嫌な思い出ほどついて回るもの
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父親の背中を追いかけて、やっと刑事という役職を手に入れて、同じ立場に立った。
でも、父親が殉職してからは何度も警察官になるのを諦めかけた事もあったのも事実でーーー。
「ん......」
まどろみの中、久しぶりにその夢を見て目が覚めるこんに。いつの間にか眠ったのか着物を着たままで、そっと起き上がり裏口から暗くなった外に出た。店の前まで行くと、微かな明かりが漏れてその壁に背を預け、懐に入れていた警察手帳を取り出し眺める。
「こんな夜更けに女一人たァ、警戒心の欠片もねぇな」
「!」
不意の声にすかさず手帳を閉じて目線を向ければ、腕を組み肩で壁に寄りかかる銀時の姿がありすぐに目を逸らす。
「.....ビックリした~」
「眠れねぇのか?」
「嫌な夢、見ちゃって目が覚めた」
苦笑いしつつ答えると銀時が名前の隣に背中を預けて頭を掻きながら言う。
「そーかい。目覚めが悪い時は酒に限る」
「お酒は一滴も飲まないの」
「そりゃ人生の半分、損してんぞ」
「余計なお世話です」
そう言って戻ろうとした瞬間、腕を掴まれ名前が咄嗟に振り向く。
「おい」
「.....何?」
「さっき言ったこと。俺はおまわりは嫌いだが、アンタのことは言ってねぇ。だから勘違いすんな」
「ふふふっ....」
真面目な表情で言う銀時に、少し申し訳なく思いながら思わず声に出して笑う名前に銀時が眉間に皺を寄せて頭を思いっきり掻く。
「おい、笑ってんじゃねぇぞ」
「ごめんっ.....ありがとう。そう言ってくれる人なんてなかなかいないから嬉しくて。私のいた時代の人は結構、警察嫌いの人多いし」
「どの世界でも同じなんだな。ま、アンタがここで気に病む事はねぇんじゃねーの?一般市民なんだろ?」
銀時はめんどくさそうに言うが、手帳を見ていたのを察していた様子で淡々と話すーーー。
「.....おまわりさんは嫌いなんじゃなかったの?」
「質問で返すのはズルくねぇか?」
「そうだね。ごめん....でも話して少しだけ楽になったかな」
名前がおもむろに着物の袂 から一本の飴玉を取り出して微笑みながら差し出す。その行動に銀時が一瞬だけ目を丸くして見つめる。
「話、聞いてくれたお礼。二人には内緒だよ?」
「.....相談料で飴玉たァ、悪くねぇな」
「でしょ?じゃ、私、寝るね。おやすみなさい」
「あぁ。あんま夜更かしすんなよ」
銀時が飴玉を手渡して裏口から去って行く名前の背中を見送り、受け取った飴玉を見つめポツリと呟く。
「.....気が強ぇと思ったら落ち込んでんじゃねーか」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
翌日、タダで住まわせてもらうのは申し訳ないと言って、自ら店の掃除やお手伝いを志願してほうきで掃除を進める。その傍らでお登勢が煙草を吸いながら問いかけた。
「何でお役人になろうと思ったんだい?」
「.....急、ですね」
ほうきを動かす手を休め、名前が眉を下げてお登勢に向き直る。
「いや....名前のいた時代のお役人なんざ、どういう輩か知りゃしないんだけどさ、なんでまた堅苦しいとこに勤めてんだろって思って。ましてや女だろ?」
「.....私の父も刑事だったんです。もう亡くなりましたけど....」
「仕事でかい....?」
「はい....。母が通り魔事件に巻き込まれたんです。それで父が現場に行って母を守ろうとして....その後も、母は心労が多々って亡くなったんです....もう何年も前の話ですよ」
名前はふう、と小さい溜息を漏らし苦笑いを浮かべて微笑み、再びほうきで床を掃くがお登勢は煙草を灰皿に押し付け眉を八の字に下げた。
「若いのに苦労してるんだねぇ....ま、ここでは親代わりとはいかないが、遠慮なく言っておくれ」
「....ありがとうございます」
なんていい人なのだろう、そう思いながら鼻の奥がつんと詰まり少し滲みそうな涙を無理やり引っ込めるーーー。
「お登勢様、食料の補充が足りないのですがーーー....」
不意にたまが台所から姿を現し、お登勢がはぁ、と溜息をついて困った表情を浮かべた。
「....どうしたんですか?」
「困ったねぇ。買い物行かせたいんだけどね、たまは源外のじいさんとこに行かせなきゃいけないし。あのじいさん、あとからゴチャゴチャうるさいからねぇ....」
「じゃあ、私行きましょうか....?ほら。道を覚えなきゃいけないって思ってたら丁度いいなと....」
「しかし、名前様お一人だと迷子になる確率が非常に高く危険かと....やはり私がーーー....」
「こんにちはー」
「こんにちはヨー」
軽い言い合いをしていた時、不意に店の扉が開き新八と神楽が顔を見せる。
「なんだい、今立て込んでるんだよ」
「すみません。昨日、銀さんがご飯炊き忘れて家に何もないんです.....」
「ここに来れば確実に食料に困らないアル。早く出せヨ」
「誰に口訊いてんだい、まったく....。ちょうどいい。アンタら名前と一緒に買い物行ってきな。ついでに歌舞伎町 も案内しておくれ」
「仕方ないアル。名前のために一肌脱ぐアルよ。その代わり、ご飯五升 で手を打つアル」
「ごっ.....!」
.....五升!?
あの身体に!?
