護られるモノ
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宿に帰ると五人で晩ご飯を囲むが、三蔵と名前の間には会話はなく、悟浄と悟空はいつも通り口げんかを。その横で八戒が心配そうに三蔵と名前を交互に見据えていたーーー。
「......ごちそうさま」
名前が手を合わせて食器を片付けようとするが、その食器の中にはまだ大分、食べ物が残っていることに四人が気づく。
「名前さん、もういいんですか?」
「うん。お腹いっぱいだから。じゃ、部屋に戻ってるね」
笑顔を向けるがその笑顔は無理をして笑っているように見え、名前が三蔵を見る事無く去っていけば他の三人が食べる手を止めて数秒だけ沈黙が降りる。
「これは......由々しき問題ですね」
「何の事だ」
「名前ちゃん、一度落ち込むとこれでもかってくらい落ち込んじゃうからねー....」
「...さっき、名前が三蔵にワガママ言ったから喧嘩になったって...」
ポツリと言う悟空の言葉に三蔵が微かに眉を潜ませ、三蔵の代わりと言っていいほどのタイミングで八戒が悟空に問う。
「それは...どういう事ですか?悟空」
「よくわかんねーけど、名前が俺たちの部屋に来て言った事がワガママだって思ったんじゃねーのかな.....」
「ワガママ、ですか......」
ふと眉を下げた八戒が三蔵を見据えるが、それに気づいた三蔵は煙草を灰皿に押し付けて相変わらずの渋い表情で立ち上がった。会った当初から名前は周りに気を遣い、言いたい事も言えない性格だと他の三人も承知の上なのだがーーー。
「.......どこ行くんです?」
「寝る」
三蔵が去っていけば黙ってそれを聞いていた悟浄が、椅子の背もたれに寄り掛かり天井を仰ぐ。
「ワガママって.....。この猿よりかは可愛いワガママだけどな」
「俺だって同じだろーが!!つーか猿って言うなっ!」
いつもの様に悟浄と悟空がギャーギャー言う横で、八戒が窓の外を見つめればシトシトと雨が降り出して次第に強くなっていた。
「.......雨ですか.......困りましたね」
ーーーーーーーーーーーーーーー
「ーーー雨か......」
廊下を歩く三蔵がふと足を止めて窓の外に目を向け呟く。耳に残るほどの雷が鳴り響き、先ほどの天気とは一変して荒々しく窓に雨が叩きつけられている。
『ーーー青空は橙を際立たせ橙色は青をさらに美しく見せる.....』
『ーーー相反する色だからこそ互いの持ち味を引き立て合うんです』
「チッ.......」
脳裏に思い出したかの様に言葉が聞え、思わず舌打ちをして煙草を取り出し火をつける。煙混じりの息を吐いたところで宿のカウンター付近へと足を進めたところで、コマと名前の姿があり、コマにご飯をあげているのかしゃがみ込んでいるのが見えた。
「ーーーほら、ご飯だよ」
「ワン!」
その様子を黙ってしばらく見ていると、名前がふと窓の外に目を移し、今にも泣きそうな表情を浮かべるーーー。恐らく、あの時のことを思い出しているのだろう。三蔵が深い溜息をついて名前に一歩近づく。
「.......しけた面 だな」
「!」
肩をビクリとさせた名前が振り向くとすぐに顔を背けて前わ見据える。その態度に三蔵が舌打ちをしてグッと腕を掴んで無理やり立たせた。
「ちょっ......!」
「来い」
聞く耳など持たず宿の渡り廊下を歩き、渡ったところで三蔵が近くの壁に名前を押し付け両頬を片手で掴み、グッと顔を近づけると目を見開き驚いた表情を見せる。
「さっーーー.....」
「なに隠してやがる」
「何って......何も隠してない!」
「.....あの猿には話せて俺に話せないことか?」
「それはっ......」
鋭い三蔵の瞳に逸らすことができずに名前が観念した様子で身体の力を抜き、そっと三蔵の手の上に自身の手を添えたーーー。
「......あの人形のことで、"怖い"って言うのがワガママだと思ったから。そのくらいのことで、って思われたくなかった.....」
最後の方には俯き目を逸らして話す名前に、三蔵は「やはりか」という表情を浮かべて両頬から手を放して距離を取る。しかし名前は重ねた手を放さずに、今度は両手で握り締めた。
「いつ俺がワガママだと言った」
「だ、だって....."くだらねぇ"って言ってたじゃん!」
「だからてめぇはガキなんだよ」
「.....もう、ガキでいいよ......」
名前がスッと手を放すが、それは微かに震えていて。その表情に自分らしくもなく罪悪感を覚えるーーー。
クソが.....。めんどくせぇ......
