嫌な思い出ほどついて回るもの
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どうしてここに来てしまったのだろうーーー。
そう心で思いながら頭を抱えてうな垂れていると、たまが困った表情の源外に向き直り口を開く。
「源外様。とりあえずお登勢様の元にお連れした方がよろしいかと。万事屋の皆さんもいると思いますし....」
「まぁ、あのばあさんだったら寝る場所くらいは貸してくれんだろ。お願い出来るか?たま」
「承知いたしました」
次は名前に向き直ったかと思えば、申し訳なさそうに呟いた。
「安心しな、嬢ちゃん。お登勢とこのばあさんは口は悪いが気の利くばあさんだ。それにたまもいる」
「............」
チラリとたまの表情を窺 えばニコリと微笑まれ、なぜかすーっと軽い気持ちになるーーー。
「元はと言えば俺が作った製造機のせいだ。俺が急ピッチで製造機直してる間、そこで世話になってくれぇか」
「.....わかりました。逆にこんなに良くしていただいて申し訳ないくらいです」
「いや....何にせよ、この歌舞伎町は物騒な輩がウロウロしてやがる。嬢ちゃん一人より頼れる人がいた方が気が楽だろ」
「確かにそうですね....。ありがとうございます」
ーーーーーーーーーーーーーーー
一歩、屋外に出れば自分のいた世界とは全く違い昔ながらの母屋 が立ち並び、出てきた建物に目を向ければ"からくり堂"という看板が目に入った。
本当に来ちゃったんだ.....
これからどうなっちゃうんだろ....
「お名前....お聞きしてもよろしいでしょうか?」
「あ、はい!えと....名字名前です」
「名前様、ですね。私はお登勢様のスナックで奉公しています、たまと申します。ご紹介が遅れて申し訳ありません」
無表情のまますっと頭を下げるたまに慌てて名前が恐縮して両手を振る仕草をする。
「いえいえ!!というか、様なんてやめてくださいっ....そんな大層な人じゃないので」
「いいえ。私たちからくりは人のために尽くすのが役目....。困った事がありましたら何なりとお申し付けください」
「え、待って.....今からくりって言った.....?」
「?.....はい。それが何か.....」
言われてピンときていない様子のたまに思わず力が抜けて苦笑いが漏れたーーー。
「名前様の時代ではからくりは珍しいものなのですか?」
「いや、そういう訳じゃないけど....私が知ってる江戸時代とは随分程遠いなと思って」
そう言って気を取り直してたまと共に再び足を進める。するとふとたまが急に遠い目をして呟く。
「ある意味珍しいかも知れませんね。名前様がいらした時代より多少、....というかヤンチャな方が多いですから」
「ヤンチャって....でも毎日が楽しそう」
「はい。とても楽しいですよ?特にお登勢様と万事屋の皆さんは私を救ってくれた恩人ですから」
恩人かーーー。
たまさん、そのお登勢さんの話をするとき凄く嬉しそうに話すなぁ。
心の中でそんな事を思いつつ歩いていると、ある事に気づきその様子に眉を潜める。それは自分の世界、そして時代にはあり得ない光景で。それに気づいたたまが溜息混じりに静かに話し出す。
「....初めて見る方はビックリされると思います。名前様にはお耳に入れておいた方がよろしいかと」
「あれって.....」
「我々の間では"天人 "と呼ぶ、要は宇宙人といったところでしょうか。かつて幕府は天人によって無理やり開国を押し入られそれ以降、この状態にあります」
「....そうなんだ」
ーーーまるで"黒船来航"みたい....
少し訳が違うけど。
天人が行き交う少し異様な光景に驚きつつも、不意にたまが方向を変えてある建物のドアに手をかけた。そのドアの前には"スナックお登勢"という小さな看板、そして外の二階へと続く階段の前には"万事屋銀ちゃん"という大きな看板が掲げられ、そのネーミングに微妙に眉を潜める。
「凄いネーミングセンス......」
「銀時様がお付けになったお名前です。お登勢様が仰るには、銀時様が一から万事屋を立ち上げて今に至るとか。簡単に言えば"社長"、と仰るのが正しいかと思います」
「へぇ~....凄い人なんだ」
「"ある意味"、凄いお方です」
「.......?」
ニコッと微笑んで言うたまに名前は若干、首を傾げながらも一階のお店に足を踏み入れる。すると入ってすぐのカウンターに火のついた煙草を持った女性と目が合い、軽く会釈をした。
その女性の迫力に思いがけず恐縮したのは言うまでもないーーー。
「ただいま戻りました」
「なんだい。随分、早かったじゃないか....。ところでその娘 は?」
「源外様が一ヶ月ほどお登勢様のところで預からせてほしいと....」
「.....そういう事かい。あのジイさん、また"何とか製造機"とやらを弄った類 だろ?....まったく....人騒がせな人だよ、あのジイさんは.....」
「お登勢様、全自動卵かけごはん製造機です」
「そうそう、それだよ。すまないね。あのジイさんもあの天パと同じで厄介ごと持ち込むのが得意なんだよ」
「い、いえ....」
この人が、お登勢さん....?
