掴めないココロ
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いつもと違う雰囲気の教室でーーー。
クラスメイトが向ける視線の先を教室に入って来た千明が一瞬だけ渋い表情を向け、すぐに笑顔に切り替えて2人の元へ向かう。
「おはよー!......ってコレ、どうしたの!?」
「...!!」
千明が顔を覗かせた瞬間、名前の身体が微かに跳ねるのを勇人は見逃さなかった。
「あー...朝、来たら名字のロッカーにこれが入ってたんだよ。ヒデー事する奴もいんだな」
「そっかー...大変だったね...。それより勇人、雄太が呼んでたよ?玄関で待ってる」
先程と変わらず、千明と目を合わせずに黙々と作業を進める名前に、勇人が肘をつき横目で見るがすぐに千明を見据えるーーー。
「.......そうか。じゃ、行ってくる。名字、悪いな」
「ううん、大丈夫。ありがとう」
名前が俯きながら答え、勇人が立ち上がって教室を後にすると千明の表情が一変して、鋭い表情で名前の耳に口を寄せて呟く。
「...まだ"遊び"だって分かんない?」
「"遊び"じゃないから」
「は?ーーー...」
名前が作業の手を止めたかと思えば、顔を上げて真っ直ぐに千明と目を合わせその表情に目を見開く...。
「...約束したから。"友達"だって。だから周りの言葉より、本人を信じてみようって」
「なっ......バカじゃない!?遊ばれるのが落ちよっ」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべて捨て台詞を残して千明が去って行き、名前が肩の力を抜いて深い溜息をついたのだった。
ーーーーーーーーーーー
最初はどうでもよかった。クラスによくいる"静かで控えめな変わった女子"で。
なぜかその様子が嫌なほど気になり始めていた。
「お、来た来た」
「.....なんだよ」
「他のクラスの奴らが名字の下駄箱にバラバラになった写真入ってたって騒いでんの聞いてさー。血相変えてお前が助けたって」
「......そのニヤついた顔やめろ」
何かを確信したようにニヤっと笑う雄太に、半ば呆れつつも眉間に皺を寄せて歩き出す。
「つーかさ、千明のことどーすんの?女同士のそういうのって、結構ドロドロだって聞くじゃん?」
「どーもこうもねーよ。別に関係ねーだろ」
「お前わかってねーな....千明が名字につっかかってんの見たって言ってる奴がいんの」
「は?」
教室の少し手前で立ち止まり目を見開き改めて雄太の顔を窺うと、逆に呆れた表情を返され、そのまま雄太が歩きがてら言葉を呟く。
「何言ってたか知んないけど、ちょっとヤべーんじゃねーの?アイツ俺のいう事、聞く耳持たねーし」
「.........」
「早めに千明と話した方がいいんじゃねーの?....まぁ、俺も何かあったら協力するし」
信じてねーワケじゃねーけどーーー....
まさか、な.....
数秒だけその場に留まり言葉に詰まれば、小さな溜息を漏らして教室へと足を踏み入れた。するといつも居るはずの名字の姿が見当たらず、カバンを席に置いて再び廊下に出る。廊下のまどから、中庭で空を見あげる名字の姿を見つけた。
「何してんの?」
「空.....」
「.....?」
「.....綺麗だな、って思って.....」
言葉と共に空から視線を俺に向けて木陰に腰を下ろすーーー。
同じく隣に腰を下ろして空を見上げた。
「私ーーー....ずっと考えてた。このままでいいのかなって」
「それ、どういう意味?」
「あなたと関わったせいで、いろんな事が変わってきてる」
「.....怖いのか?何かが変わるのが」
「.................」
名字が目線を一瞬だけ俺に合わせて、すぐに前を見据え呟く。
「.....もう怖くない。今は信じられる人がいるから」
「珍しく素直だな」
「どっかの誰かさんのせい」
無表情のまま前を見て言う名字にクスリと笑うと、今度はふとこちらから目を逸らして空を仰ぎだす。
「......もう、カメラのこと、怒ってないって言ったら嘘になるけどーーー....ありがとう。友達になってくれて.....」
......"友達"、かーーー.....
その時、自分の中で落胆という気持ちが込み上げて、やっとの事でその眩しい笑顔から静かに名字から逸らして同じ目線で青い空を見上げたーーー。
ーーーそうか.....俺、コイツのこと、"好き"なのか.....
ーーーーーーーーーーーーーー
この心地いい気持ちはなんだろーーー....
