護られるモノ
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望むものと望んで夢を見ることは根本的に違う。
望むものはただの願望で、自分が望んでいて眠り、夢を見ることは自分の意思がそうさせている事が多い、.....気がするーーー。
高い塀に隔てられた比較的、大きな村に着いたのは陽が傾き夕暮れどきのこと。村へと続く一本の吊橋をジープで渡れば、その後を追うように吊橋が上がり誰も入り込めない大きな扉と化す。
「ほ~。スゲー仕掛けだなー。厳重体制って感じ」
「あれ?前にもこんな村なかったか?」
「あー、....確か掟みてーなもんが何百条もあった村だろ?」
「なにその村......逆に興味湧くんだけど」
二人が吊橋を眺めながら、名前が苦笑いで答えれば二人は眉を潜めて本当に嫌そうな表情を浮かべ、本気で苦い思い出のある村だと名前が察する。するとようやく宿を見つけたのか、八戒がジープを止めてそれぞれが下りだし、三蔵が煙草の煙を吐きながらポツリと呟いた。
「.....くだらん。酒と煙草がありゃそれでいい」
「それは三蔵と悟浄だけでしょ?」
「チッ......」
溜息混じりと呆れ顔で言う名前に三蔵が舌打ちをしてそれぞれ宿に入って行く。不意に宿のカウンターにある小さな可愛らしい人形が置いてあり、名前がその人形を覗き込む。
「わぁ.....これ可愛い」
「そうだろう。お嬢ちゃん、見る目があるね。それはこの村に伝わる至上者様を模った人形だよ。その至上者様はその人が望んだ夢を夢の中で見させてくれるって言い伝えがあるんだよ」
「至上者、様.......?」
宿のお婆さんの言葉に名前が顔を上げれば、三蔵が眉を潜め、八戒がお婆さんの言葉に補足を加えて分かりやすいように同じく人形に目線を向けた。
「要は、この上もなく尊いものの神。この村ではその人形の女の子が神のとして祀られている訳ですね。見たい夢を見させてくれる神様、ですか.....」
「この女の子が、.......神様......?」
「なー、なー。そんな事より早く飯食おうぜー.....俺、腹減って死にそー.....」
「はいはい、わかりましたよ。一旦、部屋に行ってからご飯にしましょう」
悟空たちが二階へと続く階段に向かえば、名前はうーんと考え込みながらしばらくの間、その人形を見つめる。それを見た三蔵が名前の隣に立ち、煙草の煙を吐きながら声をかける。
「さっさと行くぞ」
「あ、う、うん......」
この時、名前にはなぜかあの人形が気になって仕方がなかった。女の子の人形と言っても、その見た目は幼い容姿で、神様という神々しいというより、ただの小学生の女の子と言った方が適切だとーーー。
気になりつつも階段を上がって三蔵たち四人はベッド二つの部屋に、名前はその隣に隣接する一人部屋へと足を運ぶ。が、部屋に入った瞬間、宿のカウンターにあった人形がサイドテーブルに置かれており、背中にゾクッと寒気が襲う。
「もしかして.....全部の部屋に置いてある、とか......?」
「ワン.....?」
一気にゾッと怖くなりコマを抱き上げて部屋を出て、隣の部屋のドアをノックする。「どうぞ」と言う八戒の声が聞こえ、そっとドアを開ければ不思議そうな表情をした悟空と八戒の様子が目に入り、真っ青な表情の名前を心配そうに見つめた。
「どうした?もしかして寂しくなって俺のーーー.....」
ガチャリ
安定の昇霊銃の音が部屋に響き、三蔵が苦笑いする悟浄に銃口を向けながら名前に目を向けて問いかける。
「何の用だ?」
「いや......あの人形、何だか気味悪くて.....」
そう言って人形に指を差す名前に三蔵がようやく銃を下ろして、煙草の箱に手をつけて咥えれば火をつけて吐き出す。それを横目に八戒がお茶を淹れて湯呑みをテーブルに置くと、椅子に座るよう即して、名前がストンと椅子に腰を下ろす。
「あ、.....ありがとう」
「いえ。.....それにしても、あの人形、全部の部屋に置いてあるんですね」
「通りで入った瞬間、視線感じた訳ねー」
「俺、この人形、全然怖くねーけど」
「いや、......最初は単純に可愛い人形だなって思ったんだけど、何かこれだけ人形があると逆に気味が悪いなって......」
