001.~
Please tell me your name
この小説の夢小説設定簡易的な夢主設定
夢主は
・女子高生(深陽学園の女子生徒)
・デザイナーの卵
・特殊能力の持ち主(MPLS)
・蟬ヶ沢(スクイーズ)とは昔からの知り合い
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自分に対してもだが、あまりにも他人を警戒をしない蝶なので、どこまでなら警戒してくれるのか試したくなった。
次の任務の相談と言って家に来てもらった。任務があることは事実なので嘘ではない。ただ、やろうとしていることは間違いなく場所を選ばないとまたリセットのお世話になる。恩を売るのが嫌というよりも、単純に彼女との関わりを深く知られるのが気まずいのだ。
以前は 統和機構に知られるのが嫌だと必死に抵抗していたのが嘘のようだが、今は違った方向で知られたくない。
順調に任務の相談が終わり、家にいるということで、いつも通りに仕事の話や次に流行る色は何色だの部屋でくつろぎ始めた。
彼女は私がいることを忘れているのかと思うほど、少しだらしがない格好で寝転んでいる。スカートがめくれている。
「蝶。スカートがだいぶめくれているんだけど」
「中身は見たの?」
「見ないわ!」
蝶は本を読みながらスカートを直すが、まためくれても困るので直したスカートの上からブランケットを掛けた。
「ありがとう」
本を読みながらお礼を言う。
呑気ねと蟬ヶ沢は心の中で溜め息を付く。
そっと気づかれないように近づくが、視界には入っているので蟬ヶ沢が近づいたことに彼女に気付いた。視線だけ一瞬向けて、すぐに本に戻る。
蝶のすぐ目の前に座る。我ながら馬鹿げていると思いつつも緊張してきた。
蝶を踏まないように避けて、彼女の顔の隣に手を置く。
本で遮るが、無理やり剥ぎ取る。どこか敵わないと思ってしまうと思わせる彼女だが、純粋な筋力差では蟬ヶ沢が遙かに勝っているのだ。
直接触れないように服の上から両腕を押さえる。
さて、彼女は何か抵抗でもしてくるだろうかと思ったが、しない。七夕の時はあれほど抵抗してきたというのに、今は何もしてこない。きょとんと蟬ヶ沢を見つめる。
警戒してくれる以前にその対象ですらないのかもしれない。なんだか対象外にされたのが悲しくなり、頭を垂れる。この際触れてしまっても構わない。どうせ自分は対象外なのだ。
「で、セミさんはなにをしようと思っているの?」
「何を……」
押し倒したはいいが、これ以上何をしたらよいのだろう。正直な所、この押し倒しで蝶が動揺すると思っていたので、この後というのを考えていなかったのだ。
どこまですれば警戒をしてくれるのだろうか考えてはいたが具体的に何をしようとかは深く考えていなかったのだ。
****
蟬ヶ沢がいきなり押し倒してきた。また接触度の高い交流を求めてくる人だ。なんの意図があるのだろう。
どうせならこのまま直接触れないままでいて欲しい。解らない方がいい。ところがこの人はここぞというときに爪が甘い。
彼はため息を付いて額を合わせる。
接触面から視えてしまった。いつも通りのまんべんなく向けられた意識。直接触れもせず、十センチほどの距離を置いて巻かれた渦。
大よそまた私をからかうつもりだったのだろう。七夕の時といい、図体は大きくても子供のようなことをしてくる。
なんとなくしてくる行動の方が心臓に悪い。
なんでわからないのだろう。
額を合わせているので、顔が異常に近い。まさかこのままキスでもしてくるんじゃなかろうかなんてことを一瞬思ったが、しないだろうなと確信している。ここまで近くても私は彼にとっては対象外なのだ。
「で、セミさんはなにをしようと思っているの?」
「何を……」
私の周りをぐるぐる回る流れがより緩慢なふらふらとした情けない動きを見せた。なるほど、当初の目的はこれで私に反応があるのではないかと思っていたということか。
これも 統和機構の任務としての行動なのかと思ったが、この緩慢な動きではそうではない。任務の時は常に冬のような冷たさで静電気のようにぱちぱちと張りつめているのだ。
「どうしてかしら」
彼は考え込んだ挙句、両手を解放してはくれたがこのままの体勢で悩んでしまった。
離れて欲しいけど、どうせならもう少しと思ってしまう。
両腕を首に回す。
「あの、蝶……?」
困惑する蟬ヶ沢を無視して、抱き寄せる。これで顔が見えなくなる。
頬が着き、顔を少しこちらに傾けているのだろう、首に吐息が掛かり鳥肌が立つ。何か言おうとしているらしいが、言いかけた“あ”なのか“え”なのか判別が難しい発声だけで終わる。
蟬ヶ沢の意識は密着しているのが気になるらしく、触れている箇所にかなり意識が向いている。
小さく「うーん」と悩んだ声が聞こえて、私の体ごと横にさせた。視界は天井から、彼の顔に変わる。
蟬ヶ沢の顔を見た瞬間蝶は笑いそうになった。
赤い。さっきから顔が熱いなと思ってはいたが、目に見えるほど赤いとは思わなかったのだ。
堪え切れず、蝶は吹き出してしまった。
「こら!笑わないでよ!」
「そんな茹蛸を見せられたら誰だって笑うって」
「この状況になったら誰だって……!!」
「先に仕掛けてきたのはセミさんだよ?」
「ああもう、少しは警戒心を持ちなさいよ」
「セミさんにも持った方がいいの?」
ぐっと言葉を詰まらせて、無言になった。
灰色と橙色の靄を私に触れては微妙に離れる。
今ほど力が無ければいいなと思ったことは無い。
灰色は徐々に明るくなり、橙色は朱色に変わる。
「…………………持ってないの?」
「持った方がいいなら今すぐ離れるよ」
「…………だめ」
今までで一番情けない声で言いながら、蝶の頭を自身の胸に押し当てた。