開いた口が塞がらないとはこの事で、新八は苦笑いを名前に向け、お登勢は頭を抱えて渋々承諾した。
「しょうがないねぇ....じゃ、あとは頼んだよ」
「あいあいさー!」
「わかりました。行きましょうか、名前さん」
「ありがとう。二人ともよろしくね」
そうして二人と共に名前が買出しにと出かける事になったーーー。
でも、父親が殉職してからは何度も警察官になるのを諦めかけた事もあったのも事実でーーー。
「ん......」
まどろみの中、久しぶりにその夢を見て目が覚めるこんに。いつの間にか眠ったのか着物を着たままで、そっと起き上がり裏口から暗くなった外に出た。店の前まで行くと、微かな明かりが漏れてその壁に背を預け、懐に入れていた警察手帳を取り出し眺める。
「こんな夜更けに女一人たァ、警戒心の欠片もねぇな」
「!」
不意の声にすかさず手帳を閉じて目線を向ければ、腕を組み肩で壁に寄りかかる銀時の姿がありすぐに目を逸らす。
「.....ビックリした~」
「眠れねぇのか?」
「嫌な夢、見ちゃって目が覚めた」
苦笑いしつつ答えると銀時が名前の隣に背中を預けて頭を掻きながら言う。
「そーかい。目覚めが悪い時は酒に限る」
「お酒は一滴も飲まないの」
「そりゃ人生の半分、損してんぞ」
「余計なお世話です」
そう言って戻ろうとした瞬間、腕を掴まれ名前が咄嗟に振り向く。
「おい」
「.....何?」
「さっき言ったこと。俺はおまわりは嫌いだが、アンタのことは言ってねぇ。だから勘違いすんな」
「ふふふっ....」
真面目な表情で言う銀時に、少し申し訳なく思いながら思わず声に出して笑う名前に銀時が眉間に皺を寄せて頭を思いっきり掻く。
「おい、笑ってんじゃねぇぞ」
「ごめんっ.....ありがとう。そう言ってくれる人なんてなかなかいないから嬉しくて。私のいた時代の人は結構、警察嫌いの人多いし」
「どの世界でも同じなんだな。ま、アンタがここで気に病む事はねぇんじゃねーの?一般市民なんだろ?」
銀時はめんどくさそうに言うが、手帳を見ていたのを察していた様子で淡々と話すーーー。
「.....おまわりさんは嫌いなんじゃなかったの?」
「質問で返すのはズルくねぇか?」
「そうだね。ごめん....でも話して少しだけ楽になったかな」
名前がおもむろに着物の
「話、聞いてくれたお礼。二人には内緒だよ?」
「.....相談料で飴玉たァ、悪くねぇな」
「でしょ?じゃ、私、寝るね。おやすみなさい」
「あぁ。あんま夜更かしすんなよ」
銀時が飴玉を手渡して裏口から去って行く名前の背中を見送り、受け取った飴玉を見つめポツリと呟く。
「.....気が強ぇと思ったら落ち込んでんじゃねーか」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
翌日、タダで住まわせてもらうのは申し訳ないと言って、自ら店の掃除やお手伝いを志願してほうきで掃除を進める。その傍らでお登勢が煙草を吸いながら問いかけた。
「何でお役人になろうと思ったんだい?」
「.....急、ですね」
ほうきを動かす手を休め、名前が眉を下げてお登勢に向き直る。
「いや....名前のいた時代のお役人なんざ、どういう輩か知りゃしないんだけどさ、なんでまた堅苦しいとこに勤めてんだろって思って。ましてや女だろ?」
「.....私の父も刑事だったんです。もう亡くなりましたけど....」
「仕事でかい....?」
「はい....。母が通り魔事件に巻き込まれたんです。それで父が現場に行って母を守ろうとして....その後も、母は心労が多々って亡くなったんです....もう何年も前の話ですよ」
名前はふう、と小さい溜息を漏らし苦笑いを浮かべて微笑み、再びほうきで床を掃くがお登勢は煙草を灰皿に押し付け眉を八の字に下げた。
「若いのに苦労してるんだねぇ....ま、ここでは親代わりとはいかないが、遠慮なく言っておくれ」
「....ありがとうございます」
なんていい人なのだろう、そう思いながら鼻の奥がつんと詰まり少し滲みそうな涙を無理やり引っ込めるーーー。
「お登勢様、食料の補充が足りないのですがーーー....」
不意にたまが台所から姿を現し、お登勢がはぁ、と溜息をついて困った表情を浮かべた。
「....どうしたんですか?」
「困ったねぇ。買い物行かせたいんだけどね、たまは源外のじいさんとこに行かせなきゃいけないし。あのじいさん、あとからゴチャゴチャうるさいからねぇ....」
「じゃあ、私行きましょうか....?ほら。道を覚えなきゃいけないって思ってたら丁度いいなと....」
「しかし、名前様お一人だと迷子になる確率が非常に高く危険かと....やはり私がーーー....」
「こんにちはー」
「こんにちはヨー」
軽い言い合いをしていた時、不意に店の扉が開き新八と神楽が顔を見せる。
「なんだい、今立て込んでるんだよ」
「すみません。昨日、銀さんがご飯炊き忘れて家に何もないんです.....」
「ここに来れば確実に食料に困らないアル。早く出せヨ」
「誰に口訊いてんだい、まったく....。ちょうどいい。アンタら名前と一緒に買い物行ってきな。ついでに
「仕方ないアル。名前のために一肌脱ぐアルよ。その代わり、ご飯
「ごっ.....!」
.....五升!?
あの身体に!?
開いた口が塞がらないとはこの事で、新八は苦笑いを名前に向け、お登勢は頭を抱えて渋々承諾した。
「しょうがないねぇ....じゃ、あとは頼んだよ」
「あいあいさー!」
「わかりました。行きましょうか、名前さん」
「ありがとう。二人ともよろしくね」
そうして二人と共に名前が買出しにと出かける事になったーーー。