ゲルリッヒ砲の一撃
Please tell me your name
この小説の夢小説設定簡易的な夢主設定
夢主は
・女子高生(深陽学園の女子生徒)
・デザイナーの卵
・特殊能力の持ち主(MPLS)
・蟬ヶ沢(スクイーズ)とは昔からの知り合い
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2.MPLS
「待って!」
少女は声を荒げてスクイーズの手に引っ付いてきた。
「どうしたの?」
「だめなんです!だめ!その、だめ!」
寂しくなったと言うには切羽詰まっている。
少女は言いづらそうにしていたが、たどたどしく説明を始めた。
「私は他の人と違って、人が思っているものが見えるみたいなんです。何を言っているのかが分かるではなくて、怖いとか怒っている、悲しんでいる、楽しんでいる、そんな心が見えるんです。
蟬ヶ沢さんはそれが見えない。ううん、見えないからビックリはしちゃいましたが、こうしてお喋りをしてなんでもない怖くない人ってことが分かったからいいんです。
ええと、だから、蟬ヶ沢に何か怒っているような悲しんでいるような、寂しがっているような心を向けている人がいるんです。たぶん、この人に会えば蟬ヶ沢さんは怪我をしてしまいます。
この心ってどこに、誰に向けているのか見えるし、触れるんです。心によってはちょっと触りたくないのもあるけど。だから、今から蟬ヶ沢さんに向けられているこの心を少しだけずらします。だから、その少しだけ待ってください」
「……分かったわ」
スクイーズはしゃがみ込み。パンフレットを見るふりをして待った。
少女は何か痛みを堪えるようにぎゅっと目を瞑っている。彼女にしか視えない感じ取れない何かを操作しているのだろう。
痛そうだ。
頭を撫でながら待つと、少女は恥ずかしそうに撫でられた手をそっとどける。
「もう、大丈夫……だと思います」
「ありがとう。ねえ私からも少し長いお話をしてもいいかしら?」
少女は頷く。それを見たスクイーズは少し深く息を吸い込んで話す。
「今自分が見て感じたことは自分以外には話さない事。親であっても、親友であっても話してはいけない。でも、その感覚は、何が見えるのか、何が使えるのかはしっかり分かるようになって」
「どうして?」
「デザイナーたるもの、色んなことが感じ取れるのは貴重よ。感性は磨いてほしいわ。自分にしか見えないなんてとても素敵なことは自分の中に閉じ込めたりしないで、でも見せびらかしたりしないで、成長させておくべきよ。でもその自分の得意は人に見せすぎては駄目よ。見せることに重きを置いてしまうと、それに囚われてしまうもの。もし囚われ仕舞ったら、抜け出すのは困難よ。相手が出来ることを見てもいいけど、見るだけで終わらせるべきなの。貴女は人一倍誰が何を見ているのかが見えてしまう」
少女は不思議そうな顔をしながら頷いてくれた。
彼の危機も去り、改めてお別れをすると、彼はシャツのポケットから一枚のカードを取り出した。受け取ると、それは名刺だった。
「新作が描けたら一番初めに教えて」
少女は大きく頷くと倒れ、すかさずスクイーズは彼女を抱えた。
慌てた彼女を診るが気絶をしたようだ。
リュックのポケットに名刺入れのようなものが入っている。
「日和……」
昔、この名前を見たことがある。"両親"にイベントに連れて来られたときに会った男の名前と同じ名前だった。