ゲルリッヒ砲の一撃
Please tell me your name
この小説の夢小説設定簡易的な夢主設定
夢主は
・女子高生(深陽学園の女子生徒)
・デザイナーの卵
・特殊能力の持ち主(MPLS)
・蟬ヶ沢(スクイーズ)とは昔からの知り合い
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6.squeeze off
あの合成人間の臓器専門の合成人間は言った。
「君の能力は広範囲でも攻撃が可能だから彼等はその使い方ばかりさせているけど、そう、その攻撃を出来るだけ狭めて狭めて、肺も軌道も喉も口も再生に負荷をかけるほど攻撃範囲を狭めて放つ攻撃は“どれほど”の威力か予想が出来るかい」
スクイーズは腕に抱えた少女を見る。自分がやられたら少なくともこの子も巻き添えをくらう。
同胞を相手にするなんてご免だ。
限界まで肺にエネルギーを溜め込む。チャージに時間がかかるのが難点だが、貯めれば貯めるほど威力も当然増す。限界まで貯めればどうなるのかはスクイーズにも分からない。耐えきれなくなった肺が破裂してしまうだろうか。
限界まで空気を入れて、入れて、入れていく。吸い込みすぎると肺が痛くなるのだなと他人事のように思った。
そして、その発射口の負担も同様に増す。
血反吐を吐き過ぎて全身が真っ赤になるアウトレージにスクイーズは思わず目を背きたくなったが睨みつける。
アウトレージはよろよろとスクイーズに向かって歩く。
真っ赤になった顔が二筋線が引かれていくのをスクイーズは見る。
相手を打つ時見たくないのはこの顔だ。知っている奴のこんな顔なんて見たくない。
「お前本当は 統和機構なんざいたくなかったんだろう。だったら一緒に、一緒に」
スクイーズは首を振る。
「生憎だが、私はそっちにはいけない。まだこの力は使える。ようやくこの力の使いどころが分かったんだ。なんのためにこれを放てばいいのか」
お前を殺すことに抵抗はないが、それでも思ってしまうことがある。
「悪く思うなよ……」
寂しそうに笑ってスクイーズは衝撃波を放った。
建物の崩壊が落ち着いた後、館内放送で少女のご両親を呼んだ。母親はぼろぼろに泣きながら、少女を抱えた。父親は恐らく我が子から目を離したことに自己嫌悪に陥っていたのだろう。手のひらに深く爪を立てた痕が赤黒く残っていた。
両親は何度も頭を下げてお礼を言って帰って行った。
彼らの背中を見ながらスクイーズは心の中で言う。
この子だけは殺したくない。
子どもの頃の自分と重ねているだけなのだろう。自分でも分かっている。
MPLSは見つけたら即報告しなければならない。しなければならないのは分かっている。
ずっと昔に閉じていた目が開いた気がした。
また好きだと言ってくれた人を殺さねばならないのか。
どうせ手を汚すのなら守りたいものの為にこの力を使いたい。
スクイーズは初めて統和機構を裏切った。