花の意味
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半分欠けた月がいつもより小さく感じつつ、仕事終わりにマネージャーにいつもの近くのコンビニまで送ってもらい下りれば、店の雑誌コーナーに見慣れた顔を発見する。
アイツ.....この時間に一人で何してんだ?
夜に、それに家着だろうか、ラフな格好で真剣に雑誌を見つめる姿を横目に何食わぬ顔でコンビニに入り、彼女の背後でそっと呟く。
「よく撮れてんな。それ」
「.........ほわっ!!」
ビクっと肩を震わせてから咄嗟の反応だろうか、さっと俺から数歩だけ離れた。すると軽くパニックになってるのか、名前を口に出そうするのを間一髪で止める。
「れ、れっーーー.....んぐっ!」
あっぶねー.....
よく通うコンビニとはいえ、一度も周囲にバレた事もなければ俺がここに通っている事も誰も知らない。
「名前、言ったらバレんだろっ」
必死に頷く名前を見てようやく手を口元から放してやると一度、肩で大きく息を吸い込みすぐに目を伏せる仕草をしたーーー。
「す、すみません.....」
「こんな夜に一人で何してんの?」
目を伏せる彼女の横に立ち、そう問いかければ恥ずかしそうに苦笑いを浮かべて答えた。
「あ....さっき千尋から電話をもらって、今日雑誌の発売日だって聞いて思わず急いで買いに来ちゃったんです....」
だからってハウスから結構距離あるぞ....?
本当に何も考えてねーんだな.....コイツ。
「お前、ホント鈍いな」
「え?」
目を見開き驚いた表情を見せ、俺は溜息交じりで顔を窺う彼女に目線を合わせ呟く。
「こんな夜遅くに女一人でいるバカがどこにいんだよ」
「で、でも、....そもそも蓮さんが何でここに?」
「仕事帰りにここに寄るんだよ。シェアハウスから近いだろ?」
「あー....そうですよね....」
そう言って手にしていた雑誌を棚に戻すのを見て思わず眉を潜め、その戻した雑誌を手に取る。
「買わねーのか?」
「いいです。見れただけで十分ですから」
俺が雑誌を手にするのを苦笑いしながら見つつ、名前が何も言わずに出入り口に足を進めると、俺も必要な物を買って同じくコンビニを出た。すると「なんで」という表情が似合いそうな顔をして俺を見る。
「コンビニ....寄るんじゃないんですか?」
「もう用は済んだ」
コンビニ袋を掲げて見せれば少し納得した表情を見せて、俺は構わずに名前の横に並び仕方なく同じ歩幅で歩き出す。チラリと見ればなぜか俯きながら頬を緩めて微笑む姿が目に入り、前を見据えて眉を潜めたが、なぜかこのとき悪い気は少しもしなかった。
ーーーーーーーーーーーーーー
ハウスの中庭を通り中に入ろうとドアノブに手をかけた時、不意に名前が立ち止まり庭にあった大きな桜の木を見上げた。その木は俺がここに来た時からその中庭にあり、その当初花見などした記憶がふと過ぎるーーー。
「あれ.....桜の木?」
「あー....前からあったらしいよ。よく知らねーけど」
「へぇ.....」
スッとその桜の木に近づき、名前が原木に手を添えるーーー。その後姿がなぜか自分でもわからないくらいに見入ってしまう。
「.....山桜だ.....」
「見ただけでわかんのか?」
「はい。これでもフラワーコーディネーターの卵なので」
振り向いて少しだけ自慢げに笑顔を浮かべて話す彼女に俺は隣に歩み寄って同じく見上げてみる。
ーーーだったら....あの意味も理解したって事か.....
