花の意味
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シェアハウスに戻ると、今まで気がつかなかったが屋敷の中庭に散ったあとの葉桜状態の大きな桜の木を見つけて、思わず足を止めた。
「あれ.....桜の木?」
「あー....前からあったらしいよ。よく知らねーけど」
「へぇ.....」
横に立つ連さんを横目に桜の木に近づき、大きな原木に手を当ててそっと見上げるーーー。
「......山桜だ......」
「見ただけでわかんのか?」
「はい。これでもフラワーコーディネーターの卵なので」
「ふーん。....お前、結構スゲーんだな」
「え?」
気がつけば私の横に並び、帽子と伊達メガネを取り同じく桜の木を見上げて目を合わせずに呟いた。
「なかなか見ただけでわかんねーよ。そこら辺に咲いてる花だって見ててわかんねーだろ?」
「まぁ、......そうですけど.....」
渋い表情を浮かべて原木から手を離して一歩引けば、蓮さんが眉を潜めて顔を覗き込む。
「なに?」
「いや、.....蓮さんがそこまで褒め倒すのはちょっと怖いなと.....」
「お前、俺のイメージ最悪じゃねーか?」
その言葉にクスリと微笑み返して蓮さんと目線を合わせてそのまま言葉を続けた。
「でも、今日話してみて蓮さんは意外と優しい人だって事はわかりました」
「は?」
「ーーーあ!いたいた。蓮、拓海が話があるって呼んでるわよ」
不意にハウスの入り口から志信さんの声が聞こえ、目を向けると隣に居た蓮さんが面倒そうに短く溜息をついて屋敷の中へと足を進める。
「あ.......」
「名前ちゃんは私たちと夕食よ。中に入りましょ」
声をかけようとしたが志信さんがそれより声をかけ、私は苦笑いで頷きつつも再び山桜を見上げる。すると志信さんは何かを察した様子で声をかけてきたーーー。
「......蓮のこと、心配?」
「あ、い、いえっ.....前から思ってたんですけど、タク兄と蓮さんってあまり仲が良くないんですか.....?」
「うーん、そうねぇ.....仲は悪いって訳じゃないんだけど、いろいろ大人の事情が混じっててね....」
「大人の、事情?」
志信さんが不意にスマホを取り出し操作して、あるニュースの記事画面を私に見せてくれる。
「椎名....司.....?」
「そう。椎名司....この人が蓮のお父様でGOP の代表。YNを拠点に活動する、いわばアパレル界の重鎮ね」
「え....蓮さんのお父さんもタク兄と一緒の業界の人なんですか!?」
「だからよ」
「?」
持っていたスマホをポケットに仕舞い込み、首を傾げる私に腕を組みながら志信さんは眉を下げた表情をみせた。
「拓海は蓮のお父様に頭が上がらないのよ。そもそも、蓮は元はといえばお父様の広告塔としてモデルをしていたの。蓮はお父様の言うとおりに従って何でもこなしたわ。でも....それに嫌気が差した蓮をここに引き入れたのが拓海ってワケ」
「じゃ....蓮さんは元々モデルは嫌、だったんですか?」
「それは本人にしかわからないけど、.....恐らくお父様の言う通りに動く自分が嫌だったんでしょうね....」
知らなかった.....
お父さんの事もそうだけどーーー....
少なからず、私には楽しそうにモデルの仕事してたようにしか見えなかった.....
ーーーじゃ、今は....?
