花の意味
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翌日、大学が休みにも関わらず、レポートに追われて自室でパソコンと睨めっこを始めていた。
「はぁ~.....」
一息ついて飲み物が欲しくなり一階のリビングへ向かうが、みんな仕事らしく誰もおらず。
みんな居ないと静かだな....。
少し淋しさを感じつつもマグカップにコーヒーを注いで口をつけるーーー。
ピンポーン
「んっ!.....はーい」
不意に玄関からインターホンが鳴り、マグカップを置いて向かいドアを開ければ宅配業者が細長い箱を手にして立っていた。
「お届け物です。名字名前さんのお宅でよろしかったですか?」
「あ、はい....」
箱を受け取り、すぐに差出人を確認するが何も書かれておらず。サインをして立ち去るのを見送れば、その場に少しの間留まった。
「何......誰から.....?」
とりあえず部屋に戻り、パソコンとレポート類を片付けて箱をテーブルに置く。そして固唾を呑んでゆっくり箱を開ければ、ヒナゲシの香りと共に透明の液体の中に入ったヒナゲシのハーバリウムを取り出して窓に当ててみる。
「わ.....綺麗.....これってヒナゲシ、だよね?確か花言葉はーーー....」
"いたわり"、"思いやり"、"陽気で優しい"、"想像力".....
ーーーそして....."恋の予感".....
「.....恋......」
落ち込んでる私に、タク兄が.......?
数秒だけハーバリウムを見つめてすぐに立ち上がり、サイドテーブルに置いて考え込むが眉を潜めた。
「いや........まさか、ね.......」
ガチャリ....
玄関の開く音が響き、一階へ足を伸ばして覗いてみれば夕方前にタク兄が疲れきった様子でネクタイを緩めながら入って来るーーー。
「お帰りなさい。今日は早いね」
「おう、ただいま。今日は珍しく早く終わった」
「そっか。お疲れ様です」
「ありがとう」
リビングに移動して二人分のお茶を淹れ、ダイニングテーブルに置くとタク兄の向かいに腰を下ろす。そしてタク兄が一口お茶を飲むと軽く溜息を漏らした。
「大学、休みだろ?勉強は進んだか?」
「うーん....まぁまぁかな」
「そうか.....それより、お前何か花の香りしてないか?」
「ん?」
タク兄の指摘で自分の服の香りを嗅ぐとほのかだがヒナゲシの香りが鼻につき、眉を下げて苦笑いでタク兄を見据えた。
「あ.....これね、さっき宅配便でヒナゲシのハーバリウムが送られて来て。宛名は無かったんだけど、あれってタク兄が送ってくれた物でしょ?」
「ヒナゲシのハーバリウム?.....俺、送ってないけど?」
「え?」
どちらともなくキョトンと目を丸くしてしばらくの間、沈黙が数秒いて自分も状況を頭の中で理解をして半信半疑で口を開く。
「......じゃあ、誰が送ったんだろ.....」
「何か心当たりはないのか?」
もし、花言葉のこと言ったら.....
自分が恥ずかしいよっ.....!
「う、ううん。何も.....」
「そうか....じゃ、早めに処分した方がいい。誰が送ったかわからない物は少し気持ち悪いだろ」
「.....そう、だよね」
結局、気になっていたことを口に出せないままタク兄と別れ、自分の部屋に戻りドアに背を向けて溜息を漏らすーーー。外はいつの間にか暗くなり始めていた。
「......私の、考えすぎ.....?」
確かに気持ち悪いって思うけどーーー....
プルルル.....
不意にテーブルに置いていたスマホが鳴り、肩を跳ね上がらせつつも手に取り表示された名前を見れば千尋からの着信だった。
「もしもし?」
『あ、名前?今、大丈夫?』
「うん。大丈夫だよ。どうしたの?」
『どうしたのじゃないよ!今日、発売されたヴィンテでこの間の公園で撮影されたヤツが載ってんの!』
「え!?.....発売日、今日なの?」
『あの後、置いてきぼりにされてーーー....』
「ごめん、千尋!買いに行かなきゃ....!話はまた明日ね!」
『え、ちょっ.....!』
千尋の声を聞く間も無くスマホを切ってポケットに仕舞い込み、すぐさまシェアハウスを出て近くのコンビにへと駆け込む。息を整えながら陳列された目的の雑誌を手に取りそのページを開いた。
「.....あった......」
自分の顔は見事に隠れていて一瞬だけ安堵するが、カメラの力は凄いもので思わずそのページに見入ってしまう。
ーーーすごい......別人みたい.....