三蔵が心の中で舌打ちをして振り返り渡り廊下を歩き出すが、付いてくる気配のない俯く名前に振り返らずに足を止めて問いかけた。
「来ないなら置いて行くぞ」
それは名前には分かりにくいほどぶっきら棒で、一瞬だけ顔を上げて眉を潜めるがまた俯き三蔵の後ろをついて行く。
「ーーー.....俺も雨は嫌いだ」
「え.....?」
雨の音でよく聞えず、三蔵が呟いた言葉を名前が聞き返すが答えるつもりはない様で、その寂しそうな背中を名前は黙って見つめるしかなかったーーー。
「......ごちそうさま」
名前が手を合わせて食器を片付けようとするが、その食器の中にはまだ大分、食べ物が残っていることに四人が気づく。
「名前さん、もういいんですか?」
「うん。お腹いっぱいだから。じゃ、部屋に戻ってるね」
笑顔を向けるがその笑顔は無理をして笑っているように見え、名前が三蔵を見る事無く去っていけば他の三人が食べる手を止めて数秒だけ沈黙が降りる。
「これは......由々しき問題ですね」
「何の事だ」
「名前ちゃん、一度落ち込むとこれでもかってくらい落ち込んじゃうからねー....」
「...さっき、名前が三蔵にワガママ言ったから喧嘩になったって...」
ポツリと言う悟空の言葉に三蔵が微かに眉を潜ませ、三蔵の代わりと言っていいほどのタイミングで八戒が悟空に問う。
「それは...どういう事ですか?悟空」
「よくわかんねーけど、名前が俺たちの部屋に来て言った事がワガママだって思ったんじゃねーのかな.....」
「ワガママ、ですか......」
ふと眉を下げた八戒が三蔵を見据えるが、それに気づいた三蔵は煙草を灰皿に押し付けて相変わらずの渋い表情で立ち上がった。会った当初から名前は周りに気を遣い、言いたい事も言えない性格だと他の三人も承知の上なのだがーーー。
「.......どこ行くんです?」
「寝る」
三蔵が去っていけば黙ってそれを聞いていた悟浄が、椅子の背もたれに寄り掛かり天井を仰ぐ。
「ワガママって.....。この猿よりかは可愛いワガママだけどな」
「俺だって同じだろーが!!つーか猿って言うなっ!」
いつもの様に悟浄と悟空がギャーギャー言う横で、八戒が窓の外を見つめればシトシトと雨が降り出して次第に強くなっていた。
「.......雨ですか.......困りましたね」
ーーーーーーーーーーーーーーー
「ーーー雨か......」
廊下を歩く三蔵がふと足を止めて窓の外に目を向け呟く。耳に残るほどの雷が鳴り響き、先ほどの天気とは一変して荒々しく窓に雨が叩きつけられている。
『ーーー青空は橙を際立たせ橙色は青をさらに美しく見せる.....』
『ーーー相反する色だからこそ互いの持ち味を引き立て合うんです』
「チッ.......」
脳裏に思い出したかの様に言葉が聞え、思わず舌打ちをして煙草を取り出し火をつける。煙混じりの息を吐いたところで宿のカウンター付近へと足を進めたところで、コマと名前の姿があり、コマにご飯をあげているのかしゃがみ込んでいるのが見えた。
「ーーーほら、ご飯だよ」
「ワン!」
その様子を黙ってしばらく見ていると、名前がふと窓の外に目を移し、今にも泣きそうな表情を浮かべるーーー。恐らく、あの時のことを思い出しているのだろう。三蔵が深い溜息をついて名前に一歩近づく。
「.......しけた
「!」
肩をビクリとさせた名前が振り向くとすぐに顔を背けて前わ見据える。その態度に三蔵が舌打ちをしてグッと腕を掴んで無理やり立たせた。
「ちょっ......!」
「来い」
聞く耳など持たず宿の渡り廊下を歩き、渡ったところで三蔵が近くの壁に名前を押し付け両頬を片手で掴み、グッと顔を近づけると目を見開き驚いた表情を見せる。
「さっーーー.....」
「なに隠してやがる」
「何って......何も隠してない!」
「.....あの猿には話せて俺に話せないことか?」
「それはっ......」
鋭い三蔵の瞳に逸らすことができずに名前が観念した様子で身体の力を抜き、そっと三蔵の手の上に自身の手を添えたーーー。
「......あの人形のことで、"怖い"って言うのがワガママだと思ったから。そのくらいのことで、って思われたくなかった.....」
最後の方には俯き目を逸らして話す名前に、三蔵は「やはりか」という表情を浮かべて両頬から手を放して距離を取る。しかし名前は重ねた手を放さずに、今度は両手で握り締めた。
「いつ俺がワガママだと言った」
「だ、だって....."くだらねぇ"って言ってたじゃん!」
「だからてめぇはガキなんだよ」
「.....もう、ガキでいいよ......」
名前がスッと手を放すが、それは微かに震えていて。その表情に自分らしくもなく罪悪感を覚えるーーー。
クソが.....。めんどくせぇ......
三蔵が心の中で舌打ちをして振り返り渡り廊下を歩き出すが、付いてくる気配のない俯く名前に振り返らずに足を止めて問いかけた。
「来ないなら置いて行くぞ」
それは名前には分かりにくいほどぶっきら棒で、一瞬だけ顔を上げて眉を潜めるがまた俯き三蔵の後ろをついて行く。
「ーーー.....俺も雨は嫌いだ」
「え.....?」
雨の音でよく聞えず、三蔵が呟いた言葉を名前が聞き返すが答えるつもりはない様で、その寂しそうな背中を名前は黙って見つめるしかなかったーーー。