ゲルリッヒ砲の一撃
Please tell me your name
この小説の夢小説設定簡易的な夢主設定
夢主は
・女子高生(深陽学園の女子生徒)
・デザイナーの卵
・特殊能力の持ち主(MPLS)
・蟬ヶ沢(スクイーズ)とは昔からの知り合い
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
7.両親
アウトレージの姿を捕らえるとスクイーズはすぐに彼を抑え込んだ。
話せと大声を出そうとすると、猿轡を噛まされ手足も縛られた。
ネストはパールが抱えた。
「こいつは殺しておけ」
ネストを指して言う。
「お前、こいつが誰なのか分かって言っているのか」
「諍いになる可能性が高い武器だ。今のおいらたちじゃあ、とてもじゃないがこいつを匿り続けて任務を続けるのは厳しい。今のうちに破壊して、やつらの手に渡さないことの方がいい」
スクイーズは自分の頭にかっと血が上ったのが感じだ。
「お前の子だとしてもか」
「改良品種ってだけで血の繋がりはないぜ」
「その子を離せ!!!」
猿轡が血まみれになって千切れた。アウトレージが圧縮されたエネルギーを放って無理矢理破壊したのだ。慌てて発射したせいか昔のように口は傷まみれになり、ぼたぼたと血を流している。
怒号と同時にスクイーズが血飛沫を上げて遠くに吹き飛ばされた。
*****
アウトレージは目の前がまっくらになりそうになった。折角ネストを 統和機構の手から逃れさせることが出来たと思ったら、阻止する奴がいて、更にいえば阻止をしてきたのがスクイーズだった。
どうしても俺はお前に勝つことが出来ない。
歯軋りをしたアウトレージを見たネストは静かに唯一言える言葉を口にした。
「GUSOH式霧散散布展開」
それを見たキャプテンはパールを蹴り飛ばし、海に落した。
*****
イージス艦「いそかぜ」の中にいた者は全て融けていった。
これを防ぐことが出来るものはまずほぼいないだろう。
キャプテン・ウォーカーを除いて。
この第一の能力に関してはキャプテンも解けるのを防ぐ気体を発することで防ぐことが出来る。
パールはそれを防ぐことが出来ない。これを防ぐ方法は水の中に入るしかない。水の中であれば成分は薄まり、効果も薄れる。水溶性ではないのがこの能力の欠点らしい欠点であろう。
パールにはこの能力のことは知っていても防ぐ方法は知らなかった。
説明をしてからでは遅いので、掛け声すら出すことなくキャプテンはパールと蹴り飛ばし海に落した。
海に落ちたパールはもがきながらも海岸にたどり着いた。スクイーズが飛ばされた砲口を見る。
戦闘の音は聞こえない。
パールはポケットから携帯端末を取り出し、通信を入れる。そして指示を待ち、どこかへ去った。
*****
パールを海に落したキャプテンは目の前のアウトレージを睨む。ネストが融かす気体を発したのにも関わらず彼は解けずにいる。
「なんでお前は平気なのかね」
へらへらと目の前の脅威を見つめる。キャプテンには効かない力を彼もまた持っているが、このアウトレージにはそんな能力は持っていないことは幼少のころから知っている。
「なんでだろうな。少なくともお前の能力は効かない。ネストの能力と同じで良かったと思うなよ。下には融けた人間で作られたリキッドが溜まっている。俺が下に砲撃すれば下から吹き出して今度こそお前を溶かすだろう」
「はー、八方ふさがりってワケか。あいにくオイラにはもう打つ手がないんだよな」
キャプテンは大げさに肩を上げて降参のポーズをとる。
「ならもう用済みだ」
アウトレージが少し身構えると、
「さあ?」
と言ってキャプテンは下に、海に落ちた。
アウトレージは下を見るが姿はもう見えない。
「行くか」
ネストを抱えてアウトレージは下に砲撃をして陸地へと飛んで行った。
*****
キャプテンは水中を小型の酸素ボンベを使いながら浜へ向かった。
泳ぎながら考える。
あのネストといかいう子供は自分で能力を制御することが出来なかったはずだ。特に、特定の対象を除いて融かすなんて器用なことが出来るなんて聞いていない。
しかし、まったく予想が出来ないわけでもない。あの施設にいた頃はネストの周囲にいた研究者たちの態度を見れば分かる。実験動物としての扱いしかしなかったのだろう。
あの乱暴者に優しくされて親みたいなものだと思っているのかもしれない。
(ま、オイラには死んでも出来ない芸当だな。反吐が出る)
キャプテンも自覚していない自分の嫉妬に気づくことは無かった。
*****
ネストは生まれてからこのかた誰かに触れることは無かった。
触れれば大抵の者は解けたからか、それとも恐れて誰も近づくことが無かったからか。
ネストは能力の制御が苦手な方だ。溶かす気体を出す時も出力を間違えて自分の体をも融かすことがある。
だからか、あまり自分の能力は好きになれない。
人に嫌われるし、自分も痛い思いもする。
いっそ自分が完全に溶けるくらい気体を出せば楽になるだろうか。
そう考えていたときだった。
アウトレージが合成人間の施設に来たのは。