075.身染めの褐葉
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夢主は
・女子高生(深陽学園の女子生徒)
・デザイナーの卵
・特殊能力の持ち主(MPLS)
・蟬ヶ沢(スクイーズ)とは昔からの知り合い
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紅葉の木は進みながらも見えていたが、近くで見るのは違うと確信した。
山肌は紅葉の定番となるカエデ科のいろは紅葉や羽団扇楓、他には灯台躑躅も朱色に染めていた。一部、葉が落ちて、下も赤く染まってる。上を見ても下を見ても朱色の世界。自分の顔さえ染まってしまいそうなほどの赤だ。
あるカエデ科の気を見つける。
「そうそう、紅葉の中に“目薬の木”なんてのあるんだって」
その名前を聞くとこの朱色に染める世界を鮮明に見せてくれそうだが、水に関連したものとして考えると逆の色を思い浮かべてしまう。
「なんだか目が良くなりそうね」
「洗眼薬として使われるから、それはないんじゃない?」
「案外あるかもしれないじゃない。まあ、私はこれ以上目が良くならなくていいケド」
「セミさんだとどの辺りまで見える?」
そうねと蟬ヶ沢は呟き、蝶の手を握る。蟬ヶ沢の視線は木々を越えて、旅館、駅を越えて、海岸、その先にある船に視線が向いている。蝶は能力でなんとか判別は出来たが、視力では全く見ることが出来ない。およそ数キロ先が蟬ヶ沢が見ることが出来る世界だ。
蝶は感嘆のため息をつく。蟬ヶ沢からは人ではないと散々言われてはいたが、本当に合成人間というものは身体的な力も優れていると痛感した。
これほどに頼もしい合成人間が必要とされるほどに脅威と判断される対象がMPLSであり蝶なのだが、彼女はとてもじゃないが彼には敵わないと思っている。
MPLSという存在が脅威と判断されることは想像に難くない。他の人には無い力は他者から見れば恐ろしく思うこともある。能力の使う方法によっては世界をも制することが出来るかもしれない。
蝶はとてもじゃないが世界征服なんて考えたことは無い。むしろ、世界どころか人ひとりの心にだって変えるのが億劫なくらいだ。
どうせこれからも過ごすのなら自分が心を捻じ曲げる行動はとらずにいたい。
「改めて思うけど、凄いよね。ちょっと羨ましいくらい。任務じゃない時に使うのもいいもんだね」
素直に褒めると、彼はもじもじと視線を逸らす。
「……なんか今になってそれを言われるのも何か。でも、蝶も色々視えるじゃない」
「その言い方だと何か変態って言われている気がするんですけど」
「大丈夫、変態でも何しないから」
「その目茶苦茶視力がいい目で誰かのラッキースケベとか見てしまえ」
「やーよ、蝶の着替えでも絶対見ませんからね!」
蟬ヶ沢をひっぱたこうとするとくしゃみで自分の動きが止まってしまった。
蝶の動きに彼はくすくす笑うものだから、やや遠慮なくひっぱたいた。
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