毒牙という名の罠
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局長が松平長官に呼ばれ、屯所不在との事で名前は自室に戻り、新八と神楽は一旦、万事屋に戻ることになった。
「おい。ちょっとこっち来い」
「........?」
屯所の廊下を銀時と歩いていると、不意に声をかけられ二人で自室へと足を運ぶ。そして部屋に入った瞬間に窓枠に腰を下ろして頭を掻く仕草をした。
「お前に話しておかなきゃいけねェ事がある」
「それって......もしかして銀さんが元攘夷志士だってことと関係あるの?」
「まぁ.....遠からず、だな」
入り口付近にいた名前が一瞬だけ眉を潜め、すぐに腕組をして銀時と同じく隣に足を進めて窓枠に腰を下ろすーーー。
「俺が攘夷浪士だったころ、他にも一緒に行動してた奴らがいた。その中でも、アイツだけは気をつけろ」
「"アイツ"......?」
「高杉晋助.......鬼兵隊の頭だよ。多分、裏にアイツが関わってる気がする」
「どうしてそう思うの?」
名前が銀時の顔を窺えば、一瞬だけ遠い目をしてすぐに普段の気の抜けた表情に戻り顔を背けた。
「アイツはどんな手を使ってでも、この江戸も将軍もぶっ潰す奴だ。もしお前の言う通り、なんかの装置を手に入れてェって言ってんならその可能性もあるって言ってんだよ」
一緒に行動してた、って.......
銀さんと、その"高杉晋助"ってもともと"仲間"だった、てことだよね.....?
ふ、とそんな事が頭を過ぎり思わず顔を背けて考え込めば、銀時が苦々しく笑いを浮かべて立ち上がり名前が顔を上げて見上げる。
「疑われても仕方のねェ話だが、ーーー.......」
「何言ってんの?疑う訳ないでしょ」
そのまま言いながら出て行こうとする銀時に名前が若干、呆れつつも溜息混じりで呟けば一瞬だけ驚いた表情で見つめ返す。
「......だって助けてくれたでしょ?銀さんも新八くんも神楽ちゃんも。それにかぶき町のみんなもね」
「お前.....とんだお人好しだな」
「大丈夫。仕事に関しては優秀、だから」
その受け答えに今度は銀時が呆れ顔で薄く笑い、頭を掻く仕草をするがそれはどことなく照れくさそうで。そして少し不思議に思いながら名前も立ち上がったところで襖の奥から土方の声が響く。
「名字、ちょっとーーー......」
と、襖が開いたところで土方が銀時を見つけた瞬間には一気に険悪な表情になり、咥えていた煙草を手に持つが銀時も同じく険悪な雰囲気にーーー。
「......なんでテメェがいんだ、万事屋」
「いちゃ悪ィかよ」
「用が済んだらさっさと帰れ。名字に話がある」
「そーかい。用が済んだんでさっさと帰りますよ~」
スッと土方の横をすり抜けようとした時、名前が立ち上がり銀時の手元にそっと棒つきキャンディーを置き、微笑みながら軽く溜息を漏らす。
「ありがとう.....銀さん」
「......ったく」
面倒そうに頭を掻きながら素っ気無く飴玉を受け取れば、手を振ってそのまま部屋を後にしていった。
それを見送ったあと、土方が深い溜息を漏らして煙草に火をつけ、名前にある一冊の本を手渡すーーー。
「......これは?」
「過激派の攘夷志士の名前が載ってる。全部、把握するに越したことはねぇ」
目線を土方から本に向けてパラパラと捲れば、その中に「高杉晋助」の名前を見つけてそのページで手を止めた。
「高杉晋助か......コイツら気をつけた方がいい。鬼兵隊を率いる高杉晋助.....「紅い弾丸」と呼ばれる来島また子、参謀の武市変平太、「人斬り万斉」の異名を持つ河上万斉.....最も危険な武装集団だ」
「......この人たちが、関与してる可能性は?」
「今のところ何の情報もねぇな。ただ、幕府がてめぇに目を付けてるのは間違いねぇ。俺たちが市中見回ってても安易に外には出ねぇことだな」
険しい表情で煙を吐き出す土方を横目に、名前がパタンと本を閉じてその本を土方に突き返せば当の本人は一層眉を潜めて名前を見据えるーーー。
