護られるモノ
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名前がいないと気がついたのは、八戒が晩ご飯に呼びに行った時のこと。外は既に暗くなり、店の明かりもちらほらと乏しくなってきていたーーー。
「てっきり部屋にいると思っていたんですけどね....」
「おばちゃんに聞いたら、外に出て行ったっきり戻ってねーって」
「......ったく。どっかの誰かさんがああいう事言うから、愛想尽かされたんじゃねーの?」
そう言って全員が後方を歩く三蔵に目を向ければ、当の本人は変わらず涼しい顔のまま煙草の煙を吐き出して、何事もないように歩く。その様子に悟浄が溜息を漏らして肩を竦ませ、八戒が苦笑いを浮かべてすぐに真顔に戻す。
「何も無ければいいのですが.....名前さん、あの人形に対して酷く怯えてましたからね」
「あの厄介女が勝手に出て行ったんだろ」
「相変わらず冷たいねぇ、三蔵サマはー」
三人がグチグチと言いつつも、村の住人に話を聞いて回るが有力な情報は得られずーーー。
すると悟空が心配そうに眉を下げて三蔵に向き直り立ち止まり、他の三人も立ち止まって悟空に目を向けた。
「悟空?どうしました?」
「なんか......俺、よくわかんねーけどさ、やっぱり名前は俺たちが護ってやらねーとって.....。何て言ったらいいかわかんねーけど、三蔵がお節介とか厄介とか、それって俺たちのことも、他の誰かのことも思ってやってるんじゃねーのかなって。一人になった気持ち、俺もわかるからさ.....」
この世界にいると決めてから、名前の周りは大きく変わり事実、三蔵たち以外は関わりを持つことを控えていたのも事実で。友達はおろか、四六時中、三蔵たちと共にして村から村へと旅を続ける中で"友達"という存在すらないということーーー。
「......そうですね。僕たちだけじゃ、名前さんにだって話せないこともあるかもしれませんね」
「なんだ?猿にしては珍しくそれなりの事言うじゃねーか」
「猿じゃねーってば!!」
「.......行くぞ」
三蔵が何か考えるように眉を一層潜めたところで、煙草を足で踏みつけて火を消してそのまま歩みを進めた。
ーーーーーーーーーーーーーー
「.......完全に迷った........」
「クゥーン.....」
おばあさんの言った通り入り組んだ道で案の定、名前とコマは宿屋の方向すらわからなくなり途方に暮れていたーーー。
村はいつの間にか夜の暗闇が降りて、店の明かりもかなり少なくなっている。もちろん昼間と違い、周りには人けもなく途方にく暮れる。
「コマ.....来た道、わかる?」
「...........」
しゃがみ込んでコマの表情を窺えば、困った表情を浮かべて首を傾げる仕草をして名前が立ち上がった。
札も置いて来ちゃったし、戻る手段はないのか.....
村の人たちもいなそうだしーーー....
「ーーー道に迷われたのですか?」
「!」
不意に背後から声をかけられ振り向けば、紅い瞳に紅い髪の綺麗な女性がたっていて、咄嗟に名前がある事に気づく。
あれって、悟浄と同じーーー.....
なんか、嫌な、感じ.....
