ゲルリッヒ砲の一撃
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この小説の夢小説設定簡易的な夢主設定
夢主は
・女子高生(深陽学園の女子生徒)
・デザイナーの卵
・特殊能力の持ち主(MPLS)
・蟬ヶ沢(スクイーズ)とは昔からの知り合い
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9.色あせたスケッチブック
転々と住む場所を変えて任務をこなし続けて何年経過しただろう。ぼんやりとデザイナーになりたいように願うがそのきっかけが解らずにいた。
昔、住んでいた所にたまたまやってきた。住居はあの後誰か住んだことがないらしく、外からも窓が埃で汚れているのが分かる。誰も管理すらしていないのだろう潜入するのは造作もない。足跡は残るだろうが。
ここに済まなくなってから十年は過ぎたがそれでも昨日まで暮らしていたかのように鮮明に思い出すことが出来る。家具も何もかも無くなっているが、そこに何があったのかは進めば進むほど記憶が蘇る。家の中を進む中で、スクイーズは歩みを止める。ここで"両親"はスクイーズに殺された。
“両親”はあっさりしすぎるほど殺された。受け入れていたかのようにも見えた。スクイーズには疑問が残っていた。
自分の部屋に入り込む。ここも家具も何もかもないが、壁に付けられた傷には見覚えがあり、かつてここに住んでいた唯一証明していた。
壁の傷に触れて、たぶん楽しかったはずの記憶を思い起こす。
一部、壁の材質が違うことに気がつく。壊すと壁の中から見覚えがないスケッチブックがぼとりと落ちてきた。
スケッチブックを手に取り、開く。
そこに描かれたのは昔流行っていたと思われるヒーロー。そしてそのヒーローのものと思われる武器。更にページを捲る。
見たことが無い、知らないはずなのに次のページに何があるのかが分かる。
スクイーズは直感で分かった。これは自分が描いた、デザインした武器だ。スケッチブックの裏には蟬ヶ沢卓と書かれていた。
幼い子どもが描いた絵で、自分にはこれを描いた記憶はない。それでもこれは自分が描いたものだと確信した。確信と同時に古い記憶が思い起こされる。
誰かにこれを褒めてもらったことがある。そしてそれを作った。
思い出せない。褒めてもらった時の笑顔は思い出せるのに、顔が思い出せない。
“両親”が最後に見せた笑顔と同じことにスクイーズは気付くことが出来なかった。