役人のお仕事
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気がつけば、日が暮れてオレンジ色が名前を照らす。手分けして探しているが手帳はどこにも見当たらずーーー。
深い溜息を漏らして桟橋の手摺に体重をかけて背中を預け、ガクリとうな垂れた。
「はぁ~....どこいったんだろ。マズイよ....」
本当にマズイーーー...
元の時代に戻るまで見つからなかったら....
報告書だけじゃ済まされないっ....!
切れた紐を懐から出して眺めると、ふと横から目線を感じてその方向に目を向ければ煙草を咥えた土方の姿があり、思わず身体を桟橋から離す。
「アンタの探し物はコレだよな?」
「.........」
スッと紐の切れた手帳を名前に見せ、意味ありげに視線を送る。その態度に眉を潜めて無言のままでいた。
「少しばかり話し、聞かせてもらおうか?」
「.....お話する事は何もありません。返してもらえますか?」
「返してもいいが、アンタの態度次第で最悪、しょっ引かなきゃならなくなる。どちらか一つだ」
「江戸の警察は意外と横暴なんですね」
そう言う名前を横目に土方が煙草を地面に捨てて火を消し去ると、一歩前に出て手首を掴もうとするーーー。
「ーーー善良な人を無理にしょっ引くたァ、警察の風上にもおけねぇなァ」
「!」
名前の手首を掴もうとした土方の腕を、いつの間にか銀時がそれを掴み目を細めて目線を向けていた。その様子に土方が一瞬だけ目を見開くが、すぐに渋い表情に戻り腕を振り払う。
「万事屋っ.....テメーには関係ねぇだろ」
「てめぇの言うとおり関係ねぇが、素直に落しモン返すのが筋ってもんじゃねぇのか?」
「..........」
チッと舌打ちをした後、土方が手帳を差し出し名前はそれを躊躇 しつつも受け取った。
「....ありがとうございます」
「用が済んだら帰るぞ。アイツらがギャーギャーうるせぇんだ」
受け取ったのを見届けて銀時が来た道へと歩き出そうとした時、名前が着物の袖をそっと掴み銀時が立ち止まり振り返った。
「待って」
「あ?」
「.....話すよ。私のことーーー...」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて入る万事屋はいたって普通の和室に、その和室には似つかわしくないテーブルとソファがありそこに案内される。すると先に帰って来ていた新八と神楽が駆け寄り、見た瞬間に渋い表情を浮かべた。
「名前さん!こっちはなかなか見つからなくてーーー...って土方さん!?なんで一緒にっ.....」
「警察が何の用アルか?連れて行くなら銀ちゃんだけで十分アル」
「俺だって来たくて来たわけじゃねぇよ」
「つーか、俺だけって銀さん、何もしてないからね!?」
「いいから早く座らせろ、天パ!」
ギャーギャーと言い合いしつつ、ようやく四人がソファーに腰を下ろし土方が煙草に火をつけたところで口を開く。
「.....で、話聞かせてもらおうか?」
「ちょっと待ってください。話がよく見えないんですけど....」
ソファーの側に立っていた新八が神楽以外の三人を交互に見て眉を下げるーーー。
しかし銀時は説明するのも面倒らしく、頭を掻く仕草をしてそれを合図に名前が言葉を続けながら手帳と手錠の入ったハンドカフケースをテーブルに置く。
「.....警視庁、捜査一課巡査の刑事です。この手帳と手錠は私の命の次に大事な仕事道具です....」
「....聞いたことねぇな」
「でしょうね....そもそも私、この時代の人じゃありませんから」
「天人じゃ、ねぇのか?」
「ーーー結構失礼なんですね....」
案の定、ポカンとした表情から眉間に皺を寄せる土方に名前が少し呆れた表情を見せる。すると銀時が補足程度に呟いた。
「少し厄介な事情でここにいんだよ。....かと言って、てめぇに全部話す義理はねぇと思うがな」
「少なからず、この手帳と手錠はこの時代では効力なんてありません。なので、私も今は普通の女性、です」
「....それを信じろって言うのか?下手すりゃ、陰謀罪かなんかになりかねねぇぞ。江戸は攘夷志士だの何だのって厄介な輩 が多いからな」
「陰謀罪ってーーー...」
名前が言葉を続けようとした時、銀時が思わず前のめりになった名前の身体を腕を伸ばして制して言葉を遮った。
「おい、土方.....てめぇ、コイツを疑ってんのか?」
「テメーが元攘夷志士なら可能性はあるって言ってんだ。テメーのその頭でもわかるだろーが」
「ちょっと待つアル!テメー、さっきから黙って聞いてれば、名前は攘夷浪士でも何でもないアルよ!」