「よく撮れてんな。それ」
「........ほわっ!!」
突然、耳元から声が近くで聞こえ肩が跳ね上がり横目で窺うと至近距離に蓮さんの横顔があり、思わず身をすばやく引く。
「れ、れっーーー.....んぐっ!」
「名前、言ったらバレんだろっ」
よくよく見れば伊達メガネにキャップを被り眉を寄せた蓮さんと目が合い、必死で頷くとやっと口を塞いでいた手から解放されて大きく息を吸い込んだ。
「す、すみません.....」
「こんな夜に一人で何してんの?」
思わず目を伏せて雑誌を棚に戻せば連さんが私の横に立ち、前を見ながら問いかけて苦笑いしながら答える。
「あ....さっき千尋から電話をもらって、今日雑誌の発売日だって聞いて思わず急いで買いに来ちゃったんです....」
「お前、ホント鈍いな」
「え?」
咄嗟に顔を上げて蓮さんの横顔を見れば、チラリと私を横目で見据えて目が合うーーー。
「こんな夜遅くに女一人でいるバカがどこにいんだよ」
「で、でも、....そもそも蓮さんが何でここに?」
「仕事帰りにここに寄るんだよ。シェアハウスから近いだろ?」
「あー....そうですよね....」
「買わなねーのか?」
「いいです。見れただけで十分ですから」
そう言ってコンビニの出入り口へと足を進めようとした時、蓮さんも同じように歩き出して一緒に出る形になるがそのまま歩きながら問いかけた。
「コンビニ....寄るんじゃないんですか?」
「もう用は済んだ」
持っていたビニール袋を掲げて私に見せれば、すぐに下ろして前を向く。先に行ってしまうのかと思ったが、心なしか同じ歩幅で歩いてくれているのだと気づいて密かに頬を緩めるーーー。
口は悪いけど、本当は優しい人じゃん.....
「あ、あの。蓮さんにまだお礼、言ってなくて....ありがとうございます」
「は?」
キョトンとした表情で眼鏡越しに見据え、私は少し慌ててつつ言葉を続ける。
「い、いやっ.....この間、出て行った時に迎えに来てくれたのでーーー....」
「あー....そのことね。別に礼言われることしてねーけど」
「あの....お礼を言ってるのに素直に受け取れないんですか.....?」
「あれは拓海さんに言われたから行っただけでーーー....」
「タク兄たちから聞きました。雫さんと志信さんがいろいろ言ってくれたって....」
苦笑いをしながら控えめに言えば、蓮さんが苦虫を噛み潰したような表情を浮かべて顔をそらした。
「......ありがとうございます」
「.........」
改めて微笑んで言えば、蓮さんが目を合わせることはなくそのままの表情でいてもなぜか嫌な気分にはならなかったーーー。
「はぁ~.....」
一息ついて飲み物が欲しくなり一階のリビングへ向かうが、みんな仕事らしく誰もおらず。
みんな居ないと静かだな....。
少し淋しさを感じつつもマグカップにコーヒーを注いで口をつけるーーー。
ピンポーン
「んっ!.....はーい」
不意に玄関からインターホンが鳴り、マグカップを置いて向かいドアを開ければ宅配業者が細長い箱を手にして立っていた。
「お届け物です。名字名前さんのお宅でよろしかったですか?」
「あ、はい....」
箱を受け取り、すぐに差出人を確認するが何も書かれておらず。サインをして立ち去るのを見送れば、その場に少しの間留まった。
「何......誰から.....?」
とりあえず部屋に戻り、パソコンとレポート類を片付けて箱をテーブルに置く。そして固唾を呑んでゆっくり箱を開ければ、ヒナゲシの香りと共に透明の液体の中に入ったヒナゲシのハーバリウムを取り出して窓に当ててみる。
「わ.....綺麗.....これってヒナゲシ、だよね?確か花言葉はーーー....」
"いたわり"、"思いやり"、"陽気で優しい"、"想像力".....
ーーーそして....."恋の予感".....
「.....恋......」
落ち込んでる私に、タク兄が.......?
数秒だけハーバリウムを見つめてすぐに立ち上がり、サイドテーブルに置いて考え込むが眉を潜めた。
「いや........まさか、ね.......」
ガチャリ....
玄関の開く音が響き、一階へ足を伸ばして覗いてみれば夕方前にタク兄が疲れきった様子でネクタイを緩めながら入って来るーーー。
「お帰りなさい。今日は早いね」
「おう、ただいま。今日は珍しく早く終わった」
「そっか。お疲れ様です」
「ありがとう」
リビングに移動して二人分のお茶を淹れ、ダイニングテーブルに置くとタク兄の向かいに腰を下ろす。そしてタク兄が一口お茶を飲むと軽く溜息を漏らした。
「大学、休みだろ?勉強は進んだか?」
「うーん....まぁまぁかな」
「そうか.....それより、お前何か花の香りしてないか?」
「ん?」
タク兄の指摘で自分の服の香りを嗅ぐとほのかだがヒナゲシの香りが鼻につき、眉を下げて苦笑いでタク兄を見据えた。
「あ.....これね、さっき宅配便でヒナゲシのハーバリウムが送られて来て。宛名は無かったんだけど、あれってタク兄が送ってくれた物でしょ?」
「ヒナゲシのハーバリウム?.....俺、送ってないけど?」
「え?」
どちらともなくキョトンと目を丸くしてしばらくの間、沈黙が数秒いて自分も状況を頭の中で理解をして半信半疑で口を開く。
「......じゃあ、誰が送ったんだろ.....」
「何か心当たりはないのか?」
もし、花言葉のこと言ったら.....