「ここで黙ってるつもりはありません」
「.....なんだと?」
「あなた達に協力すると言いましたが、誰もあなた達の言いなりになるとは一言もいってません」
「フッ.....情報貰うだけ貰って、俺たちは厄介払いってか。あんたが一人でどうにか出来るとでも思ってんのか?」
本を受け取った土方の問いかけに名前がふと軽く微笑んで部屋の襖まで足を進め、その前で足を止めて振り返った。
「.....一人じゃありませんよ。それに生憎、あなた達を「仲間」、だなんて思ったことありませんから」
「........万事屋、か」
「..........」
表情を変えずに出て行く名前の後姿を見て、口に咥えていた煙草を手に取りしばらくゆっくりと煙を吐き出し、ポツリと呟く。
「........つくづく、気に喰わねぇ女だな」
「ーーーいいんですかィ?放っておいても」
名前が出て行ってしばらくした時、沖田がポケットに両手を入れながら顔を覗かせる。
「いい訳ねぇだろ。勝手に動きやがって.....御上にでも掴まりゃ厄介だ。まぁ、そんな事があればあのとっつぁんが黙ってねーとは思うが......」
「万事屋の旦那もいれば心配いらないじゃないですかねィ?」
「.............」
ーーーーーーーーーーーーーー
屯所を出たところで、ばったり買い物途中のお妙に出会い、向こうもそれに気づき声をかけた。
「あら、名前ちゃん。......その格好はーーー.....」
「あー.....少し事情があって」
苦笑いで答えれば、お妙も何か察したのかそれ以上追求はせずに話しを続け、その様子に名前が少しだけ安堵を見せて一緒に歩き出す。
「そう......今から銀さんのところに?」
「いえ。源外さんのところに行こうかとーーー.....」
そう言って言葉を続けようとした時、反対側の歩道に見慣れた後ろ姿に隣には髪の長い女性が銀時に寄り添うように一緒に歩く姿がーーー。
「あら?あれって銀さん、じゃないかしら......」
「ーーー.....」
名前にはお妙の言葉がなぜか頭に入らず、胸が苦しい感覚に陥り訳が分からずにすぐにその目線を逸らして前を見据えた。
なに、この感覚.......
なんで......."好き"みたいな締め付けられる感じーーー.....
2人は気づかずに歩いていき、それを見たお妙が心配そうに名前の顔を覗き込む。
「.......名前ちゃん?大丈夫?」
「えっ、......あ、だ、大丈夫です!すみません!私、少し急がなきゃいけないのでまたっ.....!」
心配そうなお妙を横目に、大げさに両手を振り苦笑いを浮かべてお妙の言葉を聞かずしてその場から足早に去る。
「あっ、.....名前ちゃん!?」
声をかけるが時既に遅しーーー。
その様子にお妙が眉を下げて心配そうに名前の後姿を見つめていた。
「おい。ちょっとこっち来い」
「........?」
屯所の廊下を銀時と歩いていると、不意に声をかけられ二人で自室へと足を運ぶ。そして部屋に入った瞬間に窓枠に腰を下ろして頭を掻く仕草をした。
「お前に話しておかなきゃいけねェ事がある」
「それって......もしかして銀さんが元攘夷志士だってことと関係あるの?」
「まぁ.....遠からず、だな」
入り口付近にいた名前が一瞬だけ眉を潜め、すぐに腕組をして銀時と同じく隣に足を進めて窓枠に腰を下ろすーーー。
「俺が攘夷浪士だったころ、他にも一緒に行動してた奴らがいた。その中でも、アイツだけは気をつけろ」
「"アイツ"......?」
「高杉晋助.......鬼兵隊の頭だよ。多分、裏にアイツが関わってる気がする」
「どうしてそう思うの?」
名前が銀時の顔を窺えば、一瞬だけ遠い目をしてすぐに普段の気の抜けた表情に戻り顔を背けた。
「アイツはどんな手を使ってでも、この江戸も将軍もぶっ潰す奴だ。もしお前の言う通り、なんかの装置を手に入れてェって言ってんならその可能性もあるって言ってんだよ」
一緒に行動してた、って.......
銀さんと、その"高杉晋助"ってもともと"仲間"だった、てことだよね.....?