「そうですよ!現にも土方さんと同じお役人なんですよ!?」
「....テメーらがなんと言おうと信憑性がねぇ限り、こっちも油断はしねぇ。とにかく、近藤さんの耳には入れておく」
そう言って土方が立ち上がり、脇目も振らずにリビングを出て万事屋を出て行くが、それを黙って見送るしかなかったーーー。
「....名前さん?」
「ごめん....私のせいで疑われて....」
新八が顔を覗かせるが名前は俯いたまま静かに謝罪の言葉を呟く。すると神楽がポリポリと酢昆布を食べながら至っていつもの表情を見せる。
「銀ちゃんが疑われるのはいつもの事ネ。現に銀ちゃん、元攘夷志士だったアル」
「......さっきから"攘夷志士"とか"攘夷浪士"とか、それ何なの?」
「攘夷志士って言うのは、天人襲来の折、その天人に対して実力行使で排斥 しようと考えている人たちの事を言うんです」
「じゃ、....坂田さんもその考えを持ってるの?」
「んな訳ねぇだろ~。今は普通の一般市民だよ」
「そっか」
チラリと横目に見れば興味なさそうに話す銀時に名前の中でなぜか少しだけほっとする気持ちが現れ、新八が横で困った表情を見せた。
「でもどうしましょうか.....完全に土方さん、名前さんの事、疑ってますよ?」
「ほっときゃいいだろ?大体、あのゴリラに話が伝わったとしてもよ、そう簡単にしょっ引く訳にはいかねぇだろ」
「まぁ、....少なからず近藤さんは話のわかる人だと思いますけど....」
「.............」
すると不意に銀時がずっと黙る名前の頭に手を乗せて思いっ切りクシャクシャと頭を撫でて、名前が咄嗟に顔を上げて軽く銀時に眉を潜めて渋い表情を浮かべるーーー。
「ちょっ....!」
「落ち込む必要もねぇし、てめぇが悪ぃと思う必要もねぇ。てめぇは普通にしてりゃいいんだよ」
「でも、それじゃまた迷惑かかるだけでっーーー....」
「誰も迷惑だなんて思ってないアルよ?やましい事がないんだったら堂々としてるネ」
「そうですよ。気にする事はありません。困った事があったら何でも言ってください。僕たち万事屋ですから」
三人が見つめる先で名前が目線を床に落とせば、ふぅーと深い深呼吸をして何か決意したかのように顔を上げて三人を見つめ返し、そしてニコッと微笑み返し呟く。
「....ありがとう....はぁ~....刑事なのに情けないなぁ」
何気なくポツリと言った名前の一言に銀時は目を逸らして何か考え込む仕草を見せるが、名前はその様子に気づきもしなかったーーー。
深い溜息を漏らして桟橋の手摺に体重をかけて背中を預け、ガクリとうな垂れた。
「はぁ~....どこいったんだろ。マズイよ....」
本当にマズイーーー...
元の時代に戻るまで見つからなかったら....
報告書だけじゃ済まされないっ....!
切れた紐を懐から出して眺めると、ふと横から目線を感じてその方向に目を向ければ煙草を咥えた土方の姿があり、思わず身体を桟橋から離す。
「アンタの探し物はコレだよな?」
「.........」
スッと紐の切れた手帳を名前に見せ、意味ありげに視線を送る。その態度に眉を潜めて無言のままでいた。
「少しばかり話し、聞かせてもらおうか?」
「.....お話する事は何もありません。返してもらえますか?」
「返してもいいが、アンタの態度次第で最悪、しょっ引かなきゃならなくなる。どちらか一つだ」
「江戸の警察は意外と横暴なんですね」
そう言う名前を横目に土方が煙草を地面に捨てて火を消し去ると、一歩前に出て手首を掴もうとするーーー。
「ーーー善良な人を無理にしょっ引くたァ、警察の風上にもおけねぇなァ」
「!」
名前の手首を掴もうとした土方の腕を、いつの間にか銀時がそれを掴み目を細めて目線を向けていた。その様子に土方が一瞬だけ目を見開くが、すぐに渋い表情に戻り腕を振り払う。
「万事屋っ.....テメーには関係ねぇだろ」
「てめぇの言うとおり関係ねぇが、素直に落しモン返すのが筋ってもんじゃねぇのか?」
「..........」
チッと舌打ちをした後、土方が手帳を差し出し名前はそれを
「....ありがとうございます」
「用が済んだら帰るぞ。アイツらがギャーギャーうるせぇんだ」
受け取ったのを見届けて銀時が来た道へと歩き出そうとした時、名前が着物の袖をそっと掴み銀時が立ち止まり振り返った。
「待って」
「あ?」
「.....話すよ。私のことーーー...」
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初めて入る万事屋はいたって普通の和室に、その和室には似つかわしくないテーブルとソファがありそこに案内される。すると先に帰って来ていた新八と神楽が駆け寄り、見た瞬間に渋い表情を浮かべた。