勇人と別れ一人、名前が放課後にカメラを抱えたまま廊下をぼーっとしながら歩く。すると教室からヒョッコリと笑顔の雄太が顔を出して声をかけた。
「あ、名字!ちょうどいいとこに来た!話し相手になってよ」
「........?」
手招きをされて教室の中に入り覗き込めば、机に突っ伏してい寝息を立てる勇人の姿が目に入り、すぐに雄太に目を向ける。
「いやー。起こそうとしてもなかなか勇人が起きなくてさ~....」
「そうだったんだ.....私で良かったら.....」
「おー!それは助かる。ありがとな」
二カッと笑う雄太に名前が首を横に振り、少し離れた机にカメラを置いてストンと椅子に腰を下ろすーーー。
「.....で、どんな感じ?」
「え.....?」
机に頬杖をついてにこやかに聞いてくる雄太に名前が少しだけ距離を置いて目を瞬きさせた。
「いやー....勇人があんだけニコニコしてんの久しぶりにみたなーって思ってさ。前まではずっと機嫌悪そうにムスッとしてたのに」
「それって.....ここに入学する前....?」
「そー。アイツ、瀬戸内財閥の一人息子でさ、それ目当てで絡んでくる奴が結構多くてーーー....」
ガタッ!
「!」
「ーーーちょっと待って!.....今なんてっ.....」
急に血相を変えて立ち上がった名前に雄太が目を見開いて、思わず頬杖をついていた腕を机から離すーーー。
「え、.....や、....せ、瀬戸内財閥の一人息子.....?」
「........嘘でしょ.......」
「な、なんか.....俺、マズイこと言った.....?」
「ーーーんだよっ.....さっきからうるせーな~.....」
「.......っ!!」
苦笑いして言う雄太にはびくっと肩を揺らして俯いた名前の表情は窺えず。その時、眉を潜めてむくりと勇人が身体を起こして、頭を掻きつつ二人を見据えて動きを止めた。
「.....あれ。名字、何でお前っーーー....」
「わ......私、帰るから......!」
「えっ、おい!!」
立ち上がり引き止める声をかけるが、名前は聞く耳を持たずに教室出て行くーーー。
「雄太!悪い!先に帰っててくれ」
「お、おう.....」
予想以上に焦った様子の勇人に雄太がポカンとした表情で答えて頷き、そのままカバンを手にした勇人が教室を出て行った。
「......絶対にマズイこと言ったよな.....俺......」
クラスメイトが向ける視線の先を教室に入って来た千明が一瞬だけ渋い表情を向け、すぐに笑顔に切り替えて2人の元へ向かう。
「おはよー!......ってコレ、どうしたの!?」
「...!!」
千明が顔を覗かせた瞬間、名前の身体が微かに跳ねるのを勇人は見逃さなかった。
「あー...朝、来たら名字のロッカーにこれが入ってたんだよ。ヒデー事する奴もいんだな」
「そっかー...大変だったね...。それより勇人、雄太が呼んでたよ?玄関で待ってる」
先程と変わらず、千明と目を合わせずに黙々と作業を進める名前に、勇人が肘をつき横目で見るがすぐに千明を見据えるーーー。
「.......そうか。じゃ、行ってくる。名字、悪いな」
「ううん、大丈夫。ありがとう」
名前が俯きながら答え、勇人が立ち上がって教室を後にすると千明の表情が一変して、鋭い表情で名前の耳に口を寄せて呟く。
「...まだ"遊び"だって分かんない?」
「"遊び"じゃないから」
「は?ーーー...」
名前が作業の手を止めたかと思えば、顔を上げて真っ直ぐに千明と目を合わせその表情に目を見開く...。
「...約束したから。"友達"だって。だから周りの言葉より、本人を信じてみようって」
「なっ......バカじゃない!?遊ばれるのが落ちよっ」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべて捨て台詞を残して千明が去って行き、名前が肩の力を抜いて深い溜息をついたのだった。
ーーーーーーーーーーー
最初はどうでもよかった。クラスによくいる"静かで控えめな変わった女子"で。
なぜかその様子が嫌なほど気になり始めていた。
「お、来た来た」
「.....なんだよ」
「他のクラスの奴らが名字の下駄箱にバラバラになった写真入ってたって騒いでんの聞いてさー。血相変えてお前が助けたって」
「......そのニヤついた顔やめろ」
何かを確信したようにニヤっと笑う雄太に、半ば呆れつつも眉間に皺を寄せて歩き出す。
「つーかさ、千明のことどーすんの?女同士のそういうのって、結構ドロドロだって聞くじゃん?」
「どーもこうもねーよ。別に関係ねーだろ」
「お前わかってねーな....千明が名字につっかかってんの見たって言ってる奴がいんの」
「は?」
教室の少し手前で立ち止まり目を見開き改めて雄太の顔を窺うと、逆に呆れた表情を返され、そのまま雄太が歩きがてら言葉を呟く。
「何言ってたか知んないけど、ちょっとヤべーんじゃねーの?アイツ俺のいう事、聞く耳持たねーし」
「.........」
「早めに千明と話した方がいいんじゃねーの?....まぁ、俺も何かあったら協力するし」
信じてねーワケじゃねーけどーーー....