それに"天パ"って誰?
呆れた表情と共におもむろに咥えていた煙草を灰皿に押し付けて火を消すと、重い腰を上げるかのように立ち上がり名前の前に歩み寄る。事情を話さなくても、まるでいつもの事のだと言う様な態度で。
「名前はなんてんだい?」
「あ、....名字....名前、です」
「そんなに怖がる事はないよ。住む場所がなけりゃ、いてくれても構わないよ。助け合うのはお互い様だろ?」
「.....お登勢さんっ.....」
不意に名前がお登勢の両手をぎゅっと握りしめて目をキラキラさせれば、若干ではあるがお登勢が身を後ろに引き目を見開く。
「な、なんだい?」
「ありがとうございます!!見ず知らずの私にこんなっ....本当にいい人なんですね!お登勢さん!」
「なんだい、この娘は....気持ち悪いねぇ。アタシはただの世話好きのばあさんだよ。好きなだけここにいな」
「はい!」
苦笑いして呆れた表情を浮かべるものの、安心しきった名前の表情を見て柔らかいものになっていた。
「そうだ、たま。あの三人も連れて来な。言わないとあとからギャーギャーうるさいからねぇ」
「わかりました」
あの三人って万事屋さんの人達のことだよね?
どんな人達なんだろ....
「たまが呼びに行ってる間に着替えな。その着物じゃ目立つからね....。悪いがアタシのお古しかないけどいいかい?」
「はい!ありがとうございます」
たまが三人を呼びに行っている間に、お登勢が店の奥から引っ張り出した着物を着替えるために奥の部屋に入る。着物の着付けは以前、祖母から教わった事もあり難なく着替えられた。
淡い水色の生地に桜の模様が散りばめられた着物ーーー。
「わぁ....綺麗....」
鏡の前で袖を広げて見てみれば綺麗な着物に思わずうっとりと溜息が漏れて頬が緩む。
「おや。案外、似合ってるじゃないかい。やっと三人が顔見せたから名前、アンタも来な」
「あ、はい」
ーーーどういう人なんだろ....?
顔を覗かせたお登勢にコクリと頷き、万事屋の三人が待つという店まで足を進めた。
そう心で思いながら頭を抱えてうな垂れていると、たまが困った表情の源外に向き直り口を開く。
「源外様。とりあえずお登勢様の元にお連れした方がよろしいかと。万事屋の皆さんもいると思いますし....」
「まぁ、あのばあさんだったら寝る場所くらいは貸してくれんだろ。お願い出来るか?たま」
「承知いたしました」
次は名前に向き直ったかと思えば、申し訳なさそうに呟いた。
「安心しな、嬢ちゃん。お登勢とこのばあさんは口は悪いが気の利くばあさんだ。それにたまもいる」
「............」
チラリとたまの表情を
「元はと言えば俺が作った製造機のせいだ。俺が急ピッチで製造機直してる間、そこで世話になってくれぇか」
「.....わかりました。逆にこんなに良くしていただいて申し訳ないくらいです」
「いや....何にせよ、この歌舞伎町は物騒な輩がウロウロしてやがる。嬢ちゃん一人より頼れる人がいた方が気が楽だろ」
「確かにそうですね....。ありがとうございます」
ーーーーーーーーーーーーーーー
一歩、屋外に出れば自分のいた世界とは全く違い昔ながらの
本当に来ちゃったんだ.....
これからどうなっちゃうんだろ....