直感的にそう思い、少しだけ後ずさりして苦笑いを浮かべた。
「いや.....大丈夫、です」
「外はもう暗いですよ。村は広いとはいえ、女の子ひとりが妖怪にでも襲われたりしたら大変です」
「い、いえ.....ほほほほ、本当に大丈夫なのでっ!!」
一気に怖くなって女性と目を合わせること無くその場を足早に離れる。その女性は追いかけてくることはなく、ようやく人通りの多い大通りへと出てその場にしゃがみ込むと、心配そうにコマが顔を摺り寄せてくるーーー。
「クゥーン......」
「ごめん.....大丈夫だよ」
「あーーーー!!名前いたっ!!」
聞き覚えのある声に名前が咄嗟に顔を上げれば、すごい勢いで走って向かってくる悟空とその後ろには心配そうに駆け寄る八戒と悟浄が。三蔵に至っては、いつものようにゆっくりとした足取りで煙草を手に持ちながら歩いてくるのが見えた。
「みんな.........」
「名前さん、心配しましたよ」
「まぁ、すぐに見つかって良かったけどな」
「ごめん、なさい.....ありがとう」
八戒が名前に手を差し伸べるとその手を取って立ち上がった。チラリと三蔵を見据えるが、眉に皺を寄せて咎めることはないが、不機嫌だという事が目に見えて名前はその姿にチクリと胸が痛むがどうしてもキツク当たってしまう。
「さっさと行くぞ」
「言われなくても行きます」
そう言いつつ、名前が三蔵の横をすり抜けて先へ進めば三蔵はチッと舌打ちをして靴で煙草を消し、八戒が苦笑いを浮かべて静かについていく。
「見つかっただけでも良かったじゃありませんか。あまり、名前さんを咎めないであげてくださいね」
「何も言ってないがな」
「表情を見ればわかります。名前さんも悪気があって宿を出た訳ではないと思いますよ」
「不機嫌な女の子の機嫌の直し方、教えてやろーかぁ?」
「黙れ、エロ河童」
顔を覗き込む悟浄に銃口を突きつけてすぐに下ろすと、三人がようやく足を進める。前を歩く名前の横に悟空が並び声をかけた。
「なー、三蔵のこと、嫌いになったのか?」
「え?」
問いかけに名前が足を止めずに思わず悟空に目を向けるーーー。
「三蔵が怒ってんのはいつものことだけど、名前が怒ってんの初めて見た気がすんだよなー」
「嫌いになんかなってないよ。.....ただ、私がワガママ言っただけ」
苦笑いを浮かべながら答えれば悟空が困った表情を浮かべて呟く。
「うーん.....よくわかんねーけど、俺いっつも三蔵にワガママ言ってっけど結局は許してもらえてるんだよなー.....だから名前のワガママも三蔵は許すと思うぜ!」
「.......そう、だね」
悟空の伝えたい事はわかる。心配してもらいたいとか、心配したいとか、頼られたいとか、頼りたいとかーーー。
三蔵が言葉にしなくてもそういう態度で示している事もわかっている。でもーーー。
私のワガママは、許されるのかなーーー.....
「てっきり部屋にいると思っていたんですけどね....」
「おばちゃんに聞いたら、外に出て行ったっきり戻ってねーって」
「......ったく。どっかの誰かさんがああいう事言うから、愛想尽かされたんじゃねーの?」
そう言って全員が後方を歩く三蔵に目を向ければ、当の本人は変わらず涼しい顔のまま煙草の煙を吐き出して、何事もないように歩く。その様子に悟浄が溜息を漏らして肩を竦ませ、八戒が苦笑いを浮かべてすぐに真顔に戻す。
「何も無ければいいのですが.....名前さん、あの人形に対して酷く怯えてましたからね」
「あの厄介女が勝手に出て行ったんだろ」
「相変わらず冷たいねぇ、三蔵サマはー」
三人がグチグチと言いつつも、村の住人に話を聞いて回るが有力な情報は得られずーーー。
すると悟空が心配そうに眉を下げて三蔵に向き直り立ち止まり、他の三人も立ち止まって悟空に目を向けた。
「悟空?どうしました?」
「なんか......俺、よくわかんねーけどさ、やっぱり名前は俺たちが護ってやらねーとって.....。何て言ったらいいかわかんねーけど、三蔵がお節介とか厄介とか、それって俺たちのことも、他の誰かのことも思ってやってるんじゃねーのかなって。一人になった気持ち、俺もわかるからさ.....」
この世界にいると決めてから、名前の周りは大きく変わり事実、三蔵たち以外は関わりを持つことを控えていたのも事実で。友達はおろか、四六時中、三蔵たちと共にして村から村へと旅を続ける中で"友達"という存在すらないということーーー。
「......そうですね。僕たちだけじゃ、名前さんにだって話せないこともあるかもしれませんね」
「なんだ?猿にしては珍しくそれなりの事言うじゃねーか」
「猿じゃねーってば!!」
「.......行くぞ」
三蔵が何か考えるように眉を一層潜めたところで、煙草を足で踏みつけて火を消してそのまま歩みを進めた。
ーーーーーーーーーーーーーー
「.......完全に迷った........」
「クゥーン.....」
おばあさんの言った通り入り組んだ道で案の定、名前とコマは宿屋の方向すらわからなくなり途方に暮れていたーーー。
村はいつの間にか夜の暗闇が降りて、店の明かりもかなり少なくなっている。もちろん昼間と違い、周りには人けもなく途方にく暮れる。
「コマ.....来た道、わかる?」
「...........」
しゃがみ込んでコマの表情を窺えば、困った表情を浮かべて首を傾げる仕草をして名前が立ち上がった。
札も置いて来ちゃったし、戻る手段はないのか.....
