最悪という言葉が似合う日
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噴水のある公園の端に設置された簡易テントまで、半ば強引に引かれてついていけば、ガチガチの私をカメラマンらしき男性が品定めするように爪先から頭の上まで舐め回すように覗かせる。
「その洋服....APL の春物の新作だよね?案外いいセンスしてるよ、君。顔も可愛いし。さすが蓮の友達だ。名前は?」
「名字名前。友達じゃないっすよ。ただの知り合いです」
「名前ちゃんね。知り合いでも何でもいいよ。早速、撮っちゃおうか」
あれよあれよと話が進み、話に割ってはいる事も出来ずにヘアメイクをさせられ思わず唖然とするーーー。
「テーマはデート。蓮と一緒にデートしてる風景を撮りたい」
「......デート.......」
「あんた、まさかデートしたことーーー....」
「デートくらいありますっ!!」
咄嗟に食い気味に答えれば、蓮さんがプッと噴出して笑いを堪えると目を細め、鏡越しに蓮さんを軽く睨みつけるがお構いなしに笑いを堪えていた。
ホンっっっト失礼なんだけど!
「あ、目ちゃんと開けててね」
「は、はいっ。すみません....」
苦笑いのメイクさんに少し恥ずかしくなり、そのまま黙ってなすがままに施され鏡の中の自分に言葉も出ないーーー。
「素材がいいからすごく可愛くなりましたよ」
「.....そんなーーー.....」
「照れてないでさっさと行くぞ」
「なっ.....照れてませんから!」
差し出された手を握ることなく、膨れっ面のままで立ち上がれば蓮さんが薄く笑い歩き出す。その後ろを黙ってついて行くと噴水の前で足を止め、再び手を差し出す。
「ほら。デートなら、手繋ぐもんだろ」
「"偽の"、ですけどね!」
最初の言葉を強調しつつも手を重ねれば、またも蓮さんがクスリと笑い目の前のカメラに目を向ける。その表情は柔らかく微笑み、さすがと思うほど見入ってしまうものだったーーー。
すごい.....
一瞬にして"モデル"の顔になった。
さすがプローーー....
「おい。間抜けな顔してないで笑顔作れ」
「む、無茶なこと言わないでくださいっ....急に笑顔作れって言われても....」
「簡単なことだろ。自分で面白いと思ったこと思い浮かべれば」
「面白いこと.....」
チラリと蓮さんが私の顔を覗き込んで見つめれば、頭の中でふとあることが思い出される。それは幼い頃に、一緒に砂場で遊んでいた時にタク兄と私が互いに泥だらけになった姿を思い出し、思わず頬を緩める。
カシャッ!
不意にシャッター音が響き、はっと現実に戻されれば蓮さんが前を見据えながら満足そうに笑みを浮かべてポツリと呟く。
「なんだ。ちゃんと笑えんじゃねーか」
「......昔、タク兄と遊んでた頃のこと思い出したんです」
「...........」
ニコッと微笑んで蓮さんを見れば蓮さんが一瞬だけ眉を潜め言い終えるのと同時に、握っていた手に力が入るのがわかる。すると噴水の縁に座り、そのまま私の腕を引いて隣に座らせると隣から身体を被せて耳元に唇を寄せた。
「なっ.......」
カシャッ!
目を見開きたじろぐ隙がないうちにシャッター音が響き、蓮さんが周りに聞こえない程の声で呟いた。
「ーーーアンタって、いっつも拓海さんばっかだな。もしかて好きなのか?」
「え.......」
蓮さんの顔が隠れた形でカメラに収まり、私はその蓮さんの横顔に少しだけ違和感を覚えて咄嗟に身体を押して引き離す。
「なっ......れ、蓮さんには関係ありません.....!」
「............」
顔を見ればふーんと言った表情を浮かべて見つめ、キッと軽く睨み返せばカメラマンが離れた距離から声をかけた。
「いいのが撮れたよ。さすが蓮だねー。リードが上手い」
「ありがとうございます」
「名前ちゃんもお疲れさま」
「......い、いえ。こちらこそ」
カメラマンが満足そうにスタッフと共にその場を去ると顔を合わせずに蓮さんに頭を下げるーーー。
「......お役に立てて良かったです。じゃ、私は帰ります」
「...........」
頭を上げて振り返り、背中を見せて立ち去るが蓮さんは何も言わず背中を見送るばかりだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「ーーー....!...名前!」
「ほわっ......は、はい!!」
ガタッ!
