075.身染めの褐葉
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夢主は
・女子高生(深陽学園の女子生徒)
・デザイナーの卵
・特殊能力の持ち主(MPLS)
・蟬ヶ沢(スクイーズ)とは昔からの知り合い
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散策して、お土産も購入し、夕食の時間となった。
出された料亭は季節のものとして、山菜や茸が主役として出された。アケビの新芽のおひたし、蟒蛇草のたたき、茶碗蒸しに入った銀杏は癖のある味をしているが、出汁の利いた具の味を引き立てる。
海岸にも面している土地なのもあって、海産物もある。時期としては鮭が北上しているので、いくらの醤油漬けがあり、はたはたの田楽焼きもある。
はたはたは白身魚で鱗がない魚だ。身が柔らかく非常に美味しい、雄ならば白子、雌ならば卵が食べられている。特に、このハタハタの卵は通称ぶり、ぶりぶりといい、弾力が非常にある。
提供された料理はどちらも同じ献立だったが、お互い気に入った物を分けたり、あげたりした。
食後は緑茶ではなく、珈琲にした。珈琲は土産を見繕う中で自分用として買ったものだ。マグカップを模したパッケージに珈琲が入った猫型のパックが入っている。これを実際に使用すると、お湯に浸かっているように見える上、温泉地としてのお土産らしく頭にはタオルを置いている。
「今日は珈琲は甘い方がいい?ミルクだけ?」
「それじゃあマスター、いつものをお願いするわ」
「了解致しました」
ウィンクをして、蝶は鼻歌を歌いながら珈琲を淹れる。
鼻歌で古めかしいクラシックを歌っている。テレビのCMでも流れていたのだろう。確か、ワーグナーだっただろうか。
お待たせと蝶は珈琲を持ってきた。蟬ヶ沢は甘い飲み物を好むのに反して、蝶は無糖の珈琲を好む。ただ、この時ばかりは同じ甘味料が入った珈琲である。
蝶の淹れる珈琲はやや他の人は大変不人気である。馬鹿みたいに甘い。ミルクと砂糖の配分が多く、カフェオレと呼ぶよりも、ミルクにかすかに珈琲の味がついたようなものとさえ言われる。他の男性従業員も一度飲んだきりで二度はないほど人気がない。蟬ヶ沢にとっては美味しいと思あうのだが、賛同してくれるのは蝶と年の近い同僚くらいしかいない。
お待たせと蝶が珈琲持って来てくれた。蟬ヶ沢も、温泉まんじゅうを出して更に載せる。
テレビでローカル地方のバラエティを見ながら、一息つく。一時間ほど見て、番組が終ると蟬ヶ沢は背伸びをする。
「さて、お風呂に行きましょうか」
「温泉施設って言っても部屋ごとにお風呂があるんじゃないんだね」
「高いところはあるわね。そっちの方がよかった?」
「社会人になったらそこに行きたい」
「いいわねえ」
「なんなら、一緒に入る?」
にやりと首を傾げる。さらりと髪の毛で隠された首が見えた。
一秒くらい固まる。
蟬ヶ沢は巨大な鞄からボトルを数本取り出し、その一本を蝶に投げる。すこーんと小気味のいい音を出した。
「痛っ」
蝶の睨みを完全に無視して、何本か小ぶりのボトルが入ったバックを渡す。振り向かずに、バックだけ受け取れと差し出す。
「肌のケアはちゃんとしなさいよ。若い内にしないで後悔しても遅いんだから。使い方解らなかったら教えてちょうだい。塗ってあげるから」
自分の着替えを探す中で、後ろにいる蝶がぼそりと言った発言は聞き逃さなかった。
「お母さん……」
ふわふわのタオルを後ろに向けて、やや乱暴に投げつけた。
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