ゲルリッヒ砲の一撃
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夢主は
・女子高生(深陽学園の女子生徒)
・デザイナーの卵
・特殊能力の持ち主(MPLS)
・蟬ヶ沢(スクイーズ)とは昔からの知り合い
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6.鑑定士
何年ぶりにカチューシャに会った。
出会ったころこそ同じくらいの子供の合成人間だったのだが、スクイーズは成長し、彼女はそれ以降は変化することはなかった。スクイーズもカチューシャも戦闘用合成人間だが、その役割は大きく異なる。両者も 統和機構が掲げる指令の一つであるMPLSの発見、その対応、これは合成人間全員の共通任務だ。スクイーズは主に他の合成人間へ任務を通達する雑務、そして 統和機構の実験に使われた人間の処理も担当している。カチューシャはその人間の相手ではなく、同じ合成人間の処理を担当している。
カチューシャが合成人間の処理を担当しているのは能力の優秀さもあるだろうが、その成長が止まったことも由来しているだろう。スクイーズは一般の人間の様に老いるが、彼女は十才ほどの姿で止まってしまった。
「あたしは社会にももぐりこむには失敗作ってこと」
「そうか……でもその見た目」
「何よ。何年取らなくて怖いとでもいいたい?それともずっと若くいられて羨ましいとでも?」
「いや、ずっと思っていたことがあって」
「何」
「お前はロリータファッションには興味はないか?」
スクイーズはスケッチブックを開く。
小声でうわ、とカチューシャは引いたがスクイーズには聞こえなかったようだ。
「社会にもぐりこむことがないからって、服装とかそういうのに無関心なのは、勿体ない」
カチューシャの格好は 統和機構の研究室で支給されている衣類ばかりだ。
「直接店で買うのが難しいのなら、作ったこともある。十才くらいの年齢での体ならたぶんサイズも合うと思う。」
「それなら、ミンサーってクソガキがいるから。そいつにもすすめとくわ」
去り際、カチューシャはぼそりと聞いた。
「……ねえ、あんたの“両親”ってまだ生きてんの?」
「?もちろんだ。それがどうした?」
「なんでもないわ。じゃ、あたしは帰るわ。あんたの鑑定は済んだわ」
カチューシャは合成人間の鑑定が任務だ。合成人間の定期検診みたいなもので、裏切りそうだとか、能力の査定を行う。
カチューシャは少しため息を付いた。
スクイーズという合成人間は反吐が出るほどにぬるい。人に対してあまりにも接する距離が近い。人格矯正が必要だろう。一般社会に潜入して任務を行うらしいが、あれでは裏切るよりも面倒なことをしでかしかねない。あれでは人に撃つことが出きるか怪しい。今は任務もこなしているが、いずれ撃てなくなることも起きかねない。