村の人たちもいなそうだしーーー....
「ーーー道に迷われたのですか?」
「!」
不意に背後から声をかけられ振り向けば、紅い瞳に紅い髪の綺麗な女性がたっていて、咄嗟に名前がある事に気づく。
あれって、悟浄と同じーーー.....
なんか、嫌な、感じ.....
直感的にそう思い、少しだけ後ずさりして苦笑いを浮かべた。
「いや.....大丈夫、です」
「外はもう暗いですよ。村は広いとはいえ、女の子ひとりが妖怪にでも襲われたりしたら大変です」
「い、いえ.....ほほほほ、本当に大丈夫なのでっ!!」
一気に怖くなって女性と目を合わせること無くその場を足早に離れる。その女性は追いかけてくることはなく、ようやく人通りの多い大通りへと出てその場にしゃがみ込むと、心配そうにコマが顔を摺り寄せてくるーーー。
「クゥーン......」
「ごめん.....大丈夫だよ」
「あーーーー!!名前いたっ!!」
聞き覚えのある声に名前が咄嗟に顔を上げれば、すごい勢いで走って向かってくる悟空とその後ろには心配そうに駆け寄る八戒と悟浄が。三蔵に至っては、いつものようにゆっくりとした足取りで煙草を手に持ちながら歩いてくるのが見えた。
「みんな.........」
「名前さん、心配しましたよ」
「まぁ、すぐに見つかって良かったけどな」
「ごめん、なさい.....ありがとう」
八戒が名前に手を差し伸べるとその手を取って立ち上がった。チラリと三蔵を見据えるが、眉に皺を寄せて咎めることはないが、不機嫌だという事が目に見えて名前はその姿にチクリと胸が痛むがどうしてもキツク当たってしまう。
「さっさと行くぞ」
「言われなくても行きます」
そう言いつつ、名前が三蔵の横をすり抜けて先へ進めば三蔵はチッと舌打ちをして靴で煙草を消し、八戒が苦笑いを浮かべて静かについていく。
「見つかっただけでも良かったじゃありませんか。あまり、名前さんを咎めないであげてくださいね」
「何も言ってないがな」
「表情を見ればわかります。名前さんも悪気があって宿を出た訳ではないと思いますよ」
「不機嫌な女の子の機嫌の直し方、教えてやろーかぁ?」
「黙れ、エロ河童」
顔を覗き込む悟浄に銃口を突きつけてすぐに下ろすと、三人がようやく足を進める。前を歩く名前の横に悟空が並び声をかけた。
「なー、三蔵のこと、嫌いになったのか?」
「え?」
問いかけに名前が足を止めずに思わず悟空に目を向けるーーー。
「三蔵が怒ってんのはいつものことだけど、名前が怒ってんの初めて見た気がすんだよなー」
「嫌いになんかなってないよ。.....ただ、私がワガママ言っただけ」
苦笑いを浮かべながら答えれば悟空が困った表情を浮かべて呟く。
「うーん.....よくわかんねーけど、俺いっつも三蔵にワガママ言ってっけど結局は許してもらえてるんだよなー.....だから名前のワガママも三蔵は許すと思うぜ!」
「.......そう、だね」
悟空の伝えたい事はわかる。心配してもらいたいとか、心配したいとか、頼られたいとか、頼りたいとかーーー。
三蔵が言葉にしなくてもそういう態度で示している事もわかっている。でもーーー。
私のワガママは、許されるのかなーーー.....