蓮さんの話を聞いてどのくらい時間が経ったのだろうーーー。
以前、一緒に撮影をした日のことを思い出し、楽しそうにしていた蓮さんが脳裏に過ぎった時、ふとタク兄が複雑な表情で中庭に顔を出す。
「ここにいたか。名前、お前にも話がある」
「.....拓海、あまり怒らないであげて」
「怒らないよ。そもそも名前は何も悪い事はしてないだろ」
「ねぇ.....蓮さんと何話してたの?」
「だから、今からお前にも話す」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
屋敷に入ってタク兄の部屋にお邪魔すれば、デスクの上にパソコンと大量の書類が置かれ、近くのソファーに座らされタク兄も向かい側に腰を下ろす。するとテーブルの上にヴィンテの雑誌を開いて目の前に置いた。
「これはどういう事だ?」
「.....蓮さんから話、聞いたんだよね?」
「あぁ。撮影の時、女性のモデルが来られなくなって蓮がお前を連れて行ったて。顔は写ってないものの、あの時断れたろ?」
雑誌に目線を落としながら、何かイラついている様な表情を浮かべるタク兄に一気に申し訳ない気持ちが込み上げてくるのがわかるーーー。
「.....ごめん。なんか困ってたから断れなくて....」
私の答えに短い溜息をついて軽く頭を抱えるが、すぐに顔を上げて俯く私の頭に手を置いた。
「いや、悪い....謝る必要は無いよ。名前も断れなかったんだろ?でも雑誌に出るってことは、顔が出てなくても詮索されやすい。それに写真ってのは一生残るものだ....蓮もそれぐらいわかってるはずなんだがな.....」
そっと手を下ろして眉を下げて言うタク兄にチクチクと心が痛む感覚が襲うーーー。
そんなこと、全然考えてなかった.....
ただ困ってたから役に立ちたいって思ったけどーーー。
自分の安易な考えに頭の中を廻らせていれば、不意にすっと立ち上がりタク兄に少しだけ頭を下げる仕草をした。それを見たタク兄が一瞬だけ目を見開きすぐに目を細める。
「ーーーごめん、タク兄。私、全然そんな事考えてなくて.....最初はビックリはしたけど、蓮さんが困ってるから助けたいって思って....それにタク兄のブランドの服、着てたからいろいろ迷惑かかったのかなとか、後から気がついて。.....私、蓮さんにも謝らないとーーー....」
部屋を出て行こうとした時、ぐっと腕を掴まれ思わず振り返ればタク兄と目が合い動きを止めた。
「タ、タク兄っーーー....」
「お前は悪くないと言ってるだろ。蓮の勝手な行動だ」
「....ううん、違うよ。蓮さんだけじゃない....私も勝手な行動をした。だから、私も同じだよ」
「名前......」
スッとタク兄が掴む腕を解いて、眉を下げたまま顔も見ずに部屋から足早に廊下に出る。そして廊下に出てから深い溜息を漏らして、蓮さんがいる部屋へと向かったーーー。
「あれ.....桜の木?」
「あー....前からあったらしいよ。よく知らねーけど」
「へぇ.....」
横に立つ連さんを横目に桜の木に近づき、大きな原木に手を当ててそっと見上げるーーー。
「......山桜だ......」
「見ただけでわかんのか?」
「はい。これでもフラワーコーディネーターの卵なので」
「ふーん。....お前、結構スゲーんだな」
「え?」
気がつけば私の横に並び、帽子と伊達メガネを取り同じく桜の木を見上げて目を合わせずに呟いた。
「なかなか見ただけでわかんねーよ。そこら辺に咲いてる花だって見ててわかんねーだろ?」
「まぁ、......そうですけど.....」
渋い表情を浮かべて原木から手を離して一歩引けば、蓮さんが眉を潜めて顔を覗き込む。
「なに?」
「いや、.....蓮さんがそこまで褒め倒すのはちょっと怖いなと.....」
「お前、俺のイメージ最悪じゃねーか?」
その言葉にクスリと微笑み返して蓮さんと目線を合わせてそのまま言葉を続けた。
「でも、今日話してみて蓮さんは意外と優しい人だって事はわかりました」
「は?」
「ーーーあ!いたいた。蓮、拓海が話があるって呼んでるわよ」
不意にハウスの入り口から志信さんの声が聞こえ、目を向けると隣に居た蓮さんが面倒そうに短く溜息をついて屋敷の中へと足を進める。
「あ.......」
「名前ちゃんは私たちと夕食よ。中に入りましょ」
声をかけようとしたが志信さんがそれより声をかけ、私は苦笑いで頷きつつも再び山桜を見上げる。すると志信さんは何かを察した様子で声をかけてきたーーー。
「......蓮のこと、心配?」
「あ、い、いえっ.....前から思ってたんですけど、タク兄と蓮さんってあまり仲が良くないんですか.....?」
「うーん、そうねぇ.....仲は悪いって訳じゃないんだけど、いろいろ大人の事情が混じっててね....」
「大人の、事情?」
志信さんが不意にスマホを取り出し操作して、あるニュースの記事画面を私に見せてくれる。
「椎名....司.....?」
「そう。椎名司....この人が蓮のお父様で
「え....蓮さんのお父さんもタク兄と一緒の業界の人なんですか!?」
「だからよ」
「?」
持っていたスマホをポケットに仕舞い込み、首を傾げる私に腕を組みながら志信さんは眉を下げた表情をみせた。
「拓海は蓮のお父様に頭が上がらないのよ。そもそも、蓮は元はといえばお父様の広告塔としてモデルをしていたの。蓮はお父様の言うとおりに従って何でもこなしたわ。でも....それに嫌気が差した蓮をここに引き入れたのが拓海ってワケ」
「じゃ....蓮さんは元々モデルは嫌、だったんですか?」
「それは本人にしかわからないけど、.....恐らくお父様の言う通りに動く自分が嫌だったんでしょうね....」
知らなかった.....