「お名前....お聞きしてもよろしいでしょうか?」
「あ、はい!えと....名字名前です」
「名前様、ですね。私はお登勢様のスナックで奉公しています、たまと申します。ご紹介が遅れて申し訳ありません」
無表情のまますっと頭を下げるたまに慌てて名前が恐縮して両手を振る仕草をする。
「いえいえ!!というか、様なんてやめてくださいっ....そんな大層な人じゃないので」
「いいえ。私たちからくりは人のために尽くすのが役目....。困った事がありましたら何なりとお申し付けください」
「え、待って.....今からくりって言った.....?」
「?.....はい。それが何か.....」
言われてピンときていない様子のたまに思わず力が抜けて苦笑いが漏れたーーー。
「名前様の時代ではからくりは珍しいものなのですか?」
「いや、そういう訳じゃないけど....私が知ってる江戸時代とは随分程遠いなと思って」
そう言って気を取り直してたまと共に再び足を進める。するとふとたまが急に遠い目をして呟く。
「ある意味珍しいかも知れませんね。名前様がいらした時代より多少、....というかヤンチャな方が多いですから」
「ヤンチャって....でも毎日が楽しそう」
「はい。とても楽しいですよ?特にお登勢様と万事屋の皆さんは私を救ってくれた恩人ですから」
恩人かーーー。
たまさん、そのお登勢さんの話をするとき凄く嬉しそうに話すなぁ。
心の中でそんな事を思いつつ歩いていると、ある事に気づきその様子に眉を潜める。それは自分の世界、そして時代にはあり得ない光景で。それに気づいたたまが溜息混じりに静かに話し出す。
「....初めて見る方はビックリされると思います。名前様にはお耳に入れておいた方がよろしいかと」
「あれって.....」
「我々の間では"
「....そうなんだ」
ーーーまるで"黒船来航"みたい....
少し訳が違うけど。
天人が行き交う少し異様な光景に驚きつつも、不意にたまが方向を変えてある建物のドアに手をかけた。そのドアの前には"スナックお登勢"という小さな看板、そして外の二階へと続く階段の前には"万事屋銀ちゃん"という大きな看板が掲げられ、そのネーミングに微妙に眉を潜める。
「凄いネーミングセンス......」
「銀時様がお付けになったお名前です。お登勢様が仰るには、銀時様が一から万事屋を立ち上げて今に至るとか。簡単に言えば"社長"、と仰るのが正しいかと思います」
「へぇ~....凄い人なんだ」
「"ある意味"、凄いお方です」
「.......?」
ニコッと微笑んで言うたまに名前は若干、首を傾げながらも一階のお店に足を踏み入れる。すると入ってすぐのカウンターに火のついた煙草を持った女性と目が合い、軽く会釈をした。
その女性の迫力に思いがけず恐縮したのは言うまでもないーーー。
「ただいま戻りました」
「なんだい。随分、早かったじゃないか....。ところでその
「源外様が一ヶ月ほどお登勢様のところで預からせてほしいと....」
「.....そういう事かい。あのジイさん、また"何とか製造機"とやらを弄った
「お登勢様、全自動卵かけごはん製造機です」
「そうそう、それだよ。すまないね。あのジイさんもあの天パと同じで厄介ごと持ち込むのが得意なんだよ」
「い、いえ....」
この人が、お登勢さん....?
それに"天パ"って誰?
呆れた表情と共におもむろに咥えていた煙草を灰皿に押し付けて火を消すと、重い腰を上げるかのように立ち上がり名前の前に歩み寄る。事情を話さなくても、まるでいつもの事のだと言う様な態度で。
「名前はなんてんだい?」
「あ、....名字....名前、です」
「そんなに怖がる事はないよ。住む場所がなけりゃ、いてくれても構わないよ。助け合うのはお互い様だろ?」
「.....お登勢さんっ.....」
不意に名前がお登勢の両手をぎゅっと握りしめて目をキラキラさせれば、若干ではあるがお登勢が身を後ろに引き目を見開く。
「な、なんだい?」
「ありがとうございます!!見ず知らずの私にこんなっ....本当にいい人なんですね!お登勢さん!」
「なんだい、この娘は....気持ち悪いねぇ。アタシはただの世話好きのばあさんだよ。好きなだけここにいな」
「はい!」
苦笑いして呆れた表情を浮かべるものの、安心しきった名前の表情を見て柔らかいものになっていた。
「そうだ、たま。あの三人も連れて来な。言わないとあとからギャーギャーうるさいからねぇ」
「わかりました」
あの三人って万事屋さんの人達のことだよね?
どんな人達なんだろ....
「たまが呼びに行ってる間に着替えな。その着物じゃ目立つからね....。悪いがアタシのお古しかないけどいいかい?」
「はい!ありがとうございます」
たまが三人を呼びに行っている間に、お登勢が店の奥から引っ張り出した着物を着替えるために奥の部屋に入る。着物の着付けは以前、祖母から教わった事もあり難なく着替えられた。
淡い水色の生地に桜の模様が散りばめられた着物ーーー。
「わぁ....綺麗....」
鏡の前で袖を広げて見てみれば綺麗な着物に思わずうっとりと溜息が漏れて頬が緩む。
「おや。案外、似合ってるじゃないかい。やっと三人が顔見せたから名前、アンタも来な」
「あ、はい」
ーーーどういう人なんだろ....?
顔を覗かせたお登勢にコクリと頷き、万事屋の三人が待つという店まで足を進めた。