自分が恥ずかしいよっ.....!
「う、ううん。何も.....」
「そうか....じゃ、早めに処分した方がいい。誰が送ったかわからない物は少し気持ち悪いだろ」
「.....そう、だよね」
結局、気になっていたことを口に出せないままタク兄と別れ、自分の部屋に戻りドアに背を向けて溜息を漏らすーーー。外はいつの間にか暗くなり始めていた。
「......私の、考えすぎ.....?」
確かに気持ち悪いって思うけどーーー....
プルルル.....
不意にテーブルに置いていたスマホが鳴り、肩を跳ね上がらせつつも手に取り表示された名前を見れば千尋からの着信だった。
「もしもし?」
『あ、名前?今、大丈夫?』
「うん。大丈夫だよ。どうしたの?」
『どうしたのじゃないよ!今日、発売されたヴィンテでこの間の公園で撮影されたヤツが載ってんの!』
「え!?.....発売日、今日なの?」
『あの後、置いてきぼりにされてーーー....』
「ごめん、千尋!買いに行かなきゃ....!話はまた明日ね!」
『え、ちょっ.....!』
千尋の声を聞く間も無くスマホを切ってポケットに仕舞い込み、すぐさまシェアハウスを出て近くのコンビにへと駆け込む。息を整えながら陳列された目的の雑誌を手に取りそのページを開いた。
「.....あった......」
自分の顔は見事に隠れていて一瞬だけ安堵するが、カメラの力は凄いもので思わずそのページに見入ってしまう。
ーーーすごい......別人みたい.....
「よく撮れてんな。それ」
「........ほわっ!!」
突然、耳元から声が近くで聞こえ肩が跳ね上がり横目で窺うと至近距離に蓮さんの横顔があり、思わず身をすばやく引く。
「れ、れっーーー.....んぐっ!」
「名前、言ったらバレんだろっ」
よくよく見れば伊達メガネにキャップを被り眉を寄せた蓮さんと目が合い、必死で頷くとやっと口を塞いでいた手から解放されて大きく息を吸い込んだ。
「す、すみません.....」
「こんな夜に一人で何してんの?」
思わず目を伏せて雑誌を棚に戻せば連さんが私の横に立ち、前を見ながら問いかけて苦笑いしながら答える。
「あ....さっき千尋から電話をもらって、今日雑誌の発売日だって聞いて思わず急いで買いに来ちゃったんです....」
「お前、ホント鈍いな」
「え?」
咄嗟に顔を上げて蓮さんの横顔を見れば、チラリと私を横目で見据えて目が合うーーー。
「こんな夜遅くに女一人でいるバカがどこにいんだよ」
「で、でも、....そもそも蓮さんが何でここに?」
「仕事帰りにここに寄るんだよ。シェアハウスから近いだろ?」
「あー....そうですよね....」
「買わなねーのか?」
「いいです。見れただけで十分ですから」
そう言ってコンビニの出入り口へと足を進めようとした時、蓮さんも同じように歩き出して一緒に出る形になるがそのまま歩きながら問いかけた。
「コンビニ....寄るんじゃないんですか?」
「もう用は済んだ」
持っていたビニール袋を掲げて私に見せれば、すぐに下ろして前を向く。先に行ってしまうのかと思ったが、心なしか同じ歩幅で歩いてくれているのだと気づいて密かに頬を緩めるーーー。
口は悪いけど、本当は優しい人じゃん.....
「あ、あの。蓮さんにまだお礼、言ってなくて....ありがとうございます」
「は?」
キョトンとした表情で眼鏡越しに見据え、私は少し慌ててつつ言葉を続ける。
「い、いやっ.....この間、出て行った時に迎えに来てくれたのでーーー....」
「あー....そのことね。別に礼言われることしてねーけど」
「あの....お礼を言ってるのに素直に受け取れないんですか.....?」
「あれは拓海さんに言われたから行っただけでーーー....」
「タク兄たちから聞きました。雫さんと志信さんがいろいろ言ってくれたって....」
苦笑いをしながら控えめに言えば、蓮さんが苦虫を噛み潰したような表情を浮かべて顔をそらした。
「......ありがとうございます」
「.........」
改めて微笑んで言えば、蓮さんが目を合わせることはなくそのままの表情でいてもなぜか嫌な気分にはならなかったーーー。