お父さんの事もそうだけどーーー....
少なからず、私には楽しそうにモデルの仕事してたようにしか見えなかった.....
ーーーじゃ、今は....?
蓮さんの話を聞いてどのくらい時間が経ったのだろうーーー。
以前、一緒に撮影をした日のことを思い出し、楽しそうにしていた蓮さんが脳裏に過ぎった時、ふとタク兄が複雑な表情で中庭に顔を出す。
「ここにいたか。名前、お前にも話がある」
「.....拓海、あまり怒らないであげて」
「怒らないよ。そもそも名前は何も悪い事はしてないだろ」
「ねぇ.....蓮さんと何話してたの?」
「だから、今からお前にも話す」
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屋敷に入ってタク兄の部屋にお邪魔すれば、デスクの上にパソコンと大量の書類が置かれ、近くのソファーに座らされタク兄も向かい側に腰を下ろす。するとテーブルの上にヴィンテの雑誌を開いて目の前に置いた。
「これはどういう事だ?」
「.....蓮さんから話、聞いたんだよね?」
「あぁ。撮影の時、女性のモデルが来られなくなって蓮がお前を連れて行ったて。顔は写ってないものの、あの時断れたろ?」
雑誌に目線を落としながら、何かイラついている様な表情を浮かべるタク兄に一気に申し訳ない気持ちが込み上げてくるのがわかるーーー。
「.....ごめん。なんか困ってたから断れなくて....」
私の答えに短い溜息をついて軽く頭を抱えるが、すぐに顔を上げて俯く私の頭に手を置いた。
「いや、悪い....謝る必要は無いよ。名前も断れなかったんだろ?でも雑誌に出るってことは、顔が出てなくても詮索されやすい。それに写真ってのは一生残るものだ....蓮もそれぐらいわかってるはずなんだがな.....」
そっと手を下ろして眉を下げて言うタク兄にチクチクと心が痛む感覚が襲うーーー。
そんなこと、全然考えてなかった.....
ただ困ってたから役に立ちたいって思ったけどーーー。
自分の安易な考えに頭の中を廻らせていれば、不意にすっと立ち上がりタク兄に少しだけ頭を下げる仕草をした。それを見たタク兄が一瞬だけ目を見開きすぐに目を細める。
「ーーーごめん、タク兄。私、全然そんな事考えてなくて.....最初はビックリはしたけど、蓮さんが困ってるから助けたいって思って....それにタク兄のブランドの服、着てたからいろいろ迷惑かかったのかなとか、後から気がついて。.....私、蓮さんにも謝らないとーーー....」
部屋を出て行こうとした時、ぐっと腕を掴まれ思わず振り返ればタク兄と目が合い動きを止めた。
「タ、タク兄っーーー....」
「お前は悪くないと言ってるだろ。蓮の勝手な行動だ」
「....ううん、違うよ。蓮さんだけじゃない....私も勝手な行動をした。だから、私も同じだよ」
「名前......」
スッとタク兄が掴む腕を解いて、眉を下げたまま顔も見ずに部屋から足早に廊下に出る。そして廊下に出てから深い溜息を漏らして、蓮さんがいる部屋へと向かったーーー。