まさか、な.....
数秒だけその場に留まり言葉に詰まれば、小さな溜息を漏らして教室へと足を踏み入れた。するといつも居るはずの名字の姿が見当たらず、カバンを席に置いて再び廊下に出る。廊下のまどから、中庭で空を見あげる名字の姿を見つけた。
「何してんの?」
「空.....」
「.....?」
「.....綺麗だな、って思って.....」
言葉と共に空から視線を俺に向けて木陰に腰を下ろすーーー。
同じく隣に腰を下ろして空を見上げた。
「私ーーー....ずっと考えてた。このままでいいのかなって」
「それ、どういう意味?」
「あなたと関わったせいで、いろんな事が変わってきてる」
「.....怖いのか?何かが変わるのが」
「.................」
名字が目線を一瞬だけ俺に合わせて、すぐに前を見据え呟く。
「.....もう怖くない。今は信じられる人がいるから」
「珍しく素直だな」
「どっかの誰かさんのせい」
無表情のまま前を見て言う名字にクスリと笑うと、今度はふとこちらから目を逸らして空を仰ぎだす。
「......もう、カメラのこと、怒ってないって言ったら嘘になるけどーーー....ありがとう。友達になってくれて.....」
......"友達"、かーーー.....
その時、自分の中で落胆という気持ちが込み上げて、やっとの事でその眩しい笑顔から静かに名字から逸らして同じ目線で青い空を見上げたーーー。
ーーーそうか.....俺、コイツのこと、"好き"なのか.....
ーーーーーーーーーーーーーー
この心地いい気持ちはなんだろーーー....
勇人と別れ一人、名前が放課後にカメラを抱えたまま廊下をぼーっとしながら歩く。すると教室からヒョッコリと笑顔の雄太が顔を出して声をかけた。
「あ、名字!ちょうどいいとこに来た!話し相手になってよ」
「........?」
手招きをされて教室の中に入り覗き込めば、机に突っ伏してい寝息を立てる勇人の姿が目に入り、すぐに雄太に目を向ける。
「いやー。起こそうとしてもなかなか勇人が起きなくてさ~....」
「そうだったんだ.....私で良かったら.....」
「おー!それは助かる。ありがとな」
二カッと笑う雄太に名前が首を横に振り、少し離れた机にカメラを置いてストンと椅子に腰を下ろすーーー。
「.....で、どんな感じ?」
「え.....?」
机に頬杖をついてにこやかに聞いてくる雄太に名前が少しだけ距離を置いて目を瞬きさせた。
「いやー....勇人があんだけニコニコしてんの久しぶりにみたなーって思ってさ。前まではずっと機嫌悪そうにムスッとしてたのに」
「それって.....ここに入学する前....?」
「そー。アイツ、瀬戸内財閥の一人息子でさ、それ目当てで絡んでくる奴が結構多くてーーー....」
ガタッ!
「!」
「ーーーちょっと待って!.....今なんてっ.....」
急に血相を変えて立ち上がった名前に雄太が目を見開いて、思わず頬杖をついていた腕を机から離すーーー。
「え、.....や、....せ、瀬戸内財閥の一人息子.....?」
「........嘘でしょ.......」
「な、なんか.....俺、マズイこと言った.....?」
「ーーーんだよっ.....さっきからうるせーな~.....」
「.......っ!!」
苦笑いして言う雄太にはびくっと肩を揺らして俯いた名前の表情は窺えず。その時、眉を潜めてむくりと勇人が身体を起こして、頭を掻きつつ二人を見据えて動きを止めた。
「.....あれ。名字、何でお前っーーー....」
「わ......私、帰るから......!」
「えっ、おい!!」
立ち上がり引き止める声をかけるが、名前は聞く耳を持たずに教室出て行くーーー。
「雄太!悪い!先に帰っててくれ」
「お、おう.....」
予想以上に焦った様子の勇人に雄太がポカンとした表情で答えて頷き、そのままカバンを手にした勇人が教室を出て行った。
「......絶対にマズイこと言ったよな.....俺......」
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