「ふーん。....お前、結構スゲーんだな」
「え?」
「なかなか見ただけでわかんねーよ。そこら辺に咲いてる花だって見ててわかんねーだろ?」
「まぁ、......そうですけど.....」
照れくさそうに話しながら添えていた手を放して、不意に俺の顔を控えめに覗き込む。
「なに?」
「いや、.....蓮さんがそこまで褒め倒すのはちょっと怖いなと.....」
「お前、俺のイメージ最悪じゃねーか?」
まぁ、実際のところ褒めねーし。
「でも、今日話してみて蓮さんは意外と優しい人だって事はわかりました」
「は?」
予想外の言葉に眉を潜めて目を合わせれば微笑む名前の姿に生暖かいものが心に刺す感覚に陥ったーーー。
「ーーーあ!いたいた。蓮、拓海が話があるって呼んでるわよ」
「!」
いきなり背後から志信の声が聞こえ、その内容にも心当たりがあって盛大な溜息を漏らす。そして何事もなかったかように何も言わずその場からハウスの中に足を進めた。横目に見たのは彼女の心配そうな表情で、俺は心の中でチッと舌打ちをしたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーー
拓海さんの部屋を数回ノックすると中から声が聞こえ、そのトーンで不機嫌なのだと察してドアを開けて中に入る。その本人はデスクの椅子に座り、書類から目を離して見据えていた。
「とりあえず、座れ」
「..........」
無言のままソファーに座れば、拓海さんもデスクの椅子から立ち上がり向かいのソファーに腰を下ろす。
「何で呼ばれたかわかってるよな?」
「......雑誌のことだろ?」
「わかってるのに何であんな事した?」
恐らく、俺の親父からも話がきている様子で拓海さんのいつもの怒りより増した口調なのだと察した。
「.....別に。知らない顔より、知ってる顔の方がいいだろ」
「そういう問題じゃない。名前はモデルじゃなく、素人だぞ?顔は隠せたとしても知られる恐れは十分あるのも、お前はよくわかってるだろ?」
「.............」
「現に司さんからも連絡があった。秘書がたまたま雑誌を見て、名前を調べさせたそうだ。一般人が一緒に写っているのはどうしてだ、と怒ってたぞ」
......また余計なことしやがってーーー....
眉を潜める拓海さんに対して俺はスッと立ち上がり、見下ろすように見据えるーーー。
「.......アンタも所詮、親父の言いなりなんだな。もしもアイツに何かあったら、俺がなんとかする。安心しろ」
「お前っ.....まさかーーー....おい!蓮!」
拓海さんの言葉を待たずに部屋から出てドアを閉め、舌打ちと共に深い溜息を吐くーーー。
「くそっ......!」
アイツ.....この時間に一人で何してんだ?
夜に、それに家着だろうか、ラフな格好で真剣に雑誌を見つめる姿を横目に何食わぬ顔でコンビニに入り、彼女の背後でそっと呟く。
「よく撮れてんな。それ」
「.........ほわっ!!」
ビクっと肩を震わせてから咄嗟の反応だろうか、さっと俺から数歩だけ離れた。すると軽くパニックになってるのか、名前を口に出そうするのを間一髪で止める。
「れ、れっーーー.....んぐっ!」
あっぶねー.....
よく通うコンビニとはいえ、一度も周囲にバレた事もなければ俺がここに通っている事も誰も知らない。
「名前、言ったらバレんだろっ」
必死に頷く名前を見てようやく手を口元から放してやると一度、肩で大きく息を吸い込みすぐに目を伏せる仕草をしたーーー。
「す、すみません.....」
「こんな夜に一人で何してんの?」
目を伏せる彼女の横に立ち、そう問いかければ恥ずかしそうに苦笑いを浮かべて答えた。
「あ....さっき千尋から電話をもらって、今日雑誌の発売日だって聞いて思わず急いで買いに来ちゃったんです....」
だからってハウスから結構距離あるぞ....?