「名前さん!こっちはなかなか見つからなくてーーー...って土方さん!?なんで一緒にっ.....」
「警察が何の用アルか?連れて行くなら銀ちゃんだけで十分アル」
「俺だって来たくて来たわけじゃねぇよ」
「つーか、俺だけって銀さん、何もしてないからね!?」
「いいから早く座らせろ、天パ!」
ギャーギャーと言い合いしつつ、ようやく四人がソファーに腰を下ろし土方が煙草に火をつけたところで口を開く。
「.....で、話聞かせてもらおうか?」
「ちょっと待ってください。話がよく見えないんですけど....」
ソファーの側に立っていた新八が神楽以外の三人を交互に見て眉を下げるーーー。
しかし銀時は説明するのも面倒らしく、頭を掻く仕草をしてそれを合図に名前が言葉を続けながら手帳と手錠の入ったハンドカフケースをテーブルに置く。
「.....警視庁、捜査一課巡査の刑事です。この手帳と手錠は私の命の次に大事な仕事道具です....」
「....聞いたことねぇな」
「でしょうね....そもそも私、この時代の人じゃありませんから」
「天人じゃ、ねぇのか?」
「ーーー結構失礼なんですね....」
案の定、ポカンとした表情から眉間に皺を寄せる土方に名前が少し呆れた表情を見せる。すると銀時が補足程度に呟いた。
「少し厄介な事情でここにいんだよ。....かと言って、てめぇに全部話す義理はねぇと思うがな」
「少なからず、この手帳と手錠はこの時代では効力なんてありません。なので、私も今は普通の女性、です」
「....それを信じろって言うのか?下手すりゃ、陰謀罪かなんかになりかねねぇぞ。江戸は攘夷志士だの何だのって厄介な
「陰謀罪ってーーー...」
名前が言葉を続けようとした時、銀時が思わず前のめりになった名前の身体を腕を伸ばして制して言葉を遮った。
「おい、土方.....てめぇ、コイツを疑ってんのか?」
「テメーが元攘夷志士なら可能性はあるって言ってんだ。テメーのその頭でもわかるだろーが」
「ちょっと待つアル!テメー、さっきから黙って聞いてれば、名前は攘夷浪士でも何でもないアルよ!」
「そうですよ!現にも土方さんと同じお役人なんですよ!?」
「....テメーらがなんと言おうと信憑性がねぇ限り、こっちも油断はしねぇ。とにかく、近藤さんの耳には入れておく」
そう言って土方が立ち上がり、脇目も振らずにリビングを出て万事屋を出て行くが、それを黙って見送るしかなかったーーー。
「....名前さん?」
「ごめん....私のせいで疑われて....」
新八が顔を覗かせるが名前は俯いたまま静かに謝罪の言葉を呟く。すると神楽がポリポリと酢昆布を食べながら至っていつもの表情を見せる。
「銀ちゃんが疑われるのはいつもの事ネ。現に銀ちゃん、元攘夷志士だったアル」
「......さっきから"攘夷志士"とか"攘夷浪士"とか、それ何なの?」
「攘夷志士って言うのは、天人襲来の折、その天人に対して実力行使で
「じゃ、....坂田さんもその考えを持ってるの?」
「んな訳ねぇだろ~。今は普通の一般市民だよ」
「そっか」
チラリと横目に見れば興味なさそうに話す銀時に名前の中でなぜか少しだけほっとする気持ちが現れ、新八が横で困った表情を見せた。
「でもどうしましょうか.....完全に土方さん、名前さんの事、疑ってますよ?」
「ほっときゃいいだろ?大体、あのゴリラに話が伝わったとしてもよ、そう簡単にしょっ引く訳にはいかねぇだろ」
「まぁ、....少なからず近藤さんは話のわかる人だと思いますけど....」
「.............」
すると不意に銀時がずっと黙る名前の頭に手を乗せて思いっ切りクシャクシャと頭を撫でて、名前が咄嗟に顔を上げて軽く銀時に眉を潜めて渋い表情を浮かべるーーー。
「ちょっ....!」
「落ち込む必要もねぇし、てめぇが悪ぃと思う必要もねぇ。てめぇは普通にしてりゃいいんだよ」
「でも、それじゃまた迷惑かかるだけでっーーー....」
「誰も迷惑だなんて思ってないアルよ?やましい事がないんだったら堂々としてるネ」
「そうですよ。気にする事はありません。困った事があったら何でも言ってください。僕たち万事屋ですから」
三人が見つめる先で名前が目線を床に落とせば、ふぅーと深い深呼吸をして何か決意したかのように顔を上げて三人を見つめ返し、そしてニコッと微笑み返し呟く。
「....ありがとう....はぁ~....刑事なのに情けないなぁ」
何気なくポツリと言った名前の一言に銀時は目を逸らして何か考え込む仕草を見せるが、名前はその様子に気づきもしなかったーーー。