４．想起

　アウトレージがイージス艦に潜入したのは本体の潜入任務がこの艦に入ることで使用するルートで目的地まで行く為であった。空路でも、陸路でも行くことは可能なのだが、イージス艦で行くことメリットは潜水艦での移動が可能であることだった。
　潜水艦は水の中に潜ることでかなりの隠密性で移動することが出来る。水の中では電波もレーダーも感知できない。代わりに潜水艦もそれらが使用することが出来ないので、音と地場によって周囲の様子を探っている。
　 統和機構はありとあらゆるところにネットワークははりめぐらしている。いずれはネットそのものを全て監視することが出来もおかしくはない。
　ただ、この隠密活動はあくまでも艦を管理する国には情報がいくらか漏れている。いつどこに停泊するか。アウトレージはその次の停泊の隙を狙ってここに隠れている。
　今アウトレージは表向きは自衛隊の隊員として潜り込んでいる。していることは 統和機構の合成人間と変わらない。
　あいつもこうしてどこか社会に紛れて生きているんだろうか。
　荷物に隠したネストを撫でながらぼんやりとライバルを思い出していた。