ゲルリッヒ砲の一撃
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夢主は
・女子高生(深陽学園の女子生徒)
・デザイナーの卵
・特殊能力の持ち主(MPLS)
・蟬ヶ沢(スクイーズ)とは昔からの知り合い
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7.両親
"両親"と暮らしながらの任務に就いて、数年が経過した。この家族とは相変わらず他人行儀なままでいたが、彼等はスクイーズには本当の息子のように接した。
彼等は統和機構が用意した構成員だが、接している振る舞いと感情は紛れもなく本物だった。任務として行っていることは割り切っているが、それでも人を殺すことはあまり好きになれない。この能力そのものもあまり好きになれないのだ。
これまでの任務では色んな生き物を殺してきた。対立する組織の兵士、裏切った合成人間、実験にされた人間達、何かをしてきた人間。誰も彼もスクイーズの放つ衝撃波により肉片よりも細かなひき肉にされてきた。
任務を通達するのは特定の人物ではないが大抵は探索型などのサポート重視の合成人間だったが、今日は違った。
スクイーズは待ち合わせの場所に来て、先客を睨みつける。
「カチューシャ……」
スクイーズの声掛けにカチューシャは答えないが無言で書類を手渡す。
書類を受け取り、中身を確認する。
息を飲んだ。
「カチューシャ!」
スクイーズの怒号するが、既にカチューシャは去っていた。
ぐしゃぐしゃに握られた書類を握り、スクイーズは理解してしまった。
統和機構は何故他の合成人間と違い、スクイーズをこの"両親"と暮らさせていたのは彼らを殺させる為だ。これまでの潜入任務である程度相手に接触して殺すこともあった。対象とは任務に響かない程度に接触して、話すこともあった。話している隙に殺すこともあった。
親しくなる者すら殺せるようになれ。そう言っているのだ。恐らく今後の任務はもっと長期で付き合うことが増えていくことになるのだろう。
スクイーズはいざ両親を前にすると思考が止まった。何故殺さなくてはならないのだろう。これが上からの指示だからだ。この指示に従わなければ殺される。今殺されなくとも、使えない者としての烙印を押され、今後が危うい。
私たちの目的は世界を、人を救うのが任務なのだろう?何故殺さなくてはならない?
これから、人を殺していく、世界を救うには殺せるようにならなくてはならない。
世界を救うよりも、まだ生きていたい。
スクイーズは口から死を放つ瞬間何かを口に出したが、それを聞ける者は消滅し、彼自身も自分が言った言葉が聞こえなかった。