった。ただ、これまで蟬ヶ沢が肌を見せるようなことを避けていた理由は分かってしまった。
気遣われている。見せたくなかったのだろう。それを見てしまったことに罪悪感が湧いてくる。
痛そう、辛くないだろうか。その傷は痛くないのか。
分かっている。こんな思いにさせたくなかったから、見せまいとしたのだ。
頭を振って思考を切り替えようとする。
見た瞬間はこればかりだったが、振り替える今は少し不純なことに考えが寄ってしまった。
「筋肉………凄かったな……」
鍛えられた体は厚みがあり、普段の服装では着痩せしてたのであろう。これまで服の上からではあったが、体は凄いだろうとなとぼんやりと思っていたが、想像を越えていた。
「……………」
半分顔を温泉に浸からせ、唯一視えない意識の方向へ思考を飛ばしていた。
くしゃみで湯が跳ねた。
*****
蟬ヶ沢は深く、深くため息をついた。
着替えの時といい、気を許しすぎている。
我ながら彼女を何故この旅行に誘ってしまったのか不思議でならない。
任務らしい任務もなく、デザイナーとしての仕事もそこそこ落ち着いた中で、行くしかないと思ったが今になって罪悪感が湧いてきた。
わかっている。ユージンにも、レインにも言われている。自分は彼女に気を許しすぎている。
元々はこちら側に来てほしくない為にしていたはずなのに、統和機構に入ってからはこのスクイーズという人格も蟬ヶ沢という人格も浮かれている。
心に余裕が出来たと考えれば良いのだろうが、余裕どころか空いた隙間を他の何かが急速に埋めていく気がしてならない。
俗に言う彼シャツをさせてしまった時といい、浴衣の隙間から覗かせた肌といい、彼女のふとした油断に対して、つい目が向いてしまう。
これまで任務の中で裸なんぞ見なかった訳ではない。珍しいとも思わない。
何故か触りたくなる。柔な部位に触れるような欲求ではなく、人として触れたいと言うべきか。安易に触れるのは立場として考えないといけないのは分かっているが、堪えきれない。
気を許しすぎだろうなと、心のどこかでスクイーズが苦笑いした。
それもそうねと蟬ヶ沢は賛同し、意識しても相手は視ることが出来ない向こう側に意識を向ける。今こうして考えていることも伝わらないのは有難いとも思うが、危機意識がない気もして心臓に悪い。
「………でももうちょっと意識してくれてもいいじゃない」
ブクブクと泡をたてて、顔を半分沈めた。
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