不思議そうに悟空が人形を覗き込むように見つめてツンツンと人差し指で触るのを横目に、ベッドの上で煙草を吸う三蔵が舌打ちをした。
「くだらねぇな。ただの人形だろーが。やっぱりガキだな」
「なっ......!」
「また心許ない事を......」
「うるせぇ」
三蔵の言葉に八戒が溜息混じりでフォローするが、名前はムゥっと頬を膨らまして空になった湯呑みをテーブルに音を立てて置き、すぐに普段の表情に戻して席を立つ。その様子に悟空も悟浄も少し驚いた様子で見据えたーーー。
「.......そうだね。ただの人形だよ。ごめんね、押し掛けちゃって」
「名前さんーーー.....」
八戒の言葉を待たずして逃げるように部屋を出て行く名前に悟浄が呆れた表情で、テーブルに肘を付いて独り言のように呟く。
「あーあ。傷ついた顔させちゃって~」
「どうしてそういう言い方しか出来ないんですか.....村を出る頃までには、ちゃんと仲直りしてくださいね」
「..................」
ーーーーーーーーーーーーーー
二階から階段を下りてカウンターの前を通ると、先ほどの宿屋のお婆さんが眉を下げて心配そうに声をかけた。
「おや、悲しい顔してどうしたんだい?」
「あ、いえ。なんでも.....コマの散歩に行こうかと」
「ワンワン!」
「そうかい。この村は道が複雑に入り組んでるから、あんまり遠くに行くと迷子になるから気をつけて行きなよ」
「ありがとう、お婆さん」
心配そうな表情から名前の言葉を聞いて安心したのか、笑顔で教えてくれるお婆さんを後にして宿屋の外へ出る。この村は主に編み物が名産品らしく、店のいたる所で色鮮やかなカーペットや膝掛け、アクセサリーが店を華やかに彩るーーー。
「綺麗なお店ばっかりだね」
「ワン!」
綺麗なお店に目を引くのはいいのだが、やはり店の軒先にはあの人形が飾ってあり、その異常さに思わず顔を背けた。
ーーーやっぱり気味が悪いな.....。
三蔵は気にするなって言ってたし、他のみんなも気にしてる様子も全然なかったし.....気にしすぎ、なのかな....。
望むものはただの願望で、自分が望んでいて眠り、夢を見ることは自分の意思がそうさせている事が多い、.....気がするーーー。
高い塀に隔てられた比較的、大きな村に着いたのは陽が傾き夕暮れどきのこと。村へと続く一本の吊橋をジープで渡れば、その後を追うように吊橋が上がり誰も入り込めない大きな扉と化す。
「ほ~。スゲー仕掛けだなー。厳重体制って感じ」
「あれ?前にもこんな村なかったか?」
「あー、....確か掟みてーなもんが何百条もあった村だろ?」
「なにその村......逆に興味湧くんだけど」
二人が吊橋を眺めながら、名前が苦笑いで答えれば二人は眉を潜めて本当に嫌そうな表情を浮かべ、本気で苦い思い出のある村だと名前が察する。するとようやく宿を見つけたのか、八戒がジープを止めてそれぞれが下りだし、三蔵が煙草の煙を吐きながらポツリと呟いた。
「.....くだらん。酒と煙草がありゃそれでいい」
「それは三蔵と悟浄だけでしょ?」
「チッ......」
溜息混じりと呆れ顔で言う名前に三蔵が舌打ちをしてそれぞれ宿に入って行く。不意に宿のカウンターにある小さな可愛らしい人形が置いてあり、名前がその人形を覗き込む。
「わぁ.....これ可愛い」
「そうだろう。お嬢ちゃん、見る目があるね。それはこの村に伝わる至上者様を模った人形だよ。その至上者様はその人が望んだ夢を夢の中で見させてくれるって言い伝えがあるんだよ」
「至上者、様.......?」
宿のお婆さんの言葉に名前が顔を上げれば、三蔵が眉を潜め、八戒がお婆さんの言葉に補足を加えて分かりやすいように同じく人形に目線を向けた。
「要は、この上もなく尊いものの神。この村ではその人形の女の子が神のとして祀られている訳ですね。見たい夢を見させてくれる神様、ですか.....」
「この女の子が、.......神様......?」
「なー、なー。そんな事より早く飯食おうぜー.....俺、腹減って死にそー.....」
「はいはい、わかりましたよ。一旦、部屋に行ってからご飯にしましょう」