本当に何も考えてねーんだな.....コイツ。
「お前、ホント鈍いな」
「え?」
目を見開き驚いた表情を見せ、俺は溜息交じりで顔を窺う彼女に目線を合わせ呟く。
「こんな夜遅くに女一人でいるバカがどこにいんだよ」
「で、でも、....そもそも蓮さんが何でここに?」
「仕事帰りにここに寄るんだよ。シェアハウスから近いだろ?」
「あー....そうですよね....」
そう言って手にしていた雑誌を棚に戻すのを見て思わず眉を潜め、その戻した雑誌を手に取る。
「買わねーのか?」
「いいです。見れただけで十分ですから」
俺が雑誌を手にするのを苦笑いしながら見つつ、名前が何も言わずに出入り口に足を進めると、俺も必要な物を買って同じくコンビニを出た。すると「なんで」という表情が似合いそうな顔をして俺を見る。
「コンビニ....寄るんじゃないんですか?」
「もう用は済んだ」
コンビニ袋を掲げて見せれば少し納得した表情を見せて、俺は構わずに名前の横に並び仕方なく同じ歩幅で歩き出す。チラリと見ればなぜか俯きながら頬を緩めて微笑む姿が目に入り、前を見据えて眉を潜めたが、なぜかこのとき悪い気は少しもしなかった。
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ハウスの中庭を通り中に入ろうとドアノブに手をかけた時、不意に名前が立ち止まり庭にあった大きな桜の木を見上げた。その木は俺がここに来た時からその中庭にあり、その当初花見などした記憶がふと過ぎるーーー。
「あれ.....桜の木?」
「あー....前からあったらしいよ。よく知らねーけど」
「へぇ.....」
スッとその桜の木に近づき、名前が原木に手を添えるーーー。その後姿がなぜか自分でもわからないくらいに見入ってしまう。
「.....山桜だ.....」
「見ただけでわかんのか?」
「はい。これでもフラワーコーディネーターの卵なので」
振り向いて少しだけ自慢げに笑顔を浮かべて話す彼女に俺は隣に歩み寄って同じく見上げてみる。
ーーーだったら....あの意味も理解したって事か.....
「ふーん。....お前、結構スゲーんだな」
「え?」
「なかなか見ただけでわかんねーよ。そこら辺に咲いてる花だって見ててわかんねーだろ?」
「まぁ、......そうですけど.....」
照れくさそうに話しながら添えていた手を放して、不意に俺の顔を控えめに覗き込む。
「なに?」
「いや、.....蓮さんがそこまで褒め倒すのはちょっと怖いなと.....」
「お前、俺のイメージ最悪じゃねーか?」
まぁ、実際のところ褒めねーし。
「でも、今日話してみて蓮さんは意外と優しい人だって事はわかりました」
「は?」
予想外の言葉に眉を潜めて目を合わせれば微笑む名前の姿に生暖かいものが心に刺す感覚に陥ったーーー。
「ーーーあ!いたいた。蓮、拓海が話があるって呼んでるわよ」
「!」
いきなり背後から志信の声が聞こえ、その内容にも心当たりがあって盛大な溜息を漏らす。そして何事もなかったかように何も言わずその場からハウスの中に足を進めた。横目に見たのは彼女の心配そうな表情で、俺は心の中でチッと舌打ちをしたのだった。
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拓海さんの部屋を数回ノックすると中から声が聞こえ、そのトーンで不機嫌なのだと察してドアを開けて中に入る。その本人はデスクの椅子に座り、書類から目を離して見据えていた。
「とりあえず、座れ」
「..........」
無言のままソファーに座れば、拓海さんもデスクの椅子から立ち上がり向かいのソファーに腰を下ろす。
「何で呼ばれたかわかってるよな?」
「......雑誌のことだろ?」
「わかってるのに何であんな事した?」
恐らく、俺の親父からも話がきている様子で拓海さんのいつもの怒りより増した口調なのだと察した。
「.....別に。知らない顔より、知ってる顔の方がいいだろ」
「そういう問題じゃない。名前はモデルじゃなく、素人だぞ?顔は隠せたとしても知られる恐れは十分あるのも、お前はよくわかってるだろ?」
「.............」
「現に司さんからも連絡があった。秘書がたまたま雑誌を見て、名前を調べさせたそうだ。一般人が一緒に写っているのはどうしてだ、と怒ってたぞ」
......また余計なことしやがってーーー....
眉を潜める拓海さんに対して俺はスッと立ち上がり、見下ろすように見据えるーーー。
「.......アンタも所詮、親父の言いなりなんだな。もしもアイツに何かあったら、俺がなんとかする。安心しろ」
「お前っ.....まさかーーー....おい!蓮!」
拓海さんの言葉を待たずに部屋から出てドアを閉め、舌打ちと共に深い溜息を吐くーーー。
「くそっ......!」