ゲルリッヒ砲の一撃
Please tell me your name
この小説の夢小説設定簡易的な夢主設定
夢主は
・女子高生(深陽学園の女子生徒)
・デザイナーの卵
・特殊能力の持ち主(MPLS)
・蟬ヶ沢(スクイーズ)とは昔からの知り合い
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
10.不発
アウトレージはスクイーズが反撃してこないのをいいことに砲撃を続ける。
スクイーズは応戦できる手段がない。
しかし、自分の能力が使えなくとも彼を倒すことは出来る。
倒すことよりも気がかりなことがある。
この腕の中にいる少女である。アウトレージがいる限りでは彼女を解放するのは危険だ。どこかに移動しなければ。片手で持ち、もう片方で頭と耳を押さえて聞こえないようにしているが、それでも轟音は防げないだろう。
(怖がらせているだろうに……)
恐らく、この攻撃を続けていれば彼に起きるはずなのだ。ついさっきまで船内にいたのなら、彼の体質を押さえる薬を得ることは出来ない。
砲撃のダメージをまともに受け続ける彼は常に薬が必要だった。砲撃さえしなければ、並みの合成人間にも勝てるのだが、何を彼に狩り立てているのか、必ず能力を使ってくる。
腕の中にいた少女が指を指す。
スクイーズも視線の先を見る何もない。
「どうしたの?」
「おじさんのことを知っている人っぽい人があっちにいる」
一瞬見えたのだろうか。
今はその方向へ行く余裕がないので後で行くことにしよう。
走り続けること一時間して異変が起きた。砲撃の間隔も開いてきた。
ついに後ろからどさっと何かが倒れる音が聞こえた。
小さな悲鳴みたいのものが聞こえた。
警戒しつつも悲鳴と倒れる音の発生源に来ると、泣きじゃくりながらもアウトレージを揺さぶるネストの姿と血反吐を吐いているアウトレージの姿がいた。
スクイーズはポケットからネスト専用の麻酔薬が入ったボトルを取り出す。注射器に入れ、泣きじゃくる間に注射する。ネストの能力は意識がある時に発露すると聞かされているので、まずこのまま合流するまで寝てもらえば平気だろう。
アウトレージは気絶したようだ。腕に抱えられたネストをそっとかかえる。とりあえず奪われたネストは奪取することが出来た。あとは彼だが……。
しばらくは起きることはないだろう。放置して何か言われるかもしれないが、目標はネストの奪還なのでいくらかはごまかしが効くだろう。
腕の中の少女を見る。
こっそりと小型の特殊な注射器で薬品を投与する。刺された痛みに少女は不思議そうに刺さった場所を擦るが、擦る動きはゆっくりとなり、その手は止まる。
少女に投与したのは一時的な記憶を消す薬品だ。無関係の一般人を巻き込んだり、敵から情報を得た後始末として使用される。
これで自分のことは忘れるだろうが、同時に怖い目に遭った記憶も忘れることになる。少しだけ寂しさもあるが、巻き込んではならない。
少女の腕が何かを探すように少しだけ持ち上がり、スクイーズはそっと握る。
「怖い思いをさせてごめんなさいね。貴女がもっと大きくなった時、世界が平和になるように頑張るわ。貴女の為にヒーローになる。大丈夫、私が守るわ」
スクイーズは少女と会った海岸まで走り、近くの交番に預ける。