悟空たちが二階へと続く階段に向かえば、名前はうーんと考え込みながらしばらくの間、その人形を見つめる。それを見た三蔵が名前の隣に立ち、煙草の煙を吐きながら声をかける。
「さっさと行くぞ」
「あ、う、うん......」
この時、名前にはなぜかあの人形が気になって仕方がなかった。女の子の人形と言っても、その見た目は幼い容姿で、神様という神々しいというより、ただの小学生の女の子と言った方が適切だとーーー。
気になりつつも階段を上がって三蔵たち四人はベッド二つの部屋に、名前はその隣に隣接する一人部屋へと足を運ぶ。が、部屋に入った瞬間、宿のカウンターにあった人形がサイドテーブルに置かれており、背中にゾクッと寒気が襲う。
「もしかして.....全部の部屋に置いてある、とか......?」
「ワン.....?」
一気にゾッと怖くなりコマを抱き上げて部屋を出て、隣の部屋のドアをノックする。「どうぞ」と言う八戒の声が聞こえ、そっとドアを開ければ不思議そうな表情をした悟空と八戒の様子が目に入り、真っ青な表情の名前を心配そうに見つめた。
「どうした?もしかして寂しくなって俺のーーー.....」
ガチャリ
安定の昇霊銃の音が部屋に響き、三蔵が苦笑いする悟浄に銃口を向けながら名前に目を向けて問いかける。
「何の用だ?」
「いや......あの人形、何だか気味悪くて.....」
そう言って人形に指を差す名前に三蔵がようやく銃を下ろして、煙草の箱に手をつけて咥えれば火をつけて吐き出す。それを横目に八戒がお茶を淹れて湯呑みをテーブルに置くと、椅子に座るよう即して、名前がストンと椅子に腰を下ろす。
「あ、.....ありがとう」
「いえ。.....それにしても、あの人形、全部の部屋に置いてあるんですね」
「通りで入った瞬間、視線感じた訳ねー」
「俺、この人形、全然怖くねーけど」
「いや、......最初は単純に可愛い人形だなって思ったんだけど、何かこれだけ人形があると逆に気味が悪いなって......」
不思議そうに悟空が人形を覗き込むように見つめてツンツンと人差し指で触るのを横目に、ベッドの上で煙草を吸う三蔵が舌打ちをした。
「くだらねぇな。ただの人形だろーが。やっぱりガキだな」
「なっ......!」
「また心許ない事を......」
「うるせぇ」
三蔵の言葉に八戒が溜息混じりでフォローするが、名前はムゥっと頬を膨らまして空になった湯呑みをテーブルに音を立てて置き、すぐに普段の表情に戻して席を立つ。その様子に悟空も悟浄も少し驚いた様子で見据えたーーー。
「.......そうだね。ただの人形だよ。ごめんね、押し掛けちゃって」
「名前さんーーー.....」
八戒の言葉を待たずして逃げるように部屋を出て行く名前に悟浄が呆れた表情で、テーブルに肘を付いて独り言のように呟く。
「あーあ。傷ついた顔させちゃって~」
「どうしてそういう言い方しか出来ないんですか.....村を出る頃までには、ちゃんと仲直りしてくださいね」
「..................」
ーーーーーーーーーーーーーー
二階から階段を下りてカウンターの前を通ると、先ほどの宿屋のお婆さんが眉を下げて心配そうに声をかけた。
「おや、悲しい顔してどうしたんだい?」
「あ、いえ。なんでも.....コマの散歩に行こうかと」
「ワンワン!」
「そうかい。この村は道が複雑に入り組んでるから、あんまり遠くに行くと迷子になるから気をつけて行きなよ」
「ありがとう、お婆さん」
心配そうな表情から名前の言葉を聞いて安心したのか、笑顔で教えてくれるお婆さんを後にして宿屋の外へ出る。この村は主に編み物が名産品らしく、店のいたる所で色鮮やかなカーペットや膝掛け、アクセサリーが店を華やかに彩るーーー。
「綺麗なお店ばっかりだね」
「ワン!」
綺麗なお店に目を引くのはいいのだが、やはり店の軒先にはあの人形が飾ってあり、その異常さに思わず顔を背けた。
ーーーやっぱり気味が悪いな.....。
三蔵は気にするなって言ってたし、他のみんなも気にしてる様子も全然なかったし.....気にしすぎ、なのかな....。
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