タク兄の声でダイニングの椅子から慌てて立ち上がれば、心配そうに見つめるタク兄と雫さんたちが見つめていた。
「醤油、かけ過ぎだ」
「あ.....ご、ごめん」
持っていた醤油を真ん中のスペースに戻し、恥ずかしさですぐに椅子に腰を下ろす。すると隣に座る雫さんが心配そうに顔を覗かせ呟く。
「大丈夫?どこか体調でも悪いの?」
「い、いえ....大丈夫です。今日いろいろ大変だったので」
「大学に行って、あの重いテキスト運んだんだろ?今日は早く休め」
「うん....ありがとう。ごちそうさま」
そう言って晩ご飯を半分だけ残した状態で、空になった食器を持ってキッチンへと足を進めた。
「はぁ..........」
「何かあったのか?」
「!」
溜息を漏らした瞬間、背後からタク兄の声が聞こえて慌てて振り返るーーー。その表情は胸がぎゅっとなるくらいの心配した表情だ。
ううん。好きなわけない....
タク兄は"お兄ちゃん"みたいな存在なんだから....。
「......ううん。何も!じゃ、先に休むーーー....」
呟きながらタク兄の横をすり抜けようとした時、私の腕を咄嗟に掴んで足を止めさせると振り返る。
「......蓮のことか?」
「なんで?」
「朝も気にしてただろ?そわそわしてたし」
そう呟きながら私を壁に追い込み、タク兄が壁に手をついて私を閉じ込める。昔から私が隠すこどにタク兄がそういう行動をとって口を割らせるのがいつものことだった。
「確かに、お礼まだ言ってなかったし、朝会えたらお礼言いたいと思ってたけど....。全然、関係ないよ」
「..........」
タク兄の目をはっきりと見つめ返して言うが、本人は納得していない様子で眉を潜めて何も答えないーーー。
「ーーーねぇ、そこにいると邪魔なんだけど」
「「!」」
不意にキッチンの入り口から聞き覚えのある声が聞こえ、タク兄と一緒に見てみれば呆れた様子と交じり、眉を潜めて肩を壁に寄りかかる蓮さんの姿が。タク兄が静かに私から離れると、冷蔵庫から水のペットボトルを取り出して口に含む。
「.......蓮か。おかえり」
「あんまり人前でイチャイチャしない方がいいんじゃねーの」
「いっ、イチャイチャなんてしてません.....!」
「勘違いするな。ただ相談に乗ってただけだよ」
「.....ふーん。相談ね.....」
目を細めながら言う蓮さんに居た堪れなくなった私は、何も言わずにその場から立ち去り自室へと足を向けた。
「ーーー蓮、お前なんでそんなに名前に突っかかる?」
「別に。そんなつもりねーけど。拓海さんも、.....アイツが勘違いするようなこと、しない方がいいんじゃねーの?」
二人がそんな事を話しているとも知らずにーーー。
「その洋服....
「名字名前。友達じゃないっすよ。ただの知り合いです」
「名前ちゃんね。知り合いでも何でもいいよ。早速、撮っちゃおうか」
あれよあれよと話が進み、話に割ってはいる事も出来ずにヘアメイクをさせられ思わず唖然とするーーー。
「テーマはデート。蓮と一緒にデートしてる風景を撮りたい」
「......デート.......」
「あんた、まさかデートしたことーーー....」
「デートくらいありますっ!!」
咄嗟に食い気味に答えれば、蓮さんがプッと噴出して笑いを堪えると目を細め、鏡越しに蓮さんを軽く睨みつけるがお構いなしに笑いを堪えていた。
ホンっっっト失礼なんだけど!
「あ、目ちゃんと開けててね」
「は、はいっ。すみません....」
苦笑いのメイクさんに少し恥ずかしくなり、そのまま黙ってなすがままに施され鏡の中の自分に言葉も出ないーーー。
「素材がいいからすごく可愛くなりましたよ」
「.....そんなーーー.....」
「照れてないでさっさと行くぞ」
「なっ.....照れてませんから!」
差し出された手を握ることなく、膨れっ面のままで立ち上がれば蓮さんが薄く笑い歩き出す。その後ろを黙ってついて行くと噴水の前で足を止め、再び手を差し出す。
「ほら。デートなら、手繋ぐもんだろ」
「"偽の"、ですけどね!」
最初の言葉を強調しつつも手を重ねれば、またも蓮さんがクスリと笑い目の前のカメラに目を向ける。その表情は柔らかく微笑み、さすがと思うほど見入ってしまうものだったーーー。
すごい.....
一瞬にして"モデル"の顔になった。
さすがプローーー....
「おい。間抜けな顔してないで笑顔作れ」
「む、無茶なこと言わないでくださいっ....急に笑顔作れって言われても....」
「簡単なことだろ。自分で面白いと思ったこと思い浮かべれば」
「面白いこと.....」
チラリと蓮さんが私の顔を覗き込んで見つめれば、頭の中でふとあることが思い出される。それは幼い頃に、一緒に砂場で遊んでいた時にタク兄と私が互いに泥だらけになった姿を思い出し、思わず頬を緩める。
カシャッ!