ふ、とそんな事が頭を過ぎり思わず顔を背けて考え込めば、銀時が苦々しく笑いを浮かべて立ち上がり名前が顔を上げて見上げる。
「疑われても仕方のねェ話だが、ーーー.......」
「何言ってんの?疑う訳ないでしょ」
そのまま言いながら出て行こうとする銀時に名前が若干、呆れつつも溜息混じりで呟けば一瞬だけ驚いた表情で見つめ返す。
「......だって助けてくれたでしょ?銀さんも新八くんも神楽ちゃんも。それにかぶき町のみんなもね」
「お前.....とんだお人好しだな」
「大丈夫。仕事に関しては優秀、だから」
その受け答えに今度は銀時が呆れ顔で薄く笑い、頭を掻く仕草をするがそれはどことなく照れくさそうで。そして少し不思議に思いながら名前も立ち上がったところで襖の奥から土方の声が響く。
「名字、ちょっとーーー......」
と、襖が開いたところで土方が銀時を見つけた瞬間には一気に険悪な表情になり、咥えていた煙草を手に持つが銀時も同じく険悪な雰囲気にーーー。
「......なんでテメェがいんだ、万事屋」
「いちゃ悪ィかよ」
「用が済んだらさっさと帰れ。名字に話がある」
「そーかい。用が済んだんでさっさと帰りますよ~」
スッと土方の横をすり抜けようとした時、名前が立ち上がり銀時の手元にそっと棒つきキャンディーを置き、微笑みながら軽く溜息を漏らす。
「ありがとう.....銀さん」
「......ったく」
面倒そうに頭を掻きながら素っ気無く飴玉を受け取れば、手を振ってそのまま部屋を後にしていった。
それを見送ったあと、土方が深い溜息を漏らして煙草に火をつけ、名前にある一冊の本を手渡すーーー。
「......これは?」
「過激派の攘夷志士の名前が載ってる。全部、把握するに越したことはねぇ」
目線を土方から本に向けてパラパラと捲れば、その中に「高杉晋助」の名前を見つけてそのページで手を止めた。
「高杉晋助か......コイツら気をつけた方がいい。鬼兵隊を率いる高杉晋助.....「紅い弾丸」と呼ばれる来島また子、参謀の武市変平太、「人斬り万斉」の異名を持つ河上万斉.....最も危険な武装集団だ」
「......この人たちが、関与してる可能性は?」
「今のところ何の情報もねぇな。ただ、幕府がてめぇに目を付けてるのは間違いねぇ。俺たちが市中見回ってても安易に外には出ねぇことだな」
険しい表情で煙を吐き出す土方を横目に、名前がパタンと本を閉じてその本を土方に突き返せば当の本人は一層眉を潜めて名前を見据えるーーー。
「ここで黙ってるつもりはありません」
「.....なんだと?」
「あなた達に協力すると言いましたが、誰もあなた達の言いなりになるとは一言もいってません」
「フッ.....情報貰うだけ貰って、俺たちは厄介払いってか。あんたが一人でどうにか出来るとでも思ってんのか?」
本を受け取った土方の問いかけに名前がふと軽く微笑んで部屋の襖まで足を進め、その前で足を止めて振り返った。
「.....一人じゃありませんよ。それに生憎、あなた達を「仲間」、だなんて思ったことありませんから」
「........万事屋、か」
「..........」
表情を変えずに出て行く名前の後姿を見て、口に咥えていた煙草を手に取りしばらくゆっくりと煙を吐き出し、ポツリと呟く。
「........つくづく、気に喰わねぇ女だな」
「ーーーいいんですかィ?放っておいても」
名前が出て行ってしばらくした時、沖田がポケットに両手を入れながら顔を覗かせる。
「いい訳ねぇだろ。勝手に動きやがって.....御上にでも掴まりゃ厄介だ。まぁ、そんな事があればあのとっつぁんが黙ってねーとは思うが......」
「万事屋の旦那もいれば心配いらないじゃないですかねィ?」
「.............」
ーーーーーーーーーーーーーー
屯所を出たところで、ばったり買い物途中のお妙に出会い、向こうもそれに気づき声をかけた。
「あら、名前ちゃん。......その格好はーーー.....」
「あー.....少し事情があって」
苦笑いで答えれば、お妙も何か察したのかそれ以上追求はせずに話しを続け、その様子に名前が少しだけ安堵を見せて一緒に歩き出す。
「そう......今から銀さんのところに?」
「いえ。源外さんのところに行こうかとーーー.....」
そう言って言葉を続けようとした時、反対側の歩道に見慣れた後ろ姿に隣には髪の長い女性が銀時に寄り添うように一緒に歩く姿がーーー。
「あら?あれって銀さん、じゃないかしら......」
「ーーー.....」
名前にはお妙の言葉がなぜか頭に入らず、胸が苦しい感覚に陥り訳が分からずにすぐにその目線を逸らして前を見据えた。
なに、この感覚.......
なんで......."好き"みたいな締め付けられる感じーーー.....
2人は気づかずに歩いていき、それを見たお妙が心配そうに名前の顔を覗き込む。
「.......名前ちゃん?大丈夫?」
「えっ、......あ、だ、大丈夫です!すみません!私、少し急がなきゃいけないのでまたっ.....!」
心配そうなお妙を横目に、大げさに両手を振り苦笑いを浮かべてお妙の言葉を聞かずしてその場から足早に去る。
「あっ、.....名前ちゃん!?」
声をかけるが時既に遅しーーー。
その様子にお妙が眉を下げて心配そうに名前の後姿を見つめていた。