不意にシャッター音が響き、はっと現実に戻されれば蓮さんが前を見据えながら満足そうに笑みを浮かべてポツリと呟く。
「なんだ。ちゃんと笑えんじゃねーか」
「......昔、タク兄と遊んでた頃のこと思い出したんです」
「...........」
ニコッと微笑んで蓮さんを見れば蓮さんが一瞬だけ眉を潜め言い終えるのと同時に、握っていた手に力が入るのがわかる。すると噴水の縁に座り、そのまま私の腕を引いて隣に座らせると隣から身体を被せて耳元に唇を寄せた。
「なっ.......」
カシャッ!
目を見開きたじろぐ隙がないうちにシャッター音が響き、蓮さんが周りに聞こえない程の声で呟いた。
「ーーーアンタって、いっつも拓海さんばっかだな。もしかて好きなのか?」
「え.......」
蓮さんの顔が隠れた形でカメラに収まり、私はその蓮さんの横顔に少しだけ違和感を覚えて咄嗟に身体を押して引き離す。
「なっ......れ、蓮さんには関係ありません.....!」
「............」
顔を見ればふーんと言った表情を浮かべて見つめ、キッと軽く睨み返せばカメラマンが離れた距離から声をかけた。
「いいのが撮れたよ。さすが蓮だねー。リードが上手い」
「ありがとうございます」
「名前ちゃんもお疲れさま」
「......い、いえ。こちらこそ」
カメラマンが満足そうにスタッフと共にその場を去ると顔を合わせずに蓮さんに頭を下げるーーー。
「......お役に立てて良かったです。じゃ、私は帰ります」
「...........」
頭を上げて振り返り、背中を見せて立ち去るが蓮さんは何も言わず背中を見送るばかりだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「ーーー....!...名前!」
「ほわっ......は、はい!!」
ガタッ!
タク兄の声でダイニングの椅子から慌てて立ち上がれば、心配そうに見つめるタク兄と雫さんたちが見つめていた。
「醤油、かけ過ぎだ」
「あ.....ご、ごめん」
持っていた醤油を真ん中のスペースに戻し、恥ずかしさですぐに椅子に腰を下ろす。すると隣に座る雫さんが心配そうに顔を覗かせ呟く。
「大丈夫?どこか体調でも悪いの?」
「い、いえ....大丈夫です。今日いろいろ大変だったので」
「大学に行って、あの重いテキスト運んだんだろ?今日は早く休め」
「うん....ありがとう。ごちそうさま」
そう言って晩ご飯を半分だけ残した状態で、空になった食器を持ってキッチンへと足を進めた。
「はぁ..........」
「何かあったのか?」
「!」
溜息を漏らした瞬間、背後からタク兄の声が聞こえて慌てて振り返るーーー。その表情は胸がぎゅっとなるくらいの心配した表情だ。
ううん。好きなわけない....
タク兄は"お兄ちゃん"みたいな存在なんだから....。
「......ううん。何も!じゃ、先に休むーーー....」
呟きながらタク兄の横をすり抜けようとした時、私の腕を咄嗟に掴んで足を止めさせると振り返る。
「......蓮のことか?」
「なんで?」
「朝も気にしてただろ?そわそわしてたし」
そう呟きながら私を壁に追い込み、タク兄が壁に手をついて私を閉じ込める。昔から私が隠すこどにタク兄がそういう行動をとって口を割らせるのがいつものことだった。
「確かに、お礼まだ言ってなかったし、朝会えたらお礼言いたいと思ってたけど....。全然、関係ないよ」
「..........」
タク兄の目をはっきりと見つめ返して言うが、本人は納得していない様子で眉を潜めて何も答えないーーー。
「ーーーねぇ、そこにいると邪魔なんだけど」
「「!」」
不意にキッチンの入り口から聞き覚えのある声が聞こえ、タク兄と一緒に見てみれば呆れた様子と交じり、眉を潜めて肩を壁に寄りかかる蓮さんの姿が。タク兄が静かに私から離れると、冷蔵庫から水のペットボトルを取り出して口に含む。
「.......蓮か。おかえり」
「あんまり人前でイチャイチャしない方がいいんじゃねーの」
「いっ、イチャイチャなんてしてません.....!」
「勘違いするな。ただ相談に乗ってただけだよ」
「.....ふーん。相談ね.....」
目を細めながら言う蓮さんに居た堪れなくなった私は、何も言わずにその場から立ち去り自室へと足を向けた。
「ーーー蓮、お前なんでそんなに名前に突っかかる?」
「別に。そんなつもりねーけど。拓海さんも、.....アイツが勘違いするようなこと、しない方がいいんじゃねーの?」
二人がそんな事を話しているとも知らずにーーー。